「TRAFFIC」と一致するもの

Run The Jewels - ele-king

エル・Pは「黒さ」という価値観に従属しないところが際立っていたというか、音もサンプリングの仕方が独特でプログレを彷彿とさせるサウンドが生まれたり、トレント・レズナーやマーズ・ヴォルタとも共演したりとロック寄りでもある。 (吉田)

黒いグルーヴじゃなくて、インダストリアルとして表出したのが、エル・Pとカンパニー・フロウの特異性だったんですよね。(二木)


Run The Jewels
Run The Jewels 3

Run The Jewels Inc. / Traffic

Hip Hop

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前作がさまざまなメディアで年間ベストに選ばれたヒップホップ・デュオ、ラン・ザ・ジュエルズ。かれらがついに3枚めのアルバムを発表しました。ポリティカルなメッセージを発する一方で、じつはダーティなリリックも満載、そのうえトラックはかなりいびつ。にもかかわらずチャートで1位を獲っちゃうこのふたり組は、いったい何者なんでしょう? いったいRTJの何がそんなにすごいのか? このデュオのことをよく知る吉田雅史と二木信のふたりに、熱く熱く語っていただきました……そう、あまりに熱すぎて長大な対談に仕上がってしまいましたので、前後編に分けてお届けします。まずは前編をご堪能あれ。

二木信(以下、二木):小林くん(編集部)からのメールの中で、「カンパニー・フロウやエル・P、〈ディフィニティヴ・ジャックス〉、ラン・ザ・ジュエルズは欧米の音楽メディアやUSのヘッズには高く評価されているけど、日本ではそこまで評価されていない。その理由とは何か」という問いがありましたよね。でも実は日本のコアなヒップホップ・リスナー、特にヘッズと言われる人たちの間ではカンパニー・フロウとか〈デフ・ジャックス〉、〈ローカス・レコーズ〉って確固たる人気があると思うんですよ。そもそもがインディペンデントでアンダーグラウンドな音楽だから、例えばいまでいえばケンドリック・ラマーとかと比較するとそこまで人気がないように見えるんですけど、日本のアンダーグラウンドのリスナー、ヘッズの間ではカンパニー・フロウ、〈デフ・ジャックス〉、〈ローカス〉の影響はいまだに根強いと思いますね。おそらく小林くんが言いたかったのは、エル・Pのリリシズムや言語表現の文脈が日本の中で理解されて伝わっていないんじゃないのか、ということじゃないですか。そこは僕も非常に興味深い点で、今日は吉田さんにもいろいろ教えてもらいたいなと(笑)。まず、エル・Pのリリシズムは英語がネイティヴの人が聴いたり、読んでも難解な側面があると思います。わかりやすいストーリーテリングではないし、それこそフィリップ・K・ディックとか、トマス・ピンチョン、テリー・ギリアムからの影響を公言するようなラッパーですし、サイエンス・フィクション色が強く、ディストピアめいた世界を描いていたりもする。だからまず、英語がネイティヴではない人間にとってはリリックの難解さは大前提としてありますよね。

吉田雅史(以下、吉田):そうですね。だから先ほど指摘のあったように日本でも受け入れられていたというのは、実はリリック面の特異性が評価されたというより、サウンド面も革新的だったからそこだけでも十分に評価されたということですよね。だけど実際アメリカではサウンド以上に評価されているのは、さっき仰っていたみたいにやっぱりリリックであり、ボキャブラリーであるわけで。カンパニー・フロウの曲で最初に注目を浴びて日本にも入ってきた12インチが「Eight Steps To Perfection」で、そのエル・Pのヴァースは、1979年のSF映画『ブラックホール』に登場する「マクシミリアン」というロボットを冒頭から引用しながら「俺をマクシミリアンと呼んでくれ/狂ったロボットだ/宇宙空間の端っこを彷徨いながら/ブラックホールに飲み込まれるまで/弾丸をばら撒くようにラップする」というラインで始まるんですね。この曲がリリースされた1996年の状況としては、まず数年前の1993年にウータン・クランのファースト・アルバムがリリースされて、ある種サブカル的なものを取り入れたと。

