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NaBaBaの洋ゲー・レヴュー超教条主義

NaBaBaの洋ゲー・レヴュー超教条主義

vol.10 『The Last of Us』

――質実剛健さの中に覗かせる次世代の可能性

NaBaBa Oct 25,2013 UP

 

みなさんこんにちは。NaBaBaです。いまさらですが今年はゲーマーにとっては凄い年です。何といってもPlayStation 4とXbox Oneの二大次世代ゲーム機の発売が迫り、いよいよ次の時代がはじまろうとしています。

しかし今世代機も負けておらず、これまでの集大成的大作が相次いで発売されています。前々回のレヴューで取り上げた『BioShock: Infinite』や、つい先日発売された『Grand Theft Auto V』がその筆頭でしょう。そして今回取り上げる『The Last of Us』もまた、今世代を締めくくる大作のひとつと言えます。

さて、近年の大作ゲームはほとんどすべてが何らかの形で映画を意識して作られています。例えばアクション映画のようなスペクタクルをゲームとして体験出できるようにしたい。『Half-Life 2』をはじめ、この連載で取り上げてきた多くのゲームがそうした目標を持っていたでしょうし、今世代は言わばゲームが映画的表現力を獲得していった時代とも言えます。

しかし映画はなにもアクション・スペクタクルなものばかりではないのですが、ゲームが目指す映画的な表現というものは、どうもこうした要素に偏重しがちなのも事実です。

そんななか『The Last of Us』は今世代が培った技術力を最大限に駆使しながらも、上述したステレオタイプとは別の意味で映画的な表現を目指したゲームです。そしてその成果はひとつの時代の締めくくりにふさわしいと同時に、次世代への期待も膨らませる見事なものでした。

■テーマは父と子の人間関係

『The Last of Us』を開発した〈Naughty Dog〉は歴史ある名門スタジオ。かつては初代PlayStation時代に、日本でも有名なクラッシュバンディクーを開発したことで知られています。また今世代に入ってからは『Uncherted』シリーズで再び一斉を風靡したことも記憶に新しい。インディ・ジョーンズもかくやと言わんばかりの冒険活劇で、まさに今世代のアクション映画的ゲームの代表作であります。

そんなスタジオの最新作である本作は、『Uncherted』シリーズからさらにテイストを変え、徹底してトーンが抑制された、渋い作風のアクション・ゲームです。ジャンルとしてはポストアポカリプス、ゾンビ物に属しますが、いまだに派手さを競ってばかりの現代の映画的ゲームのなかでは一見すると地味。

しかし抑制されたトーンであっても、それを裏打ちしているのはいままでの映画的ゲームが蓄積してきた技術的ノウハウに他なりません。フォトリアルなグラフィックスやゲームプレイとインゲーム・シネマティックの自然な融合、リアルなフェイシャル・アニメーション等、〈Naughty Dog〉は今回も最高級の技術を見せてくれています。

 
フォトリアル路線のグラフィックスは間違いなく今世代最高クラス。

本作がいままでの映画的ゲームと比較してもっとも特徴的なのは、その研ぎ澄まされた技術で『Uncherted』シリーズのようなスペクタクルを表現するかわりに、主人公JoelとヒロインEllieの人間関係を描き出すことに一貫して注力した点です。

世界の崩壊と同時に娘を失って以来心を閉ざしていたJoelが、訳あってEllieとともに旅をし彼女を守っていくなかで、第二の親子とも言える関係を育んでいく。本作のコンセプトはこの一点であり、崩壊した世界やふたりを襲う困難の数々、極端な話ゲームプレイさえもが、あくまでもこれを引き立てるためのディテールに過ぎないのです。

 
仕事として旅をはじめた二人だが、やがて掛け替えのない関係を築いていく。

その意味で、本作の質を決定づけているのは技術に加えて脚本と言えます。『ザ・ロード』や『28日後…』等と比較するのはおこがましいかもしれませんが、このジャンルにおける一流映画と肩を並べられる力強い物語であると個人的には感じました。

技術力と違い、脚本に関しては、ゲームは映画と比べて全体的にまだまだ劣っていますが、本作の成功は今後映画的ゲームに求められる脚本の水準を一段と引き上げたに違いありません。

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NaBaBaNaBaBa
CGイラストからアナログ絵画、パフォーマンスや文章執筆までマルチにこなす、本業は駆け出しのゲームデザイナー。三度の飯よりゲーム好き。座右の銘は高杉晋作の「おもしろき こともなき世に おもしろく」。

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