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Home >  Interviews > interview with Acid Mothers Temple - アシッド・マザーズ物語

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interview with Acid Mothers Temple

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アシッド・マザーズ物語

──河端一、超・超ロング・インタヴュー

取材:大久保潤   撮影:小原泰広   Apr 30,2013 UP

初めの頃は、自分がレコード屋で見たときに衝動買いしたくなるジャケットっていうのがコンセプトだったのね。そうするとああいうヒッピーみたいな変なメンバーが並んでると怪しいな、俺やったら絶対買うぞと。やっぱり衝動買いしたいジャケには謎のグルみたいな奴と、裸の信者みたいな?? まあヤホワ13みたいなね。

ツアー・バンドなんかは一期一会ですもんね。

河端:そうなんですよ。ツアーとかやってると、長いからなんとなくペース配分をしようとするんですよ。でも俺らは明日のライヴできなくなってもいいから、今日全力で燃える。一試合完全燃焼じゃないけど、アストロ魂みたいな。

(笑)。

河端:明日出来るか出来へんかはわからん。とにかく今日のライヴに客が来てる限り、この人らに満足して帰ってもらわなあかんねん。そのためにギター折ったりして、次の日ギターがなくて、楽器屋行く時間もなくて、ステージ上がった瞬間に「すいません、誰かギター持ってませんか?」ではじまったライヴもあるんよ、ほんとに。「誰か持ってませんか、絶対に壊しませんから」って言うて(笑)。

持ってるもんなんですねえ。

河端:意外に持ってる。アンプが吹っ飛んだときも、いっぺんライヴでアンプ2発飛ばしたんや、スペアもあったけどそっちも飛ばしてもうて。ほんでまだ2曲目くらいで「どうしよかな」ってなったら、客が「俺、家がここから車で5分くらいやから、取りに帰ってくるから待っててくれ」って。

それはすごい!

河端:やっぱりそれなりの気持ちを持って来てくれてるわけやから。家にアンプを取りに帰ってもいいからこの続きが観たいって。それだけの気持ちを持って来てくれてる限りはこっちも死ぬ気でやるわけで。
 そうや、音楽をライセンス制にせえいう話や。もしほかに才能があるならそっちの仕事についてくれと。そっちのほうがまず社会のためになる。音楽やるような人間はだいたい音楽しかできんような人間になってんのや、もう。
 まわりで残ってる人もだいたい人間的に落ち度のある人ばっかりで。例外はあるけど、音楽のつまらない人はたいがいしっかり仕事出来てるんでね。だから別に趣味でやってはってもそれでいいんやけどね。もちろん必ずしもではないよ。音楽が面白いことやってて、うまいことバランス取ってる人もいるけど、だいたい音楽だけでやってる人って人間的に欠落してる、何かが。よく言えば面白みのある人、興味の湧くような人、ちょっと意味不明な人とか。悪く言うたら単なるデタラメとか頭おかしいとか。社会生活が出来ないような、某田畑君とか(笑)ああいう人が多いわけですよ。
 そういう人こそが音楽をやるべきなんや。音楽以外の才能がある人はそれを社会のために役立ててください。音楽なんてそれしかでけへん人がやればいい。だから音楽をライセンス制にというのは逆の意味でね。全部にバツ印もらってはじめてライセンスもらえるみたいな。お前しゃあないから楽器弾けと(笑)。そうしたら世のなかは人材的にもっと恵まれるはずなんや。音楽なんかやらせてるから駄目やねん。

だいたい毎年、年に何回か長い海外ツアーをやり、いろんな国のレーベルからリリースをしてたりすると思うんですが、日本とここが違うと思うようなところはありますか。

河端:システムは違う。日本はまずライヴハウスありきで。まずもっとも違うのは、ライヴというものの捉え方が違う。日本ではライヴは音楽鑑賞会的なところがあるでしょ? 向こうは呑みに行く感覚かな。
 欧米って実は娯楽があんまりないんですよ、日本に比べて。だから夜、遊びに行くパターンとして、呑みに行くかと。その飲みに行ったバーの奥にライヴスペースがあって、あと5ドルか10ドルのドアチャージを払えばこのビールを持ったままライヴを見に入れるわけ。ジュークボックスと感覚が近いかもしれん。

