「kizu」と一致するもの

Alva Noto & Ryuichi Sakamoto - ele-king

 これまで幾度も共作・共演を重ね、昨年もライヴ盤『Glass』を発表しているアルヴァ・ノト(カールステン・ニコライ)と坂本龍一が、新たにライヴ・アルバムをリリースする。今回は2018年にシドニー・オペラハウスで録音されたもので、当日の即興や、イニャリトゥ『The Revenant』のテーマなど、これまでのふたりのコラボ曲によって構成されている。発売は11月15日。

[11月15日追記]
 上記ライヴ・アルバムの日本盤の発売が決定しました。発売は11月29日、リリース元は〈インパートメント〉です。詳細は下記をご確認ください。

日本盤情報

発売日:2019年11月29日(金)
品番:AMIP-0200
アーティスト:Alva Noto & Ryuichi Sakamoto
タイトル:‘TWO’ - live at Sydney Opera House
レーベル:NOTON
フォーマット:国内流通盤CD
本体価格:¥3,200+税

https://www.inpartmaint.com/site/28519/

 以下は当初の情報です。

Alva Noto & Ryuichi Sakamoto
TWO: Live at Sydney Opera House
NOTON
12" Vinyl Album / CD Album
Available 15 November 2019

Tracklist:

01. Inosc
02. Propho
03. Trioon II (Live)
04. Scape I
05. Berlin (Live)
06. Scape II
07. Morning (Live)
08. Iano (Live)
09. Emspac
10. Kizuna (Live)
11. Gitrac
12. Monomom
13. Panois
14. Naono (Live)
15. The Revenant Theme (Live)

https://noton.greedbag.com/buy/two-120/

OH91 Asia Tour 2017 - ele-king

 OH91——。この謎めいた記号は特定の化学物質を表すものではない。インドの国際電話番号「+91」でも、コーランの91章(スーラ)にならって「The Sun」を意味しているのでもなく、その太陽よりも高い位置で輝く今日のグライム・シーンで暗躍するひとりのプロデューサーを指している。OH91(オーナインワン)、名だたるプレイヤーたちと同じく、彼もまたイングランドのブリストルからやってきた。
 SkeptaやWiley、Stormzyらに代表されるMCたちの力作が続くここ最近のシーンにおいて、OH91はラップトップとCDJを駆使し、グライムとトラップの低音域化学反応を試み、クラクラするようなビートを熱心に発明してきた。このページの最後にあるプロフィールが言うように、彼は「グライムのプレミア・ヤング」であり、オーディエンスだけではなく、Sir SpiroやSpookyといった強者プロデューサー/DJたちからも注目を集める人物のひとりだ。
 そんなOH91が初の来日ツアーを敢行、3月3日に大阪、4日には東京にやってくる。両日とも、プレイするべき音を熟知しているDJたちが出るので、彼らと若き才能が衝突する火花散る夜を楽しんでほしい。

【公演情報】
【大阪】
【HILLRAISER Vol.2 ft.OH91】

2017年3月3日金曜日
会場:SocoreFactory
開演:19:00
料金:2000円+1D
出演:
OH91
young animal
CE$
satinko
ECIV_TAKIZUMI

【東京】
【PLAYGROUND】

2017年3月4日 土曜日
会場:Forestlimit
開演:23:00
料金:2000円+1D
出演:
OH91
Sivarider
DADDY VEDA
SHORTIE
Sakana
Shirakosound
dekishi

【プロフィール】
OH91(White Peach、Coyote Records)from Bristol

ブリストルの緊密な音楽コミュニティにおける重要人物、OH91(オーナインワン)。その超新星のごとき登場は2011年。以降、Kahn&Neek、Boofy、Lemzly Dale、Hi5Ghost、そしてJokerといったブリストルの同志たちや、良友のRoyal-Tとともに、過去6年にわたって自身のプロダクション・スキルに磨きをかけつつ、その周りで発展を遂げる膨大な音からも恩恵を受けてきた。彼の成長に真っ先に目をつけたブリストル拠点のインディペンデント・レーベル〈Durkle Disco〉と〈Subdepth Records〉からの一連のリリースに続き、2013年に〈Coyote Records〉から会心の単独デビュー作を発表。

その曲名は“Stealth”。このハードでサグいクラブ・チューンの照準はフロアへ直に向けられ、グライムのアイコンでありベテランのSpookyからは、リミックスという形で支持を得る。ファーストによって、広大なシーンの多くが彼のポテンシャルへ目を向けた。Royal-TのRinse FM内の番組で披露したライヴ・ミックスや、スリップストリームなクラブ・ブッキングの主催によって箔がつき、この1曲よって、彼はグライムのプレミア・ヤング・ビートメイカーとしての地位を確実なものとした。

そして2014年、よりヘヴィーでトリッピーなビートの“Goon Mode”は〈White Peach〉に見出され、4曲入りサンプラー「Peach Bits Vol.1」の1曲として12インチでリリースされた。その一方、シーンで暗躍し、OH91はMCたちのプロダクションにも目を向けはじめていた。今日に至るまで、ロンドンへ定期的に訪れ、Sir SpyroやGrandmixxerのような影響力のある人物の注目を浴びながら、KwamやMIKといったMCたちと楽曲を制作、そして後者との楽曲はFamily TreeのMCであるEgoとのフィーチャリング曲 “New Ting”として、彼のアルバム/ミックステープである『Ghostwriter』に収録されている。以来、先ほどのSir SpiroとはLil Nastyの2014年のシングル“I’m Heavy”でタッグを組んだ。

“New Ting”のバックドラックに、OH91は偶然にもRapidのクラシック・ナンバー“Xtra”の音を使用した。そしてレーベル・メイトのChemistと2014年の終わりに〈Coyote Records〉へ凱旋を果たしたのも同曲によってである。2曲入りの何も印刷されていない真っ白なラベルのレコードでリリースされると(この作品はレーベルの「WHT」シリーズの1目でもある)、リミックス曲“Xtra91”は10日も経たずに売り切れてしまった。

マンチェスターで産声をあげたばかりのインディペンデント・レーベル〈Trapped Audio〉からのリリースや、〈White Peach〉への凱旋作でもあるEP「Shanks」など、2016年もOH91は堅実に作品の発表を続けた。その一方で、〈Coyote Records〉のショー・ケースの担うひとりとして、Boiler RoomとFabricへ初出演。優れたDJとしての経歴にそのデビューは刻まれた。

