Home > Interviews > interview with Bo Ningen - UK発ジャップ・ロック、その正体とは!
ゴス・トラッドさんがすごい好きなのは、彼のバックグラウンドがよく出てるからで、ノイズであったり、2ステップであったり、ダブ、ドラムンだとかね、そのバランス感覚が凄い好きで、しかも日本人だから純血UKのベースミュージックと比べると一層個性的で。
Bo Ningen Bo Ningen Stolen Recordings |
Bo Ningen with Damo Suzuki Foreign Affair Confidential So I Buried Records |
■ele-kingが選ぶ、2011年のアルバムランキングではジェームズ・ブレイクが1位でした。彼についてどう思いますか?
たいげん:個人的に声とかは好みじゃないけど、すごい斬新だし、実験的なところをポップ・ミュージックに突っ込んでるところとかすごい良いなとは思ったけどね。アプローチも面白いし、ああいうのがメインのところで評価されるのはやっぱり良いことだよね。
■これはイギリスに限定せず答えて欲しいのですが、現在のシーンで、自分たちと似たようなメンタリティを持っているアーティストっていますか?
たいげん:ももいろクローバーZとでんぱ組.inc! ももクロは僕の音楽の拘りから生まれてたJ-POPやアイドルへの嫌悪や偏見を一掃してくれたと同時に、音楽やライヴ・パフォーマンスに対する姿勢や本気度や全力性に関してはそこらのバンドとは次元が違うというか、もの凄すごいシンパシーを感じます。あと高校生ぐらいの年頃特有の、青春の爆発力や真っ直ぐな姿勢を見てると、自分がなくした感情を思い出したり、自分がライヴでガス欠になったときにブースターになったりする。対してでんぱ組は、ももクロより少しだけ年齢層が高いから僕たちと同じ目線というか、一緒にタイムマシンに乗って失った青春を謳歌しよう! という爆発力がある。対談や対バン、ライヴでのコラボを通して、清秋を拗らせた感じとか、だからこその全力性とか、シーンの壁を壊す姿勢だったりとか、いろいろとシンパシーを感じることが多くて。アイドルに興味がない他のメンバーも競演ライヴ後、凄い良い感触だったみたいで「同志だ」って言ってました(笑)、僕もライヴ後に「これが一生の思い出ってやつか......」って思うぐらい感動したしね。
■先ほど体感という言葉が出てきましたが、僕のなかでBo Ningenのライヴもまさに体感で、いろんな人に是非この感覚を味わって貰いたいのですが、ライヴに関して意識していることや、考えることはありますか?
たいげん:僕、灰野さんのライヴを初めて見たときに泣いてしまったわけですよ、ツーって涙が出るというより、座り込んでボロボロ涙が止まらなくて。なんか浄化というか、体のなかから毒が出たみたいな感覚があって、その経験が僕のなかですご大きくて、演奏する側になったいまでも、その感覚は忘れないよいにしてるし、良いライヴをしたなと思うときは自分で自分が浄化できた感覚になるよ。他にも演奏側が動かなかったらお客さんも動かないっていうこともあるし、自分がそういう精神状態というか、自分も楽しんでなきゃいけないし、自分もいつも新鮮じゃないといけないし、自分も表現できてないといけないし、やっぱりそれができてると自分の心にもうまく左右するわけで、自分がしっかりしてないとお客さんもそれは感じてくれないから、自分もうまくいけばそれは絶対お客さんにも伝わるものだと思ってるから。
だから100%自分の為にやってるわけでもないし、100%お客さんのためにやってるわけでもないから、そのバランス? でもやっぱり根底では自分が良い音だしてなきゃいけない、自分が気持ちよくなきゃいけない、新鮮じゃなきゃいけない、自分自身が浄化できてるか? それでなにより僕は、他のアーティストのライヴで一番萎えるのは、さっきはダブステップで、バックグラウンドが見えないとか言ってたけど、インフルエンスが出過ぎてるのも萎えちゃうのね、「この人になりたいんだな」っていうのが見えてしまうと、自分のフィルターうまく通してやってればいいんだけど。
