「Bjork」と一致するもの

 まるでプラトンの「洞窟の寓話」みたいだ。男性優位にもとづいた家父長的な観念の数々が何千年ものあいだ女性の経験をかたちづくってきたために、その外でシスターフッドを概念化することは難しいし、ましてそれを定義することは難しい。
 いずれにせよ私は、フェミニズムがこんにち辿りついている地点を疑わしく思っている。いうまでもないことだが、たとえば日本とアメリカのあいだにある社会的・文化的なニュアンスの違いは、結果として女性の行為についての異なる基準を生みだすことになる——つまりジュディス・バトラーが述べたとおり、「ジェンダー[役割の数々]は行為遂行的なものであり[……それらが]行為されるかぎりにおいて実在する*2」ものなのだ。だけどけっきょくのところいま、ニューヨークから東京まで、誰もが同じ経験をしている。つまりいま現在のフェミニズムのなかでは、女性にたいする抑圧のメカニズムそのものが、私たちをエンパワーするための鍵としてブランド化されてしまっているのである。 
 とはいえ、10年たらず前まで、フェミニズムは刺激的な危険地帯に身を置いていた。#Metooの示した展望のあとで、いったい私たちは、どうしてこんなところに辿りついてしまったのだろうか?
 そのピークにおいて#Metooは、——そもそも女を支配し沈黙させる性質をもつ家父長的な管理が、原初的なかたちをとってあらわれたものである——性的暴行の証言とともに、有名無名を問わない女たちを公の場へと連れだした。2000年代初頭にこの運動を開始したとされるタラナ・バークの言葉を引用するなら、「”Me too”はたった二語で十分だった。(……)暴力は暴力である。トラウマはトラウマだ。だけど私たちはそれを軽んじるように教えこまれ、子供の遊びのようなものだと考えるようにさえ教えこまれている」
 だけどミュージシャンたち——つまり明確に社会のサウンドスケープを形成している者たち——は、2010年代なかばの絶頂期のさなかで、奇妙なほど沈黙したままだった。とはいえ、少数の女性たちが名乗り出たことは賞賛されるべきだろう。なかでもとくに挙げられるのは、虐待を受けたマネージャーにたいする10年以上に及ぶ訴訟につい最近決着をつけたばかりのケシャや、レディー・ガガビョークテイラー・スイフトなどの名前だ。とはいえしかし、こんにちのフェミニズムをより生産的な方向へと導きうる道しるべは、まさにいま現在ポップ・ミュージックのなかに身を置いている女性たちをより深く掘り下げてみることによって与えられる。

もうひとつの“F”ワード
——いったいいま誰がフェミニストになることを望んでいるのか?

 スキャンダラスな——いやむしろ虐待的な——男性ミュージシャンたちは、実質的にひとつの原型になっている。長い間彼らには、その行動にたいするフリーパスが与えられてきたのだ。マイケル・ジャクソンは金目当ての子供たちに性的虐待なんかしていない。たしかにデイヴィッド・ボウイは14才の「グルーピーの子供」とセックスしたが、彼女は自分からその状況を招いたのだ。だとしても、ではあの悪名高いレッド・ツェッペリンのサメ事件はどうなのか? いずれにせよいつも、「男ってのは困ったもんだ」で済まされるのだ。カニエ・ウエストでさえ擁護者を抱えている。YouTubeのコメント欄をざっと見てみると、敬虔なイーザス信者の軍勢がいることが見えてくる。なかでもとくに、以下のような悲痛なコメントは、こちらをノスタルジーというボディーブローで連打してくる。「カニエは『Graduation』を作った。『Graduation』を作った。『Graduation』を作ったんだ!」*3
 どうやら男たちの場合、アーティストと彼の作るアートは、つねに切り離すことが可能らしい。
 だがしかし、女たちの場合はどうだろう?
 人類学者のルース・ベハーは『Women Writing Culture』において、あえて発言する女たちに突きつけられる期待をあきらかにしながら、「女たちが書くとき、世界は見張っている*4」と警句めかして書いている。女性ミュージシャンたちもまた、その発言にかんして——文字どおりそれを注視するような——同様の圧力に直面している。よく知られているとおりだが、シネイド・オコナーが教皇の写真を破った直後にキャンセルされたことを思いだしておこう。より最近の例として、ラッパーのアジーリア・バンクスは、楽曲よりもそのスキャンダルで有名になっている。また誰もが覚えているとおり日本では、AKB48のメンバーが、ボーイフレンドと夜を共にするというとんでもない犯罪——嗚呼!——を犯したために、頭を丸め、公に謝罪したのだった。
 悲しいことに#Metooは、たった数年で頓挫しだしたが、おそらくそれは、不幸にも性的暴行とコミュニケーション不足が結びつけられていったからだろう。2022年になるとハリウッドは、配偶者からの虐待を主張して彼の「名誉を毀損」した元妻アンバー・ハードとの訴訟に勝ったジョニー・デップを、やさしく諸手を広げて受け入れた。#Metooのあとで、私たちに伝えられているメッセージはこれまで以上にはっきりしたものになった。私たち女は、火あぶりにならないよう目立つようなことはしないのが一番なのだ。
 当初は#Metooや、ジョー・バイデンにたいする性的暴行の申し立てを支持していたレディーガガが、にもかかわらず大統領就任式で歌うことになったのは、きっとそうした圧力があったからなのだろう。だがこのことはむしろ、アメリカの(そして他の後期資本主義社会の)政治が激しく分岐していることの証明なのかもしれない。「すべての女たちを信じる」[#Metoo運動のなかで生まれたスローガン”Belive women”の派生系。ハラスメントや暴行の申し立てをまずは信じることを主張する]——なるほどね、だけどそうすることが政治的に不都合じゃないかぎり、でしょ?
 またおそらく——以前は自身がフェミニストであることを宣言する光り輝く巨大な電飾の前でパフォーマンスをしていた——ビヨンセが、女性問題にたいする公然としたサポートをやめたのは、#Metooのあとで、もはや社会の同意が得られなくなったからなのだろう。
 あるいはまた、おそらくこのことは、あの業界の寵児について、そう、テイラー・スウィフトその人について説明するものでもあるはずだ。私は自分が「スウィフティー[Swiftie:スウィフトのファンの通称]」だとは思わないし、スフィフトが——フェミニスト的な立場を主張していたのに——カニエ・ウエストの「Famous」のなかの悪名高い歌詞(自分とスウィフトは「まだセックスしてるかもしれない」というもの)を[発表前に知っていながら]知らないふりをしていたことを、[カニエの元妻の]キム・カーダシアンが暴露したときは、真剣に眉をひそめもした。しかしキャリアがスタートに見られたコンプライアンスを重視するその公的な人格は、結果として彼女のファン層(とその経済的自由)を築きあげ、そして最終的には、いまいる場所まで彼女を辿りつかせることになった。こうして彼女はいま、倫理的な理由でSpotifyから楽曲を取り下げたり、最初の6枚のアルバムを自身のアーティストとしてのヴィジョンに合うように再録したり、摂食障害について率直に語ったりしているわけである。
 だからこそ、キム・カーダシアンには[SNS上で]すぐに捕まったとはいえ、スポットライトの外で一年を過ごしたすえに18キロも痩せて帰ってきながら、歴史に残るカムバック・アルバム『Reputation』であからさまに中指を突き立て、次のように歌っていた頃のテイラー・スウィフトこそが、私は大好きなのだ。「私は誰も信じないし、誰も私を信じない。私はあなたの悪夢の主演女優になってやる」  あれこそが最高(バッドアス)だった。

女の性の力

 #Metoo以降、他に何が起きたのかを考えてみよう。グローバル経済は着実に下降している。アメリカ人たちは2008年の破綻以降いまだにふらついたままだ。一方で日本では、バブル崩壊以後の終わりのない不況が、長い戦後史上でも最低の円安を招いている。またコロナ禍以降、インフレによって貧富を分けるうんざりするような隔たりが世界中で広がっている。
 苦境にあえぐ経済は、同じ立場で男が1ドル稼ぐあいだ、こんにちにいたってもいまだに77セントしか稼げていない女たちにとって、とくに深刻な含意をもっている。そうした状況がある以上、セックス・ワークが——なかでもOnlyfans[ファンクラブ型のSNS]のような界隈のなかや、「シュガー・ベイビーズ」というかたちでおこなわれるそれが——これまで以上に魅力的なものに見えているのも当然だといえる。『Harper’s Bazaar』誌でさえもが、カーディ・Bがストリッパーだったことを梃子にして登りつめたことを「シンデレラ・ストーリー」だと表現するくらいだ。
 「WAP」で共演しているメーガン・ザ・スタリオンは自身のリリックのなかで、ごくシンプルに、「この濡れたマンコにキスしたいなら学費を払ってよ」と歌っている。
 カーディ・Bのブランドになっている、いわゆる「売女ラップ[slut rap]」の土台には、当時としては革命的だった1990年代の遺産が横たわっている。リル・キムの“How Many Kicks”やキアの“My Neck, My Back (Lick It)”といった曲が、その当時のヒップホップの場を地ならしし、女たちも、異性をモノのように扱うことで悪名高い男たち——私がここで思い浮かべているのはスヌープ・ドッグの“Bitches Ain’t Shit”やジェイ・Zの“Big Pimpin’”のような曲だ——に肩を並べることができるようにしたのは疑いないことだ。
 だがけっきょくのところ売女ラップは、男性の眼差し(メイルゲイズ)からの持続的な解放にはいたらなかったと言えるのではないだろうか? 私は何もここで、女性のセクシュアリティや、「世界最古の職業」(このこと自体、女の「選択」よりも男の欲望の方が優先されてきたことの例だが)を侮辱しようというつもりはない。そうではなく——とくに女性のセクシュアリティの表象がどんどんと男性の眼差し(メイルゲイズ)におもねったものになっている状況のなかにおいて——こんにちのフェミニズムが、そうした選択は女性たちをエンパワーするものだと主張していることに疑問を投げかけたいのだ。もちろん、少なくともエルヴィス以来ずっと、ポップスターたちは自身のセクシュアリティを資本化してきたわけだが、ガールパワーを伝えるものだったローリン・ヒルの“Doo-Wop (That Thing)”やシャナイア・トゥエインの“Any Man of Mine”、ノー・ダウトの“Just a Girl”といった90年代のヒット曲は、“WAP”を隣に置かれると、まったくもって禁欲的なものに見えるてくる。
 つまり私たちのもとにはいま、男性ミュージシャンにたいして、何でもいいがたとえば、「バカなことするのはやめて」と頼みこむ代わりに、その先には袋小路しかない「性的エンパワーメント」なるものへと向かう道をどんどんと突き進んでいく女性のポップスターたち——しかも男性プロデューサーからなるチームに指導された*5女性ポップスターたち——がいるのだ。ドレイクが自身[と21サヴェージ]のアルバム『Her Loss』のなかでフェミニズムに言及しているのは、よく言えば自分で自分に鞭を打っているようなものだが——ああ、クソッ、俺は悪いビッチたちに惑わされた善人だ、というわけである——、悪く言えば人を侮辱するたぐいのものだ。「お前らのために50万ドル遣ってやるぜビッチ、おれはフェミニストだ」といったリリックによってドレイクは、男性の眼差し(メイルゲイズ)の外に自分たちのための価値を見いだそうとしてもがく女たちを嘲笑っている。だがそのことと、“WAP”の待望された続編である“Bongos”——そのMVのなかでは、Tバックを履いた二人のラッパーがセックスの真似をしながら、「ビッチ、私はお金そのものみたいにイケてる/私の顔をドル札を印刷したっていい/太鼓みたいにコイツを叩いてみたらどう?」とラップしている——とのあいだに違いがあるとした場合、けっきょくのところそれは、後者においては、女が主導権を握っているという点に求められることになるだろうか?
 たしかに、ポン引きに食い物にされるより、自分自身がポン引きになる方がいいだろうが、だが真剣に考えてみてほしい、はたしてそれだけが私たちの選択肢だといえるのだろうか?
 #Metoo以降メディアがどう変わったか(あるいは変わっていないか)を見ていると、私たちは完全に論点を見失っているのではないかと思えてくる。言っておくが、私はカーディ・Bのメディア上での人格が好きだ。彼女はクレバーでふてぶてしく、現代にとって決定的なものである経済的な戦いも上手くこなしている。彼女もまた最高(バッドアス)だ。だから我がシスターたちの一部とは違った考えをもっていることになるかもしれないが、とはいえ私は、ファミニズムを苦しめる内輪揉めに加わるつもりはまったくない(また平等を求めるその他の運動に加わるつもりもまったくない——この点については、次のように書くなかでシモーヌ・ド・ボーヴォワールが見事に要約しているとおりだ。「女たちの翼は切り取られている、その上で彼女は、飛び方を知らないといって責められる*6」)。プラトンの寓話の洞窟に捕らえられたあの魂のように、私たちにとって真の平等を概念化することは難しい。
 だけど、ねえ(メン)*7——カーディ・Bがあの素晴らしい声を何か他のことを言うために使ったとしたらどう思う? 
 けっきょくのところ性的暴行とは、不平等にもとづくより広範なシステムの悲劇的なあらわれなのであり、このシステムにおいて女たちは、男の期待によって拘束されつづけている。男たちに私たちの価値を定義するように頼っているかぎり、私たちの価値はあくまで、特定の(セックス)にかかっていることになる。つまり、男の喜びに向けて調整された(セックス)に。
 だがひどいセックスと同じで、そんなことはただ退屈なだけだ。

