Home > Interviews > interview with LOVE ME TENDER - 奥渋谷系のロマンス
何にも生まれていない。(マキ)
巨大すぎて。ブラック・ホールだから。(高木壮太)
ちょっとヘッドショップとかで、"マリフレ"がかかるぐらい。(マキ)
LOVE ME TENDER SWEET Pヴァイン |
■自分たちよりも若い世代のリアクションなんかはどうでした?
壮太:ほとんど若いですよ、どこ行っても。
テッペイ:うーん、でもウケるのサブカル系ばっかっすね、なんか。
■(笑)。
テッペイ:ほかに見るものがないからこっちを見てくれてる、みたいな。〈メスカ〉といっしょだな。メンヘラの最終砦みたいになってるという。
アラタ:だからジャズトロニカにいるような綺麗なお姉さんはいないよね。
テッペイ:そう、いない(笑)。
アラタ:客層が羨ましい、ほんとに。
テッペイ:一瞬かわいい子だとしても、なんかここ(手首)に巻いてたりとかする感じでしょ(笑)? だから勘繰っちゃうよね、全員。
アッキー:OLが買わないってこと?
アラタ:OLはジャズトロニカ。
■でも、これだけ危うい言葉を使ってたら、それはやむを得ないというか。それは敢えてわかっててやってるでしょう?
アッキー:わかっててやってるところも、個人的にはありますよね、やっぱり。
■それは手ごたえとして、伝わるものなの?
アッキー:伝わってるとは思うんですけど、誤解してるひとが多くて。
■どういう風に?
アッキー:壮太くんの人格イコールうちのバンドみたいな。
■はははははは!
アラタ:それは違うっていう。
壮太以外:それは違う!
アッキー:でもそれを考えると、壮太くんはいまサブカルの砦なんじゃないかっていう。それは違うって言ってますけどね。
テッペイ:かあちゃんから「あんたのバンドのひと、ドラッグの話しかしないけど」とか言われて。
壮太:(爆笑)
■えっ、そんなこと言われたの!?
テッペイ:それ親父の還暦祝いのときで。
■でもお母さんがそこまでわかるってすごいよね!
テッペイ:だからラヴ・ミー・テンダーで検索すると、壮太くんのツイッターが出てくるらしくて。ツイッターのやり方までは知らないと思うんだけど、見れるのは見れるじゃないですか。そのせいで、じいちゃん家住めなくなったからなあ......。
アラタ:ははははは! そうなの(笑)!?
テッペイ:だってオッケーが出て、その次の日いきなりダメになったから。
アラタ:でも壮太くんの荷物は置いてあるっていう。
壮太:知らないっすよ。
テッペイ:そうやって情報を得るのが、いまはいろんな入り口があるじゃないですか。そうなっちゃうのはしょうがないんですよね。それはそれで面白いんですけどね。そういう広がり方をしていて。
■そこでどのぐらい伝わるかっていうのは難しい話だなとは思うんですけど。
壮太:いちばん反響があったのはele-kingですよ。でもあれ音楽の話してないですけど(笑)。結局だから怖いもの見たさとかそういう感じで(笑)。
■いや、そんなことないですよ(笑)。「コード進行が好きで」とか「細野さんが大好きで」とか、ちゃんと話してるよ。
マキ:ちょっとだけありましたね。
壮太:それがちょっとしかないからそこが映えるんですよ(笑)。
■いやいや。めちゃくちゃ音楽の話してたよ。
壮太:ひひひひ。
■でも普通、アレじゃないですか? ここまであからさまにドラッグねたを表現するっていうのはさ。ほかにそういうバンドがいないからでしょう?
テッペイ:いや意識してないですよ(笑)。
壮太:今回はしませんよ。もう卒業しました。
アラタ:うちのバンドは合法ドラッグ・覚醒剤は禁止ですから。
マキ:はい、そうですね。悪いものはちょっとやめていこうか。
■なるほどね。シングルほど直球な言い回しはしてませんが。でも今回は控えめながらも、相変わらずそのスタンスは貫いてるなっていうふうに思ったんですけど。
テッペイ:曲もそうですね。ぜんぶなんかこう、中和した感じですね。たぶん、いままでよりも。
■あくまでもラヴ・ミー・テンダーの確固たる主題なわけでしょう?
アラタ:いや、ぜんぜんそんなことは......(笑)。
マキ:ないですよね。
テッペイ:でもわかんないよね。次のテーマはもしかしたら子どものことばっかりになっちゃうかもしれない。
マキ:そうなっちゃうかもしれない。いやでも、出産こそドラッグかもしれないんで。
■ああ、それはほんとにそうらしいよ。
マキ:それを期待してる。気持ちいいならやってやる! みたいな。
男性陣:(爆笑)
■その前に究極の痛みを乗り越えての気持ちよさらしいですけどね。
テッペイ:デトックス(笑)。
マキ:デトックスで(笑)。
■壮太くんみたいな、肝の据わったひとはともかくとして――。
壮太:いや、肝据わってないですよ。
■ははははは。
壮太:俺ここ3年でうろたえてる姿を見られてるんで。
テッペイ:それ女関係だけでしょ? 女関係以外はすげー肝座ってますよ(笑)。
■はははは(笑)。自分たちより下の世代からどういうリアクションがあったの?
アラタ:あるのかなあ......?
