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Interviews

interview with Tigercub

interview with Tigercub

アー・ユー・オルタナ世代?

──タイガーカブ、インタヴュー

橋元優歩    Sep 01,2015 UP

Tigercub
ミート・タイガーカブ

Pヴァイン

Indie RockGarage

Tower HMV Amazon

 音楽不況云々、CDが売れなくて云々、専門誌も減って云々……などという話題はもう耳タコかもしれないが、それは産業としては(そんなかたちでつづけることに)無理があるでしょうというだけの話で、むろん音楽そのものになんら瑕疵があるわけではない。それが文化の真ん中で巨万の富を築くツールではなくなったというだけで、のびのび、勝手に、雑草みたいに、新たな音は日々生まれてきていて、生まれてき過ぎなほどだ。

 考えてみればレコードなりCDなりというかたちで音楽が売り買いされていた時代のほうがその長い歴史の中では特殊というか、むしろいまはカネにならなくなったぶん、音楽もアーティストもそもそもの自由さを取り戻しているとさえ言えるかもしれない。ここ最近のインディの充実ぶりを見ても、あるいはネットに音源があふれかえっていることを考え合わせても、「売れなきゃいけない」というオブセッションはほぼ崩されていて、音楽はやり手にとってもっとずっとよい距離で楽しまれているように見える。

 それは、なにが自分にとって楽しいか、ということが素直に優先される環境でもある。新しいものをつくらねば、モードに乗らねば、いや、モードを出し抜かねば、みたいなことはさほどの問題ではなくなって、時代も洋の東西も関係なく、というか、すべてそれらが一並びで定額な環境下で、あるスタイルを選択することに以前ほど社会的な意義もなく、リヴァイヴァルという言葉さえいよいよ空転しはじめた。

 そしてわれわれは前置きなくタイガーカブを聴く!

 タイガーカブはシンプルだ。UKはブライトンの3人組ロック・バンド。聴けばわかるというお手本でもあり、しかし「あえてオシャレに2分間のポップスの永遠性を再現する」という手合いの作為性も感じられない。まだアルバムすら持たないニュー・カマーだが、ブラッド・レッド・シューズが新たに立ち上げたレーベルからシングルをリリースしたり、彼らのライヴのオープニング・アクトとして起用されるなど、期待と注目が寄せられているさなかである。

 今回はこれまでにリリースされた2枚のシングルにB面や未収録曲を収録した日本独自企画盤がリリースされた。これをアルバムとして評価することは難しいが、案外、できてみればこんな感じかもしれない。「アルバム」よりは「曲」をつくり、演奏とコミュニケーションを大事にする、粗暴ではないけれど気取らない、ビートルズが好きな、愛すべきバンドなのだ。もちろんそれは「いい曲」が詰め込まれたものになるだろう。

 なんてそのまんまニルヴァーナなんだろう、いや、ザ・ヴァインズを経由しているだろうか、そうすればたしかにビートルズも透けて見えてくる──カート・コバーンやクレイグ・ニコルズのようなカリスマがいるわけではなく、インタヴュー内でもソニックスの名が挙がっているようにガレージ色が強め。本当にシンプルなバンドだ。

 以下をお読みいただければ、「なぜこんな音を?」を筆頭とした筆者のいくつかの「なぜ」がすべて壁打ちに終わっているのがおわかりいただけるだろう。なぜもなにもない。好きな音を、その内側で謳歌しているのだ。そのまんま聴いて楽しい、スタイル選択にけれんみのない、ゆえにこちらも何も考えずに身をまかせられるロックだ。長らく、それには何かしらの前置きが必要だったけれども。