【プロフィール】
ジリアン・マーシャル/Jillian Marshall

ジリアン・マーシャル博士は、現在ニューヨークを拠点に活動しているライター、教育者、ミュージシャン。初の著作『JAPANTHEM: Counter-Cultural Experiences, Cross-Cultural Remixes』 (Three Rooms Press: 2022)は、日本の伝統音楽、ポピュラー音楽、アンダーグラウンド音楽にたいする民族音楽的研究にもとづき、大学と公共圏を架橋している。博士号取得後にアカデミアを去ったが、その理由のひとつは、同僚たちからその半分もまともに受け取れないのに、彼らの二倍も努力するのに嫌気がさしたからである。https://wynndaquarius.net/

◆注

  • 1 [訳注:原題にある”hot take”とは、大方の予想とは異なる見方を強く示すことで、受け手の積極的な反応を引き出す一種のレトリックのこと。もともとはスポーツ・ジャーナリズムで用いられた言葉だが、SNS上で一般化した。日本語の語感としては「逆張り」にも近いが、もっぱらネガティヴな面が強調されてしまう点で本稿のもつ自覚的な戦略性にはそぐわないため、ここでは、カナによる音写で多義性を残しつつ、直訳的に訳した]
  • 2 Judith Butler, “Performative Acts and Gender Constitution: An Essay in Phenomenology and Feminist Theory,” in Performing Feminisms: Feminist Critical Theory and Theatre, ed. Sue-Ellen Case (Baltimore: Johns Hopkins University Press, 1990), 278.
  • 3 はぁ。冗談ではなく私は、本当に昔のカニエが恋しい。
  • 4 Ruth Behar, Women Writing Culture, ed. Ruth Behar and Deborah Gordon (Berkeley: university of California Press, 1995), 32.
  • 5 カーディ・Bとメーガン・ザ・スタリオンは、自分たち以外の6人と作詞のクレジットを共有している——そのいずれもが男性だ。
  • 6 Simone de Beauvoir, The Second Sex (New York: Vintage, 1989), 250.
  • 7 [訳注:英語では、性差を問わず誰かに呼びかけるさいの言葉として”man”が用いられるが、ここではそのことが、言語そのものに刻まれた男性優位の例として強調されている。]

なお、本コラムの第二回目(2010年代のカニエ・ウェスト)は、年末号のエレキングに掲載される。

Musicological Hot Take: Pop Music Post-#MeToo By Jillian Marshall, PhD

It’s like Plato’s “Allegory of the Cave": because patriarchal notions of male superiority have shaped the female experience for millennia, it’s hard to conceptualize —let alone define — womanhood outside of it.
Nevertheless, I find myself wondering about where feminism has ended up today. Of course, socio-cultural nuances between, say, Japan and the US create different standards of the feminine performance — and, as Judith Butler wrote, “Gender [roles] are performative… and are real only to the extent that [they] are performed.”*1 But in the end, it’s the same story from New York to Tokyo: in contemporary feminism, the mechanisms of women’s oppression are now branded as the keys to our empowerment.
Yet not even ten years ago, feminism was perched at an exciting precipice. So, how did we end up here after the promise of #Metoo?
At its peak, #MeToo brought forward women of both stature and obscurity with stories of sexual assault: a primary manifestation of patriarchal control that, by its nature, dominates and silences women. Quoting Tarana Burke, who is credited with starting the movement in the early 2000s, “‘Me too’ was just two words… Violence is violence. Trauma is trauma. And we are taught to downplay it, even think about it as chid’s play.”
Yet musicians — those who explicitly shape society’s soundscape— remained curiously silent during #MeToo’s height in the mid-2010s. Perhaps it should be celebrated that only a handful of women came forward with stories: notably KE$HA, who only recently settled a decade-plus lawsuit against her abusive manager, as well as Lady Gaga, Bjork, and Taylor Swift. But a deeper inquiry into women in pop music today provides a roadmap that could guide contemporary feminism toward a more productive direction.

The Other “F” Word: Who Wants to Be a Feminist, Anyway?

Scandalous — nay, abusive — male musicians are practically an archetype, and they’ve long been awarded free passes on their behavior. Michael Jackson didn’t sexually abuse those gold-digging children. Sure, David Bowie had sex with a fourteen-year-old “baby groupie,” but she put herself in that position. And that infamous shark incident with Led Zeppelin? Well, boys will be boys. Even Kanye West has his apologists: a quick look at YouTube comments reveals legions of faithful Yeezus devotees. One lament in particular hits me with a nostalgic gut punch: “He made Graduation. He made Graduation. He made Graduation!” *2
With men, we can always seem to separate the art from the artist.
But women?
In Women Writing Culture, anthropologist Ruth Behar quipped that “When women write, the world watches,”*3 articulating the expectations thrusted upon women who dare speak up. Female musicians face similar pressures regarding their voices— literally. Consider how Sinead O’Connor was famously cancelled for ripping up a photo of the Pope before cancellation itself. More recently, rapper Azalea Banks is more famous for her scandals than her songs. And in Japan, we all remember when the AKB48 member who shaved her head and publicly apologized for the egregious crime of — gasp! — spending the night with her boyfriend.
Sadly, #MeToo began fizzling out just a few years in, perhaps due to unfortunate conflations of sexual assault with poor communication. By 2022, Hollywood opened its loving arms to Johnny Depp following his victorious lawsuit against ex-wife Amber Heard, who “defamed” him with claims of spousal abuse. Post #MeToo, the message is clearer than ever: we women best stay in line, lest we burn at the stake.
So maybe this explicit pressure explains how Lady Gaga, despite her initial support for #MeToo and the sexual assault against allegations against Joe Biden, sang at his 2021 presidential inauguration ceremony. But this might be more of a testament to the bitter bifurcation of American (and other late-capitalist societal) politics. “Believe all women”— unless it’s politically inconvenient to do so, right?
And maybe Beyonce— who once performed in front of that giant, glowing sign declaring herself a FEMINIST — dropped her overt support of women’s issues because, post-#MeToo, societal permission was no longer granted.
Or maybe this all explains the industry’s darling: yes, Taylor Swift herself. Now, I’m not exactly a “Swiftie,” and I raised a serious eyebrow when Kim Kardashian revealed that she feigned ignorance — while claiming a feminist stance, no less — regarding Kanye West’s infamous lyric about how he and she “might still have sex” in his song “Famous.” But Swift’s compliant public persona at the start of her career is what built up her fan base (and financial freedom) to ultimately arrive where she is now: pulling her catalog from Spotify for ethical reasons, re-recording her first six albums to fit her artistic vision, and speaking candidly about her eating disorder.
And though Kim Kardashian caught her red-handed, I love that Taylor Swift came back forty pounds healthier and a year out of the spotlight later, middle fingers blazing on a come-back album for the ages, Reputation, singing: “I don’t trust nobody and nobody trusts me. I’ll be the actress starring in your bad dreams.” Badass.

