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イヴ・トゥモアの魅力とは何か

Z世代のyukinoiseとarowが語り尽くす

談:yukinoise、arow   Photo by Jordan Hemingway Mar 17,2023 UP

 今日のポピュラー・ミュージックの中心はラップである。そんな時代にあって、次世代のロックはどんな姿をかたどるのだろう──もしかしたらイヴ・トゥモアの試みに、そのヒントが隠されているのかもしれない。エレクトロニック・ミュージックに出自を持ちながらその後ロックへと大きく舵を切り、己の美学を貫くイヴ・トゥモアの新作『Praise A Lord Who Chews But Which Does Not Consume; (Or Simply, Hot Between Worlds)』について、Z世代のライター・yukinoise と、ロックをルーツとした初期衝動をダンス・ミュージックに落とし込むDJの arow が自由気ままにロック・ヴァイブス溢れる音楽談義をカマします。

イヴ・トゥモアは自身のキャリアの歩みの中で音楽と真摯に向き合いつつ、関わる人やコミュニティが広がっていく中でも、周囲からの期待を跳ねのけることなく、かつその上で自分自身の美学をクリエイションに反映させている。(arow)

yukinoise:前作に引き続き、今回のアルバム・リリースでもイヴ・トゥモアは相変わらずインタヴューを受け付けてないみたい。最近で唯一彼がインタヴューを受けたのはコートニー・ラヴとの対談くらいしかなかったので、今回は以前ライヴを観に行ったことのある自分と、ロックに詳しい同世代のDJ・arowくんとイヴ・トゥモアの魅力について対談するわけですが、5年前の来日ライヴは観に行った?

arow:そのライヴ行けなかったんだよね、たしかいまはなき渋谷の Contact に緊急来日したんだっけ?

yukinoise:そうそう。Contact に普段遊びに来るタイプのクラバーよりか、イヴ・トゥモアが気になってる音楽好きの層が集結して、平日のデイ公演なのにメインフロアの Studio X がお客さんでパンパンだった光景を覚えてる。その後、渋谷のWWWで speedy lee genesis さん主催の《Neoplasia》ってパーティーにも出演してたんだけど、ヘッドライナー級なのに出番が日付越える前という独特のパフォーマンスをしてたらしい。〈Warp〉からの異色デビューっていうので彼の存在を知ったのと来日がちょうど同時期で、すぐにライヴを観れたのはラッキーだったな。

arow:イヴ・トゥモアはもともとエレクトロニカやエクスペリメンタル系のアーティストだし、パフォーマンスもスタイルも華やかだから当時は新進気鋭のファッショナブルな印象があったな。でも、そういった印象や解釈を変えてくれたのが “Jackie” を収録した2021年リリースのEP「The Asymptotical World」。ロックやバンド・サウンドが好きな人にはかなり刺さる作品だし、いままでのリリースの中でいちばん好きかも。

yukinoise:“Jackie” でこれまでのエレクトロニカ、インダストリアルR&Bやグラム・ロック的な印象から少し雰囲気が変わったよね。シューゲイズ、ドリーム・ポップ、ポスト・パンクなテイストが取り入れられていて、バンドというかギター・サウンドに対して欲を出してきたな、と。

arow:ディープな電子音楽から活動をスタートして、キャリアを積み重ねていくごとに見える景色の変化に応じてちゃんとクリエイションも進化していくのはアーティストとしてひとつのあるべき姿だと思う。というのも、音楽をやっている全員がそういうことができるわけではないと思っていて。生計を立てるためとかいろいろあると思うんだけど、どうしてもいままでついてきたファンを離さずに活動するために既存の路線から外れないよう、いわゆる正解を取りに行くようなスタンスが活動を通して透けて見えてしまうようなアーティストも中にはいるわけで。だけど、イヴ・トゥモアは自身のキャリアの歩みの中で音楽と真摯に向き合いつつ、関わる人やコミュニティが広がっていく中でも、周囲からの期待を跳ねのけることなく、かつその上で自分自身の美学をクリエイションに反映させているし、少なくともそう勤めようとしている気概が音を通してリスナーにも伝わってくるような説得力があるよね。

yukinoise:美学ね。インタヴューを受けずにソーシャルと距離を置くスタンスや、来日公演でもレーベルや国外アーティストだからって肩書は関係なしに、セルフ・プロデュースで世界観を徹底してるところに惹かれた。イヴ・トゥモアを語ればグラム・ロックが必ずキーワードに登場するけど、たしかに彼のクィアなファッションや強烈なスタイル然りロック・スター的なカリスマ性は持ってる。