2017年、MCを主体としたより多くのトラックのリリースと、3月には初のアジア・ツアーを予定。年を追う毎に、OH91は着実に前進していくのである。

Releases Info:
https://www.discogs.com/artist/3557160-OH91

Boiler room:

https://www.youtube.com/watch?v=&t=816s

Fabricmix:

AJ Tracey - ele-king

 ロンドンのストリートで生まれたラップ・ミュージック「グライム」が話題になっている。特に自主レーベルから発表されたスケプタの『コンニチワ』が、イギリスで最も優れたアルバムに対して送られるマーキュリー賞を受賞したのは、世界のインディペンデント・シーンに勇気を与えただろう。

 そんなシーンでフローとリリックで頭角を現してきた若干22才の新星MC、エージェー・トレーシーが来日し、日本初ツアーをおこなう。
 彼はこれまで4枚のEPをフリー・ダウンロードでリリース。今月もニューヨークのエイサップ・ロッキーとのコラボレーションから、Mumdanceとのモジュラー・シンセのセッションまで、ジャンル・国を超えて活動中だ。その勢いを証明するかのように、昨年ストームジーが受賞したモボ・アウォードで早くも「ベスト・グライム・アクト」にノミネートされ、今夏のフェスティヴァルでも引っ張りだこである。

 ツアー初日の大阪は10月15日(土)、大阪COMPUFUNK RECORDSにて行松陽介やグライムMC 140 + Sakanaなどが共演。東京は10月16日(日)夕方からSkyfish × DOGMA、DEKISHI + Soakubeatsらが迎え撃つ。
 彼の初ツアーは勢いづく「今」のグライムとローカルのストリート・ミュージックが共鳴するイベントになりそうだ。(米澤慎太朗)


10月16日 (日) 18:00 -
MO’FIRE @ CIRCUS TOKYO

https://circus-tokyo.jp/
¥2000 (ADV) / ¥3000 (DOOR) + 1d
前売り : https://jp.residentadvisor.net/event.aspx?881144

AJ Tracey
Skyfish × DOGMA
DEKISHI + soakubeats
Double Clapperz
Carpainter
Underwater Squad
Host : Onjuicy

10月15日 (土) 23:00 -
PCCP @ COMPUFUNK RECORDS

¥2500 (ADV) / ¥3000 (DOOR) + 1d

AJ Tracey
YOSUKE YUKIMATSU
YOUNG ANIMAL
140 + SAKANA
SOUJ
SATINKO
ECIV_TAKIZUMI


AJ Tracey プロフィール

ウェスト・ロンドン出身のAJ Traceyはおそらくここ一年のUKアンダーグラウンドのグライム・シーンの盛り上がりから生まれた最も才能あるMCである。万華鏡のような言葉選びとはっきりと聞き取れるフローはそのシーンにおいて誰にも比較できない独自さを持っている。AJ Traceyはその美声とフローで荒々しいクラブ・アンセムからスイート・ジャムまで器用に乗りこなす。

The Quietus – 彼はマイクでクリアにラップして、常に魅了出来る本当のリリシストだ。

昨年夏の「The Front」でデビューし、秋には“Spirit Bomb”、“Naila”がストリート・アンセムとなった。“Naila”はYouTubeで異例の50万回再生され、Rinse FM、Beats 1 Radio、BBC Radioでヘヴィプレイされた。2016年に入り、Tim Westwood Crib Sessionへの参加、Last Japanとの共作「Ascend」のリリースや2stepレジェンドとして知られるMJ Coleとのコラボレーション“The Rumble”を公開するなど、常に話題のMCだ。

FORESTLIMIT 6th Anniversary - ele-king

 東京は渋谷区、幡ヶ谷にあるアンダーグラウンド実験スペースForestlimit。質の高い音響システムを用いた音楽イベントだけではなく、ライヴ・ペインティングから古着店の移動販売に至るまで、東京のあらゆる文化の交差点兼発信地として重要な役割を果たしている場所だ。
 今年で6周年を迎えるForestlimitが、海外より豪華なアーティストを招きアニヴァーサリー・パーティを数日に渡って開催する。ピンチが主宰する、〈Tectonic〉から昨年に発表したアルバムが好調の、今回初来日を果たすマンチェスターの若手最重要プレイヤー、Acre(エイカー)。前回の来日公演が記憶に新しい、〈PAN〉のなかでもよりレフトフィールドに属するロンドンのHelm(ヘルム)。どちらも昨今のシーンにおいて無視することはできない存在だ。
 もちろん、東京のローカル・シーンで活躍する1-Drink、CARRE、DJ Soybeans、S-Leeらもプレイ。東京の地下が世界と繋がる瞬間を見届けよう。今週の28日木曜日には、AcreとHelmはForestlimitクルーらと共にDommuneにも出演する予定。

■ACRE (Codes / Tectonic from Manchester)

イングランド北部最大の都市、マンチェスターを拠点に活動するプロデューサー。ピンチ主宰の〈Tectonic〉や〈PAN〉のサブレーベル〈Code〉からのリリースや、マンチェスターを拠点の集団、Project13の創設メンバーとして活動。プロフィール写真のほとんどで顔を隠し、ネットには情報がほとんど上がっていなかったため、謎のプロデューサーとして知られていた。グライム、ジャングル、テクノを横断しつつも、そのどれにも固着しないサウンドは、UKアンダーグラウンドの多面性を反映していると言えるだろう。2015年に〈Tectonic〉よりリリースされたファースト・アルバム『Better Strangers』からは、彼が目指す漆黒の未来音響世界が垣間見られる。最近では、Project13のクルーとはじめたイングランドの人気ネットラジオ番組、NTSでのレギュラー番組が話題を呼んでいる。

■HELM (PAN / Alter from London)

ロンドンを拠点とする電子音楽作家ルーク・ヤンガーによるソロ・プロジェクト。ハードコア・バンド等様々な経歴を経て、2008年にソロ・デビュー以来、フィールド・レコーディング、エレクトロアコースティック、エレクトロニクスを織り交ぜたサンプリングを主体の多種多様なアンビエント/ドローン作品を〈PAN〉を軸に音響/インディ・レーベルから発表。2010年に立ち上げた自身のレーベル〈Alter〉ではHieroglyphic Being、Bass Clef、Basic House、Lumisokeaといったインダストリアル〜ポスト・パンク〜クラブ/ダンス・ミュージックにまで連なった実験的な作品を次々とリリース。ここ数年はよりノイジーでメタリックなインダストリアルな趣へと傾倒し、〈PAN〉からの6枚目となる最新作『Olympic Mess』(2015)ではオリンピックで解体されていく都市部の情景を映し出すような、退廃的な閉塞感と開放感が共存したリズミックなループ・ベースのアンビエント/ドローン作品を発表。昨年にはデンマークのポスト・パンク/ハードコア・バンドIceageのツアーとの帯同を果たし、アートや実験電子音楽シーンの枠を超えインディともクロスオーバーしながらを着実に注目を集めている。

