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interview with Simi lab

interview with Simi lab

異邦人たちの夢

――噂のシミラボ、ロング・インタヴュー!

二木 信    photos by Yasuhiro Ohara   Jan 18,2011 UP

オレは当時ウェッサイどっぷりだったから、横浜が多くて、都内なら六本木でした。高校時代はずっと昔のウェッサイばっかり聴いてたから。それ以外は音楽として興味ないぐらい。イージー・E、アイス・キューブ、スヌープ・ドッグ、ほんと西ばっかりでしたね。


DyyPRIDE

"WALKMAN"が話題になったとき、驚く反面、当然だろうなって気持ちもあった?


QN From SIMI LAB
THE SHELL

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オムスビーツ:まあね! みたいな。

QN:ぶっちゃけ、"WALKMAN"でこれだけ話題になって、「これでいいの?」っていうのはあった。

オムスビーツ:それはあったよね。

マリア:これからだよね。

QN:ぜんぜんまだスタートしてない。

「こいつら何者だ?」というのもあったけど、やっぱりトラックとラップが格好良かったからここまで評判になったんだと思いますよ。

マリア:それはQN様様だと思いますよ。はじめてあのトラックを聴いたとき、私はニヤニヤして帰ったもん。

オムスビーツ:ほんとにー?!

マリア:ほんとだよ。私はDJじゃないけど、それなりに幅広いジャンルを聴いてるし、ヒップホップはとくに深く聴いてるから、QNのあのトラックは間違いないと思った。

これまでとは違った何かを感じましたね。

マリア:タイム感ですかね。

:そうそうそう。

ディープライド:なにそれ?

マリア:なにそれじゃないよ。いまさら言うなよ!

オムスビーツ:マリア、説明して!

マリア:普通の人は普通に歩くじゃない。うちらはちょっとつまずいてる感じ。

上手い表現しますね。

ディープライド:みんな変わってるんだよね。すべての感覚が変わってる。そうとしか言いようがないよね。普通の人がラップしてもありがちなラップにしかならないけど、良くも悪くも変わってるんだと思いますよ。

QNくんは、ソロ・アルバムもそうだったけど、すごくオープンマインドな感覚で音楽を作ってますよね。アフロ・ファンク・テイストのトラックやソウルフルなR&Bテイストの曲やGファンク風の曲があったかと思えば、一方で"WALKMAN"みたいのも作るし。

オムスビーツ:QNに会うたびに、「これがヤバイんだよ!」ってCDを持って行ってたし、QNがうちに来たときはCDの山をごっそり貸してましたね。

QN:ごっそりね。

オムスビーツ:そういうのが何束かあるよね。

そこにはどんなCDがあったんですか?

QN:う~ん、なんだろう? たとえば、エドガー・アレン・フローとか。具体的には忘れちゃったけど、オムスビーツと知り合う前は「90年代がヤバイ!」ってずっとDJプレミアのビートとかばっかりにやられてて、最近のメインストリームなんてヒップホップじゃねぇって感じだった。

オムスビーツ:デム、マザーファッカー!

QN:っていう感じだったんですけど。オムスビーツがカンパニー・フロウとかリヴィング・レジェンズを聴かせてくれた。オムスビーツが「ヤバイ」って言ってるから、とりあえず、オレも「ヤバイ」って言うようにしてた。

ディープライド:ハッハッ!

オムスビーツ:「あぁ、知ってる、知ってる」って。

QN:こいつがヤバイって言ってるなら、聴きこもうっていうのはあった。マッドヴィレインもオムスビーツから教えてもらった。

マリア:"WALKMAN"に関しては、オープン......なんでしたっけ? 

オープンマインドですね。

マリア:そう。QNは決め付けることをしないで何でも聴くから。昭和のアニメのサントラを聴いてたり。

オムスビーツ:フォークも聴くしね。

マリア:ヒップホップの人があまりしない聴き方って言ったらおかしいかもしれないですけど、昭和の日本的なエッセンスも混ぜてるから、こういう妖しい雰囲気が出てくるんだと思う。

中古で昔のCDやレコードを買ったりもしてるんですか?

QN:ずっとしてますね。中学からDJやってたから。高校に入ったらみんなバイクとか車に興味を持つところなんですけど......

