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Home >  Interviews > interview with Kyte - ポスト・ロックの壮大なエモーション

interview with Kyte

interview with Kyte

ポスト・ロックの壮大なエモーション

――カイト、インタビュー

橋元優歩    通訳:大坪純子   May 14,2012 UP

日本に来ていつもいちばんびっくりするのは、みんなとても真剣に演奏を聴いてくれることなんだ。イギリスだと2~3人が真剣に聴いてて、あとの2~30人はうしろで飲んでるって感じだね。


Kyte
Love to be Lost

Hostess

Amazon

あまり比較するのもよくないとは思うのですが、カイトはシガー・ロスやビョークと比べられることがありますね。われわれ日本人が彼らのようなアイスランドのアーティストのなかに幻想するものが、カイトにはあると思うんです。あなたがたの故郷のレスタシャーにはアイスランドと通じるような雰囲気があるのですか?

トム:どっちかっていうと、レスタシャーが僕らの音楽に影響しているというよりは、そこから遠く離れたいっていう気持ちが表れてるかな。故郷はすごく好きなんだけど、現実逃避的な気持ちでそこから出たい、なにか違うものを求めたいっていう感じがあるよ。

どこかに行きたい、逃げたいというような気持ちは、こうしたツアーなんかで物理的に世界を移動することで解消されたりするものですか? ぴったりくるような場所はみつけられます?

トム:いろいろなところへ行ってみて不思議な気持ちだね。世界をまわってみて、よっぽど自分の故郷よりもいい場所とかいい環境、おもしろい場所がいっぱいあったよ。あきらかにね。でも帰ってみるとやっぱり故郷のよさだったり、そこに家族がいたり友だちがいたりして、大切な場所だっていう思いが強くなるよ。ほんとに不思議な気持ちだね。

現実逃避的な気持ちでいることと、音楽が壮大になっていくこととはなにか関連がありますか?

ニック:うん。

(笑)

トム:そうだね。あると思うよ。ただ説明するのが難しいな......。曲を書くごとに気持ちも変わってくるし。

そうなんですねー......。では、ピアノとかグロッケンは今作で重要な役割をはたしていますけど、曲づくりはピアノからはじまるんですか?

トム:いや、だいたいギターで作りはじめるんだ。コードをギターで作って、それをプログラムしてコンピューターに取り込んで、作りこんでくっていうことが多いよ。けど今回はニックがピアノをたくさん弾いてくれて。

"セプテンバー・フィフス"っていう曲がありますね。それは何があった日なんでしょう? とても印象的なピアノのアルペジオと、ストリングスの悲壮なテーマで、時間をかけてゆっくりゆっくり緊張を高めていく曲ですよね? だからこの日っていうのはよっぽどのことがあった日なのかなって思ったんです。あるいは忘れられないインパクトが刻まれたとか。

トム:9月5日にその曲を書いたんだよ。

(一同笑)

ははっ。ええー残念。

トム:はははっ。

歌詞もないし、他の曲と色合いも違うので、このアルバムのなかだとやっぱり注目せざるを得ない曲かなって思ったんですよ。

トム:その曲ができあがってみて、ほんとに曲というよりも、楽譜っていうか......。気持ち的にもほんとにほかの曲と違うものだったから、逆に、タイトルをつけるよりもその日の日付でとどめておいたほうがいいかなって感じで、日付をタイトルにしたんだよね。

たとえばこの曲はすごく特徴的なものではありましたが、基本的には、音のテクスチャー、ソング・ライティング、実際のパフォーマンスのなかでは、なにがいちばん大事なものだと感じていますか?

トム:ええと......コードのシークエンスで、自分が感じるもの、感情が大切だね。それはほかの人でもそうだと思っているし、重要なことだと思う。

なるほど。では故郷のレスタシャーについて教えてください。どんなところで、どんな音楽シーンを持っているのでしょう?

ニック:じつは地元では数回しかライヴをやったことがなくて、東京のほうが多いくらいだよ。地元の音楽シーンにはまったく属してないね。すごくちっちゃな町なので、ミュージシャン同士のつながりがほんとに強くて、残念ながらそのつながりのなかに僕らは入りこめていないんだ。地元でみんなが聴いているのはロックだったりハード・ロックだったり、あんまりそこから大きなアーティストって生まれてなくて、カサビアンくらいかな。

カサビアンが同郷なんですね。

ニック:そうそう。でも彼らも地元のシーンのつながりのなかにはいなくて、突然出てきてメジャー・レーベルに属したって感じなんだよね。

へえー。そういうみなさんは初めて音楽をもっと広いところにむけて発信しようとしたとき、どこで演奏したわけですか? ロンドンとかに出ていくんですか?

ニック:デビュー当時はよくロンドンに出ていってたね。近い町でノッティンガムとかバーミンガムとか、そういうところにいったり、ブリストルとかブライトンとかマンチェスターとか、地元ではないところでいろいろ活動してたよ。他のバンドとかも、ツアーをするときには、うちの地元にはとまらないで、近所の街に行くんだよね。

日本は、カイトという存在を見つけるのが早かったなと思うんですけど、日本のリスナーと自分たちの音楽性との間になにか相性のようなものは感じますか?

トム:そうだよね。

スコット・ヒスロップ(ドラム):それはどこよりも感じるよね。

ニック:日本に来ていつもいちばんびっくりするのは、みんなとても真剣に演奏を聴いてくれることなんだ。イギリスだと2~3人が真剣に聴いてて、あとの2~30人はうしろで飲んでるって感じだね。

ひどいですね(笑)。なにか日本と合うところがあるとすれば、それは風土とかってことなんでしょうか?

スコット:ちょっとしたポップ感のあるコーラスだったり、なにかを描写するような音楽が日本のリスナーに受けてるんじゃないかなって思うよ。

カイトの過大なエモーションというのは、ヘッドフォンで聴くのとライヴで大きな音を共有するのとでは、よりライヴのほうで伝わるものなのかなと思うのですが、今後もそのような音作りは変わりませんか? なにか次の展開についてヴィジョンがあれば教えてください。

スコット:じつはいままでの作品は作ることに没頭してしまって、あとでどうやってライヴをやるのかということをまったく考えてなかったんだよね。けど今作はライヴを意識して、ライヴをどうやってやっていくかということをすごく考えた作品なんだ。今後もそうやってどうやってライヴをいかしていくかっていう音作りをしていこうと思ってるよ。

取材:橋元優歩(2012年5月14日)

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