Home > Interviews > interview with Strange Reitaro - この素晴らしき世界
自分のなかでは、思いっきり真ん中のことをやってるっていうか。音楽の王道をやっているつもりですけどね。それが傍からみたらすごく端っこに見えるっていう(笑)、ことなんかもしれないですけどね。
■なるほどね。でもその、「ただバンドしてるだけ」っていうのをたぶん、すごく出してらっしゃると思うんですけれども。そういうときに音楽的なスタイル、音的なアレンジっていうのは、さっきも話した60年代、70年代のソウルやロックンロール、あるいはスイング・ジャズみたいなものから引用してきますけれども、こういう味つけみたいなものは奇妙さんがプロデュースしてるんでしょうか?
奇妙:そうですね、結果的にみんな合わせてくれてる感じですね。
■奇妙さんのなかで、理想的な音楽っていうのは何なんですかね?
奇妙:理想ですか。理想……やっぱりすごいなと思うのは、サッチモとかですね。子どもが聴いても素晴らしいと思うし、ジャズ・マニアのひとが聴いても素晴らしいじゃないですか。それが同時に完全に両立してることって、すごいし、理想っちゃ理想ですね。
■なるほど、サッチモ(ルイ・アームストロング)ですか。ああいう誰もが知ってるような大きな曲を作れるというか?
奇妙:そう……ですね。
■吾妻光良さんがすごくお好きでしょう?
奇妙:はい、好きですね。
■それが僕のなかでは、すごく奇妙礼太郎のイメージなんですよね。
奇妙:超絶素晴らしいですよ。
■ははは。吾妻光良さんのどこがすごく尊敬できます?
奇妙:(笑)もう全部ですね。
■(笑)たとえばあのひとの態度っていうか、音楽に臨むアティチュードっていうのも、ある意味では日本のシーンのなかでは浮いてるっていうかね。いわゆるJポップっとは音も違うじゃないですか。
奇妙:なんか、そういう感じで考えたことはないですね。Jポップとか、いまのシーンが、とか。まあ知らないですし、どういうひとがいてとか、誰が流行っててとか。ああ、そういうのがあるねんな、みたいな感じで。自分のなかでは、思いっきり真ん中のことをやってるっていうか。音楽の王道をやっているつもりですけどね。それが傍からみたらすごく端っこに見えるっていう(笑)、ことなんかもしれないですけどね。
■(笑)
奇妙:まあ、それはわかんないですけど。自分の範囲じゃないっていうか。
■吾妻さんのどんなところがとくに素晴らしい?
奇妙:吾妻さんはまず、素晴らしい音楽家で演奏家っていう。バンドマンっていうより全然音楽家やなーっていう。あと、歌詞もとんでもなく素晴らしいですし。ユーモアがあって。そういうのがこれ以上ないくらい、最高のものやなと思いますけどね(笑)。
■はははは。じゃあ、上田正樹さんのすごいところっていうのは?
奇妙:僕が好きなのはサウス・トゥ・サウスの感じなんですけど。それも同じことですけど、詞の内容と、演奏と、素晴らしいですよね。
■じゃあ、なぜ名前は奇妙礼太郎になったんですか?
奇妙:バンドはじめるときに、とりあえず覚えてもらいたいっていうのがあるんで、なんか変な名前にしようと思って、で、なんとなく思いついたんですよね。とくに理由とかないんですけど。
■奇妙礼太郎にとって、いい歌詞っていうのはどういう歌詞なんですか?
奇妙:僕が好きなのは短い映画を観たような気持ちになれるようなものとか、ちょっと本を読んだ後みたいなとか、そういう感じですかね。イメージがどんどん浮かんでくるのが好きですね。
■なるほど。そのイメージはどんなイメージ? やっぱり男と女がいる?
奇妙:いや、全然。僕ブランキー・ジェット・シティ大好きなんで。浅井健一さんすげーなと思いますね。
■前も訊いたんですけど、ラヴ・ソングがすごく多いと思うんですけど。今回も『仁義なき恋愛』っていうタイトルで。なぜ自分がそこまでラヴ・ソングにこだわるのだと思いますか?