【Acre Japan Tour】

■東京公演
Isn't it? x Forest Limit 6th Anniversary
日時:4月30日 土曜日 23:00-Open/Start
会場:幡ヶ谷Forest Limit
料金:Door 1500yen +1Drink
出演 :
Acre (Codes,Tectonic) from Manchester
1-Drink
THE KLO
TUM(VOID)
S-Lee(Riddim Noir)
DJ Soybeans

info: https://forestlimit.com/fl/?page_id=11019

■大阪公演
-merde-
日時:4.29 FRI Open/Start
会場:Socorefactory 19:00
料金:Door 2500yen
出演:
Acre(Tectonic/PAN×Codes/Project13)
ALUCA(FACTORY)
satinko(Cm3)
YOUNG ANIMAL(merde)
ECIV_TAKIZUMI(merde)

info: https://socorefactory.com

【Helm Japan Tour】

■東京公演
Forest Limit 6th Anniversary
日時:4月29日金曜日 OPEN / START : 18:00
料金:DOOR Only : ¥2,500 + 1D
出演 :
HELM [PAN / from London]
CARRE
CVN
7e
Dirty Dirt

more info : https://forestlimit.com/fl/?page_id=11019

■新潟公演
experimental room #22
日時:4.30 sat OPEN 17:00 / START 17:30
会場:砂丘館 (Sakyu-Kan)
料金:ADV ¥3,000 | DOOR ¥3,500 Ouside Niigata ¥2,500 | FREE Under 18
出演:
HELM [PAN from London]
食品まつり a.k.a foodman
PAL
JACOB

チケット・メール予約 : info@experimentalrooms.com
※件名を「4/30チケット予約」としてお名前とご希望の枚数をご連絡下さい。
more info : https://www.experimentalrooms.com/events/22.html

■大阪公演
BFF #002 HELM Japan Showcase
日時:5.2 mon OPEN : 19:00 START : 19:30
会場:Conpass Osaka
料金:ADV ¥2,800 DOOR¥3,000 Falus Sticker¥2,500
出演 :
HELM [PAN / Alter from London]
bonanzas
行松陽介
Falus

more info : https://birdfriendfalus.tumblr.com/

CE$ - ele-king

MY GRIME CLASSICS

Slackk - ele-king

 ヴィジョニスやマーロなど、11月はグライム・シーンの最前線で活躍するアーティストたちの来日が決定しており、スラックの名前もそこに堂々と連なっている。彼は〈ローカル・アクション〉や〈アンノウン・トゥ・ジ・アンノウン〉といったレーベルからのリリースや、ロゴスらとともに開催するパーティ〈ボックスド〉を通し、グライムの可能性を開拓する第一人者だ。ジェイムス・ブレイクからニコラス・ジャーにいたるまで、幅広い音を提供し続ける老舗レーベル〈R&S〉からも、スラックはEP「ブラックワーズ・ライト」(2015)をリリースした。今回、その凶暴なビートと端麗なメロディが混在するサウンドを携え、スラックが初めて日本の現場へやってくる。
 来日公演は11月12日に大阪、翌日13日に東京で開催。大阪公演にはCE$や行松陽介ら関西シーンの立役者たちが出演し、フォトグラファーの横山純によるUKにおけるグライム・シーンの現在をおさめた写真展も行われる予定だ。東京公演には、1-ドリンク、DXやポータルといった多彩なプレイヤーたちが、「グライム」や「ベース」をキーワードに集う。グライム・ヘッズだけではなく、新しい音に飢えている方も是非お近くの現場へ。

Slackk - Bells - R&S Records - 2015

Slackk(Boxed / R&S Records/ Local Action Records)


(Photo credit: Jun Yokoyama)

 インスト・グライムのシーンにおいて指標となる存在、Slackk。彼が創設したロンドンにおける重要なクラブ・イベントであるBoxedでは、いままさに頭角を現さんとするプロデューサーと、時代の数歩先をいく音を探求するDJがステージに立つ。そこでの活動や、週一でレギュラーを務めるリンスFMでの彼のDJセットは、まさに次なるシーンの最前線において鳴らされる音の縮図だ。
 スラックは自身の楽曲においても、細分化するグライムの核心を突いており、〈Local Action〉、〈UTTU〉、〈Numbers〉そして〈Big Dada〉といったレーベルからリリースを重ねている。それらの作品で方々から賞賛の言葉を浴びた後、2015年には伝説的なレーベル〈R&S〉と契約し、EP「Blackwards Light」を発表した。


【大阪公演】
Hillraiser
日時:2015年11月12月 19:00開演
会場:Socore Factory
料金:2000円
DJ:
Slackk
CE$
行松陽介
satinko
ECIV_TAKIZUMI
Photo Exhibition:Jun Yokoyama

【東京公演】
T.R Radio presents Slackk From London at Forestlimit
日時:2015年11月13月 21:00開演
会場:幡ヶ谷Forestlimit
料金:2000円
DJ:
Slackk
Dx (Soi)
1-DRINK
BRF
Zodiak (MGMD)
PortaL (Soundgram / PLLEX)
NODA
Zato
Sakana
MC:Dekishi

Kevin Reynolds × Bushmind - ele-king

 DJを見るっていうんじゃなくて、がっつり踊りたいので、本気でアンダーグラウンドなパーティに行きたいんだよなー。このところ、ずっとそう思っていたところに朗報。最近は、トーフビーツの12インチ「Tofu Recipes -tofubeats Remix Ep」のリミキサーに抜擢されたり、小島麻由美の7インチ「泡になった恋」のリミキサーに抜擢されたりと、J-POPを陶酔のビートに変換しているブッシュマインドが、デトロイトからケヴィン・レイノルズを招いてのイベントを開く。
 ケヴィン・レイノルズは、一時期はデリック・メイのトランスマットでも働いていたほど、古くからデトロイトのシーンに関わってきたひとり。ブッシュマインドも、おそらく、ディープ・ハウス&ファンキーなアシッド・ハウスでその晩を盛り上げてくれるでしょう!