The Power of Female Sex

Let’s consider what else has happened since #MeToo: the steady downturn of the global economy. Americans are still reeling from the crash of 2008; meanwhile, an endless post-Bubble recession in Japan has weakened the yen to its lowest value in the long postwar. And since coronavirus, inflation cleaves a disheartening chasm across the globe between the rich and poor.
The implications of a struggling economy are particularly grave for women who, to this day, still earn just 77 cents for every dollar made by men in identical positions. So it makes sense that sex work, especially in spheres like OnlyFans or as “sugar babies,” holds seemingly more appeal than ever. Cardi B’s upward mobility, leveraged by stripping, is even described by Harper’s Bazaar as a “Cinderella Story.”
“WAP”-collaborator Megan Thee Stallion puts it succinctly with her line, “Pay my tuition just to kiss me on this wet ass pussy.”
Cardi B’s brand of so-called “slut rap” builds on a legacy from the 1990s that was revolutionary for its time. There’s no doubt that Lil Kim’s “How Many Kicks” and Khia’s “My Neck, My Back (Lick It)” leveled the hip-hop playing field for a time, enabling women to keep up with boys notorious for their objectification of the opposite sex (Snoop Dawg’s “Bitches Ain’t Shit” comes to mind, along with Jay-Z’s “Big Pimpin’”).
But can we finally admit that slut rap didn’t impart lasting liberation from the Male Gaze? I don’t mean to shame female sexuality or the “world’s oldest profession” (itself a commentary on the prioritization of male desire more than female “choice”), but to question contemporary feminism’s insistence this choice is inherently empowering— particularly as representations of women’s sexuality increasingly pander to the Male Gaze. Of course, pop stars since at least as far back as Elvis have capitalized on their sexuality, but the 90s girl-power messaging of Lauryn Hill’s “Doo-Wop (That Thing),” Shania Twain’s “Any Man of Mine,” or No Doubt’s “Just a Girl” appear downright puritanical next to “WAP.”
So rather than imploring male musicians to, I don’t know, stop being assholes, instead we have female pop stars — coached by a team of male producers*4 — marching further down a dead-end road toward “sexual empowerment.” We can all agree that Drake’s nods to feminism on his album Her Loss, is self-flaggelating at best — aw, shucks, just a good guy led astray by bad bitches — and insulting at worst. With lyrics like “I blow half a million on you hoes, I’m a feminist,” Drake makes a mockery of women’s struggle to find worth for themselves outside the Male Gaze. But when the purported difference between this and “WAP”’s much-anticipated follow-up, “Bongos” — whose video features the two rappers in thongs, simulating sex, rapping “Bitch, I look like money / You could print my face on a dollar / Better beat this shit like a drum?” — is that, here, the women are in control?
Sure, I suppose being your own pimp is better than being pimped, but seriously: these are the options?
Seeing how things have (or haven’t) changed in media since #MeToo leaves me wondering if we’ve missed the point altogether. For the record, I like Cardi B’s media personality: she’s clever, unapologetic, and in tune with the economic struggles definitive of our times. She, too, is a badass, so while I might have differing ideas on feminism from some of my sisters, I’ll never participate in the infighting that plagues feminism (and any other movement for equality_, which Simone de Beauvoir eloquently summed up when she wrote, “Women’s wings are clipped, and then she’s blamed for not knowing how to fly.”*5 Like those souls trapped in Plato’s allegorical cave, it’s hard for us ladies to conceptualize true equality.
But man — can you imagine if Cardi B used that incredible voice of hers to say something else? Ultimately, sexual assault is a tragic symptom of a broader system of inequality, where women are imprisoned by male expectation. When we look to men — themselves increasingly socialized by pornography and violence — to define our value, our worth hinges upon a particular kind of sex: one geared toward male pleasure. Like bad sex itself, it’s all just so boring.

  • 1 Judith Butler, “Performative Acts and Gender Constitution: An Essay in Phenomenology and Feminist Theory,” in Performing Feminisms: Feminist Critical Theory and Theatre, ed. Sue-Ellen Case (Baltimore: Johns Hopkins University Press, 1990), 278.
  • 2 Sigh. I really do miss the Old Kanye.
  • 3 Ruth Behar, Women Writing Culture, ed. Ruth Behar and Deborah Gordon (Berkeley: university of California Press, 1995), 32.
  • 4 Cardi B and Megan Thee Stallion share writing credits on “Bongos” with six others— all men.
  • 5 Simone de Beauvoir, The Second Sex (New York: Vintage, 1989), 250.

Author Bio

Jillian Marshall, PhD, is a writer, educator, and musician currently based in Brooklyn New York. Her first book, JAPANTHEM: Counter-Cultural Experiences, Cross-Cultural Remixes (Three Rooms Press: 2022) draws on her ethnomusicological research on Japan’s traditional, popular, underground music worlds, and bridges the university and the public sphere. She left academia following the completion of her doctorate, in part because she was tired of working twice as hard to be taken half as seriously by her colleagues.

Jitwam - ele-king

 ムーディマンによる素晴らしいミックス『DJ-Kicks』を覚えているだろうか。そこで4曲目につながれていたのがジタム(Jitwam)のトラックだった。
 インドに生を受け、オーストラリアで育ち、ロンドンでエレクトロニック・ミュージックと出会い、現在は(おそらく)ニューヨークを拠点にしているこのコスモポリタンは、すでに3枚のアルバムを送りだす一方、ララージエマ=ジーン・サックレイなどのリミックスをこなしてもいる。ソウルフルでジャジーなダンス・ミュージックを展開する、注目のプロデューサーだ。
 そんなジタムの来日ツアーがアナウンスされている。3月17日から31日にかけ、東京Circusを皮切りに、大阪・京都・広島・金沢・名古屋の6都市を巡回。次世代を担うだろうプロデューサーのプレイを目撃するまたとないチャンス、予定を空けておきましょう。

「インド発、ニューヨーク経由。ネクスト・ネオソウル & ダンスミュージックの新鋭Jitwam来日ツアー!」
インド、アッサム州にルーツを持ち、音楽活動をロンドン、ニューヨーク、そしてメルボルンなどで展開。ビートメーカー、ギタリスト、シンガー、DJとマルチな才能を発揮している。ある人は彼の音楽をジミヘン(Jimi Hendrix)と、ある人はJ Dillaのよう、そしてある人はMoodymann、と聴くにとって多彩な印象を与える彼の独創的なスタイルはジャンルを超えて多くのオーディエンスを魅了。自らのプロデュースに限らず、音楽レーベル「The Jazz Diaries」のファウンダーの1人でもあり、ロンドンを拠点とするアート集団およびレーベル「Chalo」の設立を支援するなど、現在の南アジア音楽シーンの新たなリーダーとしても注目されており、昨年、満を持して3枚目のアルバム「Third」を発表。そんな今が間違いなく「旬」なJitwamの6都市を結ぶジャパンツアーが決定。各都市の個性的なローカルアーティスト達との化学反応を見逃すな。

Jitwam Japan Tour 2023
3/17(金) 東京 Circus Tokyo
https://circus-tokyo.jp/event/eureka-with-jitwam/
3/18(土) 大阪 Circus Osaka
https://circus-osaka.com/event/jitwam/
3/20(月) 京都 Metro
https://www.metro.ne.jp/schedule/230320/
3/24(金) 広島 音楽食堂ONDO
https://www.ongakushokudoondo.com/
3/25(土) 金沢 香林坊Trill
https://www.instagram.com/trill/
3/31(金) 名古屋 club JB’s
http://www.club-jbs.jp/pickup.php?year=2023&month=3&day=31

Jitwam profile
Jitwamにとって、自身の音楽キャリアは常に運命と共にある。彼が最初に購入したたった2ドルのホワイトレーベルのレコードが、Moodymannのトラックであり、それを見つけたのが、まさしく彼の音楽がMoodymannのDJ Kicksコンピレーションにフィーチャーされたのとほぼ同時期だった。インドのアッサム州グワハティで生まれたJitwamは、両親と共にオーストラリアに移住。郊外で育った彼は、The Avalanches、Gerling、Sleepy Jacksonなどのバンドの影響を受け、ギターを弾き、キーボードのレッスンを受け、14歳で曲を書き始めることになる。その後、南アフリカやタイ、そして自身の故郷であるインドなどを転々と移り住み、次に流れ着いたロンドンでエレクトロニックミュージックの洗礼を受ける。そこでの生活の中で、彼が育ったロックの影響を織り交ぜ、Jitwamの代名詞でもある、様々なジャンルを内包したタイトでメロディックな作品へと融合させることを可能にした。その後ニューヨークに移り住み彼のキャリアは一気に前進。2017年に自身のファーストアルバム「ज़ितम सिहँ (selftitled)」を皮切りに、続く2019年にはセカンドアルバム「Honeycomb」をリリース。この作品について彼は「Jimi HendrixやJ Dilla、Moodymann、RD Burman、Bjork… 彼らはまさに自分だけの世界観を作り上げていて、僕も自分自身の音楽で同じようなことを成し遂げたいんだ。『Honeycomb』はロックンロールがソウルと出会い、ブルースがテクノを歌い、ジャズはどんなものにでも変容する世界なんだよ」と語っている。またJitwamは音楽レーベル「The Jazz Diaries」のファウンダーの1人でもあり、ロンドンを拠点とするアート集団およびレーベル「Chalo」の設立を支援するなど、現在の南アジア音楽シーンの新たなリーダーとしても注目されている。そして2022年には満を持して3枚目のアルバム「Third」を発表。数多くの運命に導かれながら多様な土地で吸収した音楽を、新たな高みへと昇華させている。

Soundcloud: https://soundcloud.com/jitwam
Instagram: https://www.instagram.com/jitwam/

Dirty Projectors + Björk - ele-king

 00年代ブルックリンを代表するバンド=ダーティ・プロジェクターズと、ビョークによるコラボEP「Mount Wittenberg Orca」が13年の時を経て蘇ることとなった。DPにとっては代表作『Bitte Orca』(2009)を出したころで、ノりにノっている時期。ビョークにとっては『Volta』(2007)と『Biophilia』(2011)のあいだのタイミングに当たる。巧みなコーラス・ワークを聴かせるDPとビョークの特異なヴォーカルがみごとに融合したポップかつ実験的な名作だが、新装版にはなんと20曲もの未発表音源が追加されるという。あの美しいハーモニーをもう一度、新しいかたちで楽しみたい。

Dirty Projectors + Bjork

ダーティー・プロジェクターズとビョークによる奇跡のコラボレーション作品が20曲の貴重な初出し音源を追加収録して新装盤『Mount Wittenberg Orca (Expanded Edition)』として4月28日にリリース決定!

09年4月にデイヴ・ロングストレス率いるダーティー・プロジェクターズとビョークがニューヨークで行ったチャリティ・コンサート用に書き下ろした7曲をスタジオ・ヴァージョンとして収録した奇跡のコラボレーション作品『Mount Wittenberg Orca』。2020年にデジタル配信され、2011年に〈Domino〉によってCD化された本作が、4月22日のレコード・ストア・デイに合わせて初LP化! また4月28日には日本限定で新装盤CDのリリースも決定! 新装盤には、20曲の貴重な初出し音源が追加収録される。

Dirty Projectors + Bjork - On and Ever Onward
https://youtu.be/qfLXxrJ0cZU

両者の交流は、2008年に発表されたビョークの2ndアルバム『ポスト』のトリビュート・アルバム『Enjoyed: A Tribute to Bjork's Post』にダーティー・プロジェクターズが参加し、ビョークがダーティー・プロジェクターズのヴォーカル・アレンジを気にいったことから始まったという。

オリジナル盤は、デイヴ・ロングストレスとビョークが、1500年代にオペラが生まれたイタリアの小劇場について話したことをきっかけに、マンハッタンの小さな書店「ハウジング・ワークス」にて、アンプなしでパフォーマンスをするために書き下ろされた7曲が収録されている。ドラムやギターは一切使用されず、ほとんど声だけで構成された本作は、どこか童話のようでもあり、不可思議な未来から届いた合唱曲のようでもある魅惑的な楽曲集であり、ダーティー・プロジェクターズのディスコグラフィーの中でも異彩を放つ名盤であると同時に、音楽家ビョークの底知れる才能を理解する上でも重要な作品と言える。ビョークの力強い歌声、デイヴ・ロングストレスのしゃがれたリード・ヴォーカル、ダーティー・プロジェクターズのメンバー、アンバー・コフマンとエンジェル・デラドゥーリアン、ヘイリー・デクルのコーラスが、驚くべきハーモニーを生み出している。3日間のリハーサルを経て、まるで50年代初期のロックンロールのようなシンプルかつダイレクトな形で録音され、オーバーダブはリードヴォーカルのみという特殊な制作方法も、本作に特別な魅力を加えている。

