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interview with Martyn

interview with Martyn

デトロイト、シカゴ、ベース・ミュージックの三位一体

――マーティン、ロング・インタヴュー

野田 努    Sep 13,2011 UP

自分の音楽を作ったとき、音源をデトロイトのアンダーグラウンド・レジスタンスに送ったんだけど、何でかはわからないけどそのときDJデックスがたまたまそれを聴いて気に入ってくれたんだ。で、俺も彼の音楽が大好きだったから、彼にリミックスを頼んで、そこから交流がはじまった。


Martyn
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ダブステップ、ポスト・ダブステップというタームであなたの音楽は語られることが多いと思いますが、そのことについてはどうでしょう?

マーティン:あまり気にしないよ(笑)。俺はただ、自分スタイルの音楽を作ってるだけ。人はそのスタイルをジャンル分けしたり、名前をつけたがるけど、そういうのって俺にはあまり重要なことじゃないんだ。自分の音楽は自分の音楽。それだけさ。ダブステップとかポスト・ダブステップとか、そういう名前は考えない。興味がないんだよね。アイディアを思いついたら、それを形にするのみ。それがクラブでプレイできるような曲ってだけさ。

ダブステップやポスト・ダブステップが嫌いってわけではないんですよね?聴くのは好きだったりするんですか?

マーティン:うーん。実は、俺はいまだに何がダブステップで何がポスト・ダブステップなのかわかってないんだよね(笑)。ただ、いままであった何かの名前が変わっただけのような気がする。1、2ヶ月後にはまた違う名前で呼ばれてるかもしれないよ。ダブステップってものをあまり意識したことがないね。俺はただ、自分が好きな音楽をきくだけ。好きか嫌いか、良いか悪いか、気にするのはそこだけだよ。ジャンルは関係ないんだ。ジャンルを意識すれば、ルールに縛られることになるからね。たとえばダブステップならベースラインがあって、1分間に140のビートがないといけないとかさ。そういうルールが存在してしまうと、音楽はつまらなくなってしまうと思うんだ。

ダブステップに関して言えば、あなたのなかでもっとも大きな影響は何だったんでしょうか?黴�と聞こうと思ったのですが(笑)

マーティン:ドラムンベースを聴いてたときにちょっと影響を受けてるかもね。コード9やブリアルがすごく新鮮に感じたんだ。俺にとっては、新しいサウンドだった。それがダブステップと呼ばれてるとも知らなかったけど、とにかく俺は彼らのサウンドが好きだったんだ。面白いと思ったし、インスピレーションを感じたよ。彼らのあとはあまり好きだと思えるアーティストはでてこなかったけどね。俺が好きだと思うのは、コード9とブリアル、それにデジタル・ミスティックスの3つだけだな。

ここ数年、ダブステップはメインストリームとの接触を持つほどポピュラーになりましたよね。こうした展開についてはあなたはどのように考えていますか?

マーティン:もっとレイヴっぽい音楽になってきたと思う。アメリカの若者のあいだではとくにビッグだよ。みんなドラッグをやりながらダブステップを聴くんだ。だから、そういうシーンに俺の音楽の居場所はないんだよね。いまのダブステップ・シーンは、5年前のそれとは違うから。そういうのをダブステップと呼ぶことさえ難しいよね。

『Fabric 50』の展開に驚いたんですよね。ハドソン・モホークではじまり、ジョイ・オービソンのポスト・ダブステップやロスカのファンキー、ゾンビーやアクトレスといったレフトフィールドな連中、あるいはデトロイトのDJボーンやロンドンのインディ・ロック・バンドのディタッチメントを挟みながらドリアン・コンセプトで絞めるという多様な選曲と構成が素晴らしいと思ったんですが、あなた自身は自分の音楽的なアイデンティティについてどのように考えていますか?

マーティン:うーん...どうだろう? よくわからないけど、自分がプレイしたいと思う音楽、好きだと思う音楽のすべてがアイデンティティじゃないかな。たしかに俺の音楽のスタイルは多様だけど......たとえば、2時間聴いたら10のスタイルを聴くことができるとするよね? でもそれを終わりまで聴くと、その10個のスタイルがひとつのセットになってることがわかると思うんだ。たくさんのスタイルが、ひとつのスタイルとして凝縮されてるのさ。それが俺のサウンドだと思う。そのなかでもあえてメインを言うなら、ダンス、ベース、シカゴとデトロイトの音楽の3つかな。その3つがスタイルの軸だね。

その3つが軸になるのは、あなたがさっき言っていたように、若い頃に聴いていた音楽だから?

