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Interviews

interview with Asagaya Romantics

interview with Asagaya Romantics

キープ・ジュブナイル

──阿佐ヶ谷ロマンティクス、インタヴュー

取材・文:小林拓音    Mar 06,2017 UP

「僕」という一人称を使いながらもあえて感情がないようにするために三人称的に使いました。主人公を客観的にイメージして「僕」を使っているんですよ。極力、主観的な感情を排除した無機質な歌詞にしたつもりです。 (貴志)

リリックについてなのですが、アルバムのタイトルが『街の色』ということもあり、「街」で起こる小さな出来事やちょっとした出会いみたいなものを拾い上げてその「街」の風景を喚起させる、というのが基本的なスタンスかなと思いました。それで、歌詞には「僕」や「わたし」、「君」という人称が出てきますが、それらが三人称のように使われている印象を抱いたんですよね。このアルバムからは街の中にいる複数の「僕」や「わたし」が感じられたんです。そこは意識してやられたのでしょうか?

有坂:まさにですよね。

貴志:まさにですね。

有坂:このアルバムだと歌詞も貴志さんがけっこう書いていて。

貴志:“チョコレート”と“離ればなれ”は有坂が書いているんですけど、それ以外は私が書いています。たとえば“所縁”は、この曲はずっと1曲目にしようと決めていたので、ホーンやパーカッションを入れて演奏や音自体は華やかにしたつもりで、だけども自分の中では曲を作った時に少し後ろめたいというか寂しいというか、心が晴れやかにならない曖昧な気持ちがあって、それを入れたかったので、「僕」という一人称を使いながらもあえて感情がないようにするために三人称的に使いました。主人公を客観的にイメージして「僕」を使っているんですよ。極力、主観的な感情を排除した無機質な歌詞にしたつもりです。

普通は「わたし」という言葉を使うと、その言葉を発する人の強い個性が出る感じがすると思うのですが、「わたし」という言葉自体は全ての人が使えるので、実はかなり無個性な言葉なんですよね。このアルバムにはその無個性さが出ていると思いました。そういう無個性な「わたし」たちが行き交う場として「街」が呈示されているというか。ただ、その「わたし」たちは確かに無個性ではあるんですが、たとえば新宿や渋谷などのものすごく大量に人が行き交っている中での無個性というよりは、顔が見える無個性という印象を抱いたんです。だから『街の色』の「街」って、「シティ」というよりも「タウン」という感じがするんですね。それで、おそらくみなさんもある程度いまのシティポップの流れを意識されていると思うのですが、このアルバムにジャンル名をつけるとしたら「タウンポップ」という言葉がふさわしいのではないかと思いました。そこで改めて「阿佐ヶ谷ロマンティクス」というバンド名が気になったのですが、メンバーのみなさんは阿佐ヶ谷という場所に特別な思い入れがあるのでしょうか?

貴志:最初は私が佐藤タケシと、有坂は荊木や古谷と、それぞれがバラバラにバンドを組んでいて、そこにベースの小倉(裕矢)とキーボードの(堀)智史が入った時に、みんなで初めてちゃんと集まったのが阿佐ヶ谷だったんです。

古谷:いい街だよね。飲み屋もいっぱいあるし。でも住んではいないんですよね。

有坂:やっていきたい音楽のイメージと阿佐ヶ谷の街がピンと来たというか。

なるほど。「タウン」って中央線のどこかだろうなというイメージはあったんですが、中野でも高円寺でも荻窪でもなく、阿佐ヶ谷というチョイスは面白いなと思いました。

貴志:うまく言葉では言えないんですけど(笑)、中野は確かに違うというか。

古谷:なんでなんだろうね(笑)。中野は違うね。

有坂:中野は違う。

古谷:西荻窪は惜しい?

有坂:あー惜しい、惜しい(笑)。

貴志:西荻もいいなあ。

有坂:高円寺とかちょっとお洒落すぎだし。

貴志:さっきの「シティ」、「タウン」の話で言うと、高円寺は微妙なラインだけど、中野はシティな感じもするし……。

古谷:中野はちょっとギリ見えない感じがするよね。

貴志:阿佐ヶ谷の方が変な意味で雑踏というか、混沌としている。だから逆に個性がありふれていて、みんな違うベクトルで、でも同じ方を向いているんだけど、阿佐ヶ谷という箔というか……。

箔?

(一同笑)

貴志:同じ方向を向いているのに個性的というか。阿佐ヶ谷のイメージかあ……。

有坂:絶妙かなという感じですね(笑)。

古谷:同じ方向を向いているけど、阿佐ヶ谷という場所に収まっていることによって……、統一感が……。

貴志:地理的な問題もあるのかもしれないですけど、中野とかだと……。

古谷:なんでそんなに中野を(笑)。

貴志:中野がやっぱり説明しやすくて。

中里(A&R):高円寺はけっこうディープなイメージがありますよね。荻窪は街としてもちょっと大きいし大型施設もあったりするので、品があるイメージ。阿佐ヶ谷は確かにいちばん下町っぽくて、風情が残っていて絶妙な塩梅なんじゃないかなと。

貴志:(阿佐ヶ谷は)居酒屋街のところなんかは2、3階建てで家の高さがなくて街が低いのが良い(笑)、そういう意味でこぢんまりとしているというか、あの雰囲気がね。

古谷:あの雰囲気がいいっていう(笑)。

なるほど。ヒップホップのアーティストのように、地元をレペゼンする感じなのかなと思っていたのですが、どちらかと言うと外部から見たイメージなんですね。

貴志:そうですね。逆に客観的に阿佐ヶ谷を見たというか。

バンド名の後半は「ロマンティクス」ですよね。これにはどういった意味が込められているのでしょうか?