■Tigercub / タイガーカブ
2013年に結成された、UKはブライトンの3人組。メンバーはジェイミー・ホール(Jamie Hall / guitar, vocals)、ジェイムス・ホイールライト(James Wheelwright / bass, backing vocals)、ジェイムス・アレクサンダー(James Alexander / drummer)。2014年、デビュー・シングル「ブルー・ブラッド(Blue Blood)」が注目を集め、同年、ブラッド・レッド・シューズが立ち上げた〈ジャズ・ライフ〉からセカンド・シングル「センターフォールド(Centrefold)」をリリース。翌2015年には名門〈トゥー・ピュア(Too Pure)〉からもシングル「You」を発表。ロイヤル・ブラッドやブラッド・レッド・シューズらのオープニング・アクトとして抜擢されるなど、フル・アルバムをふくめ今後の活躍が期待されている。

アメリカン・ハードコアや90年代グランジのバラ色のメモリーは音楽のドキュメンタリーとか再放送で情報を集めて結んでいった感じかな。(ジェイミー)

みなさんは何年生まれですか? グランジはリアルタイムで体験しています?

ジェイムス・ホイールライト(以下James):1986年、ワールドカップのアルゼンチン対イングランドで”神の手”事件が起きた年に生まれた。最初のグランジ・ムーヴメントで記憶にあるのは、「kids in flannel」のシャツとニルヴァーナがTVに出ていたこと、でも当時はまだ本当にガキだったけど! フー・ファイターズのファースト・アルバムを買ったのはおぼえてる。そこが自分にとって最初の入り口だった。

ジェイミー・ホール(以下Jamie):俺は1990年生まれ、イギリスの北にあるサンダーランドで育った。グランジがメインストリームをヒットした当時なんてまだ子どもだったから、アメリカン・ハードコアや90年代グランジのバラ色のメモリーは音楽のドキュメンタリーとか再放送で情報を集めて結んでいった感じかな。

同年齢くらいのまわりの人びとは、多くがアメリカン・ハードコアやグランジのバンドたちの作品を聴いているのですか? それともあなたたちが孤立しているのでしょうか?

ジェイムス:俺たちが住んでいるブライトンは音楽的にとてもアクティヴな町だから、友だちもハードコアやロックにハマってるやつらばかりだよ。俺が育ったレディングでは、たしかにもっと孤立しているように感じてたね。

ジェイミー:サンダーランドにいたときは、そんなことはぜんぜん感じなかった。俺は他の誰よりも体がデカいから、どこにいってもハマらないんだ。当時はだいたいいつも一人の友だちとツルんでたし、クラッシュ、G.B.Hとかバッド・ブレインズなんかを聴きながら、トニー・ホークのプロスケーター・シリーズを見ながら毎日遊んでたな。

俺は他の誰よりも体がデカいから、どこにいってもハマらないんだ。(ジェイミー)

あなたがたはどういったきっかけでそうした音楽を聴きはじめたのでしょう?

ジェイムス:バンドとオーディエンスで共有したり、経験を積んだり、オーディエンスから学ぶことがいまの音楽をやっているいちばんのモチヴェーションにつながるよ。

ジェイミー:子どものときはビートルズにぞっこんだったね。自分にとっていまの音楽をやっているのもじつはビートルズからの影響だよ。

UKの音楽で世界に誇るべきものはこれだというアーティストやバンドを、あなたがたの基準で教えてください。理由も添えていただけるとうれしいです。

ジェイミー:イギリスのバンドだとザ・ウィッチズの大ファンだよ。彼らは彼らなりのやり方ですべてをやっているし、惰性的じゃなく、彼らの音楽はリンク・レイやメルヴィンズとかレナード・コーエンからオリジナルのブレンドを作り出していると思う。

あなたがたにとってセックス・ピストルズはどのような存在ですか? また、ニルヴァーナを愛するのはなぜですか?

ジェイミー:彼らはすべてさ。でもストゥージズやソニックスほどではないけどね。

ブリティッシュ・ロックはポリティカルになるべきだと思いますか?

ジェイミー:ポリティカルな音楽、俺はいいと思うよ。でも、露骨に政治的なことを歌ってる曲は嫌いだね。いちばん好きなのはメッセージが曲の中に複雑に編みこまれていて、リスナーに説教するものではなく啓示するような音楽がベストだね。

なぜ髪をのばすんです?