日本限定の新装盤CDには、オリジナルのスタジオ音源7曲に加え、2009年に「ハウジング・ワークス」にて披露された実際のライブ音源や、デモ音源、リハーサル音源などの全て初だしとなる未発表音源20曲を加えた全27曲収録の超豪華盤となる。今回の新装盤CDには、歌詞対訳と解説書が封入され、本作の魅力を最大限楽しめる内容となっている。

label: Domino
artist: Dirty Projectors + Bjork
title: Mount Wittenberg Orca (Expanded Edition)
国内盤CD release: 2023.04.28
輸入盤LP release: 2023.04.22 (RSD商品)

BEATINK.COM: https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=13297

tracklist:
国内盤CD
01. Ocean
02. On And Ever Onward
03. When The World Comes To An End
04. Beautiful Mother
05. Sharing Orb
06. No Embrace
07. All We Are
08. Intro (Live from Housing Works, 2009)
09. Ocean (Live from Housing Works, 2009)
10. On and Ever Onward (Live from Housing Works, 2009)
11. When The World Comes To An End (Live from Housing Works, 2009)
12. Beautiful Mother (Live from Housing Works, 2009)
13. Sharing Orb (Live from Housing Works, 2009)
14. No Embrace (Live from Housing Works, 2009)
15. All We Are (Live from Housing Works, 2009)
16. Wave Invocation (Inverness Demo I)
17. Motherwhale Song (Inverness Demo II)
18. Whale Watcher Song (Inverness Demo III)
19. Fugal Swim (Inverness Demo IV)
20. First Duet (Inverness Demo V)
21. Migration (Unfinished Inverness Demo)
22. Jubilation (Inverness Demo VI)
23. Benediction (Inverness Demo VII)
24. When the World Comes To An End (Freewrite)
25. When the World Comes To An End (Vocalise Rehearsal Rough)
26. Beautiful Mother (Vocalise Rehearsal Rough)
27. On and Ever Onward (Full Rehearsal Rough)

Björk - ele-king

 ビョークの傑作と誉れ高い『ホモジェニック』のなかのもっとも重要な曲、“Joga”については、これまで何度か書いてきた。当時の彼女はプライヴェートで想像を絶する苦難(ストーカーによる殺害未遂と自殺映像)があったため、ロンドンを離れスペインで録音し、故郷アイスランドを思い作ったその曲において、ぼくがとくに心奪われたのは同曲のMVである。海沿いの丘陵地帯や草原、地殻がずれてマグマが見える(*アイスランドは火山の国)広漠とした風景のなかにひとり立ちつくしているビョークは、映像の最後で、クローネンバーグよろしく胸の中央に開いた黒い穴をがっと広げ、しかしその穴のなかに人工物ではなくあらたにまた自然(島)を映し出す。言うなれば、自然と一体化したその様は、その後のビョークのコンセプトにおける重要な道筋となった。
 “Joga”は、ビョークの音楽性においてもひとつの出発点にもなっている。子どものころにクラシックを学んだ経験があるという彼女は、この時点でエレクトロニカとクラシックとの融合を試みているし、のちの名曲“All is Full of Love”にも繋がっている。近年で言えば、フルートと鳥のさえずりの前作『ユートピア』が、テーマ的にも音楽的にもまさにその傾向を強調した作品だった。アイスランドで制作された本作『フォソーラ』もまたしかり。

 先行で公開された“Atopos”の、グロテスク(*)なMVを見れば話が早い。きのこに触発されたビョークの10枚目のスタジオ録音盤は、クラリネットの重奏とバリ島のカバー・モードゥス・オペランディによるレゲトン風のビートではじまる。立体的で、位相に凝ったミキシングで、音響的にもユニークだ。“Ovule”では、トロンボーンのそよ風がベース・ミュージックと一体化する。それからビョークが自らの声をサンプリングし、変調させ、プログラミングした“Mycelia”があって、アイスランドの合唱団による“Sorrowful Soil(哀しみの土)”が続く。菌類から名付けられたという前者は、手法的にはジュリアナ・バーウィックを思い出すかもしれないが、曲の構成は変則的で、反復はせず菌糸のように絡み合い、しかも音数は少ない。後者は、ほんのわずかにベースが入るものの、ほとんど合唱のみで構成されている。つまり、手法も趣も異なった“声”による2曲が連なっていると。そして、その後に続くのは、本作の目玉のひとつ、贅沢な弦楽器の重奏を配置した“Ancestress(祖先)。クラシックとエレクトロニカの融合という観点でも見事だし、ビョークのヴォーカルはメロディアスで力強い。
 これら序盤の見せ場において、“Sorrowful Soil”と“Ancestress”の2曲には、環境活動家でもあった母の死に寄せた哀しみが関わっているという。と同時に、前作同様、ビョークの女性への思いが本作にも通底していることが仄めかされている。しかしながら、ビョークはリベラル主流派の代弁者ではない。ぼくがポップ・カルチャーに期待するのは、リベラル主流派さえもあきれかえるほどの異なる声だったりする。ぼくのような凡人には思いも寄らないような声を出すことは、監視し合い、萎縮した社会では難しかろうが、ビョークはいまもそれをやっているのだ。きのこになりきった彼女は、まさにウィアード(**)な存在で、彼女の音楽のなかにはオルフェウス的なるものがあることを確信させる。
 ギリシャ神話におけるオルフェウスはいわば古代の音楽家だが、動物や木々さえも魅了する特異な音楽家だった。そればかりか、死者を蘇らせることだって彼には可能だったのだ。ここから導き出せるひとつの見解は、音楽には人が思っている以上に何かものすごい力があるということで、オルフェウスはだから八つ裂きにされるのだった。のちに歴史上、多くの芸術家のモチーフとなったオルフェウスを、合理主義のなれの果てである今日の社会に対峙させることは、詩人の直感としては間違っていないだろう。
 異なる声は、我々のちっぽけな正義の臨界を超えたところから聞こえるものだ。『フォソーラ』は、これまでのビョークのカタログのなかでもっとも奇妙なアルバムで、ぼくの理解を超えている作品だ。気むずかしさはないが実験作だし、よくわからないが、もっていかれる。
 フルートと声の“Allow”は前作録音時の曲という話だが、本作のある種異様な流れのなかにしっかりハマっている。森のなかを彷徨う“Fungal City(きのこ都市)”に次いではじまる“Trölla-Gabba”では、前情報にあったガバのリズムが曲の終盤に少しだけ出てくる。ロッテルダム・ハードコアのようなサウンドをやるのかと早合点したのはぼくだけではないと思うけれど、そのリズムをマッチョの欠片もない菌類の世界で鳴らす試みは、まあ、面白いといえば面白い。タイトル曲ではやはり曲の終盤に、今度はより大胆にガバのリズムを鳴らしている。アルバムを締めくくる子守歌のような“Her Mother's House”では、本作のテーマである「母系制」を確認するかのように、19歳の娘といっしょに母について歌っている。とどのつまり彼女は、家父長制にはなんの未来がないことを念を押すように言いたいのだ。

 無神論者であるビョークはこの20年家族の礼拝にも出席せず、母親がニューエイジやスピリチュアルに心酔したときも逆らったと、ピッチフォークの最新インタヴュー記事(***)に書かれている。本作の詩的なるものも、決して論理性と相反するものではないとぼくは思っている。きのこ/菌糸類は本作におけるメタファーだというのが、すでに定説になっているが、それがなんのメタファーかといえば、答えはひとつではないし、リスナー各々が想像すればいいだろう。女性的な何かとリンクしているかもしれないし、より広義にしぶとい生命力であるとか、サイケデリックな扉かもしれないがただしこれは幻覚でも夢でもない。妖精物語でもファンタジーでもないし、クラブでもポップ・ソング集でもない。そんなように、いまひとつとらえどころがなく謎めいたこの作品には、だからこそ人間を人間たらしめているものが潜んでいるように思えてならないのだった。

(*)宣伝をかねていうと、現在絶賛作業中のマーク・フィッシャーの遺作となった『奇妙なものとぞっとするもの』の翻訳(訳者は五井健太郎)、同書においてフィッシャーは、ザ・フォール(マーク・E・スミス)を引き合いに出し、グロテスクなる言葉の意味について「古代ローマ期の人間や動物や植物が混ざりあった装飾的な模様」に由来すると説明している。

(**)さらにもう一発宣伝。『奇妙なものとぞっとするもの』とは「奇妙なもの」=「ウィアード(weird)なもの」とはいったい何なのかを彼の博覧強記をもって分析している本。12月2日刊行予定です。どうぞ、よろしくお願いします!!

(***)余談だが、このインタヴューで、ビョークが(『ストレンジャー・シングス』でリヴァイヴァルしている)ケイト・ブッシュへのシンパシーについて言及しているが、たしかにいま『Hounds of Love』を聴くと、同作が20年先を走っていたことを思い知らせれるし、最近のビョークにもっとも近しいアーティストのようにも思える。「ストレンジャー・シングス」で知った人も、聴いてみてください。

Björk - ele-king

 巡り巡って時代はまたビョーク(https://www.ele-king.net/news/008826/)なのか! 9月30日に世界同時発売が決定した『Fossora(フォソーラ)』から、アルバムの冒頭を飾る“Atopos”のヴィデオが公開されました。まずはこちらをどうぞ。


Björk
Fossora

One Little Independent/ビッグ・ナッシング
9月30日発売

■収録曲目:
1. atopos
2. ovule
3. mycelia
4. sorrowful soil
5. ancestress
6. fagurt er í fjörðum
7. victimhood
8. allow
9. fungal city
10. trölla-gabba
11. freefall
12. fossora
13. her mother’s house

どのアルバムも常にフィーリングから始まり
それを音にしようとする
今回、
そのフィーリングはランディング(着陸)
(前作『Utopia』は雲の中の島で、エレメント・エアでベースが無かった)
地上に降り立ち、地面に足を踏み入れる

それは、私はどのように「今」を経験するか、ということにも織り込まれている
今回は70億人が一緒におこなった
家に巣を作り、隔離され、
一つの場所に長く滞在し、根を下ろした

私の新しいアルバム『fossora』は、このことをテーマとしている
この言葉は私が作ったものだ
fossore(掘る人、掘られる人、掘る人)の女性語だ
つまり、「掘る人」(地中)という意味だ

サウンド的には、低音、ヘヴィーなボトムエンドが重要だ
6本のバス・クラリネットとパンチの効いたサブウーファーを使った

bergur þórisson、heba kadry
side project、el guincho、hamrahlíð choir、soraya nayyar、clarinet sextet murmuri、siggi string quartet ensemble、emilie nicolas、serpentwithfeetに感謝する
そして最後に、sindriとdóa

ビジュアルはviðar logi、james merry、m/m、nick knight、andy huang、edda、isshehungry、tomi、sayaka、sunna、sara、heimirが制作した

そして、私の忠実で素晴らしいチーム、derek、rosamary、catherine、chiara、hilma、móa

>>> https://www.instagram.com/p/Ch60RcftcDD/?utm_source=ig_web_copy_link

■ジャパン・オフィシャル・サイト:https://bignothing.net/björk.html

Björk - ele-king

 しかし、なんでいま“ガバ”なんでしょう。このところ気になっていたんです。例のThe Ephemeron Loopとその変名Petronn Spheneもそうだけど、話題のLady Neptuneなんか聴いてもガバじゃないかと。そういえば、以前yukinoiseも書いていたな。かといって自分はもうガバを聴く年齢でもないし……とか。で、ビョークの新作もガバだって???