貴志:語呂が良かったんですよね。

古谷:漢字とカタカナってやっぱり語呂がいい感じじゃないですか。

貴志:あとはやりたい曲のイメージに合っているかなあと。最初に自分たちで「四季折々のロマンスに寄り添った(バンド)」ということで売り出したくらいなので(笑)

古谷:「キープ・ジュブナイル」という合言葉があって。

貴志:そういうイメージと「ロマンティクス」という言葉が合っていたんですよね。

Lampかな。 (貴志)
スピッツで(笑)! (有坂)
スラロビ説で(笑)。 (古谷)

今回ファースト・アルバムがリリースされましたが、こういうふうに一度パッケージになって音楽が世に出ていったら、本人たちが意識するかどうかは別にして、それは音楽の歴史に連なっていくものだと思います。もし阿佐ヶ谷ロマンティクスの音楽をどこかの文脈に位置づけなければならないとしたら、自分たちではどの系譜に属していると思いますか? たとえばはっぴいえんどだとか、フィッシュマンズだとか、あるいは一見ポップスに聴こえるけどマインドはドラヘヴィなんだぜとか。

貴志:Lampかな。必ずしもそのレールに乗るというわけではないですけど、Lampが好きで、曲のイメージとして多少意識しているところはありますね。あと、フィッシュマンズも少なからず(意識しています)。

古谷:たぶんメンバーそれぞれで見ているものが違うんじゃないかな。

貴志:みんな好きな音楽が全然違うので(笑)。

ではそれぞれお訊きしてもいいですか(笑)? まず貴志さん的には「阿佐ヶ谷ロマンティクスはLamp」ということで(笑)。

古谷&有坂:Lamp説(笑)。

貴志:Lampと、なんだろうね。あとは、ユニークスというロックステディのバンドがいるんですけど、完全にメロディが立ってゆったりとしているんです。そういう何度でも聴ける音楽が好きなので、自分としてはロックステディと日本の音楽がうまく交わるような音楽にしたいなと思っています。

有坂:私は気持ちよく歌えればいいというだけなので。

貴志:有坂は完全にスピッツだもんね。

有坂:あー、そうですね。

古谷:井上陽水じゃないの?

有坂:井上陽水も好き。趣味的にはスピッツとかが好きで、爽やかで聴きやすくて、でも音楽的に変な感じもありつつ。

スピッツは意外と変な曲も多いですもんね。

有坂:そうですね。歌詞もけっこう意味わかんないですし(笑)。だけど聴きやすくてみんなに愛されるみたいなところが(好きですね)。

なるほど、わかりました。有坂さん的には阿佐ヶ谷ロマンティクスは……、

有坂:スピッツで(笑)!

(一同笑)

古谷さんはどうでしょう?

古谷:何説か、どうしようかな(笑)。やっぱりビートがバック(寄り)で流れているのがいいですね。私はヒップホップがすごく好きなので。うーん、ドラヘヴィ説かな(笑)。じゃあ、むしろスラロビ(スライ&ロビー)説で(笑)。

古谷さん的には阿佐ヶ谷ロマンティクスはスラロビの系譜だと。そうなるとやはりデニス・ボーヴェル・リミックスはやるべきですね(笑)。

古谷:そうですね(笑)。たぶんリズムだけ聴くと阿佐ヶ谷ロマンティクスもけっこう変なことやっていると思うので。

ファースト・アルバムが1月に出たばかりですが、今後のご予定を教えてください。

古谷:レコ発が3月に2本ありまして。

貴志:3月4日に大阪で、18日に東京でやります。ほかに漠然と思っていることは、今年中にもう1枚EPか何かを出したいと思っていますね。曲は作っているので。

EPと言えばB面ですよね(笑)。

(一同笑)

古谷:デニス・ボーヴェル・リミックス……。

貴志:作っている感じだと、今のところこのアルバムよりはディープなサウンドになりそうですね。3拍子の曲もあったりして。

古谷:そうですね。(3拍子が)すごく楽しいです(笑)。

おー、それは聴いてみたいですね。それでは最後に、このアルバムの聴きどころを一言でお願いします。

貴志:(聴きどころは)コード進行とか(笑)。

有坂:ははは(笑)。これだけポップに、とか言っているのに(笑)。

貴志:あとはメロディの不安定さと、それにリンクした歌詞とか。それと……何かあります?

古谷:たぶん、何回か聴いたら「こんなことやってたんだ」という新たな発見がある1枚だと思います。何度も聴いて欲しいです!

阿佐ヶ谷ロマンティクス
LIVE情報

2017/3/4(Sat.)
『阿佐ヶ谷ロマンティクス"街の色" Release Party 大阪公演』
@大阪 artyard studio
OPEN 18:00 / START 18:30
ADV ¥2500
with/ 浦朋恵バンド / 本日休演 / 甫木元空(映画監督 / 短編映画上映) / IKEGAMI YORIYUKI(イラストレーター / 作品展示)

2017/3/18(Sat.)
『阿佐ヶ谷ロマンティクス"街の色" Release Party 東京公演』
@ TSUTAYA O-Nest
OPEN18:00 /START18:30
ADV ¥2500
With/ 入江陽と2017(NEW BAND) / Wanna-Gonna /IKEGAMI YORIYUKI(イラストレーター / 作品展示)

2017/4/12(Wed.)
DADARAY presents『DADAPLUS vol.1 ~Tokyo~』
@ 新代田FEVER
OPEN19:00 /START19:30
ADV ¥3000
With/ DADARAY

http://asagayaromantics.weebly.com/

取材・文:小林拓音(2017年3月06日)

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Profile

小林拓音/Takune Kobayashi
1984年生まれ、東京在住。ライター、編集見習い。これからいろいろやっていく予定です。

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