ジェイムス:なまけものだからさ。

ジェイミー:俺たち美容院にいく金もないしな。

3ピースっていう形態はすごく好きで。アドヴァンテージのほうがはるかにディスアドヴァンテージを上回ってると俺は思うよ。ニュートラル・ミルク・ホテルを見れば明らかさ。(ジェイムス)

3人の間柄や、バンドの結成の経緯を教えてください。

ジェイミー:3ピースであることは制限でもあるけど、同時に俺たちがよりハードに演奏して、経済的にバンドをアレンジしなければならないってことで、つまり曲はよりストロングなものにしなければならないし、全部さらけだすし、どこにも隠れる場所はないってことさ。

ソングライティングはおもにどなたが担っているのでしょう? 

ジェイミー:最初はみんなそれぞれ家でアイディアを練って、デモを送りあって、スタジオに持ち込んで、そして精練するというのがパターンだね。あと新しめの曲を路上で演奏するんだ。そうすれば、何がうけるのかうけないのか、リアルタイムにフィードバックをもらうことができるからね。

あなたがたはスリーピース・バンドのよさをシンプルかつストレートなかたちで体現する存在だと思いますが、一方で、いまのかたちに限界を感じることはありますか?

ジェイムス:3ピースっていう形態はすごく好きで。アドヴァンテージのほうがはるかにディスアドヴァンテージを上回ってると俺は思うよ。ギターは1つだし、ベースも1つ、音の帯域幅では制限があるかもしれないけど、3人が効果的に動けばオーディエンスの視点から見てもすごくパワフルなものに映るし、ニュートラル・ミルク・ホテルを見れば明らかさ。

ジェイミー:そうだね、曲をかけば書くほど、もっとこうしたいって大望が生まれてくる。だから、いくつかの新曲はそのまま演奏できないから、ライヴのために作り直さないといけなかったり、3人でそういう曲を同じエナジーでやるっていうのは、かなりハード・ワークだよ。

あなたがたにとってはライヴのほうがアルバム作品より重要なものですか?

ジェイムス:スタジオに持っていくまでは曲は存在しないと思うし、少なくとも完成したとは言えないと思うよ。ライヴで演奏するのは曲が実際どういうものなのか確認するにはいちばんの経験になる。

ジェイミー:ライヴはとても重要だよ。でも、いまは自分たちモードをスタジオ作業にフォーカスしているのさ。

俺たちは本当に日本のファンがタイガーカブを聴いて、情報を更新して、自分たちとの旅の一部のように感じてくれることを願っているよ。(ジェイミー)

トム・ダルゲティとの仕事はどうでしたか?

ジェイミー:彼はとても親しい友人であり、素晴らしいエンジニアでもあり、グレイトなレコードを何枚も作っていて、いっしょに働くことで彼からはたくさんのことを学んだよ。

今作の録音やプロダクションにおいて、バンド側からとくに希望したことや意図などがあったら教えてください。

ジェイミー:日本で今作を出すことで、まずやりたかったのは自分たちのバック・カタログを紹介したかったんだ。UKで活動して、いまの地位に落ち着くまでに1年以上かかったし、ちょうどストーリーができたように思うしね。俺たちは本当に日本のファンがタイガーカブを聴いて、情報を更新して、自分たちとの旅の一部のように感じてくれることを願っているよ。

タイガーカブというバンド名の由来は?

ジェイミー:純粋に偶然の思いつきだよ。俺たちの音に合う名前だと思ったんだ。

同世代で共感できるアーティストを教えてください。

ジェイミー:ザ・ウィッチズ、ロイヤル・ブラッド、TRAAMS

音楽をやっていなかったら何をやっていたと思います? また、もともとからミュージシャンになるのが夢だったのですか?

ジェイミー:音楽をやっていない人生なんて想像できないね。自分にとっては避けられないことさ。

質問作成、文:橋元優歩(2015年9月01日)

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