Home > Interviews > interview with Ultraista (Laura Bettison) - ナイジェル・ゴドリッチの新たな仲間たち
“バッド・インセクト”。あの曲が、わたしたちがアルバムを完成させるための触媒になったと思う。彼らの反応次第で、わたしたちみんなで時間を作ってアルバムを完成させるか、または全部をいったん休止させるか決まると思った。
■あなたの音楽的な背景について教えてください。録音なども独学で身につけたものですか?
ローラ:とくに音楽的な家族のなかで育ったわけではないんだけど、子どもの頃は舞台や役者たちに囲まれていたから、そういうものがいつの間にか刷り込みみたいに自然と馴染んでいたんだと思う。一時は大学でアートを学ぼうと思ったんだけど、気が変わって、まずは音楽をやってみるのがいいんじゃないかと思ったの。わたしが最初にエレクトロニック・ミュージックの分野に足を踏み入れたのはループ・ステーションを使ってだったんだけど、そこから独学で音楽制作用のソフトウェアを使うようになったわ。そしていくつかのテクニックを覚えるようになると、少しのイマジネーションを使って、機材も楽器もほとんど要らずに、短時間で曲を書いてレコーディングするのが一気に、そしてずいぶん簡単になったの。すごく便利ね。
■ジョーイ・ワロンカーはスマッシング・パンプキンズやR.E.Mとも仕事の経験のあるベテランですね。彼はバンドにどのような影響を与えているのでしょう?
ローラ:ジョーイはすっごく才能に溢れていて、その上わたしがいままで出会った人たちのなかでも最高に良い人たちのひとりよ。ウルトライスタのアルバム全体の土台になっているのはジョーイによるビートとパーカッションなの。彼がレコード全体の操縦をしていたようなものね。でもわたしたち全員のこれまでの経験と、共通の趣味や興味すべてが組み合わさることで、ウルトライスタの作る音楽が特徴づけられていると思う。
■あなた自身はこのプロジェクトでの曲作りにどのように関わっていますか?
ローラ:いくつかの曲は共同で作曲したし、その他の曲はそれぞれ別に作業したり自然とできあがったりしたわ。アルバムの作曲プロセスでは、いろいろなものを構築したり、解体したり、気に入ったパーツだけを取っておいて一から組み直したりっていう作業が沢山あったから、もういまは記憶が曖昧になっているの。どれを最初にやったのかとか、もうほとんど思い出せないわ。
将来に対する希望について言うなら、わたしが望んでいることはとにかくもっとたくさんの人がライヴに来てくれて、いっしょに歌詞を歌ってくれるようになることだけ。それが起きつづけているかぎりは、自分たちのやっている方向性が正しいものだって確信できるわ。
■今作でもっとも気に入っている部分について教えてください。
ローラ:わたしのお気に入りは“バッド・インセクト”。あの曲が、わたしたちがアルバムを完成させるための触媒になったと思う。わたしたちはお互い長いこと離れていたし、それぞれ違うプロジェクトをやっていたんだけど、わたしがある日ふとずっと放置していたアイディアを使って、何かすごく「ポップ」な曲を書いてみようと思ったの。他のふたりはそれをとても気に入るかすごく嫌がるかのどちらかになることはわかっていたし、彼らの反応次第で、わたしたちみんなで時間を作ってアルバムを完成させるか、または全部をいったん休止させるか決まると思った。幸いふたりともアイディアをすごく気に入ってくれて、そこからはアルバムの残りもそれなりに早く完成したわ。
■ヴォーカルや作り手として目指していきたい存在、あるいはよい意味でライヴァル関係にあるアーティストはいますか?
ローラ:とくに自分と他のシンガーを比較したりはしないの、そういう姿勢でいるのってあんまりいいことじゃないような気がするし、それに人それぞれ声って違うものであって、それぞれの居場所があると思う。でもわたしが刺激を受けている、尊敬するアーティストやシンガーはいるわ。デヴィッド・ボウイやグレース・ジョーンズ、ダスティ・スプリングフィールド、ダイアナ・ロス、ビョーク、スコット・ウォーカー、スージー・スーとか、美意識的にアヴァン・ギャルドなものを作った人たちね。限界に挑戦したり、実験的だったりするものが好きなの。
■今後どのように活動を展開されていくのでしょうか。バンドやソロでやってみたいことはありますか?
ウルトライスタは1月と2月にまたツアーに出て、アメリカと日本に行ってから、夏にはたぶんいくつかのフェスティヴァルに出演する予定。それと夏には新しい音楽も作ると思うから、それも楽しみにしてるの。将来に対する希望について言うなら、わたしが望んでいることはとにかくもっとたくさんの人がライヴに来てくれて、いっしょに歌詞を歌ってくれるようになることだけ。それが起きつづけているかぎりは、自分たちのやっている方向性が正しいものだって確信できるわ。
取材:橋元優歩(2013年1月17日)
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