刹那的な盛り上がりより、パフォーマンスを目撃したアーティストの曲を帰り道でも聴きたくなるくらい世界観で圧倒されたい。そういう意味ではソロ時代からもステージングを徹底してたし、どんなかたちであれちゃんと自分の個性を100%表現しているアーティスト。(yukinoise)

arow:クィアもロックもどっちも彼のルーツにあるけど、意識的にも無意識的にもステージングや社会との関わり方とかの、自らのパブリック・イメージに関わる細かな部分にまで自分の意思を反映させて世界観を表現できるアーティストはそれだけで希少価値が高い。イヴ・トゥモアの最近のライヴがバンド・セットなのもそのイメージの強化に一役買ってるというか。バックDJがいて、オケを流してる上にマイク通して声を乗せるだけというヒップホップ由来のスタイルがいまでは当たり前のようになった中で、パフォーマンスを差別化するとしたらいちばん効果的なのはやっぱり音楽の捉え方とライヴの見せ方になるんじゃないかな。たとえば普通にラップやってる若いアーティストのライヴだと、いまこの場所をいかに盛り上げるかという点だけに重きを置きがちになる感じがあるけど、その場限りの高揚だけじゃ訴求できない部分って受け取り手のオーディエンスからしても絶対的にあるはずだし。

yukinoise:ライヴの体験価値はオーディエンスにとって欠かせないポイントだよね。刹那的な盛り上がりより、パフォーマンスを目撃したアーティストの曲を帰り道でも聴きたくなるくらい世界観で圧倒されたい。そういう意味ではソロ時代からもステージングを徹底してたし、どんなかたちであれちゃんと自分の個性を100%表現しているアーティストだったな。

arow:60~70年代まで遡るとロック・オペラとかもあったくらいだし、ひとつの世界観を作り上げていくジャンルとしての美学がロックにはある。当然、時代性やバックグラウンドによってアプローチは多種多様なんだけど、自分なりの世界観を築きやすいのがロックというフォーマットの魅力だと思うんだよね。もちろんやりようによってはどんなジャンルの音楽であっても独自の世界観は作れるものだと思うんだけど、記号化される前のロックでは一曲単位の持つ強度に加えてアルバムの構成だったりでいろんな見せ方がされてきたし、とくにリスナーにとっては何のことかわからないような歌詞だったり、音楽的にも新しい試みを取り入れやすかったという点において、ある種音楽の持つ非日常的な側面を反映させやすいという強みがあったんじゃないかな

yukinoise:なるほど。ロックの対比としてのヒップホップ、現代のトラップ・カルチャーはどちらかと言えばストリートやライフ・スタイルの延長線上にある音楽かもね。リアルを大事にしてるし。個人的にはロックは夢を見せてくれるジャンルだと思っていて、たとえば日本でいうヴィジュアル系はサウンドやファッション、世界観を徹底して作り上げて非日常的な雰囲気のステージングがメインだし。でもイヴ・トゥモアにも意外と人間味のある瞬間もあって、インスタ・ライヴとかもたまにする(笑)。Joji や Drain Gang の Ecco2k みたいな同世代のアーティストともコラボしてるし、隣接するシーンとクロスオーヴァーしていく視点はきちんと持ってる人なんだなと。ただ孤高のロック・スターを目指してるわけじゃない。彼の場合は孤高じゃなくて、シーンの中で異質な存在であるという想いが原動力になっている気もするんだけど、なんでロックが王道のサウンドではない時代にあえてこの路線を選んだんだろう?

arow:孤高のロック・スターのイメージに当てはめすぎちゃうと、本当にただ突っ走るだけになっちゃうからそれは本人にとっても良くない(笑)。カート・コベインやフレディ・マーキュリーあたりも世界的な成功を手に入れたからこそ反面自分が理解されていないって葛藤に陥ってしまったりした歴史もあるくらいだし。そもそもロックという音楽自体がR&Bやブルースから発展しているわけで、そういったブラック・ミュージックと呼ばれる音楽自体マイノリティが他者に理解されないところをモチベーションにして、自分たちはここに存在しているんだと主張するために育まれてきたものでもある。イヴ・トゥモアの場合、「マイノリティでありながら電子音楽をやっている」という情報だけじゃ大衆への大胆なアプローチはやっぱり難しいけど、そこにロックという記号を持ち込むだけでオリジナリティが増す。自分たちはすでにロックが一度終わった後の時代にいるわけだけど、かつては王道だった過去があって常識的にロックというものがジャンルの前提として根付いているからこそ、いままではあまり触れられてこなかったマイノリティ性や異質さ、普遍さとかいったものを組み合わせることによってバランスが取れるという。

