Home > Interviews > interview with DEXPISTOLS - 「バカになれ」以後
最初はBPM140ぐらいで揃えようとしたんです。ポスト・ダブステップ的な、それこそ〈ナイト・スラッグス〉とか、そういうものにラップを乗せようっていう。でも、時代は動いたし、140だけで合わせるより、BPM100ぐらいのエレクトロニック・ミュージックも入れてみようと思った。
DEXPISTOLS LESSON.08 "TOKYO CULT" エイベックス/tearbridge |
■ところで、今回の『Lesson.08』このLessonシリーズっていうのはダブルディー&スタンスキー(※サンプリング・コラージュとしてのヒップホップを強調した人たち)にあやかってやってるんでしょ?
DARUMA:ヒップホップの流れっていうのもあるし。
■今回のCDは作ってる側からすると、どういうコンセプトで作ったの?
MAAR:でも、じつはこれ、繋いでないんですよ。いわゆるビート・ミックスってことはしてないんです。
最初のコンセプトはミックステープ的に、ひとの曲にもっとラップとか歌とか乗っけたかったんですけど、権利関係で無理だったんです。で、いまはミックスだけだったらサウンドクラウドなんかでいくらでも落ちてるし。DARUMAくんがダンサーのショーケースの音源的に、小ネタ的をどんどん挟んで展開してくれてるのを最初作ってくれてラフで持ってきて。後半はビート・ミックスで、なんて言ってたんですけど、じつはその作業ってPCでやるとめちゃくちゃめんどくさいんですよ。
前は俺、それ全部きれいにミックスしてEQも調整してやってたんですけど、めんどくさくてやる割にはまったく勢いがなくなるんですよ、聴いてて。「なんでこんなつまんねーんだ」ってなってて。昔はもうずーっと、何日間も曲を聴いて合わせてたんですけど、それでやってもカッコ良くないんですよ。で、DARUMAくんに「もうちょっと後半もそういう感じで作って」って言って作ってもらったんです。あとは俺もそういうのを付け足して、ちょっとエフェクトかけたりとか小ネタをまぶして。音量もある程度、気づいたらバラついちゃったんですけど、マスタリングでわざと突っ込んでもらったりと、か突っ込まない場所作ったりとかして。ほんとラフな感じが逆に面白いな、と思って。
■選曲のコンセプトは?
MAAR:最初はいちおうダブステップっぽい感じだったんですよ。
DARUMA:最初はBPM140ぐらいで揃えようとしてたんですけど。じつはこの話が1年前ぐらいかもっと前から進行していて、ポスト・ダブステップ的なところからやってみようか、って言ってたんですよ。それこそ〈ナイト・スラッグス〉とか、そういうのを紹介するようなものにラップを乗せようっていう。140で合わせていったら、ケンイシイさんの“エクストラ”とかも、ダブステップの同じBPMのなかに入ってくるのが面白そうじゃない? って言って、140で揃えようとしてたんですけど。もうちょっとこう、時代が動いたっていうのもあるんで140だけで合わせるより、BPM100ぐらいのエレクトロニック・ミュージックの動きとかも出てきたりしてるので、そういうところも入れつつ、借りれたものを組み合わせていったら、こういう流れになったんです。結果的には僕たち的に面白いものになったなと思っていて。全然納得いってる。100パーセントではないにせよ、できる限りのことはやったかなと思ってます。
■そうだね。あと、DEXPISTOLSのいままでのなかではいちばん渋いかなって思ったんですけど。
MAAR:あー、やべー。俺全然そういうの思ってなかった。俺けっこう派手だなと思ってたんすけど(笑)。人によっては、EDM枠かなって(笑)。最近俺が遊んでるところが地味だからかもしれないなー。
■より、ディープにクラブよりって意味で、そう思った。日本人の曲をフックアップしたいっていうのは前からやりたかったことなんだろうけど、今回はそこも意識してやったのかなって。
DARUMA:でもそれが、無理して入れたわけでもないんですよね。昔は、無理してでも日本人のトラックも紹介したいっていうのがあったんですけど、今回が気づいたら多かった。それを並べてみたら「全然いけた!」みたいな。
■ハハハハ。
MAAR:でも、音楽が売れなくて、震災もあって、っていう時代でそれでも作ってる若い子がいるってことはすげーことだと思うし。ほんとカッコいいです。気合入ってるし。
■なるほど。
MAAR:モノを作るっていう意味ではとてもいい時代だとは思うので。ゆとり世代のぶっちぎり感ってすごいっす。
■俺もそれは思う。25歳ぐらい、面白いよね。
MAAR:もうね、社会的な歯車としては一切機能しないんですけど、モノを作る能力だけは──
DARUMA:ヤバいんですよね。
MAAR:どうしたどうした、その自信? みたいなやつが多い。
DARUMA:ハハハハ。
■じゃあ期待できるね!
MAAR・DARUMA:期待できる!
取材:野田努(2014年4月02日)