ああー。

河端:ジュークボックスていうのはバーがあって、みんなが金を入れて自分が聞きたい曲をリクエストをかけるわけでしょ。それを聞きながらお喋りして呑んでるというのが、アメリカのスタイルなわけで。それのちょっと発展した形で、生バンドを観ている。だからアメリカ映画とか観てたら、客はガラガラやけどバンドが演奏してて、酒呑んだり話したりとかしてるでしょ、ブルース・ブラザーズみたいに。
 ライヴをやってもっとも違うのは、俺らは結成したときからツアーではヘッドライナーしかやったことないのね、基本的に。前座はやらないという俺の主義で。で、前座のときは客が来ない。日本は4バンド出たら、たいがい最初から来るでしょ。時間が間に合う限り。向こうは間に合おうが間に合うまいが関係なしで、メインのバンドしか見に来ない。

ほう。

河端:だから3バンドあると、2番目のバンドの終わり3曲くらいで客がガーッと来る。それで俺らのときはフルテンの5~600人になってると。あふりらんぽがソニックユースのツアーしたときに、あいつらはCDとか無茶苦茶持ってたんやけど、あふりらんぽが演奏してる時は客が40人やったらしい。ほんであいつらは本チャンのソニックユースの時に乱入したっていう(笑)。私らの時には客おれへんのに、私らも客いっぱいの前で演奏したい言うて。
 ほんまそんな感じやで。でも向こうでは有名になるためには、基本的には有名なバンドの前座で回るしかないのよ。だから前座で回りたがるねん、うちらのオープニング・バンドに使ってくれって。でも客が来てないわけよ、あんまり。最後に来るから、エンディングのほうにかっこいい曲をやらなあかんわけ。

こっちの感覚だと、1曲目でまずガツンとあげようみたいな気がしますけどね。

河端:ガンと上げた時に客がおれへんからね。メインのバンドはもちろん違うけど。そもそもライヴハウスに行くという感覚が違うんやね。向こうはドアチャージももうちょっと安いし。あとウィークリーペーパーみたいなフリーペーパーがあって、そこに映画館とかシアターとかライヴハウスの情報が全部載ってんねん。それを見てみんな見に行くわけですよ。

タウン誌みたいなのが必ずありますよね。

河端:だからあんまり前もってチェックしてないね。最近でこそうちは有名になってるんでチケットがソールドアウトになるから前もって買っとくって人も増えたけど、前はそんなこともなかったし。日本みたいに告知告知告知とかやらないから、向こうでは。ネット上で海外のバンドの告知って見ないでしょ?

言われてみれば。

河端:ネットの情報もあるけど、だいたい地元のバーとかレストランとかどににでもフリーペーパーが置いてあるから。
 それで日本のライヴハウスは機材が全部揃ってるじゃないですか。その代わり維持費がかかるし家賃も高い。それとバーでの売上って基本的にないじゃないですか。ワンドリンクついてて、それで粘って終わる人が多いから。自ずから金の上がりっていうのはチケットだけでしょ。だから出るバンドに対してノルマができるわけですよね。向こうは機材とか何もないわけですよ。下手したらエンジニアかてオーガナイザーが呼んでこなあかんくらいで。ただのハコなわけですよ、アメリカなんかは特に。基本的には全バンドが自分の機材で演奏するんです。サンフランシスコみたいな街だと練習スタジオも違うんですよ。ものすごいデカい建物の中に部屋で分かれてて、そこに自分の機材を入れるとか。

あ、練習スタジオでも自分の機材?