■Information
 先日発売されたKAKU『Live at Detroit2000』も好評な中、デトロイトよりKAKUの盟友でもありプロデューサー/ライヴ・パフォーマー のKevin Reynoldsgが12月に初来日決定!!
 日程は、12/20(土)東京en-sof、12/22(月・翌祝日)千葉 sound bar mui、12/27(土)大阪 compufunkの3公演。
 過去にResident AdvisorからDetroit Electronic Music Festival Movementのハイライトとも賞された彼のパフォーマンスを、体験できる 貴重な一夜であり、パーティを共に作り上げるDJ陣もhimcastならではの組み合わせに。 レジデントであるBushmindを筆頭に、blacksheep×himcastでもフロアを熱狂させた1-DRINK、seminishukeiよりオールラウンダーの Overall、blacksheepより安定のDJプレイを魅せるJyotaroが東京公演を。千葉では、説明不要だが海外トップDJのサポートを経験もある RYOSUKE、千葉の次世代をリードするパーティspotseekよりWada YosukeとBushmind。大阪はBushmindと大阪在住のOoshima Shigeru による「2×4」。会場となるレコード店兼クラブの店長であるDJ COMPUFUNKと、千葉に続きRYOSUKEがサポートを務める。

■Kevin Reynolds (Todhchai, Transmat, NSYDE / Detroit, USA)  デトロイトのプロデューサー/ライヴ・パフォーマー、ケヴィン・レイノルズ。 アイルランド系の自動車工場労働者と公民権活動家の間に生まれる。大学在学中に電子音楽の制作を覚え、卒業後はDerrick Mayの Transmat Recordsて働き始める。当初はエンジニアとしての契約だったが、後にレーベルにおける音響面の製作全てを担うようになる。
 その後、自身のレーベルTodhchaiを創立。2006年、1stシングル「Afrik」をリリース。Gilles Peterson、Osundale、Jazzanova、DJ Karizma、Masters At Work等からの支持を受け、BBC Radio Oneは彼の音楽を「the new sound of Detroit.」と称している。
 2001年、 2004年、2009年とDetroit Electronic Music Festival Movementでライヴを行い、2009年のライヴはResident Advisorによりフェスティバルのハイライトと評される。
 去年、今年とMike Huckaby、Osunlade、Patrice Scott、Aril Brikha等とともにヨーロッパツアーを行い、ベルリンのPanorama BarではNsydeからリリースしたシングル曲「Liaisons」のパフォーマンスでクラウドを熱狂させている。

■東京公演
2014/12/20 (sat)
[himcast]
at EN-SOF TOKYO 23:00 start
charge 2500yen(w/1d ) w/f 2000yen(w/1d )
Live:Kevin Reynolds (Todhchai, Transmat, NSYDE / Detroit, USA )
DJ:1-DRINK
Overall (seminishukei )
Jyotaro (BLACKSHEEP / LOCUS) Bushmind (himcast / 2x4 / seminishukei )

■千葉公演
2014/12/22 (mon)
[Lobust]
at sound bar mui 23:00 start charge 2000yen
Live:Kevin Reynolds (Todhchai, Transmat, NSYDE / Detroit, USA)
DJ:Bushmind (himcast / 2x4 / seminishukei) RYOSUKE
Wada Yosuke

■大阪公演
2014/12/27(Sat)
[2×4]
at Compufunk Records Backroom Open/Start 23:00 fee/2500(w/ 1Drink)
Live:Kevin Reynolds (Todhchai, Transmat, NSYDE / Detroit, USA )
Guest DJ:RYOSUKE (lobust / so gut ) DJ COMPUFUNK
DJ:Bushmind (himcast / seminishukei) Ooshima Shigeru
SOUND:YORI
floor2
Young Animal (WASTELAND / DEUZEBRA) ECIV_TAKIZUMI (SPASH!)
hisa (Jimmy)
GLT (Jimmy)


 もういい歳こいてることは重々承知、僕は未だに自分の放浪癖を更正するすべを知らない。この原稿を書いている現在も、何の因果かヨーロッパを放浪している。これは、まあ、そのドリフト録とでも言うべきものだ。そもそもはふとした思いつきでLAに向かったことから始まるこの生活だが、今回の最終目的地もいちおうのところLA。僕の放浪はLAに始まりLAに終わるのだ。いや、終わればいいんだけれども。

 といいつつ、この記録を書きはじめた10月には、ローブドア(Robedoor)のヨーロッパ・ツアーのコラボレーターとして暗雲立ち籠める最悪の欧州をドリフトしていた。しかし彼らとの出会いは僕が初めてLAに長期滞在していた2009年に遡る。当時はLAの〈エコー・パーク〉をヤサにしていて、ローカルたちが集うギャラリーや人ん家で夜な夜な催されるアホなパーティーを通じて親交を深め云々、そこからずっとつながる縁である。

■Oct14th
 ローブドアのブリット(〈NNF〉主宰)とアレックスにベルリンにて久々の再会を果たし、昨年LAでの対バン以来初めて観る彼等のデュオ編成でのパフォーマンスに度肝を抜かしたのは言わずもがな、今回のツアーの前半戦をサポートしたスウェーデンからのナイスガイ、マーティンによる初めて見るサンド・サークルズ(Sand Circles)のライヴ・セットは素晴らしいものであった。〈NNF〉からの過去のテープはどちらもヴァイナルをプレスするにじゅうぶんなクオリティであるが、それを納得させるセットだ。
ショウ終了後、再会の感激冷めやらぬ我々はベルリンの寒さをものともせず、さらに寝床を提供してくれたお姉チャンの家が5階で勿論エレベーターが無いため全力で機材を持ち込むことによって全員熱気すら放ち、ヨーロッパの一般的ボロ・アパートの何たるかを忘れシャワーの順番を譲り、みなを起こさぬよう悲鳴を抑えながら3日ぶりのシャワーを冷水で浴びていた。

■Oct15th
 翌朝ムニャムニャのままプラハに向け出発。国境を越え、チェコに入国した途端に濃霧に包まれるハイウェイ。ようこそ暗黒のチェコへと言わんばかりの歓迎にテンションも上がる。幻想的なプラハの町並みに感銘を受けながらダンジョン感全開のハコでのショウ。この日のローブドアのセットは素晴らしかった。勿論この土地で得た僕の心象風景とローブドアのサウンドが相乗効果をもたらしたのであろうが。僕が嗜好するような音楽シーンがこの土地に根づいているのかはわからないが少なくともこの日集まった多くのオーディエンスが熱烈にソレを求めているのがビンビンに伝わってきた。この日の主催者たちが運営する〈アムディスクス(AMDISCS)〉等のDIYレーベルが放つ多くのリリースからもそれをうかがい知ることができる。