二木:カンフーとかね。

吉田:そうですね。ウータンはそのことによって、新しいボキャブラリーを持った奴らが出てきたというふうに思われたところがあった。エル・Pはその前例を経た上で、サイファイ的なボキャブラリーや世界観を取り入れる形で、ヒップホップにサブカルを持ち込んだということですね。たとえばギャングスタとかストリートといったそれまでの価値観とは全然違う抽象的かつサブカルを引用したスキルフルなラップで、しかもあのサウンドという。

二木:ドロドロ・サウンド。

吉田:そうそう。で、当時のニューヨークで現場を見ていた人間から話を聞くと、本当にカンパニー・フロウ以前と以後で世界が変わったような感じで、ものすごく衝撃的だったと。何を言っているかよく分からない抽象的で難解なライムだけど、やたら攻撃的で、しかもフィリップ・K・ディックの世界を参照するようなSFフレイヴァーも入ったリリックをスピットする白人ラッパーが現れた衝撃ですよね。ブラック・ミュージックの系譜でSF的と言うと、連想されるのはいわゆるアフロ・フューチャリズム的な想像力や、サミュエル・R・ディレイニーのような作家だったりすると思うんです。一方でエル・Pは「黒さ」という価値観に従属しないところが際立っていたというか、音もサンプリングの仕方が独特でプログレを彷彿とさせるサウンドが生まれたり、トレント・レズナーやマーズ・ヴォルタとも共演したりとロック寄りでもある。RTJ(ラン・ザ・ジュエルズ)の音もブラック・ミュージックというよりもダンス・ミュージック、クラブ・ミュージックの系譜ですよね。日本でもヒップホップと言ったときに、非ブラック・ミュージック的なダンサブルなサウンドにラップが組み合わさるものは珍しいと思うんです。共演もしているダニー・ブラウンの異質さなんかもそういう意味では近いのかもしれないですけど(笑)、だからRTJも、いわゆるヒップホップ・ファンというより、ダンス・ミュージックの系譜としてマニアックな層に聴かれることが多いのかなという気もします。

RTJはポリティカルだから知的と捉えられる向きがあって、もちろんそれは間違いじゃないんですけど、エル・Pの知性に関していえば、言葉にしても音にしても文脈を理解した上で意味をいかに組み替えていくかという発想力にあると思う。(二木)

二木:だから、カンパニー・フロウが『Funcrusher』(1996年)や『Funcrusher Plus』(1997年)をリリースして登場したとき、日本のコアなヒップホップ・リスナーに大きな戸惑いを与えつつ、そのいびつなサウンドがかなり求心力を持ちましたね。というのも、当時はパフ・ダディによるヒップホップのビッグ・ビジネス化や、ティンバランドのいわゆるチキチキ・ビートが席巻しはじめた時代で、そういう流れやサウンドに乗れないヘッズたちが彼らに可能性を感じてのめり込んでいったのはあると思う。ただ、いまあらためて『Funcrusher』や『Funcrusher Plus』を聴き直して印象的だったのは、エル・Pのビートはサンプリング・ヒップホップに忠実だったんだなということでしたね。

吉田:そうですよね、あくまでもブレイクビーツの打ち換えとネタのオーソドックスなスタイルで。時代背景的にもニューヨークではサンプリング・ベースのビートが主流で、まだシンセ・サウンドを足すようなケースはあまり見られなかった時期ですしね。

二木:例えばDJプレミアのフリップへのリスペクトを感じるし、その手法をいかに自分なりに解釈して表現するかという挑戦をしているように思いましたね。それが結果として、黒いグルーヴじゃなくて、インダストリアルとして表出したのが、エル・Pとカンパニー・フロウの特異性だったんですよね。エル・Pはブルックリン生まれですが、彼はセント・アンズ・スクール(Saint Ann's School)という芸術系のプライヴェート・スクールに通っていた経験があるんですよね。バスキアとか、ビースティ・ボーイズのマイク・D とかも通っていた学校らしいんです。元々そういった芸術志向があって、ヒップホップというアートフォームの中で言葉と音でどこまで、何を表現できるかを模索していたように思いますね。

