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Interview  with shonen knife

Interview with shonen knife

ただいま800本通過中!

――少年ナイフ、インタビュー

水越真紀    Jun 05,2012 UP

北京と上海と、台湾の台北の3本で大きめのライヴハウスでやったんですけど、「わあ!」となりましたよ。しかもお客さんが若かったんです。北京は中国人でしたが、上海は白人のお客さんばっかりで、ここはどこなんだろうって感じでした。(なおこ)


少年ナイフ
Pop Tune

Pヴァイン

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30周年ということであらためて感じたことはありましたか?

なおこ:そうですねえ。いままでぜんぜんうしろを振り返ったりしなかったんですけど、かといって未来を考えてああしようどうしようということもなくて、とにかく目先のこと目先のことしか見てなくて、なんにも反省もしないし、なまけものなのか計画性もなくやってきたんで、だから30年っていう感覚はないんです。「いま」が積み重なるばっかりで。それで「いま」がつみ重なるとだんだん過去が消去されていく。上書き上書きになってる状態。

いつも新鮮な気持ちで。

なおこ:ええ。そうしてます。

今作はどんな作品ですか?

なおこ:今回のアルバムはポップな感じにしたいと思っていたんです。前のアルバムは『大阪ラモーンズ』でちょっとパンクで、その前の『フリータイム』というアルバムもパンキッシュな曲が多かったんで、今度はポップな感じにしたかった。なんでポップかというと、メンバーみんなポップな音楽が好きで、いちばん好きなジャンルとか音楽がポップだったんです。たとえばポール・マッカートニーみたいな世界とか。バンドによってはハードコアが好きな人のバンドの中心はハードコアになるように、少年ナイフの中心はポップだなあと思って、つぎは30周年やし、少年ナイフもはじまりはポップやと思うし。

なおこさんはふだんの生活の中で少しずつ書きとめていると以前うかがいましたが。

なおこ:そうですね。ふだんからネタ帳に例えば単語だけ書きとめたりしてて、いざ曲を書こうという時に、それを歌詞にしつつ曲をつけていったりするんですが、まあ1ヶ月に1曲ずつでも地道に作っていけばあわてなくてすむけど、わたしはそうでなくてレコーディングのスタジオを予約した段階であわてて曲を書くんです。今回も3月からスタジオで、曲は1月に書きはじめました。

そういう日常生活のなかで作られる少年ナイフの曲はかなり具体的なエピソードがもとになっているんですよね。今回はどんなエピソードがあったのか教えていただけますか?

なおこ:はい。1曲目は"ウェルカム・トゥ・ザ・ロック・クラブ"で、日本だとライヴハウスっていうけど、アメリカとかだとクラブ。この曲はライヴでお客さんに楽しんでほしいなあと思う曲で、どっちかというとアメリカのライヴ会場をイメージしてできた曲ですね。ツアーのことを思い出して......。

日本のライヴハウスとなにが違うんですか?

なおこ:アメリカは地方の町にでも何軒かロック・クラブがあって、人があんまり住んでないようなところでも、夜な夜な人が集まってきて、横にレストランやバーが併設してあるから、そこでゆっくり飲みながら、ビリヤードの台が置いてあるのでそういうのもやりながら、で、時間になるとライヴがはじまるので今度はそこに見にいって、という具合に、そこで半日遊べるような施設が多くて、それがすごい楽しい。日本はわりと土地がせまいからバーとステージもひとつの部屋のなかに限られてるし、ライヴが終わったら「もう出て行ってください」みたいな感じだけど、アメリカだとライヴが終わっても好きなだけ飲んで飲んでという感じなんです。レストランもあるからお腹いっぱいになってからライヴを見たり。やっぱり土地があるから、あとよく飲む人が多いというのもあるのかも。

でも車で来てるんですよね。

えみ:うん、そうですね(笑)。

なおこ:ああ、そうだね。そのへんがどうなってるのかは、わたしたちにはわからない。来てる人の年も幅広い。日本ってだいたい30代か40代かな。

少年ナイフはわりと広いですよね。

りつこ:広いです。日本でも広いですけど、海外はもっと広い気がします。

なおこ:それこそ親子三代みたいなね。おばあちゃん、息子、孫って。

それは楽しそうな場所ですね。そういう場所で『ポップ・チューン』とつながるんですね。

なおこ:ええ。音楽を楽しもうと。で、ちょっと最後のところに「政治家もいらないし、心配もいらない」って、ちょっとそういうのも入れといて。

そこ、少年ナイフらしい言いかたですよね。最後の2曲にも、この1年のいろいろな日本の困難な事態や気分に対しての歌かなあと感じたんですが......。

なおこ:最後の曲を作ったのは2年くらい前なんです。

あ、そうなんですか。

なおこ:ええ、だからほんとに関係ないんですけど(笑)。スポーツで金メダルをとろうって。

ああ、金メダルってどういう意味だろうなあと思ってたんですけど、ストレートな意味なんですね(笑)。

なおこ:自分もテニスをするので、うまくなれたらいいなあと思って書いたんです。

じゃあ最後から2曲目の"サンシャイン"は? わたしは寒そうな避難所の光景を思い出したりしたんですが。

なおこ:無意識のうちにそういう影響はあるかもしれないですけど、日本で大震災があったからどうのっていうようなことはとくにないです。聴く人がいろいろ感じてくれたら嬉しいなあと思いますけど。地震があったことに、少年ナイフとして曲をとおしてなにかしなければ、ということは考えないです。個人的に募金したりというのはありますけど。

すごくあったかくて、でもクールでもあって、大きなできごとのなかでも日常生活から離れずにいるというようなところが少年ナイフらしいと感じたんです。

なおこ:やれることは、音楽を演奏して、それが誰かが楽しくなってくれたらうれしいなあと思って。

この"サンシャイン"はりつこさんが歌ってるんですよね。

りつこ:たぶんわたしは、自分は雨女だと思ってて、なおこさんがあたし向けに曲を作ってくれたときに、そういう歌になったんだなあと思いました。だから歌ってるときはそういうことはなにも考えませんでした。ただ私はビートルズのような雰囲気の曲やなあと思って。このアルバムのなかであったかい色あいを出せたらいいなあと思って歌いました。

取材:水越真紀(2012年6月05日)

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Profile

水越真紀水越真紀/Maki Mizukoshi
1962年、東京都生まれ。ライター。編集者。RCサクセション『遊びじゃないんだっ!』、忌野清志郎『生卵』など編集。野田努編『クラブミュージックの文化誌』などに執筆。

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