yukinoise:エレクトロニカ時代の彼のサウンドは大衆的に受け入れがたくとも、ロックがベースになっている最近のサウンドなら受け入れやすいリスナーも多そう。とくに今回の新作はグラム・ロックとダンサブルな感じである種のポップさも含んでるし、去年ヒットしたイタリアのマネスキンの功績で新世代のロックがやっとメインストリームに頭角を現してきた時代ともマッチしてる。

arow:時代によってあり方が変化していったロックがちゃんとメインストリームな音楽だったのは、体感でしかないけど2007年くらいまでかなあ。90年代にいわゆるオルタナティヴ・ロックの時代があり、そこから地続きでインディー・ロックも盛り上がりを見せる一方、スタジアム級のバンドもいて、だんだんその幅が開いていったのが2000年代。個人的な印象では、メジャーで人気になるほど王道なロックが飽きられてしまって、逆に2010年代にかけてはどんどんインディーが盛り上がって、バンドマンと言えどロック・スターにはなろうとしないみたいな、ちょっと内向的なアティチュードのアーティストが増えていった。実際本人のパーソナリティが内向的なのかは置いておいて(笑)、ヴァンパイア・ウィークエンドなんかはその最たる例かも。あくまでも地に足つけて音楽を好きでいるってスタンスのロックが多くなる中で、ザ・1975みたいにインディーの方法論でメジャーとの間に生まれた壁をぶち壊そうとするバンドも現れてから、同レーベル所属の Pale Waves や Beebadoobee といったソーシャル・スター的なロック・アーティストたちが次のフェーズを作っていった感じ。

バンド・サウンドはシンプルになればなるほどひとつの音に対する向き合い方もストイックに成らざるをえなくて、今回のアルバムも曲の構成自体はシンプルだけどギターの印象でかなり喰らわせてきてる。(arow)

yukinoise:ソーシャル・スターね。ザ・1975のマシュー・ヒーリーもかなりアイコニックな存在だし最近も炎上騒ぎがあったし、いまやロックのアーティストですらインフルエンサー的な立ち位置になってしまう時代なのか……。SNSの流行でかつては遠い存在だったアーティストのライフ・スタイルを手軽に知れたり、ちょっとした発言もすぐキャッチできたりするようになった時代の中で、イヴ・トゥモアがソーシャルとうまく距離を置いてるのは正解だね。

arow:それでも、イヴ・トゥモアはいまめちゃくちゃ真正面からロックにぶつかってきてるアーティストだと思う。新作のライナーノーツや本人自身からも異物というワードがよく登場するけど、ロックという音楽として触れたときに異物感は全くないしもはや王道だとも言える。新しい音楽を、誰も見たことのないロックをやるぜ! というタイプでもない。

yukinoise:きっと往年のバンド・サウンドやいろんなロックに触れて育ってきたんだろうな。ロックのアーティストはバンドを経て晩年を迎えたりソロになったりしてから電子音楽に傾倒する節があるけど、イヴ・トゥモアはどんどん初期衝動的なバンド・サウンドに回帰していってるのが面白いところ。

arow:しかも意図してやってるわけじゃないと思わされるところもまたイイ。本当にロックが好きでいまこの音楽がやりたいと素直に思ってるだろうし、世の中での売れ方や音楽産業に振り回されずサウンドを突き詰めてる。俺がいちばん深くロックに触れていた高校時代、教室の隅っこでヘッドホンして爆音でアイスエイジとか聴いて救われてた、あの心が揺らされる感覚こそ、まさに初期衝動でありロックの美学のひとつだね。

yukinoise:彼自身、初期衝動やそういった美学は元来持っていたのに、いまこうしてロックに真正面から向き合っているのは、キャリア的にちゃんとしたクリエイションができる環境でハイクオリティに実現したかったからなのかな、とも思うわけよ。もちろんソロのときでも荒削りに実現できたと思うけど、キャリアが浅い時期にDIYでチャレンジしていたら時代的に宅録系みたいなジャンルで括られてしまった可能性がなきにしもあらず。本人のスタンス的に絶対クオリティ面は重視しているから、自分の理想が実現できる万全な状態でやりたかったんだと思うよ。