吉田:そうですね。カンパニー・フロウの2枚目の『Little Johnny From The Hospitul: Breaks & Instrumentals Vol.1』はインスト・アルバムじゃないですか。エル・Pは元々少年時代にラップをしたかったからビートメイクを始めたと言っていますが、インスト・アルバムをリリースするくらいにビート・メイカーとしての自意識もかなり強いわけですよね。先ほども言ったようにサンプリング・ビートの時代だった当時、カンパニー・フロウの頃はエンソニックのEPS16+というサンプラーをメインに、サンプリングのアートを追求していた。当時、例えばDJプレミアとか、ATCQ(ア・トライブ・コールド・クエスト)とかがやろうとしていたことって、複数のレコードからネタを持ってきて、それらを重ねてもキーやリズムがうまくあってハーモニーやグルーヴが生まれるという、どちらかと言うと調和に重きが置かれていたわけですよね。この曲のこの部分と、また別の曲のこの部分がこんなにうまく融合するぞ、みたいなことじゃないですか。

二木:まさにトライブの『The Low End Theory』(1991年)ですよね。

吉田:そうそう。ATCQの最初の3枚は、それを体現してますよね。

二木:あの作品のエンジニアであるボブ・パワーは「ヒップホップ版の『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』だ」とも言っていますね。

吉田:そうですよね。エル・Pはそれに対してある種逆をやろうとしたというか。いびつさの美学とも言うべき、調和の対極を目指したところがあったと思うんです。昔ミスター・レンやビッグ・ジャスがインタヴューで言っていたのは、デモ段階ではクソみたいなビートらしくて(笑)。聴けたもんじゃないみたいな。それが最終的に仕上げる段階で素晴らしいものに生まれ変わるらしいんですよね。要するにデモの段階での制作プロセスは、ゴミクズを集めて何か造形できないか、みたいなことを彼はやっているイメージですよね。だからサンプリング・ネタも明らかにグルーヴがあって音楽的な旋律を成しているようなものではないという。本人もいわゆるネタの掘り師というわけではないと言っていますが、どこにでもある価値のないレコードのネタを生まれ変わらせる錬金術に長けているというか。“Population Control”とか“The Fire In Which You Burn”のように、旋律のないノイズっぽいネタに、ドラムの打ち方も変則的でヨレたビートというか、クオンタイズせずにグリッドに合ってないんだけど、それを当時積極的にやっていたのはRZAとかエル・Pくらいでしたよね。

二木:たしかに。

吉田:それをどこまでずらしたらイケるかとか、ハットを打たないで変則的にやってみるとか、エル・Pはビートメイクは「実験」だし、1曲完成までに5回も6回もやり直すと言っていますが、カンパニー・フロウの初期の方が、権威のない素材からいびつなビートを造形するという、直接的にアートっぽい作り方をしている気はしますよね。

二木:聴いている側に驚きを与えようというか、そういう意図はかなりあったと思う。エル・Pのインタヴューで「El-P’s 10 Favorite Sample Flips」って記事があって。読まれました?

