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interview with Mitsuru Tabata

interview with Mitsuru Tabata

アウトサイダーの履歴書――田畑満

文:大久保潤   photos by Yasuhiro Ohara   Oct 20,2010 UP

木造の4畳半で、当時家賃が9000円。6畳の部屋もあってそっちは1万ちょっとかな。部屋交換しようやとか言って僕が山塚さんの使ってた部屋に移ったら、ハナタラシのマークが壁にでっかくペンキで描いてあって「うわ、何やこれ!」って(笑)。


タバタミツル
ルシファー

map / Compare Notes Records

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ハナタラシはボアダムスをやる前から見てたんですか?

田畑:のいづんずりのライヴで知り合ったのかな。あ、ノイバウテンのライヴがあって、そのときにアマリリスのアリス・セイラーさんから紹介してもらったのか。アマリリスのライヴが血糊とか使ったホラーショウみたいな演出になってて、そこに山塚アイさんが出てたんですよ。これまた経緯が前後しててよく覚えてないんですけど、いっしょのアパートに住んでたんです。京都に安田荘っていうアパートがあって、そこに間借りしたりしてた。ハナタラシがサイキックTVの前座をやったときに爆弾を持ち込んだ事件のときも、僕はその日バイトで、スタッフも同じアパートやったから「まあ頑張ってきてやー」って送り出した覚えがある(笑)。それで夜中に帰ってくる音がして、「アカンかったわー」とか言って。

すごいですね(笑)。同じ部屋に住んでたんですか?

田畑:いや部屋は一応バラバラでトイレは共同でしたけど。いまでもあるんですよ、そのアパート。木造の4畳半で、当時家賃が9000円。6畳の部屋もあってそっちは1万ちょっとかな。部屋交換しようやとか言って僕が山塚さんの使ってた部屋に移ったら、ハナタラシのマークが壁にでっかくペンキで描いてあって「うわ、何やこれ!」って(笑)。......アイちゃんもずっと会ってないな。

いっしょに音楽を作ろうってなっていくわけですよね

田畑:とりあえずハナタラシがライヴできないからバンドをやりたいって言ってて。どこも出入り禁止だったから。最初はバズコックスみたいなバンドっをやろうてことで、ボアダムスって名前もバズコックスの曲名から取ったんですよ。メンバーは身近なところで、竹谷郁夫さん(元ハナタラシ、現在はヴァーミリオン・サンズのリーダー)がドラムで、細井尚登さんがベース。でもアイちゃんが持ってくる曲はバズコッコスとは全然違うんですよ。ブラック・サバスみたいなのとか。デビュー・ライヴは映像があるはずなんですよね。こないだハイライズがDVDを出したんですけど、そのときのライヴが入ってたので。デビュー・ライヴはハイライズとオフマスク00が対バンでエッグプラントでやったんです。どんな曲やってたかな。バットホール・サーファーズのコピーとか、あとはブラック・サバスみたいな曲。

山塚さんが曲を持ってくるような感じだったんですか

田畑:そうだったと思うんですけど、うーん......よく覚えてないな。何かもうワケわからんことをやってて、みんなもたぶんわかってなかったと思うんですけど(笑)。

ファースト・シングルの「Anal By Anal」はふたりで録音したんですよね。

田畑:そうです。アイちゃんのアパートで。

同じアパートですか?

田畑:いや、それもよく覚えてないんですけど、そのときはもういなかったんですよ、安田荘には。八尾にアパートを借りて住んでて。ひょっとしたら両方に住んでたのかな。八尾まで行って録音したんですよ。何を録ろうかって喫茶店で相談して、焼き飯を食って。その焼き飯がめちゃ旨かった(笑)。それで録音は村上ポンタさんのドラム教習ヴィデオに音を被せて、歌は後で入れとくわとか言ったのかな。それで帰りにいっしょに駅に行く途中に曲名を考えてて、ずっと「アナルなんとか」って、アナルアナル言うてたのはよく覚えてる。

その頃から曲名にこだわってたんですね。

田畑:そうですよ。そういうノート見たことがある。「アル&ナイナイズ」とか(笑)。

バンド名をいっぱい考えるのが好きみたいな話はよくしてましたよね。

田畑:その前にたしか〈トランス・レコード〉のコンピに参加してるんですよ。そのときは一応録ろうって言ってスタジオで全員で録音したんですけど、使われたのは最後の五秒くらいで。前半はずっとアイちゃんがひとりでやってるノイズみたいなので、何でそうなったのかわからない(笑)。

その頃からそういう、素材を後からいじり回すような感じだったんですね。それはのいづんずりと並行してやってた感じなんですよね。ボアダムスでもライヴは結構やったんですか、そのメンバーで。

田畑:10回以上はやってますかね。まあだんだん客は減ってくる(笑)。途中から吉川豊人くんがドラムになって、その経緯もよくわからないですけど。しばらくしたら細井くんも辞めてベースがヒラくんになって。ヒラくんが入ってからは吉川くんの家で練習するようになりましたね。けっこう大きい家だったんで。集まりが悪いんですよ。それで遅刻したら罰金ってことにして、30分千円とかにしたらピタっとくるようになったんですけど(笑)。それで何回かライヴをやりましたね。

ボアダムスを辞めたのは?

