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NaBaBaの洋ゲー・レヴュー超教条主義

NaBaBaの洋ゲー・レヴュー超教条主義

vol.2 硬派なのは見た目だけじゃない

――中年系スタイリッシュ・アクション『Max Payne 3』

NaBaBa Aug 27,2012 UP

 みなさんこんにちは。NaBaBaです。連載もはやくも2回目となりましたが、今回は前回の予告通り、今年発売された新作をご紹介したいと思います。その名も『Max Payne 3』。

 『Max Payne 3』は01年に発売された初代『Max Payne』の続編で、03年の『Max Payne 2: The Fall of Max Payne』から数えると、実に9年ぶりの最新作。開発は1作目、2作目までの〈Remedy Entertainment〉(以下Remedy)から代わり、〈Rockstar Games〉(以下Rockstar)が担当しています。

■現代によみがえる“演出されるゲーム・プレイ”の仕上がりやいかに

 本作のレヴューに入る前に、作品の周辺事情から先に解説をいたしましょう。『Max Payne』シリーズはジャンルとしてはTPS(サード・パーソン・シューティング)で、前回ご紹介した『Half-Life 2』のFPSと違い、操作するキャラクターが画面に映っている形態のゲームです。

 初代『Max Payne』は言うなれば“演出されるゲーム・プレイ”の新境地でした。本作の最大の特徴である“バレット・タイム”という、『Matrix』さながらにスロー・モーションになるシステムが象徴するように、精密な射撃を要求されるゲーム性と、アクション映画さながらの演出が両立する内容が当時高く評価されました。

『Max Payne』より。いまでは当たり前となったバレット・タイムはこのゲームから始まった。

 それに加えてグラフィック・ノベルの形式を用いたストーリー・テリングも魅力的で、ハード・ボイルドで劇的な雰囲気を演出するという面で、ゲーム・プレイ内外ともにさまざまな技巧が凝らされていたのです。


こちらは『Max Payne 2: The Fall of Max Payne』より。ノベルシーンは今見ても完成度が高い。

 いっぽう今回〈Remedy〉にかわり開発を引き継いだ〈Rockstar〉は、映画的な演出や雰囲気を構築する手腕においては右に出るものはないスタジオです。クライム・アクション・ゲームとしてももっとも有名な、〈Rockstar〉の代表作である『Grand Theft Auto III』を筆頭に、最新作『Grand Theft Auto IV』までの一連のシリーズや、近年では西部劇をテーマにした『Red Dead Redemption』等、このスタジオは一貫してハード・ボイルドな設定を売りにした作品を作り続けています。

 いまだほとんどのゲームが映画的であることをアクションやスペクタクルの迫力という観点からの解釈しかできていないなか、〈Rockstar〉の脚本やシチュエーションという部分においてより映画的であろうとしている姿勢は、他作品より抜きん出ているとともにユニークであり、それは一種の〈Rcokstar〉ブランドを築くまでにいたっていると言えるでしょう。


『Red Dead Redemption』より。Rockstarなりの西部劇映画へのリスペクトに溢れた作品だ。

 こうした〈Rockstar〉の強みは『Max Payne』シリーズが志向しているハード・ボイルドさや映画らしさにも合致します。しかしいっぽうで〈Rockstar〉の作品はどれもシューティングとしてのできは平凡以下という悪しき慣習があり、シリーズのストイックなシューターとしての側面をどこまで引き継げるのか危ぶむ声も少なくありませんでした。

 しかしふたを開けてみると、実際にはいろいろな面で予想とはちがうでき映えだったのです。

■シンプルながらよく作りこまれたゲーム性

 結論から言ってしまえば、TPSとして非常によくできていたのがなによりも驚きでした。〈Rockstar〉作品としてはもちろん、歴代『Max Payne』シリーズや近年のゲーム全体で見ても屈指のでき映えです。

 基本的なシステムは前作までのプレイ感を踏襲しており、敵は体力がそこそこある反面プレイヤーは撃たれ弱く、なにより回復手段が有限なので、何も考えずに戦うとすぐやられてしまうバランスです。

 そのためつねに頭や心臓などを狙って一撃でしとめること、相手から攻撃を受ける前に沈めることといった、言うなれば居合い斬りのような戦い方を求められます。そしてこの戦法を実現させるための手段として、時間を遅くするバレット・タイムというシステムがある、という構造ですね。


バレット・タイムで周囲がスローになっている内に相手の頭を的確に撃ち抜く。これが本作の基本だ。

 バレット・タイムとひと口に言っても『Max Payne』シリーズには2種類あり、ひとつが単純に周囲の時間が遅くなる、字のままのバレット・タイムと、もうひとつに任意の方向に飛び込み、空中に浮いている短い間だけ時間が遅くなるシュート・ドッジというものがあります。それぞれ得手不得手があり状況に応じてこれらふたつを使い分けるのがこのシリーズの醍醐味と言えますが、本作『Max Payne 3』は特にこれらの役割づけが過去シリーズ以上によくできていると感じました。

 前作まではなんだかんだと言って、どっちか片方が性能いいかで、使用頻度も偏りがちだったのが欠点でした。今作ではバレット・タイムは発動の手軽さ、汎用性の高さから、咄嗟の状況への対応や、こちらが比較的有利または安全な状況下から多くの敵を相手にするのに向いていて、いっぽうのシュート・ドッジは発動中はダメージをいっさい受けなくなるので、敵の攻撃が激しいなど不利な状況から活路を見出したいときに使えるなど、差別化が非常にうまくいっています。

 これらふたつの典型的な使い分け例としはこんな感じ。部屋に入ると大勢の敵がいるが相手はこちらに気づいていない。なので木箱の陰からバレット・タイムを使って先制攻撃、数人捌いた時点で敵の反撃で木箱は崩れ、このままではやられるというところでシュート・ドッジを発動し、残りの敵を華麗に迎撃......。こうした瞬時の使い分けが本作の肝であり、こちらのもくろみどおり綺麗に決まったときの気持ちよさは度し難いものがあります。

 ちなみにエリアの最後の敵を射抜いた瞬間はファイナル・キル・カメラといって『Matrix』を彷彿させる独特の演出が入り、勝利をみごとに演出してくれます。僕がこのシリーズを“演出されるゲーム・プレイ”と呼び表すゆえんであり、その精神は本作でも健在と言えましょう。


本作のキル・カメラは状況に合わせて演出内容が変化するなど、9年ぶりも納得の進化を感じさせる。

 また上記の駆け引きを盛り上げるレベル・デザインの秀逸さも抑えておきたいポイントです。本作はバレット・タイムを使い分けてのシューティング、この1点におもしろさを求めたストイックなゲームなのですが、そのシンプルさを維持しつつも状況のバリエーションを生み出すことに成功しており、単調になりがちだった前作、前々作から大きく改善されています。

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NaBaBaNaBaBa
CGイラストからアナログ絵画、パフォーマンスや文章執筆までマルチにこなす、本業は駆け出しのゲームデザイナー。三度の飯よりゲーム好き。座右の銘は高杉晋作の「おもしろき こともなき世に おもしろく」。

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