吉田:はいはい、ありましたね。

二木:これがすごく面白くて、その『エゴトリップランド』の記事を『探究HIP HOP』というブログをやっているGen(ocide)AKtion(@Genaktion)さんが日本語に訳していて。この記事を訳していることが本当に素晴らしいんですけど。この中でエル・PはDJプレミアが手がけたジェル・ザ・ダマジャの“Come Clean”や、ラン・DMCの“Peter Piper”とか、エド・OG・アンド・ダ・ブルドッグスの“I Got To Have It”とか、マーリー・マールがアン・ヴォーグの“Hold On”をサンプリングしたLL・クール・Jの“The Boomin' System”とかを挙げて、サンプリングの真髄について熱く語っていくんです。Gen(ocide)AKtionさんの訳をそのまま引用させてもらうと、エル・Pはサンプリングに関してこんなことを言っているんです。「サンプリングというモノの大きな役割は、人々の予想を裏切る所にあるんじゃないかと思うんだ。知的に物事を変化させるって事さ。使うべきだとは思えないモノを使用し、いざそのサンプルを使った時に皆が他の曲を加えたがる場合は、敢えてそのやり方に背く事でね」。まさに「ゴミクズ」を集めて新たなものを生み出すサンプリングの発想ですよね。“Peter Piper”はボブ・ジェームスの“Take Me to the Mardi Gras”をサンプリングしているんですけど、ここでエル・Pはリック・ルーヴィンが“Peter Piper”を作った偉業を知るためには“Take Me to the Mardi Gras”の一部のブレイク以外がどれだけダサいかを知らなければいけないとも語っているんですよ。RTJはポリティカルだから知的と捉えられる向きがあって、もちろんそれは間違いじゃないんですけど、エル・Pの知性に関していえば、言葉にしても音にしても文脈を理解した上で意味をいかに組み替えていくかという発想力にあると思うんです。吉田さんが磯部(涼)さんと大和田(俊之)さんと作った本(『ラップは何を映しているのか――「日本語ラップ」から「トランプ後の世界」まで』)の中でエル・Pについて語っていましたけど、彼はフリー・スタイルで出てきたリリックを並べ替えたりしてヴァースを作ったりもするそうですよね。

吉田:そうそう。あれもカット・アップの手法ですよね。

二木:そう、彼はカット・アップの手法にすごく忠実にやっているというのがすごく面白いところで。

吉田:だからそういう意味ではウィリアム・バロウズなんかも好きかもしれない(笑)。

二木:そうですよね。

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キラー・マイクとエル・Pのコンビは、ポリティカル・ラップとコンシャス・ラップみたいな捉え方もできると思うし、具象と抽象とも言えるし、だからこそ対照的なふたりのコンビネーションというのが光っている。 (吉田)

吉田:好きそうだなあ(笑)。で、いま仰ったようにポリティカル対コンシャスということについても話したいんですけど、直接的に政治的なメッセージをラップするポリティカル・ラップに対して、コンシャス・ラップの中には寓話的な語りで現代社会の有り様を考えさせるようなスタイルがあると思っているんですが、エル・Pにも後者の寓話タイプの特性があると思うんですよね。1曲丸ごと物語調という曲はあまりないけれど、マイク・ラッドの“Bladerunners”で「俺は見たんだ/奴隷船がオリオン座の沿岸で火を吹く姿を」とか“Krazy Kings Too”で「錬金術/アートでお前の苦痛を癒せ/そのやり方を学ぶことだ」とか、ヴァースの最後のラインでストーリーをまとめる力も光っていて。彼はいわゆるコンシャス・ラッパーには分類されないけれど、SFマナーのディストピア的な世界観がインストールされているから、それらを描くことで逆にいまの世界の問題に光を当てている。それは近未来の人間社会を映すタイプのコンシャスなSFの書き方そのものでもあると思うんですが。でも彼自身『Fantastic Damage』をリリースしたときに自分はSFのつもりでは書いていない、現実を書いているだけだと言ってもいるんですけどね。9.11以降の世界では、現実が十分に終末論的だと。だからキラー・マイクとエル・Pのコンビは、ポリティカル・ラップとコンシャス・ラップみたいな捉え方もできると思うし、具象と抽象とも言えるし、だからこそ対照的なふたりのコンビネーションというのが光っている。まあ、僕はどうしてもエル・Pの話の方に力が入ってしまうところがありますが……(笑)。

二木:やっぱりエル・Pのほうが好きですか?