 この、世界規模で影響力のあるアイスランドのアーティストにとって10枚目のスタジオ録音盤となるアルバムの内容が、ガーディアンの取材で少し明らかになった。見出しにいわく「いかにして、悲しみ、帰郷、そしてガバが彼女の新作を作ったのか」
 手短に言えば、コロナ禍で帰省中、自宅で「クレイジーなDJナイト」を開いたときにハードコア・レイヴ・サウンドに魅了されてしまったと。「地面に穴を掘るような」「きのこのアルバム」という新作には、ガバとトライバルを融合させるインドネシア人デュオ、Gabber Modus Operandiが参加していることも明らかにされている。
 なんにせよ楽しみだし、これで世界にガバが拡散されてしまうのかと思うと、なんだか変な気持ちになったりもする。2017年の『Utopia』以来のスタジオ・アルバム『Fossora』は、〈One Little Independent〉から秋に発売。

[8月25日追記]
 ビョークの来日公演が決定した。来年2023年の3月、東京と神戸で開催。どうやら上記の新作とは異なるコンセプトのようで、「オーケストラル」と題されたコンサートは、ビョーク+32人のオーケストラという編成。「コーニュコピ」と題されたほうは海外ではすでに披露されているもので、ステージ・デザイナー Chiara Stephenson やメディア・アーティスト Tobias Gremmler とのコラボレイションになっている模様。最新のビョークのステージ、ぜひ体験してみたいですね。

■orchestral(オーケストラル)

björkの肉声と32人のオーケストラだけで構成され、スピリチュアルな空間を創りだす。まさにbjörkの原点がここに在る。

tokyo march 20 (mon) 東京 ガーデンシアター
kobe march 25 (sat) 神戸ワールド記念ホール

■cornucopia(コーニュコピ)

Lucrecia MartelとBiörkが監督し、James Merryを共同演出として迎え入れ制作された作品で、2019年春、NYのThe Shed で行われたワールドプレミア公演にてその幕を開けた。ステージデザイナーのChiara Stephenson が編み出す環境デザインの中にメディア アーティストTobias Gremmler が創作するデジタルビジュアルデザインが映える。NY誌はこれを「街のステージを飾る最も素晴らしい光と音の展示」と呼び、The New Yorker誌は「ファンタジーを変遷するための武器」として表現したビョークを称賛した。Björk自身の音楽を今まで以上に深く掘り下げ追求したコーニュコピアが日本でも遂に披露される。

tokyo march 28 (tue) 東京 ガーデンシアター
tokyo march 31 (fri) 東京 ガーデンシアター

Japan official HP:https://smash-jpn.com/bjork2023
Info:SMASH(03-3444-6751)

Mykki Blanco - ele-king

 LAのラッパー、ミッキー・ブランコのニュー・アルバム『Stay Close To Music』が10月14日にリリースされる。プロデューサーは昨年のミニ・アルバム『Broken Hearts & Beauty Sleep』同様、フォルティDLが務めており、さまざまなジャンルからの影響を落とし込んだ1枚に仕上がっているようだ。ソウル・ウィリアムズ、アノーニケルシー・ルー、デヴェンドラ・バンハートにシガー・ロスのヨンシーなど、客演陣にも注目。

ラッパー/詩人/トレイルブレイザー、ミッキー・ブランコのニュー・アルバムが完成。
2021年のミニ・アルバム『ブロークン・ハーツ・アンド・ビューティ・スリープ』に続く自身2枚目のフル・アルバム『ステイ・クロース・トゥ・ミュージック』、トランスグレッシヴよりリリース。

●プロデュース:フォルティDL
●ゲスト:マイケル・スタイプ(R.E.M.)、ソウル・ウィリアムズ、アノーニ、ダイアナ・ゴードン、デヴェンドラ・バンハート、エメニケ、ヨンシー(シガー・ロス)他
アルバムより、「French Lessons」のビデオを公開。

★Mykki Blanco - French Lessons (Official Video) ft. Kelsey Lu
https://youtu.be/xTBlghQ7eJM

2022.10.14 ON SALE[世界同時発売]


■アーティスト:MYKKI BLANCO(ミッキー・ブランコ)
■タイトル:STAY CLOSE TO MUSIC(ステイ・クロース・トゥ・ミュージック)
■品番:TRANS580CDJ[CD/国内流通仕様]
■定価:未定
■その他:世界同時発売、解説付
■発売元:ビッグ・ナッシング/ウルトラ・ヴァイヴ
■収録曲目:
01. Pink Diamond Bezel
02. Steps (feat. Saul Williams and MNEK)
03. French Lessons (feat. ANOHNI and Kelsey Lu)
04. Ketamine (feat. Slug Christ)
05. Your Love Was A Gift (feat. Diana Gordon)
06. Family Ties (feat. Michael Stipe)
07. Your Feminism Is Not My Feminism (feat. Ah-Mer-Ah-Su)
08. Lucky
09. Interlude
10. Trust A Little Bit
11. You Will Find It (feat. Devendra Banhart)
12. Carry On (feat. Jónsi)

Your Love Was A Gift
https://youtu.be/yhEW4ViE_MQ?

Mykki Blanco - Family Ties (Official Video) ft. Michael Stipe
https://youtu.be/_KIFN6T-Xvg

●Mykki Blancoのニュー・アルバム『Stay Close To Music』は、これまでMykkiがリリースしてきた作品とは一線を画す。これは、Mykkiの芸術性に関してこれまで抱いていた思い込みを打ち砕き、Mykkiが自由に自らのサウンドを定義できるようにするアルバムだ。詩人、アーティスト、ミュージシャンのMykki Blancoは、その進化を通して、ジャンルを常に曖昧にしてきた。レイブ、トラップ、グランジ、パンクからの影響を、クィア/トランスとしての経験を称える実験的なヒップホップの渦の中に引き込んできたのである。今回、Mykkiは、自分たちの音の世界を一から創り上げたい、という結論に達し、プロデューサーでマルチインストゥルメンタリストのFaltyDLとコラボレート。豊かな生楽器による新しいサウンドスケープを思い描くことを可能にした。曲作りはリスボン、パリ、ニューヨーク、シカゴ、ロサンゼルスで行われ、数々のジャムセッションを通じて曲が作られていった。2019年までに、Mykkiは2つの異なるレコードを同時に制作していることに気付いた。1枚目は2021年の賞賛されたミニ・アルバム『Broken Hearts & Beauty Sleep』、2枚目は『Stay Close To Music』となった。『Stay Close To Music』には、Michael Stipe、Saul Williams、ANOHNI、Diana Gordon、Devendra Banhart、MNEK、Jónsi等がフィーチャリングされている。

●Mykki Blancoはアメリカのラッパー、詩人、パフォーマー、活動家だ。2012年にEP『Mykki Blanco & the Mutant Angels』でデビュー。『Betty Rubble: The Initiation』(2013年)、『Spring/Summer 2014』(2014年)と2枚のEPを経て、2016年9月にデビュー・アルバム『Mykki』をリリース。クィア・ラップ・シーンのパイオニアとして知られ、Kanye WestやTeyana Taylor等とコラボレート。MadonnaのMVへ出演し、Björkとツアーを行なったりもしている。2021年には5年振りとなるオフィシャル作品である9曲入りのミニ・アルバム『Broken Hearts & Beauty Sleep』をTransgressive Recordsよりリリース。スペシャル・ゲストとしてBlood Orange(Dev Hynes)、Big Freedia、Kari Faux、Jamila Woods、Jay Cue、Bruno Ribeiro等がフィーチャーされたこの新作は高い評価を博した。

■More info: https://bignothing.net/mykkiblanco.html

Mykki Blanco - ele-king

 現在はLAに暮らすラッパー、2010年代前半にいわゆるクィア・ラップの道を切り拓いた先駆者、ミッキー・ブランコが久しぶりに作品をドロップしている。『Broken Hearts & Beauty Sleep』と題されたミニ・アルバムで、レーベルは〈Transgressive〉、エグゼキューティヴ・プロデューサーとしてフォルティDLが関わっているようだ(シングル曲 “Free Ride” はフォルティとハドソン・モホークがコ・プロデュース)。アルバムとしては2016年の『Mykki』以来のリリースとなる。
 だいぶポップに振り切れた印象で、ゲストもブラッド・オレンジなど豪華な面々が招かれている。70年代のクワイエット・ストーム(スムースなソウル。スモーキー・ロビンソンのアルバム名に由来)やクロスビー、スティルス、ナッシュ&ヤングからインスパイアされたそうだ。ミッキー・ブランコの新たな挑戦に注目を。


ラッパー、詩人、トレイルブレイザーのミッキー・ブランコが5年振りとなるオフィシャル作品をリリース。

フォルティDLのプロデュースによる9曲入りのミニ・アルバム『ブロークン・ハーツ・アンド・ビューティ・スリープ』、トランスグレッシヴより発売。

●ゲスト:ブラッド・オレンジ、ビッグ・フリーディア、カリ・フォー、ジャミーラ・ウッズ、ジェイ・キュー、ブルーノ・リベイロ他

2021.10.6 ON SALE

■アーティスト:MYKKI BLANCO(ミッキー・ブランコ)
■タイトル:BROKEN HEARTS AND BEAUTY SLEEP(ブロークン・ハーツ・アンド・ビューティ・スリープ)
■品番:TRANS522CDJ[CD/国内流通仕様]
■定価:¥2,400+税
■発売元:ビッグ・ナッシング/ウルトラ・ヴァイヴ
■収録曲目:
1. Trust A Little Bit (God Colony Version)
2. Free Ride
3. Summer Fling (feat. Kari Faux)
4. It's Not My Choice (feat. Blood Orange)
5. Fuck Your Choices
6. Love Me (feat. Jamila Woods and Jay Cue)
7. Want From Me (feat. Bruno Ribeiro)
8. Patriarchy Ain't The End of Me
9. That's Folks (feat. Big Freedia)

