Home > Interviews > interview with MARIA - 音楽と、ちょっとセクシーな話
■MARIA・ザ・マザー
■境遇、について
■ヒップホップは近道ではない
■欲深くて、愛しい
■音楽と、ちょっとセクシーな話
■人任せじゃダメなジェネレーション
■アンチ・アンチ・エイジング
■音楽と、けっこうセクシーな話
アンチ・アンチ・エイジング
自分が中学生、高校生だったときに噛みしめていましたから。いまはいましかない。「若くいたい」って思いたくない。
■新しいですね、「45歳」って。では、こうなりたいっていうのはありますか?
MARIA:うーん(笑)、あんまり変わりたくはないですね。きっと惑わされるものがたくさんあると思うんですけど。
■女性誌とかファッション誌とかって読まれたりします?
MARIA:いやー、読まない。マジで本を読まない。セレブのゴシップ記事とかしか読まない。
■ははは、ゴシップ記事限定。
MARIA:リアーナ、へー。みたいな。
■服もコスメも髪型とかもとくに何を参照するでもなく?
MARIA:そういうのはネットで見ちゃう。あと、流行りがどうっていうよりも、こういうのしたーい! っていうのを調べるから。
■調べていて手本になるというか、ビビっときた人はいますか? アーティストとかでも。
MARIA:アーティストとかもあると思うけど、あたしほど感覚で生きてるやつもそんないないと思うからなあ(笑)。ファッションじゃないけど、ビビっときたのは、セレーナ・ゴメス。最初はガキくさい顔してるから好きじゃないと思ってたんだけど、最近『カム・アンド・ゲット・イット』っていう曲を出して、そのPVを観たら腕と脚が超長いの。それが超セクシーで、人間が平等だって誰が言ったんだよ? ってレベルなの。彼女はいわゆるアイドルって感じに言われやすい人なんだけど、そのわりには実力派だと思う。プロデューサーがいいのかもしれないけど、アルバムもよくて。彼女はすごいいい感じに仕上がってきてると思う。
■仕上がる(笑)。
MARIA:リアーナよりセレーナ・ゴメスって感じ。
■へえー。リアーナとか超メジャーな存在でも、アメリカで黒人でセクシーでヒップホップでってなると、なかなか具体的にマネしたり目指すべきロールモデルとして考えにくいところがありまして……
MARIA:うーん、そうかもね。でも、“ウィ・ファウンド・ラヴ”って曲だっけな、このPVを見たときに、これはシドとナンシーだろうなって。完璧にコンセプトはコレでしょって感じで、今年はイギリスきてんのかなと思った。でも、女の人で憧れる存在か……、基本、巨乳なんだよね。
■おお?
MARIA:巨乳は強いでしょ。
■そうですね、「貧乳」「つるぺた」っていう革命的なキーワードもありますが……。
MARIA:そこは強くない。
■ははは! 強くはないですねー。
MARIA:この間言ってたの。Eカップが最強だって。それを毎日見た男性は、何かの数値が高くて、長生きするって。
■へえー……、ええ!? ぶっとび科学ですね。
MARIA:あ、憧れる女性ひとりいたわ。杉本彩。
■それはまたセクシーですね。
MARIA:杉本彩と、マツコ・デラックスと……。
■それは巨乳枠なんでしょうか(笑)。
MARIA:はは、あとアンジェリーナ・ジョリー。この3人かな。すごく好き。
■みなさん強いですね、たしかに。あんまり日本人らしい日本人のなかにロールモデルはいなさそうですね。
MARIA:日本はないかな、やっぱり。体型が体型だしね。
■アイドルとかももちろん……
MARIA:全然興味ないですね。
■そうですよね。MARIAさんは黒髪時代も素敵でしたけど、きっと黒髪の意味が違いますもんね。
MARIA:うん。黒のほうが映えるかなってだけ。なんか、こんな適当な人いないよね。
■いや、まったく適当ではないですよ。
MARIA:適当、適当。最低限、その人が立ち直れなくなっちゃうようなところまでは言わないようにしてる、ってくらいで、すごい適当だよ。
■ははは、今日も話をお訊きしておきながら、なんだか聞いてもらっちゃってるような気持ちがしてきて。初対面なのに。そうか、これがMARIAという人のサイズかあ……って。これがマザーであり、「45」のサイズなんですね。
MARIA:そう、マザー。
■みんなアンチ・エイジングなのに。「30代女子は大人ボーイッシュ」とか「かわイイ女」とか。
MARIA:ああ、大っ嫌い。電車とかで中吊り広告あるじゃないですか。もうほんとメンドクセって思いますよ。最近唯一興味持てたのが安達祐実のヌードくらい。
■そんなことが……。
MARIA:そのくらいしかないですね(笑)。
■そりゃ「カーディガンだけでオシャレ度アップ」とか読みませんよね(笑)。
MARIA:ほんと、どうでもいい。うるせーよ、って。
■こういうのは、若返ること、若くいつづけることにコストをかけていく思考じゃないですか。それに対して「45」っていうのは新しいカウンターだと思いますよ(笑)。
MARIA:基本的に、若けりゃいいって考え方を改めたほうがいいと思うんだよね。
■では、若さってことに対して特に思い入れたことがあまりないんですかね?
