Home > Regulars > Random Access N.Y. > vol.117 魔女になれる店
最近はめっきり、ブッシュウィックで過ごすことが多くなった。自分がイベントをやっているスペースや事務所があり、友だちがレコード店や酒醸造所をオープンしたり、お気に入りのレストランがあったり、自然とブッシュウィックに来てしまう。
歩いていると、お? と思うお店を発見する。983というレストランは、ブッシュウィックのリビングルームと言われ、アメリカンと謳っているのにメキシカンやイタリアンが混ざり、アートが壁に飾られ、メニューも読みにくいのだが、心地よく大人気だし、ブルックリン・カヴァは、カヴァ(コショウ科の灌木。南太平洋のフィジー、サモアなどで飲用される嗜好品)を中心としたティーショップで、心を穏やかに落ち着けてくれたり、不眠症に効いたりと、精神に効くお店であり、カフェイン・アンダーグラウンドは、CBDコーヒー(マリファナを作っている主要原料の一つであるカナビディオル(Cannabidiol)が入ったコーヒー)などの、CBDドリンクが飲めるお店で、みんなそれを飲みながら、リヴィングルームのようなスペースでショーやワークショップを楽しむ。ヴィーガンスイーツもあり、学校の寮にいるみたいだ。
そんなブッシュウィックで、また妖しげな雰囲気を醸し出しているお店を発見した。ロゴからして何かスピリチャル。一見本屋? かと思うが、恐る恐るなかに入ると、思いのほか混んでいて、お客さんは真剣に本を立ち読み(?)していたり、熱心に店員さんとお話していた。キャットランドというお店で、ブッシュウィック唯一の、オカルトショップ、スピリチャル・コミュニティスペース、通称、魔女になれる店だった。
店内は、本、ジン、クリスタル・ストーン、インセンス、タロット占いグッズ、ロウソク、儀式の道具、ハーブ香水、コヨーテや猫の頭蓋骨、孔雀の羽、ワニの足など、妖しげなものがたくさん売っていて、独特の雰囲気が漂っている。
さらに、魔女のためのヨガ、インセンスの作り方、初心者のための魔女講座、メディテーション、初心者の為のマジック、惑星についての深い話、占星術について、エネルギーの洗浄などなど、イベントが毎日のようにある。うーん、時代は、バンド活動ではなくスピリチャル活動なのか。
そういえば一時、ヒップスターの間でタロット占いが流行り、ショーに行ったりマーケットに行くとタロット占いベンダーがよく出ていたし、人気引っ掛けバーのムードリングも星占いバーだし、ブッシュウィックは、スピリチュアルが流行りの予感。
みんな何かにすがりたい今日この頃なのであろうか。