そしてこの画のように野暮ったい。しかし野暮なオーディンスこそがリアル。ノー・ハイプ・シット。見よ前列のお姉ちゃんを。

寝床への道中、マシンガントークで町のあっちこっちの歴史を熱弁するこの日のプロモーターの一人(名前失念)は最高だった。僕らのために用意してくれた寝袋のひとつがテントだったのは意味わからんかったけども。

■Oct 16th
全員が早起きした。宿先の正面にそびえ立つ重そうな教会前(Church of the most sacred heart of our load)で朝市が催されており、僕らは大量の新鮮な果物とチーズを購入し……って、そう、チーズ。ローブドアのアレックスは食品輸入関係の仕事をこなしているためか、とにかくチーズに目がなく、僕らはツアー全日程を通してあらゆるチーズをつねに喰っていたため、車内はつねにチーズ臭で充満していたであろう。
この日のショウはウィーンのフラック(Fluc)で移動時間に余裕のある僕らは満場一致でクトナー・ホラのセドレツ納骨堂に寄ることにした。メタル系バンドのジャケで写真が濫用されているアレである。ノリでホトケをLEGOのごとく積み上げてみました的な実物に感銘を受けながら僕らは今回初めての観光らしい観光に充足した。

 フラックで僕らを迎え入れてくれた〈ヴァーチャル・インスティテュート・ヴィエナ(VIV)〉を主催するステファンとシーラは間違いなくウィーンでもっともイケてるカップルだ。シーラは最高の手料理をふるまってくれ、サウンドチェック後に僕らはそれを堪能し、ステファンは自身のNHKヴァイヴなプロジェクトJung An Tagenでナイスなオープニング・アクトを務めてくれた。ハコのサウンドシステムもさることながら、この日はDJ陣が素晴らしかった。SKVLKRVSHと名乗るアンチャンは僕の今年度のヘヴィロテをほぼ網羅してくれたし(D.R.I.からピート・スワンソンのミックスとか最高過ぎる)、そして何故かジェノバ・ジャクジーが80'sゴス全開のDJを……。
どうやらヨーロッパ・ツアー中であったアリエル・ピンクス・ホーンテッド・グラフィティに参加していた彼女は、最高潮に達したメンバー間の不和によりツアー半ばにして脱退し、強引にソロ・ツアーを慣行していたらしい。アナーキー過ぎる……。


酔いどれアレックスとジャクジー。何でジャクジーなのよってツッコんだら超真顔で本名だからと仰っておりましたが……

■Oct 17th
 お次はチューリッヒへ、ちなみに僕は今回のドリフトに際してビザも帰りの航空券も取得しておらず、EU加盟国でないスイスに入国するのを危惧していたが、問題なく国境を通過できた。高架下とスケート・パークに隣接するハコ〈Klubi〉は、どことなく新大久保〈アースドム〉を彷彿させる構造と音作りで、爆音での演奏を熟知しているようだ。プロモーションからアテンド、サウンドメイキングまで手掛けてくれたロジャーはソルト(Soult)としてホーラ・ハニーズ(Hola Honeys)のプロモーション・ツアーでNHKと共に来日もしている。ソリッドなDJを担当していたお姉ちゃんが用意してくれた豪勢な食事は、あまりのうまさに全員が無言でガッついていた。
満腹で弛緩しながらも、このあまりにも勿体ない待遇の何たるかを、僕にとって初めてのヨーロッパ・ツアーであるがゆえのカルチャー・ショックなのか、それとももしかしたらヨーロッパにおけるミュージシャンシップはゲストを快く迎え入れることがひとつのステイタスなのかしらんなどなど夢想しながら眠りについた。

無駄にドリフトは続く……

お正月の5タイトル! - ele-king

 お正月は何を聴きますか? 元旦からお仕事のかたも、例年にまして長い休暇を取られているかたも、おせちとテレビに飽きたらちょっとご参照ください! ライター陣を中心にお正月に聴く5タイトルを挙げてもらいました。ele-kingのお正月はこんなふうです。
 読者のみなさん、今年もありがとうございました。2013年もどうぞよろしくお願いいたします!

木津毅
1. Bon Iver / For Emma, Forever Ago / Jagjaguwar
2. My Morning Jacket / At Dawn / Darla
3. The National / Boxer / Beggars Banquet
4. Iron & Wine / The Shepherd's Dog / Sub Pop
5. The Tallest Man on Earth / The Wild Hunt / Dead Oceans

僕は半分ほどがアラサー女子の成分でできている人間なので、クリスマスに限定のケーキ(今年は〈ピエール・エルメ・パリ〉のフロコン・アンフィニマン・ヴァニーユ)を買い、ワインを飲み、浴びるようにクリスマス・ソングを聴いて年末には燃えつきるので、正月はみなさまと同じくだらけることに決めております。さすがに年始からスプリングスティーンを聴いて、アメリカについて想いを馳せたりはしません。ということで、正月ぐらい、いい男たちのいい歌を聴いて、甘いひとときを過ごしたいです(これは寂寥感ではない)。冬のいい男は、木こり系ですね。

倉本諒
1.Ash Pool - Cremation is Irreversible
2.Law Of The Rope / Crown Of Bone ‎- Law Of The Rope / Crown Of Bone
3.Rev. Kriss Hades - The Wind of Orion
4.Peste Noire ‎- Les Démos
5.Burzum - Filosofem

正月など大嫌いだ。そもそもお節や懐石料理等の常温で食す料理が好きではないし、公共機関をなどの都市機能の能率は低下のためもろもろの事情が遅れつづけるし、 実家も都内にあるため帰省することも別段珍しいわけでもない。そもそも長い極貧生活の中で脂肪を失ったエクストリーム・モヤシ体型の僕にとっていまは一年で最もしんどい時期なのだ。 でも北欧の冬に比べればマシだよねーってことでブラックメタルだけのアンチ祝賀タイトルです。Burzumしかノルウェイじゃないけど。みんなこれを聴きながらコタツに入り、猫の頭頂にみかんなどを載せてニヤニヤしながらアラン・ムーアのフロム・ヘルでも読みましょう。

斎藤辰也(パブリック娘。)
1. John Lennon / Instant Karma(『Lennon Legend: The Very Best Of John Lennon』収録) / Capitol
2. レミオロメン / エーテル / ビクターエンタテインメント
3. ブランキー・ジェット・シティ / 幸せの鐘が鳴り響き僕はただ悲しいふりをする / EMIミュージックジャパン
4. Hot Chip / One Life Stand / Parlophone
5. Zomby / Nothing / 4AD