マーティン:そうそう。若いときの方が影響されやすいからね。吸収もするし、体に染み付くのさ。小さいときに親が聴いてた音楽だってそう。そういう音楽は、生きてるあいだじゅう自分がずっと聴くことになる音楽になると思うんだ。

実際、あなたの作品は、ハウスやテクノのDJたちから支持されています。そのことについてはどう思いますか?

マーティン:最高だね! 素直にエンジョイしてるよ。自分でレコードを作ると、それがいろんな人びとの手に渡る。たくさんのDJがいろんな場所でそれをプレイしてくれてるのを聴くのは本当に嬉しいんだ。例えばジャイルス・ピーターソンはジャズやハウスのセットでそれをプレイするけど、DJデックスはハード・テクノのセットでプレイする。いろいろな人たちが、それぞれ違う場で俺の作品をプレイしてくれてるっていうのがいちばん素晴らしい部分だと思う。音楽は、そういった人たちの手によって旅をするんだから。それが自分の音楽作品を作る事の醍醐味でもあると思ってるんだ。

あなた自身が好きなDJって、誰がいますか?

マーティン:そうだなぁ...俺が好きなのは、いつだってサプライズをくれるDJ。サプライズが大事なんだ。知ってる音楽だけじゃダメなんだよ。人は常に新しい音楽を求めてるんだからね。それをやってくれるのは......Kode9、d-Bridge、Floating Points、それにMarcel Dettmann、Ben Klockだな。彼らは俺のお気に入りだよ。

ここ数年でシーンは急激に変化していると感じますか? もしそう感じているとしたら、具体的にどのように変化しているのでしょうか?

マーティン:たぶんそうだとは思うけど......。やっぱり、自分がファースト・アルバムを作ったときと、いま現在の音楽シーンは全然違うからね。とくにUKでは、テクノやハウスが前より断然ビッグになったと思う。前はダブステップとかベースライン・スタイルが流行ってたのに、いまはみんな、もっとハウスやテクノに影響されてるなと感じるんだ。それが、俺が感じる大きな違いだね。

ポスト・ダブステップと呼ばれるようなシーンの拡大がありますよね。ピアソン・サウンドやアントールドみたいな人たちが台頭したり、ジェームス・ブレイクが大ヒットしたり......、こうした状況をどのように受け止めていますか?

マーティン:面白いとまでは思わないね。そういうのをやってると、音楽が新しいものを何ももたらさなくなってしまうから。ルールに縛られた音楽から、新しいものは産まれないんだ。ルールをなくすことが、オリジナルの作品を作るポイント。良い音楽か悪い音楽か、好きか嫌いかだけを考えとけばいいんだよ。別にジェームズ・ブレイクが流行ってるのはいいと思うけど、彼は彼。彼がポスト・ダブステップだと思ったことはないね。彼の音楽は、それよりもすごくパーソナルだと思うよ。

ここ2、3年の、ヨーロッパのダンス・カルチャーの盛り上がりはすごいものがありますが、あなた自身、その理由をどのように分析していますか?

マーティン:たぶん......ヨーロッパの文化がもともとそうだからじゃないかな。60年代も70年代も、80年代も90年代も、ヨーロッパの人びとはいつだって週末に出かけてダンスするのが好きだから。それがノーマルなんだよ。アメリカに住んでるから、その違いを感じるんだ。ここの人たちは、ダンスしに行くというより、ロック・バンドを聴きに行くんだよね。コンサートには行くけど、ヨーロッパほどクラブには行かないと思う。クラブの雰囲気も違うしね。もちろん大きい都市にはクラブ・シーンもあるけど、小さい街の人びとは、ラジオを聴いてそれを聴きにバンドを見に行くんだ。だから、ヨーロッパに関しては、それが昔からの文化だと思うんだ。わからないけど、それは自然なことなんだよ。ヨーロッパは、そもそもエレクトロが盛んっていうので有名だしね。

野田 努(2011年9月13日)

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