僕は逆に、いかにステージで自分になれるか、いかに自分に嘘をつかないか、っていうところを突き詰めてやってるよ、やっぱりそれが自分が一番力を出せることだし。だからって自分の好きなものからまったく吸収しないわけじゃなくて、自分のなかの自分で何かをいろいろ吸収して、Bo Ningenとか、たいげん かわべというフィルターを通って外に出したものを、お客さんは見に来てるわけだから、そういうインフルエンスっていうのは、雑誌とか、こういうインタヴューで、こういう音楽が面白いとか、おすすめですって提示していけばいい話で、自分たちのステージはやっぱりいかに自分たちであるかというのが大事かな。
あとライヴって非日常だから、いまこうやって喋ってる自分も素だし、ステージにいる自分も素だし、いまは日常で、ステージが非日常っていうのはお客さんも一緒だし、シュールレアリズムも含めて僕は非日常ってものにすごくどきどきするし、魅力を感じるから、ちょっと抽象的だけど、そういうところは出していきたいかな。非日常だからこその体験だし、でもそれはお客さんがいかに感じれるかって、うちらがどう感じてるかと同じだと思うんだよね、演奏してる側が少しでもつまんねなーとか感じてたら絶対お客さんに通じると思うんだよねそれって、だからこそうちらは毎回セットリストとかは変えてて、会場の雰囲気とか合わせるのもあって直前まで決めないことのほうが多いね。
■Bo Ningenのライヴ・パフォーマンスとしての可能性についてはどう考えますか?
たいげん:ライヴってジャンルを超えれるパワーがあるし、頭通さなくてわかるものはわかるというか、よくうちらのライヴ見てくれたお客さんの感想で、5感、6感全部使うっていう話をよく聞いて、ライヴ見ることを体験と捉えてくれることによって音源じゃ伝わらない部分まで伝わると思うんだよね、そこはBo Ningenだからこそっていう意識はあるし、捉え方は人それぞれだと思うんだけど、可能性を広げるというか、見てくれてる人の幅というか、ジャンルとか、年齢層とか幅が広がれば広がるほど感じ方もそれぞれ何100通りもわかれると思うから、見に来てくれた人の分だけ違う受け取り方があるわけだよね? 何かそれ自体が可能性って気はするよね。どういう可能性があるっていうよりかはどんだけいろんな可能性を増やせるかって可能性(笑)? っていうのかな。
■なるほど、では最後にセカンド・アルバムについての現在の制作状況を教えてください。
たいげん:楽器とヴォーカルの録音はすべて終わっていて、いま僕がミックス作業をしているところだよ。
■ありがとうございました。メンバーの皆さんに感謝です1
今回のインタヴューで彼らに興味を持った方は、今夏の来日公演に是非足を運んで欲しい。7月20日の東京は高円寺 UFO CLUBを皮切りに、22日 仙台 CLUB SHAFT、8月3日 大阪 FANDANGO、4日 名古屋 アポロシアター、5日 金沢テトラポット、6日 京都 METRO、そして最終日には東京に戻り、代官山UNITでの来日公演を予定している。
Biography
Bo Ningen(棒人間)は、イギリスの〈Stolen Recordings〉に所属する日本人4人組で、2009年に限定リリースしたEP『Koroshitai Kimochi』でデビュー。昨年には国内版アルバム『Bo ningen ボー・ニンゲン(棒人間)』と、EP『Henkan』をリリース。ライヴ・パフォーマンスは国境を超え、見る人すべてを虜にし、脳髄に衝撃を与える。今年はザ・ホラーズともにツアーをまわる。最近はダモ鈴木とのコラボレーション・アルバム『Foreign Affair Confidential 』を発表したばかり。この夏には再来日公演が決まっている。
取材:菊地佑樹(2012年7月09日)