吉田:いや、実際持っている資質が違うので簡単に比べられないと思うんですけどね。やはりカンパニー・フロウの衝撃が大きい世代なので。一方のキラー・マイクは最早ブラック・コミュニティのご意見番のような感じになっていますよね。

二木:いまやそうですよね。

吉田:で、バーニー・サンダース支援についても、ラッパーであそこまで堂々と長々と本人とも対談していて、しかもコメントもすごく的を射ている。コミュニティからの信頼感もすごくある。で、なんでそういうふうに信頼される存在になったのかというと、エル・Pもインタヴューで言っているんですけど、ふたりは一見ポリティカルなメッセージを発信したり、シリアスな曲もあるんだけれど、一方で下品なジョークやFワードも連発するという(笑)。要するに二面性があるわけです。

二木:いや、これねえ、ライムは本当にダーティ(笑)! キラー・マイクは床屋でバーニー・サンダースにインタヴューしていましたよね。バーニー・サンダースが大統領候補として民主党から出馬しているときに黒人からの支持があまりないとも言われていて、キラー・マイクは床屋と言えばブラック・ピープルが集う場所だからと、そういう設定もすごく考えて、床屋でバーニー・サンダースにインタヴューするということをやったと思うんです。で、キラー・マイクってある種原則的な左派なんですよ。というのも、彼はあるインタヴューでプロレタリアートという単語を使っていました。いわゆるコンシャス・ラッパーと言われる人でもなかなかプロレタリアートという言葉までは使わないと思うんですよ。そういうのもあって明確な理念や理想があって活動しているアクティヴィストだと思いました。彼の話を聞いていると、自由や平等、社会的な公平性の重要さを真摯に説いたり、例えば家を出て玄関の前に穴が開いていたらちゃんと行政に言おうとか、コミュニティに根差した模範的なアクティヴィスト然としているんですよ。なのに、それとは対照的にリリックのほうはびっくりするくらいダーティで(笑)。もちろんドラッグやマリファナのライムも多い。

吉田:そう(笑)。一方のエル・Pもサイファイ好きでサブカル・ラップみたいなものを代表していて、それでナードだったり文学的だったりするのかというと、そんなことはなくて結局マッチョなんですよね。要するにボースティングするとかヒップホップ的であることは全く捨てずにそれをやっているから、そこが文系みたいな感じでもないじゃないですか。

二木:ないですね。

吉田:で、キラー・マイクも、俺はパブリック・エネミーが好きだけどトゥー・ライヴ・クルーも好きだし、ふだん奥さんとストリップ・バーに行ったりしてるし、そういうダーティな自分とポリティカルな自分と両方あるから、その両方を見せないとある意味信頼も勝ちえられないと思っていると。だから俺は全部見せるんだと言っていて。それでエル・Pはすごくシニカルな人でもあるけれど、「そんな正しいことばかりできるわけじゃないんだから、俺はバカなことや間違ったことも言うし、そういうところを持っているのが人間だろ」とふたりとも別々のインタヴューで言っていて。だから、彼らはポリティカルなメッセージを発信していると見られているけれど、実際にリリックを見ていくと「アレェ?」みたいな(笑)。


ラン・ザ・ジュエルズの場合は、今回のアルバムでダンス・ミュージックに振り切りながら、時代性もありポリティカル/コンシャスなメッセージを今までよりも大幅に投入しているのが面白いと思うんですよね。両方とも減らすんじゃなくて、両方とも増しているという。 (吉田)

二木:今回のアルバムの“Hey Kids”という曲でキラー・マイクが「馬鹿げたライムの野蛮なラップ」と言っていて、これは自分がやっている表現についての説明的なリリックですね。エル・Pも同じ曲で「1/2パウンドのウィードを吸って逃げるのさ」とかライムしているんですが、そうかと思ったら後半のヴァースで「ラン・ザ・ジュエルズがブレグジットの息の根を止めるんだ」というフレーズが飛び出してくる。そういうリリックが混在していますよね。エル・Pが全面的にプロデュースしてキラー・マイクの出世作になった2012年の『R.A.P. Music』に“Big Beast”って曲があるじゃないですか。このPVがだいぶスプラッターですよね(笑)。露悪趣味ともとられかねない。けれども、これはただの露悪趣味ではないと思います。ラン・ザ・ジュエルズがBBCのチャンネル4って番組でインタヴューを受けている動画がYouTubeに上がっているんですが、キラー・マイクは「グラヴィティ(重力)から解放されるために音楽をやっている」というようなことを語るんです。おそらくここで言うグラヴィティってシリアスネスってことだと思うんですけど、これはさっき吉田さんが仰った「ストリップ小屋に行くことも大事なんだ」って話と同じことだと思うんですね。また面白いのが、そのインタヴューでエル・Pがなんだか退屈そうにしているんですよ(笑)。