arow:ソロでロックに挑戦するのはかなりハードルが高いしね。サンプリングでそれっぽい音はDAWで作れても、結局は打ち込み系の解釈になってしまうし、イヴ・トゥモアはそういうのを嫌がるタイプな気がして。特にバンド・サウンドはシンプルになればなるほどひとつの音に対する向き合い方もストイックに成らざるをえなくて、今回のアルバムも曲の構成自体はシンプルだけどギターの印象でかなり喰らわせてきてる。特にギター・ソロはバンド・サウンドの中でもアンプのつまみがちょっと違うだけで全く印象が変わってしまうようなシンプルだからこそシビアな世界でもある。こだわろうと思えばどこまででも時間をかけられるからこそ、この音でいくぞと決心をするのにどれだけ勇気がいることかはバンドを経験した身としてよくわかるし、その葛藤の末に生まれたサウンドなんだと意識して聴くことでまたそれまでとは違った聴こえ方になったりするところが生音の面白さだと思うな。

yukinoise:タイトルが『Praise A Lord Who Chews But Which Does Not Consume; (Or Simply, Hot Between Worlds)』、和訳すると「齧るが喰わぬ主君を讃えろ」──なんだかスケールが大きくて意味深な感じ。収録曲のうちシングルとして先行リリースされた “Echoalia” のMVからも見て取れるように、本作は『ガリヴァー旅行記』がコンセプトになってるそうで。『ガリヴァー旅行記』は巨人などの異質なキャラクターと世界の関わりが描かれている物語だし、イヴ・トゥモアのクィア性やいまの時代におけるロック・スター的なスタンスといった持ち前の個性が反映されているなと。この曲はビート感が強くてダンサブルだからアルバム全体の中でも割とポップで好きなんだけど、arowくんはどう?

彼が他と一線を画してるのは忠実にロックと向き合ってるところと、ソーシャルやハイパーなカルチャー・シーンと距離をきちんと置いてるところ。その美学の貫き方こそが、イヴ・トゥモアなりにロックを解釈したひとつのかたちなんだろうな。(yukinoise)

arow:このアルバムはダークなところからどんどん曲が進むごとにちょっとずつ光が見えてくる展開だと思った、歌詞もメンタルヘルスや他者との関わりを内包しつつ明るく振る舞おうとしている感じで。となると、中盤の “In Spite of War” がやっぱり好きかな。ヴォーカルもエモいしこのギターの感じも無条件で嬉しくなるサウンド。

yukinoise:このオクターヴを上げた歌い方のヴォーカルのエモさって、2015年くらいのリル・ピープみたいなエモ・ラップ、トラップ・カルチャーとも世代的に親和性があると思うんだよね。イヴ・トゥモアやうちらの世代ならではのエモさだし、王道なロックが入りじゃないからこそグッとくる要素として欠かせない。ただ往年のロックにチャレンジするんじゃなくて、現代に届くロックをやろうとしてる。

arow:今回はポップスとしてもロックのカタルシスを踏襲してる気がする。王道もそうじゃないやり方もどっちも物怖じせずやれること自体、イヴ・トゥモアや自分たちの世代の特徴で、2010年代のインディー・ロックはたぶんそういうのがちょっと嫌だったとこもある。90年代のオルタナティヴなノリに回帰してカマしたくても自信ないみたいなヴァイブスだったけど、ベタな展開でも自分のモノにしちゃうスタンスがいまのロックの特徴かもしれない。

yukinoise:ダークなサウンドからアッパーまで雑多に聴く世代というか、当たり前にクロスオーヴァーしちゃう世代だもんね、わたしたち(笑)。

arow:それも大きいし、案外家で聴いたりディグったりするだけじゃなくていろんなライヴやパーティーに遊びに行って生で聴いて知ろうとする世代でもあるからね。イヴ・トゥモアが来日公演した Contact もクラブだけどバンドも出演してた箱だったし、いろんなものが混ざりつつもミクスチャーともまた違う新鮮な感覚を常に持ってる。

yukinoise:この世代や次世代で流行ってるハイパーポップにもロックのテイストは取り入れられてるけど、それでも彼が他と一線を画してるのは忠実にロックと向き合ってるところと、ソーシャルやハイパーなカルチャー・シーンと距離をきちんと置いてるところ。その美学の貫き方こそが、イヴ・トゥモアなりにロックを解釈したひとつのかたちなんだろうな。

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1996年東京生まれ。OLのかたわら、AVYSS Magazine等でフリーライターとして活動中。
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