田畑:のいづんずりのメンバーからセカンド・アルバムを出すって話が来て、そのときに「お前、ボアダムスとのいづんずり、どっちを選ぶねん」みたいな掛け持ちに対する圧力があったんですよ(笑)。ウルトラビデのヒデさんとアマゾン・サリヴァを結成したときにその話をしたんですよ。ヒデさんはニューヨークに行ってたから事情を知らないんで。それで「僕ボアダムスにいたんですよ」「ほんま!?」「あのときボアダムスとのいづんずりどっちを選ぶって言われてのいづんずりを選んだんです」って言うたら、「それ人生最大のミステイクちゃうの」って(爆笑)。でもたぶん、俺があのままいたらボアダムスは存在してないですよ。ギターが山本精一さんに変わって、ヨシミちゃんが入ってバッチリ形になった感じがする。

それで、のいづんずり一本でいこうって決めてからは。

田畑:それがその後すぐにイガミさんがクビになった事件っていうのがあって(笑)、宙ぶらりんになった。ベースの福田研さんがボーカルをやるからって言って、ベースを入れたような気もするんだけど全然印象にないんですよ。インパクトが薄れてて。何回かライヴもやってるはずなんですけど。そのうち東京に行くとか言い出したんで、「俺は行かないから辞めるわ」って。イガミさんがインドリイガミ&ワイルド・ターキーっていうのをやってて、もう分裂状態。たしか僕は一時期両方やってたんちゃうかな。それで両方やるとはどういうことだってまた責められた記憶が(笑)。

当時はちょうどバンド・ブームとかインディーズ・ブームがあったじゃないですか。『宝島』あたりの。ああいうのはどういうふうに思ってましたか?

田畑:いやもう、載ったらモテるかなと(笑)。でも自分が載ったときは白塗りで阪神タイガースのユニホームを着てて、これじゃあかんやろっていう(笑)。もうちょっと見栄えのいいバンドに入ったらよかった。でも読んでましたね、時々は。『宝島』とか『フールズメイト』とか。ただ、雑誌がレーベルやるってどうなのかなって思った覚えがある。悪く書けないじゃないですか。

じゃあボアダムスも辞めてのいづんずりも失速していったと。

田畑:その頃何やってたんでしょうね。

レニングラード(LENINGRAD BLUES MACHINE)ってその頃からですよね

田畑:あ、そうですね。ベースが林直人くんって、アウシュヴィッツ(AUSCHWITZ)の林さんとは同姓同名なんです。ドラムが山崎くんっていう。いまはオショーと呼ばれたはるみたいですが、ユニ(UNI)っていうふたり組のバンドをやってます。ドラムと打ち込みの四つ打ちで、すごい人気あるらしいけど世界が全然違うんでまったくわからない(笑)。その3人でやってました。

レニングラードはメンバーを変えながらずっとやってる感じですけど、原型はこの時期に出来てたんですかね。

田畑:その後、僕がいない時期があったんですよ。

ああ、リズム隊のふたりでやってた時期が。そのときって田畑さんはハカイダーズっていうのやってましたよね。

田畑:あー、やってましたね! あれは東京出てきてからちゃうかな。

あ、じゃあもうゼニゲバに入った後ですね。

田畑:そうですね。ゼニゲバは竹谷さんがドラムだったので、関西でやってたんですよ。

ゼニゲバにはどういう経緯で入ったんですか?

田畑:NULLさんから電話があって、やってみようかなという話になったんですよ。それで何回かライヴをやった後に、『Maximum Love & Fuck』というLPをリリースしました。そして竹谷さんが辞めたあとで、吉田達也さんが加入して暫く叩いてました。今のメンバーですね。それでゼニゲバで東京に行くことになって。

文:大久保潤(2010年10月20日)

Profile

大久保潤大久保潤/Jun Okubo
1975年東京生まれ。書籍編集者として菊地成孔・大谷能生『東京大学のアルバート・アイラー』、佐々木敦『「批評」とは何か』、『アメリカン・ハードコア』『ブラック・メタルの血塗られた歴史』、ミック・ファレン『アナキストに煙草を』などを担当。ポストパンクバンド「大甲子園」、即興ドゥームロックバンド「Filth」、即興ハードロックバンド「Filth Iconoclast 666」等のギター。
ブログ:http://www.noiznoiznoiz.com

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