「ああ、やってやろう!」の気分で満ち溢れている1位。冬はさむいけどワクワクするし春も近いということを思い出させてくれる2位。冬の寒さは身体にきびしい、そして人間は人間に厳しいのだと思い知らされる3位。冬リリースだった思い出もあり、静と動の往来でときを過ごしたい4位。ふざけんな、僕はもうなにも信じない......という気持ちが呼び覚まされるような5位。

竹内正太郎
1.SHINGO☆西成 / スプラウト / リブラ
2.電気グルーヴ / ドラゴン / キューン
3.neco眠る / エンガワ・ボーイズ・ペンタトニック・パンク / デフラグメント
4.サニーデイ・サービス / ムゲン / ミディ
5. PR0P0SE / プロポーズ / マルチネ

編集から依頼のメールがあってからというもの、暇を見つけてはCDラックの前をウロウロしたり、iTunesのライブラリーをキョロキョロしているのだが、正月の気配がまったくしない。なんてこった。わたしは、こんなにも正月と無縁な音楽ばかりを聴いてきたのだ......。辞退しよう。そう思った。それ以前に、「そもそも正月と音楽ってなんか関係あんの?」という負け惜しみ的な疑問を抱いたところ、「でも、一見まったくの無関係な二者に補助線を引くのがライターというものじゃないですかあ」という橋元編集の神の声が降ってきたので、ええいと瞬発的に選んだのがこの5作品。①のあまりにもデカい愛と温かい音。②から④は気持ちのいいポップスを何も考えずに。⑤は単に最近のお気に入り。(あれ、正月あんまり関係ない......)。ひとつだけ言うなら、普段、自分が聴いている音楽と、お茶の間に受け入れられている(ということにされている)ポップス/歌謡曲との距離を嫌でも考えさせられるのが、この年末年始というシーズンの個人的なお約束だったような気がします。みなさま、よいお年を。来年もよろしくお願いします!

橋元優歩
1. Pantha du Prince / Black Noise / Rough Trade
2.M. Geddes Gengras / Title Test Leads / Holy Mountain
3. AKB48 / AKB48 in TOKYO DOME~1830mの夢~スペシャルBOX / AKS
4.吉松隆 / NHK大河ドラマ《平清盛》オリジナル・サウンドトラック 其の二 /日本コロムビア
5.Inc. / 3EP / 4AD

1と5は、帰省の新幹線で。越後湯沢からは特急になるんですが、裏日本の雪原とPanthaの相性は半端ないです。Inc.も薄墨色のR&Bというか、余白がきわだつ音使いやビート感覚が、新幹線の静かなスピードをさらに加速し、窓外を叙情的なエンドロール風に変換してくれるはず......。ベストウィッシュ。よい旅を。

2は大掃除用。経験的に4つ打ちは掃除に向かないです。そしてアンビエントだと床拭きのときなんとなくへこむ。サン・アローとコンゴスのあれのもうひとりの重要人物、ゲングラスさんソロのこのタイトル・トラックは、そのあいだをすばらしく埋めてくれます。3拍めに鍵がある。

3はガチで正月休みにと思い。4は最終回の余韻をまだひきずっているため。現時点で4は未購入ですが、ボカロver.とうわさの"遊びをせんとや"は本作収録。しかし "タルカス"・ブームこなかったですね! クラウトロックがヤングに絶大な影響力を及ぼしているのに対し、ブリティッシュというかシンフォニック系はまったくスルーされている印象です。作中ではとてもキマっています。

本年もありがとうございました。

Photodisco
1.Def Leppard / Animal / Mercury
2.THE WiLDHEARTS / Just In Lust / Eastwest
3.FIREHOUSE / Here For You / Sony
4.Dizzy Mizz Lizzy / Find My Way / EMI
5.SKID ROW / Monkey Business / Atlantic

正月、実家に帰省し、何か音楽を聴こうかなと思うと、いつも聴く音楽は、東京に送っているため、実家のCDラックを見ると、ジャンルで言うところのHR/HMが多く、正月は、HR/HMで年を迎えることが定番となっております。
正月は年の初め、学生時代、初めて影響を受けたHR/HM。
"初心忘るべからず"的なトラックを選びました。

ほうのきかずなり(禁断の多数決)
1.岡本太郎 / 芸術と人生 / NHKサービスセンター
2.The Flaming Lips / Race For The Prize / Warner
3.Lou Reed / Walk on the Wild Side / RCA
4.Prefab Sprout / The Best of Prefab Sprout : A life of Surprises / Sony
5.友部正人 / はじめぼくはひとりだった / 友部正人オフィス

新年を迎えるにあたって気持ちを引き締めるため、まずは岡本太郎の声と言葉を聞くようにしています。太郎の言う「芸術は爆発だ!」という言葉がとにかく大好きで、リップスの『レイス・フォー・ザ・プライズ』はまさに大爆発サウンド。「安全な道と険しい道で迷った場合は険しい道を選べ」と、太郎の言葉にもあるように、ルー・リードの「ワイルドサイドを歩け」を聴いて新年から気を引き締めます。

NaBaBa
1.Dishonored (Bethesda Softwork発売 Arkane Studios開発 / 対応機種Xbox360・PS3・PC)
2.Hotline Miami (Devolver Digital発売 Dennaton Games開発 / 対応機種PC)
3.Far Cry 3 (Ubisoft発売・開発 / 対応機種Xbox360・PS3・PC)
4.Hawken (Meteor Entertainment発売 Adhesive Games開発 / 対応機種PC)
5.Thirty Flights of Loving (Blendo Games発売・開発)

気がつくともう年の瀬ですが、ゲーマー的にはこの年末年始が色々な意味で年間最大の狙い時。Steam等のデジタル販売サイトでは破格の大規模セールが行われるので絶好の買い時ですし、社会人にとっては腰を据えてゲームに打ち込める、数少ない機会でもあります。

そんなわけで最近発売された作品の中から、とくにじっくり遊びたいものを中心に5つほど取り上げさせていただきました。

『Dishonored』は以前連載でも取り上げさせていただいた『Deus Ex』をルーツとした作品。多層構造のマップを自分なりに攻略できる戦略性の高さに、様々な特殊能力を駆使した今時の即興性が組み合わさったゲーム・デザインが特徴で、永らく途絶えていた一人称ステルスゲームを見事現代に復活させました。Viktor Antonovが手がけたアートワークも素晴らしく、個人的に今年のGame of the Yearは本作に決まりです。
https://www.youtube.com/watch?v=-XbQgdSlsd0