吉田:ははは(笑)。

二木:その対比がまた良くて(笑)。キラー・マイクが「異なる人種が仲良くして友達になることが、いまのトランプが大統領になった世界に対する対抗策だ」というようなことを真摯に語る一方で、エル・Pのほうはニヒルな笑いを見せたりして、ちょっと達観した主張を語るんです。僕の印象ですけど、エル・Pはどちらかと言えば、皮肉屋でペシミスティックな性格なんじゃないかなと。そういうエル・Pのパーソナリティとディストピアめいたリリシズムは無縁ではないように思います。


吉田:後はユーモアに溢れているというか、さっきの言葉遣いやライミングの仕方もそうだし、たとえばYouTubeに上がっている「NPR Music Tiny Desk Concert」なんかのライヴ映像も、とにかくヒップホップのMCであることを楽しんでいる感じですよね。カンパニー・フロウの時代は、エル・Pもステージ上ではアングラのアイコンとばかりにシリアスに振る舞っていた印象でしたが。それから昨今のポリティカル・ラップの文脈で考えると、ラン・ザ・ジュエルズの、特に今回のアルバムの場合はダンス・ミュージックの上にポリティカルなメッセージというのがポンポンと出てきて、特に後半にかけてシリアスな曲が何曲かあるけど、ビートのグルーヴは最後までキープされてリスナーを引っ張っていきますよね。昔ECDがライヴで反原発の曲なんかをやるときに、クラブに踊りにきたり、現実逃避しにきたりしているお客さんに向かって、そういう現実的で政治的な曲をやることに躊躇もあるってことを言っていたんですよ。ラップに限らず多くのリスナーを相手取る音楽にはそういう側面があって、どうしてもポリティカルなメッセージを発信するときに「僕はそういうのはトゥー・マッチです」というお客さんもいるわけじゃないですか。さらにBLMや大統領選の影響もあって、最近は政治的なメッセージをはっきり持つラップと、そういったものは食傷気味で、ポストテクスト・ラップとも言われるような、サウンドやフレーズ重視のラップに向かう傾向も見えたりすると。つまり意味と無意味、あるいは記号の対立みたいなことにある種なっていますよね。ラップ・ミュージックは、メッセージなんて要らない、ただラップ・ミュージックで踊りたいという欲望に応える。でも、ダンス・ミュージックだからこそ、普通に語られたらトゥー・マッチに思ってしまうメッセージも乗っけられるという側面もあって。ラン・ザ・ジュエルズの場合は、今回のアルバムでダンス・ミュージックに振り切りながら、時代性もありポリティカル/コンシャスなメッセージを今までよりも大幅に投入しているのが面白いと思うんですよね。両方とも減らすんじゃなくて、両方とも増しているという。

※ 後編に続く。

Swans - ele-king

 80年代初頭に結成され、ソニック・ユースとともにUSオルタナティヴ・シーンを牽引してきたエクスペリメンタル・ロックの雄、スワンズ。6月にリリースされた14枚目のアルバム『The Glowing Man』も好評なかれらが、12月に来日公演を果たすこととなった。東京公演は12月7日(水)@SHIBUYA TSUTAYA O-EAST、大阪公演は12月8日(木)@UMEDA CLUB QUATTRO。今回もヴォリューム・リミットなし、2時間超えのパフォーマンスを披露してくれるとのこと。また今回のツアーは、現メンバーでおこなわれる最後のツアーとなっている。これは見逃すわけにはいかないでしょう。詳細は以下を。

オルタナティヴ・ロック・シーンに燦然と輝く暗黒の巨星スワンズ、現メンバーでのラスト・アルバム『The Glowing Man』を引っ提げて、現メンバーでのラスト・ツアー決定!