MARIA:自分が中学生、高校生だったときに噛みしめていましたから。いまはいましかない。いまの見た目はいましかない。歳とったひとも、まだ小さい人も、必ず一回通る場所だから、「若くいたい」って思いたくない。
音楽と、けっこうセクシーな話
でもね、結局その領域にまで踏み込まないとダメだって思う。日本はもっとみんなセックスしたほうがいいですよ。
■でも、MARIAさんはすごい美貌でもいらっしゃるわけじゃないですか。それをとどめておきたいって気持ちはないのか……、セクシーってこととMARIAさんの容姿とは無関係ではないと思うんですけどね。
MARIA:セクシーではいたいですけどね。やっぱりやりたいから。……男を誘惑できなくなったら嫌じゃないですか。男がやりたいと思わない女になったら終わりだと思うんですよね。はははっ。
■あー、なるほど。
MARIA:(笑)
■ははっ、いや、流したわけではなくて! 本質的だなって、すごいなって思って。すみません。でも、セクシーさは見た目じゃないってことになりますよね。見た目じゃないセクシーさって何なんでしょう。
MARIA:えっとね、やっぱり、場数ですかね。
■(笑)……具体的(笑)。
MARIA:あははは! 場数っていうか、回数っていうか……(笑)。結局イったことあるかどうかだと思いますよ。
■おっと! ちょっと今日は、やばいですね!
MARIA:あはは! マジで? あたしなんて初めてイったのは……
■いやいやいや、そこまでで(笑)!
MARIA:(笑)でもね、結局その領域にまで踏み込まないとダメだって思う。日本はもっとみんなセックスしたほうがいいですよ。
(一同笑)
■なるほど、そうなんだ……
MARIA:そういう意味では、男の人も表現とか苦手だと思うんだけど。でも女性は褒められるとその褒め言葉が栄養になるから、もっと褒めてって言いたいな。
■大変深いお話がきけました。じゃ、最後に『Detox』っていうこのアルバム・タイトルについてなんですけど、この「毒(解毒)」っていうのは、もともと身体の内側にあったものというイメージなんでしょうか? それとも外から入ってきたものって感じなんでしょうか?
MARIA:自分のなかにあったものですね。あたしが子どもの頃からコンプレックスを持ってきたもの。その塊。
■ああー。世のなかにあるけがれみたいなものではなくて、内側で蓄積されていったもの、というイメージなんですね。
MARIA:でも結局世のなかのけがれについても歌ってるし、あたしのコンプレックスみたいなものについても言ってるし。両方にそんなに変わりはなくて、じゃあみんなでデトックスしようよ、みたいな感じです。CDの裏の方は真っ白なデザインなんですけど、それはデトックスされた、浄化されたというイメージですね。
■説教くさくキレイになろうって言ってるんじゃない感じがよかったです。「デトックスしよう」って、ちょっと宗教がかったニュアンスになることもあるじゃないですか。
MARIA:うんうん。説教キライ。
■MARIAさんの場合、そうならないところにセクシーさってものが絡んでくるって思います。
MARIA:それは、ラフさとか気軽さを意識したからでもありますね。教祖っぽくなったり説教になったりすると、お前誰だよ? ってことになるじゃないですか。そういうことになると、人は話に入ってこなくなると思うんですよ。なんで、そういうところでは気軽に話しかけてきてよって考えながら、作ってますね。
■なるほど。今日はほんとに、話をお訊きしながら、むしろわたしが受け止めてもらったような感じがいたします。ありがとうございました!
取材:橋元優歩 写真:小原泰広 (2013年12月13日)