『Hotline Miami』は連載の方でも取り上げたのでいまさら言うことはありませんが、それでもなおお薦めしたい一押しタイトルです。シンプルな内容ながらゲームデザイン、ストーリー、ヴィジュアル、音楽と全ての要素が調和していて、ひとつとして無駄がない。ゲームとして卓越していると共に、表現作品としても非常に質が高いと思っています。続編の開発も発表され今後も楽しみな作品ですね。
https://www.youtube.com/watch?v=6OJ51PG0swE

『Far Cry 3』は名作『Far Cry』と迷作『Far Cry 2』に続くシリーズ3作目のゲリラ戦FPS。ジャングルを舞台に賢い敵AIを相手にゲリラ戦を挑んでいくコアのコンセプトはそのままに、前作のわざとなのかと思うくらいの要素の無さを改善し、いろいろな遊びを詰め込み順当な進化を果たしています。南国の島が舞台で一見すると明るい雰囲気ですが、その実『地獄の黙示録』を下敷きにしているのであろう、全能感の暴走をテーマにしたストーリーにも注目です。
https://www.youtube.com/watch?v=CFll8IVLMVw

『Hawken』はMechを操縦して戦うのが特徴のオンラインFPS。まず何よりもインディーズ離れしたアートワークのレベルの高さが注目点で、マシーネンクリーガーを彷彿させるMechがガシャンガシャン言いながら戦う、ある意味そのロマンが全てと言ってもいい作品。基本プレイは無料なのもお薦めしやすい点ですね。現在オープンベータテスト中で、ゲームバランスは正直まだ詰め切れていない印象ですが、ここから完成度が上がりもっと化ける事を期待しています。
https://www.youtube.com/watch?v=Is9nujmgPBo

『Thirty Flights of Loving』はたった15分で終わる、じっくりとは全く正反対のゲーム。主観視点でのストーリー・テリングのみに特化しており、その意味でゲームと呼ぶべきかどうかも疑わしいですが、表現されているものは既存のゲームに対する明確なアンチテーゼです。過度な演出やいっさいの説明を廃し、行間を読ます内容なのがユニーク。この手の作品のマスターピースにまでは至っていませんが、ひとつの試みとしては興味深い。同梱される前作『Gravity Bone』と併せてお薦めの作品です。
https://www.youtube.com/watch?v=5y1P2BUCeuc

これらのなかの一部は、今後連載の方でも詳細なレヴューをしていきたいと思っていますのでお楽しみに。それでは来年もよろしくお願い致します。

野田努
1.Le Super Biton National De Segou / アンソロジー / Kindred Sprits/カレンティート
2.パブリック娘。 / 初恋とはなんぞや / 自主
3.ジェイク・バグ / ライトニング・ボルト / ユニバーサル
4.Sex Pistols / Never Mind The Bollocks / Virgin
5.Echo And The Bunnymen / Crocodiles / Korova

 20代~30代は、毎年、年末年始はクラブ・イヴェントをハシゴしたものだが、子供が生まれてからは、そういう生活から足をあらったので(子供を女房や親に預けて遊びにいける身分ではないため)、40代以降はもっぱら実家でテレビを見ながら親兄弟たちと会話しているという極めて平凡な時間を過ごしている。
 大晦日は実家の掃除を手伝って、年越しソバを食べて、年が変わったら近所の寺で除夜の鐘の叩いて、お参り。それから寝て、起きて、雑煮を食べて、清水エスパルスが天皇杯の決勝戦に残っていたなら最高だったのだが......しかし、どこのチームであろうと、元旦の1時からはサッカーを見ている。

 それから女房の実家に挨拶に行って、安倍川で凧を上げたり、地元の友だちに会ったりとか、年末年始はなんだかんだで忙しいので、音楽を聴いている時間はない。まあ、強いて思案するなら、コスモポリタンたる小生は、年末年始はなるべくワールドな感じで迎えたいといったところか。シュペール・ビトン・ナシオナル・ド・グゼーはここ数年ヨーロッパに再発掘されたマリのバンドで、新年を迎えるにはほどよい陽気さ、清々しさがある。まだ一度しか聴いてないし、実家でしっかり聴き直したい。
 それから何を聴こうかな......。考えてみれば、実家には自分のレコードもない。芸能人が出ているような番組を見ることもない。たまには音楽を聴かない生活も新鮮だ。他には、山を登ったりとか。読書したりとか......。

 もし自分がいま独身か未婚で、東京に住んでいる人間だったらクラブに行って4つ打ちを浴びていたんだろう。元旦の明け方にそのまま明治神宮まで行っていた頃が、遠い昔のことにように思える。

 他に......正月に聴きたい音楽を考えてみる。まずはゆとり世代の最終兵器、パブリック娘。の「初恋とはなんぞや」だ。そして、シングル曲というものの魅力、シングル主義の面白さをあらためて証明したジェイク・バグの「ライトニング・ボルト」。そして、自分を見つめ直すという意味でセックス・ピストルズの『ネヴァー・マインド・ザ・ボロックス』も聴いてみたい。もう1枚は、訳あってこのところ聴きまくっているエコー&ザ・バニーメン。その理由は来年明かしましょう。
 それではみなさん良いお年を。

松村正人
1.倉地久美夫 / 太陽のお正月 / きなこたけ
2.高橋アキ、クロノス・クァルテット / ピアノと弦楽四重奏曲(モートン・フェルドマン) / Nonesuch
3.前野健太 / オレらは肉の歩く朝 / felicity
4.The KLF / Chill Out / KLF COMMUNICATION
5.Kraftwerk / Autobahn / Vertigo

 私は十二歳の元旦に車に轢かれ、ラッキーにもほんの半歩の差で死ななかった。それがどうも心的外傷になったようで、外にいると死ぬ気がするから正月は出歩かない。カウントダウンにも初詣にも行かない。せめて神社に行ければ、モータリゼーションがこの世から消えてなくなりますようにと祈れるのに。ただ私はじっとしているだけだが、そんなとき部屋に流す音楽は揺らぎがすくないほうがいいのだけれども、どこかに歪みを求めてしまうのは反復強迫なんスかね。

三田格(関東連合
1.シー・シー・シー(クラークス)
2.ヨー・ヨー・ヨー・ヨー(スパンク・ロック)
3.ウー・ウー(イシット・ムジーク)
4.ガ・ガ・ガ・ガ(RCサクセション)
5.ツ・ツ・ツ(カビヤ)