Mykki Blanco - "Free Ride" (Official Video)
https://youtu.be/Nbcjzaa75PI

Mykki Blanco - "Summer Fling" feat. Kari Faux (Official Visualizer)
https://youtu.be/MTY2nNQTZ7Y

Mykki Blanco - "It's Not My Choice feat. Blood Orange" (Official Music Video)
https://youtu.be/ul6j69EFjhU

Mykki Blanco - "Love Me" (Official Audio)
https://youtu.be/ZR_OweYhT-U

●ラッパー、詩人、トレイルブレイザーであるMykki Blancoは、デビュー・アルバム『Mykki』以来、5年振りとなるオフィシャル作品をリリースする。この9曲入りのミニ・アルバム『Broken Hearts and Beauty Sleep』は、Transgressive Recordsとの契約の一環としてのリリースとなり、FaltyDLがプロデュースを担当。スペシャル・ゲストとしてBlood Orange(Dev Hynes)、Big Freedia、Kari Faux、Jamila Woods、Jay Cue、Bruno Ribeiro等がフィーチャーされている。アルバムには、微妙なニュアンスを持ったジャンルをまたぐ楽曲が収録され、経験と成熟を持つ人間の反射的な知恵が示唆されている。ここでは、アーティストとっての新たな時代の到来を導き入れながら、人生と愛を念頭に置くだけではなく、これまで以上に大きな個人的なギャンブルが打たれている。

●Mykki Blancoはアメリカのラッパー、詩人、パフォーマー、活動家だ。2012年にEP「Mykki Blanco & the Mutant Angels」でデビュー。「Betty Rubble: The Initiation」(2013年)、「Spring/Summer 2014」(2014年)と2枚のEPを経て、2016年9月にデビュー・アルバム『Mykki』をリリース。クィア・ラップ・シーンのパイオニアとして知られ、Kanye WestやTeyana Taylor等とコラボレート。MadonnaのMVへ出演し、Björkとツアーを行なったりもしている。

More info: https://bignothing.net/mykkiblanco.html

Playlists During This Crisis - ele-king

家聴き用のプレイリストです。いろんな方々にお願いしました。来た順番にアップしていきます。楽しんで下さい。

Ian F. Martin/イアン・F・マーティン

This is a multi-purpose playlist for people stuck at home during a crisis. The first 5 songs should be heard lying down, absorbed in the music’s pure, transcendent beauty. The last 5 songs should be heard dancing around your room in a really stupid way.

Brian Eno / By This River
Nick Drake / Road
Life Without Buildings / The Leanover
Young Marble Giants / Brand - New - Life
Broadcast / Poem Of Dead Song
Holger Czukay / Cool In The Pool
Yazoo / Bad Connection
Lio / Fallait Pas Commencer
Der Plan / Gummitwist
Electric Light Orchestra / Shine A Little Love

野田努

週末だ。ビールだ。癒しと皮肉と願い(冗談、怒り、恐怖も少々)を込めて選曲。少しでも楽しんでもらえたら。問題はこれから先の2〜3週間、たぶんいろんなことが起きると思う。できる限り落ち着いて、とにかく感染に気をつけて。お金がある人は音楽を買おう(たとえば bandcamp は収益をアーティストに還元している)。そして本を読んで賢くなろう。いまのお薦めはナオミ・クラインの『ショック・ドクトリン』。

Ultravox / Just For A Moment
フィッシュマンズ / Weather Report
Talking Heads / Air
Funkadelic / You Can’t Miss What You Can't Measure
New Age Steppers / Fade Away
RCサクセション / うわの空
Horace Andy / Rain From the Sky
Sun Ra / We Travel the Spaceways
Rhythim is Rhythim / Beyond the Dance
Kraftwerk / Tour De France

小林拓音

考えることはいっぱいあるけど、暗くなってしまいそうなのでちょっとだけ。被害は万人に平等には訪れない。割を食うのはいつだって……。問題の根幹は昔からなにも変わってないんだと思う。そこだけ把握しといて、あとは明るく過ごそうじゃないか。

Skip James / Hard Time Killing Floor Blues
The Beatles / Money
Public Enemy / Gotta Give the Peeps What They Need
Drexciya / Living on the Edge
Milanese vs Virus Syndicate / Dead Man Walking V.I.P.
Mark Pritchard / Circle of Fear
Erik Truffaz & Murcof / Chaos
Ata Ebtekar and the Iranian Orchestra for New Music / Broken Silence Cmpd
Psyche / Crackdown
Autechre / Flutter

河村祐介

怒るべきことにはちゃんと怒りましょう。僕らの生活と文化を守るために。そして、リラックスと快楽の自由も。

The Specials / Ghost Twon
Bob Marley / So Much Trouble In the World
Tommy McCook / Midnight Dub
Nightmares on Wax / Mores
7FO / Waver Vapour
石野卓球 / TRIP-O-MATIC
Nehoki / Morgentrack
Kodama And The Dubstation Band / かすかな きぼう
思い出野郎Aチーム / 灯りを分けあおう
Janelle Monáe / Smile

Neil Ollivierra/ニール・オリヴィエラ(The Detroit Escalator Co.)(LA在住)

Absorbing Songs for Armchair Traveling

Robin Guthrie, Harold Budd / How Close Your Soul
Thore Pfeiffer / Alles Wird Gut
Cortex / Troupeau bleu
Milton Nascimento / Tudo O Que Você Podia Ser
The Heliocentrics / A World of Masks
Kodo / Shake - Isuka Mata
Miles Davis / Indigo
Gordon Beck / Going Up
Funkadelic / Maggot Brain
Simply Red / I’m Gonna Lose You

Matthew Chozick/マシュー・チョジック

自己隔離生活にぴったりの癒し曲を集めてみました。コロナ野郎のせいで新しいレコード発表は激減、そんなときこそ古いアルバムを聴き直してみよう。家でパジャマパーティでも開きながら、僕のプレイリストをエンジョイしてくれたら嬉しいな。目に見えないもの同士、ウィルスとの戦いには心を癒す良薬で対抗だ!

Björk / Virus
The Knife / Afraid of You
The Velvet Underground / After Hours
John Lennon / Isolation
Harold Melvin & The Blue Notes / I Miss You
Grouper / Living Room
Beat Happening / Indian Summer
ゆらゆら帝国 / おはようまだやろう
Nico / Afraid
高橋幸宏 / コネクション

細田成嗣

つねにすでにオリジナルなものとしてある声は、しかしながら変幻自在のヴォーカリゼーションや声そのものの音響的革新、あるいは声をもとにしたエクストリームな表現の追求によって、より一層独自の性格を獲得する。見えない脅威に襲われる未曾有の事態に直面しているからこそ、わたしたちは「ひとつの声」を求めるのではなく、さまざまな声を聴き分け、受け入れる耳を養う必要に迫られているのではないだろうか。

Luciano Berio, Cathy Berberian / Sequenza III for voice
Demetrio Stratos / Investigazioni (Diplofonie e triplofonie)
David Moss / Ghosts
Meredith Monk, Katie Geissinger / Volcano Songs: Duets: Lost Wind
Sainkho Namchylak, Jarrod Cagwin / Dance of an Old Spirit
Fredy Studer, Ami Yoshida / Kaiten
Alice Hui Sheng Chang / There She Is, Standing And Walking On Her Own
Senyawa / Pada Siang Hari
Amirtha Kidambi, Elder Ones / Decolonize the Mind
Hiroshi Hasegawa, Kazehito Seki / Tamaki -環- part I

沢井陽子(NY在住)

非常事態が発生し、仕事もない、やることもない、家から出られないときには元気が出る曲を聴きたいけれど、いつもと変わらないヴァイヴをキープしたいものです。

Deerhunter / Nothing Ever Happened
Unknown Mortal Orchestra / Necessary Evil
Thin Lizzy / Showdown
Janko Nilovic / Roses and Revolvers
Courtney Barnett / Can’t Do Much
Big Thief / Masterpiece
Brittany Howard / Stay High
Kaytranada, Badbadnotgood / Weight Off
St Vincent / Cruel
Gal Costa / Lost in the Paradise

デンシノオト

少しでもアートという人の営みに触れることで希望を忘れないために、2018年から2020年までにリリースされた現代音楽、モダンなドローン、アンビエント、電子音響などをまとめた最新型のエクスペリメンタル・ミュージック・プレイリストにしてみました。

James Tenney, Alison Bjorkedal, Ellie Choate, Elizabeth Huston, Catherine Litaker, Amy Shulman, Ruriko Terada, Nicholas Deyoe / 64 Studies for 6 Harps: Study #1
Golem Mecanique / Face A
Werner Dafeldecker / Parallel Darks Part One
Yann Novak / Scalar Field (yellow, blue, yellow, 1.1)
3RENSA (Nyatora, Merzbow, Duenn) / Deep Mix
Beatriz Ferreyra / Echos
Anastassis Philippakopoulos, Melaine Dalibert / piano piece (2018a)
Jasmine Guffond / Degradation Loops #1
Dino Spiluttini / Drugs in Heaven
Ernest Hood / At The Store

Paolo Parisi/パオロ・パリージ(ローマ在住)

Bauhaus / Dark Entries
Sonic Youth / The End of the End of the Ugly
Mission of Burma / That’s How I Escaped My Certain Fate
Wipers / Return of the Rat
Pylon / Feast on my Heart
Gun Club / Sex Beat
The Jim Carroll Band / It’s Too Late
Television / Friction
Patti Smith / Kimberly
The Modern Lovers / Hospital

末次亘(C.E)

CS + Kreme / Saint
Kashif, Meli’sa Morgan / Love Changes (with Meli’sa Morgan)
Tenor Saw / Run From Progress
Phil Pratt All Stars / Evilest Thing Version
坂本龍一 / PARADISE LOST
Beatrice Dillon / Workaround Three
Joy Orbison, Mansur Brown / YI She’s Away
Burnt Friedman, Jaki Liebezeit / Mikrokasper
Aleksi Perälä / UK74R1721478
Steve Reich, Pat Metheny / Electric Counterpoint: II. Slow

木津毅

If I could see all my friends tonight (Live Recordings)

ライヴハウスがスケープゴートにされて、保障の確約もないまま「自粛」を求められるいま、オーディエンスの喜びに満ちたライヴが恋しいです。というわけで、ライヴ音源からセレクトしました。来日公演は軒並みキャンセルになりましたが、また、素晴らしい音楽が分かち合われるライヴに集まれることを願って。

Bon Iver / Woods - Live from Pitchfork Paris Presented by La Blogothèque, Nov 3 2018
James Blake / Wilhelm Scream - Live At Pitchfork, France / 2012
Sufjan Stevens / Fourth of July - Live
Iron & Wine / Sodom, South Georgia
Wilco / Jesus, Etc.
The National / Slow Show (Live in Brussels)
Jaga Jazzist / Oslo Skyline - Live
The Streets / Weak Become Heroes - One Live in Nottingham, 31-10-02
LCD Soundsystem / All My Friends - live at madison square garden
Bruce Springsteen / We Shall Overcome - Live at the Point Theatre, Dublin, Ireland - November 2006