河端:うん、そこに例えばレコーディングの機材も入れて録音もしたりとか。だいたい3バンドくらいで1部屋をシェアする感じで、お互いにスケジュール決めて「今日は俺らが使うで」みたいな。ライヴするときはそこから機材を積み込んで行くんですよ。もしくは家ね。向こうは家が広いから。下手したらリビングルーム一間をスタジオみたいにしてあって。

家でライヴやったりもしますもんね。

河端:ハウスショウね。よくレコード・ジャケットとか見たら家のなかにアンプとかが並んでて録音風景みたいになってるじゃないですか。ほんとにあのままなんですよ。
 そういう状況なんでアンプを持って歩くのが当たり前なんですよ。日本なんかは逆に箱にアンプがあるから持ってこなくていい。その代わりライヴハウスは維持費があるんで金を取ると。最近ヒデくん(ウルトラビデ)(*16)がよく言ってるのは、アメリカみたいにしようやと。チャージを下げて、その分でドリンクを買ってもらう。そうしたら店は売上ができるしチャージが安ければ客も来やすいやろう。
 と言うてるけど、日本人はもうちょっと音楽を「聴きに」来てるから、仮にチャージが下がってもそこでビールを5杯呑まないでしょ。30代過ぎた客は呑むかもしれんけど。10代20代のバンドやったら安かったら安いってだけで終わるでしょ。ほんで浮いた金でTシャツ買って帰るか。

それは店のあがりにはならないですもんね。

河端:それは根付いてる習慣の違いなんでね。それがアメリカに行くと、バンドにはフリードリンクとか。あるいはドリンクチケットがもらえるとか、楽屋にバンド用のビールが用意してあったり。あとご飯代がちょっと出る。
 その代わり泊まるところは、アメリカだとだいたい誰かの家に泊まるんですよ。家が広いんで、昔からの友だちとかバンドの友だちとかのところに泊めてもらう。初めて行く街で泊まるところがないときは物販テーブルに「誰か泊めてください」って書いておく。そしたら絶対何人か出てくるんで、明日向かう方向の家を選んで泊めてもらう。よっぽどのことがないとモーテルとかには泊まらない。アメリカのツアーバンドはみんなそんな感じ。ヨーロッパはまた違うんです。

へえ。

河端:ヨーロッパではブッキングするイコール機材――機材は自分で運ぶ場合と両方あるけど――、それと絶対ついてくるのがご飯と宿泊。ヨーローパのブッキングはそこまで世話しないとあかん。だから嫌がられるんですよ、バンドは。ソロだったら宿泊もひとりでしょ。アンプも1個か2個でいい。バンドだと5人編成なら5人分のホテル代もメシ代もかかる。チケットの前売が悪いとオーガナイザーが心配になってくるんよ。それで結構直前にキャンセルとかになる。
 ライヴのブッキングってヨーロッパでは凄いお金がかかるんよ。ヨーロッパではだいたいブッキングは店がやるんじゃなくて、地元のプロモーターがライヴハウスをホールレンタルみたいなことをするわけですよ。機材はバンドが持って来るから店のPAを借りて、店はドリンクの売上とホールレンタルで儲かってるから、プロモーターはまあそこからちょっと抜くか、もしくは自分が好きでやってるだけなんで。売上が悪いとヘタするとホテル代とかメシ代のほうが高いってことに。

なっちゃいますね。

河端:だからこれはマズイってなったら直前にキャンセルとか。

(*16)
即興演奏は電子音楽を取り入れたパンクバンド、「ウルトラビデ」を率いて非常階段のJOJO広重らと初期の関西インディーズシーンを牽引した後、単身渡米。ニューヨークを拠点に活動してジェロ・ビアフラのレーベル〈オルタナティヴ・テンタクルズ〉からアルバムをリリースするなどした後、帰国。ウロトラビデおよびアマゾン・サライヴァを率いて活動している。

取材:大久保潤(2013年4月30日)

Profile

大久保潤大久保潤/Jun Okubo
1975年東京生まれ。書籍編集者として菊地成孔・大谷能生『東京大学のアルバート・アイラー』、佐々木敦『「批評」とは何か』、『アメリカン・ハードコア』『ブラック・メタルの血塗られた歴史』、ミック・ファレン『アナキストに煙草を』などを担当。ポストパンクバンド「大甲子園」、即興ドゥームロックバンド「Filth」、即興ハードロックバンド「Filth Iconoclast 666」等のギター。
ブログ:http://www.noiznoiznoiz.com

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