おおお。

内田学 a.k.a. Why Sheep?
1. ベートーベン / 交響曲第9番『合唱』 フルトヴェングラー&バイロイト(1951 バイエルン放送音源) / EMIミュージック・ジャパン
2. U2 / Where the Streets Have No Name(約束の地) / Universal International
3. Ashra(Manuel Gottsching )/ Sunrain / EMI Europe Generic
4. 佐野元春/ヤング・ブラッズ/エピックレコードジャパン
5. モーツアルト/クラリネット協奏曲(演)ベニー・グッドマン、ミュンシュ&ボストン響、ボストン・シンフォニー四重奏団 /Sony Classical Originals

クリスマスで燃え尽きてしまうので、とくに正月を意識して音楽を聴くことはないんだけど、第九で年またぎは儀式化してますね。ちなみに23時9分10秒あたりから第一楽章をスタートすると、年越しした瞬間に第四楽章の「歓喜の歌」の冒頭のコントラバスが静かに聴こえはじめますのでぜひお試しを! 最後のモーツアルトのしかもベニー・グッドマンのクラリネット協奏曲は毎年正月に父がかけてたから。なぜか理由は知らないが......。あ、そういえば僕は元旦生まれなんでした。

Gerry Read - ele-king

 『テルマエ・ロマエ』のヒットは発想がグローバルだったから......だそうである。インドネシアにはあと10年以内にセヴン・イレヴンが1000件はできるらしい。ブロック経済の行方を占うようにしてオランドーが提案したユーロ債はメルケルに一蹴され、市場=帝国に立ち向かう超民主主義をジャック・アタリは提唱するw。とにかくありとあらゆるものが国境を越えてノマド化するなか、なぜか「選挙権」だけがグローバル化しない。ある人が一国だけの経済に収まっていないのはもはや明白なのに、取引先の政権に対して何ひとつ影響力を行使できないというのは、まるで婦人参政権が与えられる以前の女性たちのようなものではないのかw。ジョージ・ブッシュが再選される際、ラルフ・ネーダーに投票するよう呼びかけたトム・ヨークに対して、モービーはイギリス人がアメリカの民主党票を割るような発言をするなとクレームをつけたことがある。つまり、国外から他の国の政治状況に影響を与えることが可能なランクとそうでないランクがこの世界には存在するということである。この不平等を是正し、グローバリズムを徹底させたいのなら、他国の政治状況に対しても投票が可能となる制度を構築するしかない。たとえば世界中のあらゆる人が外国への投票を一定票有し、それを外部要因としてパーセンテージを設定することで、一定の影響力とするわけである。日本との取引を進めたい中国の貿易業者が石原の対立候補に入れるとか、ジンバブエから安い労働力を輸入したい南アの企業はムガベを応援するとか(ちょっとブラック過ぎるか)。これぞグローバリズムではないだろうか。世界市場=帝国の完成ではないだろうか。ネタニヤフやベルルスコーニを失脚させたいと考える人たちが世界中に一定数いれば、圧制に対するストッパー要因にはなるだろうし、アメリカ軍もいちいちアラブ界隈に出かけていって面倒を引き起こす機会も減るだろう(つーか、シリアにも派兵しなかったアメリカはホントに病気かも)。あるいは、ブラジルのようにトービン税を導入した国だけ、こうした権利を認めるというのはどうだろう。攻め型と守り型の経済国家がジグソー・パズルのように入り組んだ世界が出来上がり、金田淳子が「人類皆BL」と書かれた旗を振るのである! ああ、ウゴ・チャベス! そうよ、ユーリヤ・ティモシェンコ! 投資マネーで突き刺して!

 冗談はさておき、BNJMNの快挙に続いて、ベース・ミュージックからハウスへと越境を果たしたジェリー・リードの1作目(これが言いたかっただけでした......)。昨年、ダーク・アークから「パターンズ」でデビューした弱冠19歳のリードは〈ランプ・レコーディングス〉が新たにスタートさせた〈4thウェイヴ〉から矢継ぎ早に5枚のシングルをリリースし、〈セカンド・ドロップ〉からの「ルームランド」にはディスタルによるリミックス盤も加えるなど、早くも新しいセンスのオン・パレード状態となっている。なかでは、どこからどう説明していいのかわからない"ウイ・アー"(スケベは見るべし→https://www.youtube.com/watch?v=TfV-Te608bA)を差してディスクショップ・ゼロの飯島さんはこともあろうに「粗さとしなやかさが同居する黒グルーヴ」と手短に片付けているけれど、ガラージにもミニマルにもダウンテンポにもダブステップにも聴こえるダンス・ミュージックのグローバリゼイション状態(なんだそれ)として聴かせ、日本からは消えうせた未来をハウス・ミュージックの前方にあっさりとつくり出していく。また。今年に入って(20歳になって)温故知新の総本山と化してきた〈デルシン〉からの"イエー・カム・ダウン"ではエイフェックス・ツイン"ヴェントリン"をハウスにアレンジしたような不思議なパーカッション・グルーヴが編み出され、最新シングルとなる「ライノ」ではジャム・シティを意識したようなインダストリアル・テイストも取り入れられていた。そして、そのどれも採録されていないファースト・アルバムにはさらに洗練された作風が並べられ、いままでになかったスウィング感があちこちから滲み出し("ギボン"や"クロール"を聴いてジャイルズ・ピータースンが放って置くとは思えない)、"ビー・プッシン(シー)"を筆頭にジュークをハーフで聴かせているような粘っこいグルーヴが腰にまとわりついて離れない。セクシーである。新井将敬に聴かせてやりたかった......(ウソ)。無法松の暴れ太鼓をアンチ‐Gがイタロ風にリミックスしたような「メイク・ア・ムーヴ」、スクリッティ・ポリッティをベース化したら......という想像がはたらく"ギヴ・マイセルフ・トゥー・ユー"、ムーディマンを思わせる"レッツ・メイク・イット・ディーパー"(実際、ピッチフォークはリードをムーディマンやフライング・ロータスと比較している)、デリック・メイをセオ・パリッシュでかち割ったような"ムーヴィング・フォワード"。どれをとってもいかにも新世代である。若い。新しい。ひゃっホー。

 Quench and anger on the other side of the graciousness of Hashimoto, a sense of loneliness rising from a gap of tranquility Kizu-kun, the day it was made to feel quite exhausted. (by 田中宗一郎) *ツイッターより英訳して無断転載

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