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Home >  Interviews > interview with a editor of Pitchfork - ひとつの音楽に支配されることは、私たちが生きているあいだはきっとないと思う。それは悪いことかしら? いいえ、良いこともたくさんあると思う。

interview with a editor of Pitchfork

interview with a editor of Pitchfork

ひとつの音楽に支配されることは、私たちが生きているあいだはきっとないと思う。それは悪いことかしら? いいえ、良いこともたくさんあると思う。

――『ピッチフォーク』のエディターに話を訊く

沢井陽子野田 努    Apr 27,2010 UP

 シカゴ在住のエイミー・フィリップ(Amy Philip)は、いまもっとも影響力のあるミュージック・ウエブサイト、わが国でも読者の多い『ピッチフォーク』のニュース・エディターだ。もともとはフリーの音楽ライターだった彼女だが、5年前から『ピッチフォーク』のスタッフとして働いている。また、彼女の原稿は『ヴィレッジ・ボイス』、『スピン』、『フィラデルフィア・インクワイアー』、『セヴンティーン』など、たくさんの媒体に取り上げられている。
 アメリカの音楽メディアで精力的に働きながら、インディ・ロックを中心に原稿を書いている彼女に話を訊いてみよう。

アニマル・コレクティヴがアメリカで人気なのは驚くべきことだと思う。一般的には、難しい音楽で、簡単に受け入れられる音楽だとは思わないけど、人びとがこの手の音楽に興味を持ちはじめて、『ピッチフォーク』にも、突然アニマル・コレクティヴのようなバンドが増えだした。

えー、まずはあなた個人の音楽体験史について教えてください。

エイミー:10代の頃はニルヴァーナ、ホール、ソニック・ユースの大ファンで、そこから音楽にのめり込んでいったわ。

音楽ライターになった経緯、『ピッチフォーク』で書くようになった経緯について話してもらえますか?

エイミー:音楽にとても夢中になって、音楽の全サイド、例えばミュージシャンの生活などにも興味をもって、こんなジャンルの音楽のことを書いて生活できたらいいなと思っていたの。ギターを少し習ったことがあるけど、そんなに我慢強くもなかったし、才能もなかったし、音楽を書いているときほど楽しめなかったの(笑)。自分のモノより、他の人の音楽を聴いている方が断然に楽しかったのよね。それでフリーランスの音楽ライターになって、いろんな媒体で書いていたんだけど、『ヴィレッジ・ボイス』の記事を『ピッチフォーク』が見て、私にコンタクトをとって来たのよ。2005年だったかな。『ピッチフォーク』の新しいセクションに私を持って来たかったみたい。

『ピッチフォーク』はどのように生まれたのでしょうか?

エイミー:『ピッチフォーク』はライアン・スクレイバーが高校を卒業したばかりのときに、彼のミネソタのベッドルームではじめたのがことの発端よ。彼はインディ・ミュージックの大ファンで、当初はウェブにすら載っていなかった、彼の好きなバンドを紹介していたの。1996年だったかしらね。しばらくは彼と友だちとでやっていて、2005年に私が入って、いまの体制が整った。私は5人目のスタッフだったわ。

スタッフはいま何人いるのですか?

エイミー:スタッフは20人いるわ。オフィスはシカゴとブルックリンで、シカゴが本拠地。

毎日のように、新しいバンドの情報が届くと思うのですが、そのなかから、ピッチフォークで、取り上げるバンドはどのように決めているのでしょうか。

エイミー:いろんなところから音楽が届くけど、基本は、自分たちが書いて価値があるもの。ひとつの答えはないけど、例えば、私たちが好きなレーベル、〈マタドール〉や〈サブポップ〉の音源はだいたい取り上げるわね。

『ピッチフォーク』のコンセプトを教えてもらえますか?

エイミー:たくさんの違う角度から、私たちの好きな、ときには嫌いな音楽をあつかう音楽ウェブサイト。レヴュー、私が担当しているニュース、インタヴュー、ヴィデオ(ピッチフォークTV)、シェアリング・ミュージックなどで、私たちが重要だと思う音楽をカヴァーしている。

多くの音楽メディアはメジャー・レーベルからの広告で成り立っています。それで提灯記事ばかりが氾濫してしまいました。

エイミー:『ピッチフォーク』に関してはそれはないわね。編集と広告のセクションはまったく分かれていて、『ピッチフォーク』は広告を出したバンドに悪いレヴューをすることもある。もちろん良いレヴューをすることもね(笑)。他の媒体に関してはわからないわ。そういうことも他ではあるのかもしれないけど。

ゼロ年代を通じてアメリカからレコード店がなくなったこととブルックリンのインディ・シーンとの関係について話してください。僕の友人は、タワーレコードがなくなったことで商業主義に対する幻想から吹っ切れた若いバンドが自由に表現するようになったんじゃないのかという説を立てていましたが。

エイミー:うーん、それは関係ないと思う。ブルックリンは住むのにとても良い場所で、たくさんの若いキッズ達が引っ越して来た。それだけのことよ。レコード店がなくなったのはテクノロジーが発展し、自分の家でもインターネットで、手軽に音楽にアクセスできるようになったから。私はレコード店が好きだし、こういう形でなくなっていくのは悲しいけど、インターネットは音楽の制作面のみならず流通も手軽にさせたし、音楽を買うこともたやすくさせた。同時に違法ダウンロードも可能にしてしまったし、レコード店は生き残れなくなった。ただ同じ時期に起こったのだと思う。
 とにかく、そうね、たくさんのバンドがブルックリンに引っ越すようになって、たくさんの音楽が生まれている。それで、さらにたくさんのバンドが引っ越して来て、良い音楽が生まれていく。最初は小さかったのが、どんどん大きくなっていったの。いわゆる雪玉みたいにね。

9.11のインパクトは、USインディ・シーンにどのような影響を与えたのでしょうか?

エイミー:みんなが思っているほどの影響は、直接的にはないと思う。ただ、9.11の後は、セキュリティーなどが厳しくなったりして、海外ツアーをやりにくくなったのは事実ね。

 

沢井陽子+野田 努(2010年4月27日)

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Profile

沢井陽子沢井陽子/Yoko Sawai
ニューヨーク在住20年の音楽ライター/ コーディネーター。レコード・レーベル〈Contact Records〉経営他、音楽イヴェント等を企画。ブルックリン・ベースのロック・バンド、Hard Nips (hardnipsbrooklyn.com) でも活躍。

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