テッペイ:ライヴのあとにブログを書いてたのがあって、たぶん若いやつだと思うんだけど、そこには「演奏はすごい良かったけど、怖かった」って。
■はははははは。
テッペイ:たぶん免疫がないひとから見たら、見た目どうこうじゃなくてオーラみたいなのがダメみたいで。だからそういうひとは次ライヴ来ないのかなあと思っちゃって。演奏はいいんだけど、うーんみたいな、そういうのはあるのかなって。
壮太:わかるわかる、でも。怖いって言われるよ。ただ年がいってるからじゃないの?
テッペイ:うん、それもあると思う。
■それはどういう意味なんだろうね。
壮太:感情移入ができない。
マキ:ふふふふふ。
■昔で言うと、スピード・グルー&シンキというかね。
テッペイ:免疫がないものに接すると、さいしょパーって来るじゃないですか。わーって。そのあとにそれを好きになるか嫌いになるかは、そのひと次第だと思うけど。
アラタ:つけ胸毛じゃなくて、つけリストカットみたいにしたほうがいいかもしれない、うちらは。
壮太:くくくく。
■あとはパロディもあるわけでしょう? それを嗤うっていう。
アッキー:根本的にユーモアっていうのはすごくあるかもしれないですね。シリアスというよりは、なんちゃって感は。
■なんちゃって感はすごくあるよね。だってHBでやってるマキちゃんと、ぜんぜん別なわけだから。こんなにメンバーに個性の強い方が集まっていて、レコーディングはうまくいったんですか?
壮太:いきました。
マキ:はい。でも出前がちょっとね。
テッペイ:壮太くんがピザがいいって言い張って、ほかのひとが違うっていう。
■そこでもめるんだ(笑)?
アッキー:マキちゃん魚ダメだから寿司もダメだし。
マキ:出前問題がけっこう大変でしたね。
■前に2枚を出したことによって、自分たちで自信を得たことはあったんでしょうか?
テッペイ:技術的なことですけど、3作ともエンジニアが違ったので、いままでのふたりも良かったんですけど、メリット・デメリットがあったから、今回それぞれ自分の楽器に関しては録りやすくなったと思うけど。自分の音をこうしたほうがいいっていうのがわかったんで、そこは早かったと思う。
マキ:もともと時間もないし、そういう意味ではけっこうどんどんどんどん進めていけましたけどね。
アッキー:やっぱ週1でリハーサルに入ってたのは良かったと思ってますけどね。週1で、4時間。
マキ:部活っぽく。
■歌詞はどうなんですか?
マキ:そうですね。日々の生活のなかではっと思いついたことを書きとめて。
■"リバウンド"も。
マキ:まあそうですね。
テッペイ:あれはもう"DIET"のアンサー・ソングを作ろうっつって。
■ああ、なるほどね。"ムードウーマン"とかね、いいですね。これムードマンへの返答として(笑)。
テッペイ:まったく意味ないです(笑)。ムーディだからじゃないですか。
壮太:俺の作った映画にムードウーマンって出てくるの。架空の人物。
マキ:そうそう、あれに出てくる。
■ラヴ・ミー・テンダーを面白がってくれればいいなと思うんで、怖がられたっていうのはちょっと残念だなと思って。
マキ:あと怒られたりとか。
■怒られるっていうのは何なんですか?
アラタ:どこのイヴェント行っても「こんなのめんどくさいよねー」とか言いながら、結局最後まで残って飲んでて。スタッフからしたら「早く帰んねーかなこいつら」みたいな(笑)。もうベロベロになってて。
アッキー:電気がバーッとついて「早く出てってください」っていう(笑)。
マキ:「いつまで飲むつもりなんですか」みたいなね、多いよね。どこでも。
テッペイ:楽屋で怒られたこともあったもんね。ステージで弾き語りか何かやってて、「静かにしてください」って。楽屋でうちらで盛り上がってて、声が全部なかに漏れてたみたいで(笑)。
アラタ:でもそれはお店の問題で。
テッペイ:ねえ?
アラタ:それを「静かにしろ」っていうのはおかしいでしょう。
マキ:いや、迷惑でしょ(笑)。
■ははははは。
アラタ:〈FEVER〉の楽屋は最高ですね。
■もうちょっと軋轢を起こすのかなって思ったんですよ、僕は。日本は冗談が通じないじゃないですか。冗談を、わりと真顔で怒ったりとか、笑ったら怒ったりとか。
マキ:怒られてますね。
テッペイ:いやあ、一番コアな部分は突かないようにしたいですよね。壮太くんがやりそうだけど。
■なるほどね。壮太くんはそれを狙ってるでしょう?
テッペイ:壮太くんはうまくやってるけど、でも俺らがストッパーの役ですよね。たまにそれをぶっ刺しすぎてるから、「そこはやべえ」っつって(笑)。
壮太:デモの映像を使ったPVとか、すごい叩かれましたね。
マキ:そう、叩かれましたね。炎上しちゃって。
テッペイ:違法のモデルガンを3丁持ってて。しかも道玄坂の交番の前で撮ってたから(笑)。
■だははははは。
アラタ:それデモじゃないじゃん。
マキ:それは"メスカリーター"だ。
■そういうのは、バンド内では「しょうがないねー」っていう感じですか。
マキ:(笑)まあいっかー、みたいな。
取材:野田 努(2012年11月22日)