髙橋勇人(ロンドン在住)

3月25日、Spotify は「COVID-19 MUSIC RELIEF」という、ストリーミング・サービスのユーザーに特定の音楽団体への募金を募るキャンペーンを始めている。

スポティファイ・テクノロジー社から直接ドネーションするわけじゃないんかーい、という感じもするのが正直なところだし、その募金が渡る団体が欧米のものにいまのとこは限定されているのも、日本側にはイマイチに映るだろう。現在、同社はアーティストがファンから直接ドネーションを募れるシステムなどを構築しているらしいので、大手ストリーミング・サービスの一挙手一投足に注目、というか、ちゃんとインディペンデントでも活動しているアーティストにも支援がいくように我々は監視しなければいけない。

最近、Bandcamp では、いくつかのレーベルが売り上げを直接アーティストに送ることを発表している。そういう動きもあるので、この企画の話をいただいたとき(24日)、スポティファイが具体的な動きを見せていないので、やっぱり Bandcamp ともリンクさせなければと思った。ここに載せたアーティストは、比較的インディペンデントな活動を行なっている者たちである。このプレイリストを入り口に、気に入ったものは実際にデータで買ってみたり、その活動をチェックしてみてほしい。

ちなみに、「こんなときに聴きたい」という点もちゃんと意識している。僕はロックダウンにあるロンドンの部屋でこれを書いている。これらの楽曲は人生に色彩があることを思い出させてくれる楽曲たちだ。さっきこれを聴きながら走ってきたけど(友達に誘われたらNOだが、最低限の運動のための外出はOKだと総理大臣閣下も言っていたしな)、最高に気持ちよかった。

object blue / FUCK THE STASIS
Prettybwoy / Second Highball
Dan-Ce / Heyvalva Heyvalva Hey
Yamaneko / Fall Control
Tasho Ishii / Satoshi Nakamoto
Dayzero / Saruin Stage
Chino Amobi / The Floating World Pt.1
Brother May / Can Do It
Elvin Brandhi / Reap Solace
Loraine James / Sensual

松村正人

MirageRadioMix

音楽がつくりだした別天地が現実の世界に浸食されるも、楽曲が抵抗するというようなヴィジョンです。Spotify 限定で10曲というのはたいへんでしたが、マジメに選びました。いいたいことはいっぱいありますがひとまず。

忌野清志郎 / ウィルス
Björk / Virus
Oneohtrix Point Never / Warning
憂歌団 / 胸が痛い
The Residents / The Ultimate Disaster
The Doors / People Are Strange
キリンジ / 善人の反省
坂本慎太郎 / 死にませんが?
Can / Future Days - Edit
相対性理論 / わたしは人類(Live)

三田格

こんなときは Alva Noto + Ryuichi Sakamoto 『Virus Series Collectors Box』(全36曲!)を聴くのがいいんじゃないでしょうか。ローレル・ヘイローのデビュー・アルバム『Quarantine(=伝染病予防のための隔離施設)』(12)とかね。つーか、普段からあんまり人に会わないし、外食もしないし、外から帰ったら洗顔やうがいをしないと気持ち悪い性格なので、とくに変わりないというか、なんというかコロナ素通りです。だから、いつも通り新曲を聴いているだけなので、最近、気に入ってるものから上位10曲を(A-Reece の “Selfish Exp 2” がめっちゃ気に入ってるんだけど Spotify にはないみたいなので→https://soundcloud.com/user-868526411/a-reece-selfish-exp-2-mp3-1)。

Girl Ray / Takes Time (feat. PSwuave)
Natz Efx Msaki / Urban Child (Enoo Nepa Remix)
DJ Tears PLK / West Africa
Afrourbanplugg / General Ra (feat. Prettyboy)
SassyBlack / I Can’t Wait (feat. Casey Benjamin)
Najwa / Más Arriba
Owami Umsindo / eMandulo
Cristian Vogel & Elektro Guzzi / Plenkei
Oval / Pushhh
D.Smoke / Season Pass

AbuQadim Haqq/アブカディム・ハック(デトロイト在住)

These are some of my favorite songs of all time! Reflections of life of an artist from Detroit.
Thanks for letting me share my favorite music with you! Stay safe and healthy in these troubling times!

Rhythim is Rhythim / Icon
Underground Resistance / Analog Assassin
Public Enemy / Night of the Living Baseheads
Orlando Voorn / Treshold
Drexciya / Hydrocubes
Oddisee / Strength & Weakness
Iron Maiden / Run To The Hills
The Martian / Skypainter
Gustav Holst / Mars: Bringer of War
Rick Wade / First Darkness

Sk8thing aka DJ Spitfi_(C.E)

10_Spotify's_for_Social _Distancies_!!!!List by Sk8thing aka DJ DJ Spitfi

Francis Seyrig / The Dansant
Brian Eno / Slow Water
The Sorrow / Darkness
Owen Pallett / The Great Elsewhere
DRAB MAJESTY / 39 By Design
Our Girl / In My Head
Subway / Thick Pigeon
Einstürzende Neubauten / Youme & Meyou
Fat White Family / I Believe In Something Better
New Order / ICB

矢野利裕

人と会えず、話もできず、みんなで食事をすることもできず……という日々はつらく寂しいものです。落ち着きのない僕はなにをしたらいいでしょうか。うんざりするような毎日を前向きに乗り越えていくために、少なくとも僕には音楽が大事かもしれません。現実からの逃避でもなく現実の反映でもない、次なる現実を呼び寄せるものとしての音楽。そのいちばん先鋭的な部分は、笑いのともなう新奇な音楽(ノヴェルティソング)によって担われてきました。志村けんのシャウトが次なる現実を呼び寄せる。元気でやってるのかい!?

ザ・ドリフターズ / ドリフのバイのバイのバイ
雪村いずみ / チャチャチャはいかが
ザ・クールス / ラストダンスはCha・Chaで
セニョール・ココナッツ・アンド・ヒズ・オーケストラ / YELLOW MAGIC (Tong-Poo)
Negicco / カリプソ娘に花束を
スチャダラパー / レッツロックオン
4×4=16 / TOKISOBA Breakbeats
イルリメ / 元気でやってるのかい?
マキタスポーツ / Oh, ジーザス
水中、それは苦しい / マジで恋する五億年前

Sinta(Double Clapperz)

大変な時ですが、少しでも肩の力抜けたらいいなと思い選曲しました。

徳利 / きらめく
gummyboy / HONE [Mony Horse remix]
Burna Boy / Odogwu
Stormzy / Own It [Toddla T Remix feat. Burna Boy & Stylo G]
J Hus / Repeat (feat. Koffee)
LV / Walk It / Face of God
Free Nationals, Chronixx / Eternal Light
Pa Salieu / Frontline
Frenetik / La matrice
Fory Five / PE$O

Midori Aoyama

タイトルに色々かけようと思ったんですがなんかしっくりこなかったので、下記10曲選びました。よく僕のDJを聴いてくれている人はわかるかも? Party の最後でよくかける「蛍の光」的なセレクション。1曲目以外は特にメッセージはないです。単純にいい曲だと思うので、テレワークのお供に。
ちなみに最近仕事しながら聴いているのは、吉直堂の「雨の音」。宇宙飛行士は閉鎖されたスペースシャトルの中で自然の音を聴くらしい。地球に住めないのであればやっぱり宇宙に行くしかないのだろうか。

Marvin Gaye / What’s Going On
The Elder Statesman / Montreux Sunrise
12 Senses / Movement
Culross Close / Requiem + Reflections
Children Of Zeus / Hard Work
Neue Grafik Ensemble feat. Allysha Joy / Hotel Laplace
Aldorande / Sous La Lune
Michael Wycoff / Looking Up To You
Stevie Wonder / Ribbon In The Sky
Djavan / Samurai

高島鈴

コロナ禍のもとで生じている問題はひとつではないから、「こういう音楽を聞くといい」と一律に提言するのはすごく難しい。危機を真面目に受け止めながらどうにか生存をやっていくこと、危機を拡大させている政治家の振る舞いにきちんと怒ること、今私が意識できるのはこれぐらいである。みなさん、どうぞご無事で。

Kamui / Aida
Moment Joon / TENO HIRA
Garoad / Every Day Is Night
Awich / 洗脳 feat. DOGMA & 鎮座DOPENESS
Jvcki Wai / Anarchy
田島ハルコ / holy♡computer
Rinbjö / 戒厳令 feat. 菊地一谷
田我流 / Broiler
ASIAN KUNG-FU GENERATION / 夜を越えて
NORIKIYO / 神様ダイヤル

Mars89

一曲目はゾンビ映画サンプリングの僕の曲で “Run to Mall” って曲だけど、今は Don’t Run to Mall です。
それ以外は僕がお気に入りでずっと聞いてる曲たちです。部屋で悶々と行き場のない感情を抱えながら精神世界と自室の間を綱渡りで行き来するような感じの曲を選んでみました。

Mars89 / Run to Mall
Tim Hecker / Step away from Konoyo
Burial / Nightmarket
Raime / Passed over Trail
KWC 92 / Night Drive
Phew / Antenna
The Space Lady / Domae, Libra Nos / Showdown
Tropic of Cancer / Be Brave
Throbbing Gristle / Spirits Flying
Paysage D’Hiver / Welt Australia Eis

大前至

桜が満開な中、大雪が降りしきる、何とも不思議な天気の日曜日に、改めて自分が好きな音楽というものに向き合いながら選曲。今自分がいる東京もギリギリの状態ですが、昔住んでいたLAはすでにかなり深刻な状態で、そんな現状を憂いながら、LA関連のアーティスト限定でリラックス&少しでも気分が上がるような曲でプレイリストを組んでみました。

Illa J / Timeless
Sa-Ra Creative Partners / Rosebuds
NxWorries / Get Bigger / Do U Luv
Blu & Exile / Simply Amazin’ (steel blazin’)
Oh No / I Can’t Help Myself (feat. Stacy Epps)
Visionaries / If You Can’t Say Love
Dudley Perkins / Flowers
Jurassic 5 / Hey
Quasimoto / Jazz Cats Pt. 1
Dâm-Funk / 4 My Homies (feat. Steve Arrington)

天野龍太郎

「ウイルスは生物でもなく、非生物とも言い切れない。両方の性質を持っている特殊なものだ。人間はウイルスに対して、とても弱い。あと、『悪性新生物』とも呼ばれる癌は、生物に寄生して、防ぎようがない方法で増殖や転移をしていく。今は人間がこの地球の支配者かもしれないけれど、数百年後の未来では、ウイルスと癌細胞が支配しているかもね」。
氷が解けていく音が聞こえていた2019年。まったく異なる危機が一瞬でこの世界を覆った2020年。危機によってあきらかになるのは、システム、社会、政治における綻びや破綻、そこにぽっかりと大きく口を開いた穴だ。為政者の間抜けさも、本当によくわかる。危機はテストケースであり、愚かさとあやまちへの劇的な特効薬でもありうる。
ソーシャル・ディスタンシング・レイヴ。クラブ・クウォランティン。逃避的な音楽と共に、ステイ・ホーム、ステイ・セイフ・アンド・ステイ・ウォーク。