奇妙:いや、なんか10曲できたらそうなってたんですよ(笑)。
■(笑)『仁義なき恋愛』は最初からタイトルとして決まってたんですか?
奇妙:いや、全然決まってないですね。ほぼほぼ曲が決まってから歌詞考えてて、なんとなくですね。
■なるほどね。奇妙礼太郎のこれまでの人生において、女性っていうのはいかなる存在でした?
奇妙:えー! いやお世話になってます、とか(笑)。そうですね、女性……すごく好きですし、すごく苦手やな、とも思いますね。ちょっとよくわかんないですけれども(笑)。
■(笑)前回インタヴューしたときに、なんで『桜富士山』ってタイトルにしたんですかって訊いたら、やっぱおめでたいものにしたかったとおっしゃってて。で、ちょうどいまの日本の時代の空気っていうのが決して明るいものではないし、風営法とか、暗い風があるじゃないですか。そういうなかで、時代の暗さみたいなものを音楽でもって、言うならば打ち負かそうとしてるのかなっていう風に思ってるんですけど、いかがでしょうか!
奇妙:いやいや、そんなつもりまったくないですよ(笑)。
■いや、ほんとはそう思ってるでしょ(笑)。やったるぞって。
奇妙:そうなんですかね(笑)。じゃあそれで(笑)。昔からやってることは変わってないんですけどね、なんか。
■これから変わるかもしれないってこともない? まあ先のことはわからないですけれども。
奇妙:そうですね、まあそれはわかんないですね。次のアルバムでは、地獄へ落ちるような――。
■ははははは! ドアーズみたいになるかもしれないって?(笑)
奇妙:AC/DCみたいなジャケットにしようと思います(笑)。それええな。
■『仁義なき恋愛』をタイトルにした理由は何ですか?
奇妙:なんとなく興味持ってもらえそうかなと思って。なんかええなと思って。とくに理由とかはないんですけど。
■音楽以外で好きなことって何かあります?
奇妙:音楽以外ですか? 僕、車好きですね。
■でもあんまり出てこないですよね。
奇妙:車、そうですね。出します、次のときに。
■“どばどばどかん”みたいな歌詞はどうして歌ったんですか?
奇妙:いや、なんとなく録ってるときにぱっと思いついちゃうんですよね。べつにこれも意味ないですよね。よくあるっちゃよくある――
■セックス・ソング?
奇妙:そうですね。みたいな。
■作ってみたかったとか?
奇妙:いや、これはたまたまですね、全然。オケ聴きながら考えるっていう感じのやつですね。
■一番最初に言ったことに戻っちゃうんですけどね、ライヴ盤聴いてて、このひとのなかには喜怒哀楽を歌うだけじゃなくて、アンガーみたいなものがあるのかなと思ったんですけどね。
奇妙:そうですね、いや(笑)、べつに怒ってることないですけどね。毎日快適に生活できてるんで。腹立つこととかないですけどね。
■ほんとですか。
奇妙:そうですね。ないですね。すげー快適ですね(笑)。
■はははははは。なるほど。ありがとうございました、ところで、1曲目の最初のナレーションのバックに笑い声が入ってるでしょう? ループで。あの笑い声ってなんで入れたんですか?
奇妙:なんかないと寂しいな、ぐらいですけどね(笑)。オープニングなんで、歌ってわけでもないけど、何かみんなの声入れとこか、ぐらいの感じですね。
■みんなの声っていうのはバンドのみんなの声なんですか?
奇妙:そうですね、バンドのみんなの声です。
■どうもありがとうございました。ツアーがんばって下さい。
◆奇妙礼太郎トラベルスイング楽団 ワンマンライブツアー2013◆
2013 年11 月4 日(月・祝)愛知県 名古屋CLUB QUATTRO
2013 年11 月8 日(金)大阪府 大阪BIG CAT
2013 年11 月10 日(日)福岡県 Early Believers
2013 年11 月15 日(金)東京都 LIQUIDROOM ebisu
2013 年11 月16 日(土)宮城県 仙台MACANA
取材:野田努(2013年10月25日)