ディープライド:オレとかね。

QN:オレは、「そのマフラー、2スト? 4スト?」とかそれぐらいしかわからないから。

オムスビーツ:それぐらいわかれば十分でしょ。

QN:とりあえず、金があったらレコード買ってましたね。

音好きだったんだね。

QN:みんなと同じことをやりたくないっていうのがあったんです。

そこも天邪鬼だったんだ。シミラボがいまのシミラボとして精力的に活動し始めたのはここ1年ぐらいと考えていいのかな?

オムスビーツ:シミラボはとっくにあったけど......

ディープライド:いまの形で活動しはじめたのは1年ぐらい前っすね。

QN:そうだね。ここ1、2年だね。"WALKMAN"はマリアとダンがいてこそだよね。

オムスビーツ:絶対そうでしょ。

QN:最初のほうは「マリアとダンは最近入ったばかりで関係ないでしょ」みたいな感じだったけど。

ディープライド:そんなに!

QN:いや、ちょっといまの話は盛ったけどさ。いまとなってはマリアとダンがいなければ、あそこまで話題になってないよ。それはほんとに思う。この4人っていうのがやっぱりでかかった。

でも、まだまだいろんなメンバーがいるらしいですね。

QN:この3倍ぐらいはいますね。

マリア:いる。

オムスビーツ:いるいる。しかも強いよね。

なんかウータン・クランみたいな感じだね。

QN:最初はそんなことを考えてましたね。

オムスビーツ:2軍とか作りたいよねって。ウータンは3軍、4軍までいるからね。

マリア:へ~。

ところで、シミラボっていう名前の由来はなんですか?

QN:クルーとしても、音楽としても"染み渡る"という意味からきてますね。友だちだけでもないし、家族でもない。「just a simi lab」という感じですね。でも、家族ぐらいの絆なのかもしれないし。

ディープライド:結束しようとし過ぎてないからそこがいいと思いますね。

ラップや歌やトラックを作ったり、音楽をやるのはエネルギーのいることじゃないですか。表現欲求はどこから出てくるんですか?

ディープライド:もちろんヒップホップをカッコイイと思ってたけど、2、3年ぐらいひきこもってたときにいろいろ書いてて、ラップはその延長ですね。ラップは自分のなかのものを吐き出す術ですね。どうせ紙に書いたものがあるなら、ヒップホップが好きだし、ラップをやろうと思いました。

マリア:私はもともとソウルとかロックも好きだったし、詩もよく見てたんです。自分も音楽で人を動かせたらいいなって気持ちが強い。それではじめたのが大きいです。とくにいまなんか仕事もバリバリやってるから、音楽をやるのはエネルギーがす~ごいいるんです。ちょっと仕事で疲れてるから、QNのところに行くの今日は止めておこうと思ってると自分はそのレヴェルで止まってしまって、まわりが成長していくっていう現状があって。でも、みんなと会うことで刺激を受けて、いいものを作ろうって思える。みんなのことをどんどん好きになれるし。仕事は大変ですけど、エネルギーを使う価値があると思ってます。

QN:フフフフフ。

マリア:なに笑ってんの! いますごいいい話してるのにさ!

QN:思い出し笑いしちゃった(笑)。「みんなのことをどんどん好きになれる」って言ったからさ。最初は、ジョーダンは超ブサイクだし、オレはぜんぜん愛想のないヤツみたいなことをマリアは言ってたから。

オムスビーツ:お前、そんなこと言ってたの!

マリア:アハハハハッ!

オムスビーツ:超ブサイクか~。

マリア:最初はしょうがないじゃん。

オムスビーツ:ああ、オレは超ブサイクだよ! あ~、泣ける。

マリア:それは表向きだけだよ。でも、なんか、みんなと会ってるうちに見慣れてきた。いまとなってはみんなめっちゃ好き!

取材:二木 信(2011年1月18日)

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Profile

二木 信二木 信/Shin Futatsugi
1981年生まれ。音楽ライター。共編著に『素人の乱』、共著に『ゼロ年代の音楽』(共に河出書房新社)など。2013年、ゼロ年代以降の日本のヒップホップ/ラップをドキュメントした単行本『しくじるなよ、ルーディ』を刊行。漢 a.k.a. GAMI著『ヒップホップ・ドリーム』(河出書房新社/2015年)の企画・構成を担当。

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