Kelly Lee Owens / Melt!
Beatrice Dillon / Clouds Strum
Four Tet / Baby
Caribou / Never Come Back
Octo Octa / Can You See Me?
tofubeats / SOMEBODY TORE MY P
Against All Logic / Deeeeeeefers
JPEGMAFIA / COVERED IN MONEY!
MIYACHI / MASK ON
Mura Masa & Clairo / I Don’t Think I Can Do This Again

James Hadfield/ジェイムズ・ハッドフィールド

Splendid Isolation

皆どんどん独りぼっちになりつつある事態で、ただ独りで創作された曲、孤立して生まれた曲を選曲してみました。

Alvin Lucier / I Am Sitting in a Room
Phew / Just a Familiar Face
Massimo Toniutti / Canti a forbice
Ruedi Häusermann / Vier Brüder Auf Der Bank
Wacław Zimpel / Lines
Kevin Drumm / Shut In - Part One
Mark Hollis / Inside Looking Out
Magical Power Mako / Look Up The Sky
Arthur Russell / Answers Me
Mike Oldfield / Hergest Ridge Part Two

小川充

都市封鎖や医療崩壊へと繋がりかねない今の危機的な状況下で、果たして音楽がどれほどの力を持つのか。正常な生活や仕事はもちろん、命や健康が損なわれる人もいる中で、今までのように音楽を聴いたり楽しむ余裕があるのか、などいろいろ考えます。かつての3・11のときもそうでしたが、まず音楽ができることを過信することなくストレートに考え、微力ながらも明日を生きる希望を繋ぐことに貢献できればと思い選曲しました。

McCoy Tyner / For Tomorrow
Pharoah Sanders / Love Is Everywhere
The Diddys feat. Paige Douglas / Intergalactic Love Song
The Isley Brothers / Work To Do
Kamasi Washington / Testify
Philip Bailey feat. Bilal / We’re Winner
Brief Encounter / Human
Boz Scaggs / Love Me Tomorrow
Al Green / Let’s Stay Together
Robert Wyatt / At Last I Am Free

野田努(2回目)

飲食店を営む家と歓楽街で生まれ育った人間として、いまの状況はいたたまれない。働いている人たちの胸中を察するには余りある。自分がただひとりの庶民でしかない、とあらためて思う。なんも特別な人間でもない、ただひとりの庶民でいたい。居酒屋が大好きだし、行きつけの飲食店に行って、がんばろうぜと意味も根拠もなく言ってあげたい。ここ数日は、『ポバティー・サファリ』に書かれていたことを思い返しています。

Blondie / Dreaming
タイマーズ / 偽善者
Sleaford Mods / Air Conditioning
The Specials / Do Nothing
The Clash / Should I Stay or Should I Go
Penetration / Life’s A Gamble
Joy Division / Transmission
Television / Elevation
Patti Simth / Free Money
Sham 69 / If the Kids Are United

Jazzと喫茶 はやし(下北沢)

コロナが生んだ問題が山積して心が病みそうになる。が、時間はある。
音楽と知恵と工夫で心を豊かに、この難局を乗り切りましょう!(4/6)

Ray Brayant / Gotta Travel On
Gil Scott Heron / Winter In America
Robert Hood / Minus
Choice / Acid Eiffel
Armando / Land Of Confusion
Jay Dee / Fuck The Police
Liquid Liquid / Rubbermiro
Count Ossie & The Mystic Revelation Of Rastafari / So Long
Bengt Berger, Don Cherry / Funerral Dance
民謡クルセイダーズ / 炭坑節

中村義響

No winter lasts forever; no spring skips it’s turn.

Ducktails / Olympic Air
Johnny Martian / Punchbowl
Later Nader / Mellow Mario
April March / Garden Of April
Vampire Weekend / Spring Snow
Brigt / Tenderly
W.A.L.A / Sacrum Test (feat. Salami Rose Joe Louis)
Standing On The Corner / Vomets
Babybird / Lemonade Baby
Blossom Dearie / They Say It’s Spring

野田努(3回目)

Jリーグのない週末になれつつある。夕暮れどきの、窓の外を眺めながら悦にいる感覚のシューゲイズ半分のプレイリスト。

Mazzy Star / Blue Light
The Jesus & Mary Chain / These Days
Animal Collective / The Softest Voice
Tiny Vipers / Eyes Like Ours
Beach House / Walk In The Park
Hope Sandoval & The Warm Inventions / On The Low
Devendra Banhart / Now That I Know
Scritti Politti / Skank Bloc Bologna
Yves Tumor / Limerence
Lou Reed / Coney Island Baby

ALEX FROM TOKYO(Tokyo Black Star, world famous)

この不安定な時代に、ラジオ番組のように Spotify で楽しめる、「今を生きる」気持ち良い、元気付けられる&考えさてくれるポジティヴでメッセージも響いてくる温かいオールジャンル選曲プレイリストになります。自分たちを見つめ直す時期です。海外から見た日本の状況がやはりとても心配になります。みなさんの健康と安全を願ってます。そしてこれからも一緒に好きな音楽と良い音を楽しみ続けましょう。Rest In Peace Manu Dibango & Bill Withers!(4/7)

Susumu Yokota / Saku
Manu Dibango / Tek Time
Final Frontier / The warning
Itadi / Watch your life
Rhythim Is Rhythim / Strings of Life
Howlin’ Wolf / Smokestack Lightin’
Massive Attack / Protection
Depeche Mode / Enjoy the Silence
Tokyo Black Star / Blade Dancer
Bill Withers / Lean on me (Live from Carnegie Hall)

Kevin Martin(The Bug)

(4/9)

The Necks / Sex
Rhythm & Sound / Roll Off
Miles Davis / In A Silent Way / It’s About That Time
William Basinski / DLP3
Thomas Koner / Daikan
Talk Talk / Myrrhman
Nick Cave + Bad Seeds / Avalanche
Jacob Miller / Ghetto on fire
Marvin Gaye / Inner City Blues
Erykah Badu / The Healer


増村和彦

最近は、「音楽やサウンドに呼吸をさせて、ゆがみや欠陥の余地を残して流していくんだ」というローレル・ヘイローの言葉が妙に響いて、その意味を考えるともなく考えながら音楽を聴いている。いまは、できるだけ雑食で、できるだけ聴いたことがなくて、直感で信頼できる音楽を欲しているのかもしれない。人に会わないことに慣れているはずのぼくのような人間でも、あんまり会わないと卑屈になってくるので、冷静にしてくれる音楽を聴きたくなります。(5/15)

Laurel Halo / Raw Silk Uncut Wood
Alex Albrecht pres.Melquiades / Lanterns Pt1 & Pt2
Minwhee Lee / Borrowed Tongue
Moritz von Oswald & Ordo Sakhna / Draught
Grouper / Cleaning
Moons / Dreaming Fully Awake
"Blue" Gene Tyranny / Next Time Might Be Your Time
Sun Ra / Nuclear War
Tony Allen With Africa 70’ / Jealousy
Tom Zé / Hein?

Plaid - ele-king

 30周年を迎え大きな盛り上がりを見せている〈Warp〉だけれど、またもや嬉しいお知らせの到着だ。今年6月に環境問題をテーマに掲げた力作『Polymer』をリリースしたヴェテラン、プラッドが来日する。オーディオ・ヴィジュアルにも定評のある彼らだけに、今回のライヴでもきっと素晴らしい一夜を演出してくれることだろう。11月23日は VENT に決まり!

Aphex Twin や Autechre 等と共に〈Warp〉レーベルを支えてきた Plaid が、オーディオ・ビジュアル・ライブセットで登場!

今年の7月には10枚目となる最新アルバム『Polymer』をリリース、30周年を迎えた超人気レーベル〈Warp〉を Aphex Twin や Autechre、Nightmares On Wax などとともに支えてきたPlaid (プラッド)が、話題のオーディオ・ビジュアル・ライブセットを引っさげて11月23日のVENTに登場!

まばゆいメロディ、肉感的なリズム、ヒプノティックなテクスチャーが散りばめられた13曲を収録した最新作品『Polymer』を今年7月にリリースした Plaid。名門レーベルの看板アーティストの1組として長年の活躍は言わずもがな、Björk をはじめ、Mark Bell、Arca、Haxan Cloak、最近では Skee Mask や Daniel Avery などともコラボレーションしてきた。他にも London Sinfonietta や Southbank Gamelan Players、Felix's Machines のロボット・スカルプチャー、サウンドトラックなどジャンルを超えて幅の広い仕事をしてきた。また Berghain などの有名クラブからシドニーのオペラハウスなど様々な場所でライブを繰り広げてきた国際的な輝かしい実績も持っている。

Plaid は過去にも世界各地でオーディオ・ビジュアル・ライブセットを披露しており、その圧倒的なクオリティの高さは大きな評判となっていた。多声音楽、環境汚染、政治などのマニフェストをクリエイティブに昇華し、環境問題や統合性、生存競争や死亡率、人間性の断絶などのテーマがぶつかり合っている最新作『Polymer』は今の時代に聴くべき作品と言えるだろう。まさに今見るべきライブアクトのクリエイティビティを直に体感してほしい!

Plaid - WXAXRXP Mix:https://youtu.be/62B_JAg6jJ0

[イベント概要]
- Plaid -
DATE : 11/23 (SAT)
OPEN : 23:00
DOOR : ¥3,500 / FB discount : ¥3,000
ADVANCED TICKET:¥2,500
https://jp.residentadvisor.net/events/1326343

=ROOM1=
Plaid - Live -
Mustache X
TUNE aka FUKUI (INTEGRATION / Hippie Disco)
HOWL (DODGY DEALS CLUB)

=ROOM2=
JUNSHIMBO (OTHERTHEQue!)
FLEDtokyo (Tu.uT.Tu./Test Press)
HARUYAMA (RINN∃)
TEA YOUNG DAY
MIDY (YELLOW) × Amber (PARANORMAL)

VENT:https://vent-tokyo.net/schedule/plaid/
Facebookイベントページ:https://www.facebook.com/events/772747059842468/

※ VENTでは、20歳未満の方や、写真付身分証明書をお持ちでない方のご入場はお断りさせて頂いております。ご来場の際は、必ず写真付身分証明書をお持ち下さいます様、宜しくお願い致します。尚、サンダル類でのご入場はお断りさせていただきます。予めご了承下さい。
※ Must be 20 or over with Photo ID to enter. Also, sandals are not accepted in any case. Thank you for your
cooperation.

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