1982年、Michael Gira(ギター/ヴォーカル)を中心に結成、80年代初頭の混沌としたニューヨークのアンダーグラウンド・シーンを象徴するバンドとして、SONIC YOUTHとともにオルタナティヴ・シーンに君臨した。ジャンク・ロックと称された初期作品『Filth』、『Cop』、Jarboe参加後の聖と俗・静謐と混沌の入り交じった中期作品『Greed』、『Holy Money』、『Children of God』、ビル・ラズウェル・プロデュースによるメジャー作品『The Burning World』で見せた限りなくダークな歌へのアプローチ、自身のレーベル〈Young God Records〉設立後の後期作品『White Light from the Mouth of Infinity』、『Love of Life』でのサイケデリックかつドローンなサウンドなど、幾多の変遷を経て唯一無二の世界観とサウンドを獲得していく。2010年、「SWANS ARE NOT DEAD」の宣言とともに復活。現メンバーはMichael Gira、Norman Westberg、Christoph Hahn、Phil Puleo、Thor Harris、Chris Pravdicaの6人。復活アルバム『My Father Will Guide Me Up a Rope to the Sky』を皮切りに『The Sheer』、『To Be Kind』、そして現メンバーでのラスト・アルバム『The Glowing Man』を本年6月に発表。アルバム発売ごとにおこなわれた精力的なツアーは、現在もっとも体験するべき価値のある最高のライヴ・パフォーマンスと数多くのメディアやアーティストから大絶賛されている。今回決定した現メンバーでのラスト・ツアーでもヴォリュームのリミット無し2時間超えの強靭なパフォーマンスを披露してくれることでしょう。現SWANSの有終の美を五感を総動員して自ら確認して下さい!

東京公演
12/7 (wed) SHIBUYA TSUTAYA O-EAST

Open 18:30 Start 19:30 ¥6,000(前売り/1ドリンク別)
Information: 03-3444-6751 (SMASH)

大阪公演
12/8(thu) UMEDA CLUB QUATTRO

Open 18:30 Start 19:30 ¥6,000(前売り/1ドリンク別)
Information: 06-6535-5569(SMASH WEST)

以下、プレイガイドにてチケット発売中!
東京: ぴあ(P: )・ローソン(L: )・e+(pre: )
大阪: ぴあ(P: )・ローソン(L: )・e+(QUATTRO web、pre: )・会場

共催:root & branch 協力:TRAFFIC
総合お問合わせ:SMASH 03-3444-6751 smash-jpn.com, smash-mobile.com

interview with Yeasayer (Ira Wolf Tuton) - ele-king


Yeasayer
Amen & Goodbye

Mute / Traffic

PsychedelicIndie Pop

Tower HMV Amazon

 イエーセイヤーは、とくに世界的なヒットとなった『オッド・ブラッド』以降はポップ・フィールドでサイケデリックを追求してきたバンドだ。それはMGMTやドードースがそうであるようにサイケデリックであり、また、ヴァンパイア・ウィークエンドがそうであるようにエキゾチズムを内包している。以下の発言ではアラン・ローマックスからジョン・コルトレーンにまで言及されているけれども、彼らは学究肌でもスピリチュアルに突き抜けるでもなく、トライバルな意匠をあくまでポップに扱いつづけてきた。その少しねじれた感覚は、このインタヴュー冒頭においていくつかの質問への回答が絶妙にかわされていることにもあきらかだろう。登場こそブルックリンのアンダーグラウンドだったものの、彼らはアニマル・コレクティヴやギャング・ギャング・ダンスとも、あるいは、初期のレーベルメイトであるポニーテールらのエクスペリメンタリズムとも別の道を行った。そして参照点は異なれども、もはやフレーミング・リップスやオーウェン・パレットなどにこそ比較すべきストレンジ・ポップの旗手となりつつあるのかもしれない。

 『オッド・ブラッド』よりも抽象性とダンス要素を上げた『フラグメント・ワールド』から4年、今作『エイメン&グッドバイ』はアートワークにデイヴィッド・アルトメイド(ニューヨークで活動するカナダ人彫刻家)を加えていることにまず目が行くが、ジャケットにあふれている乱雑で多様な意匠のせめぎあいは、彼らの音楽の在り処としてとてもしっくりとくる。そしてこの一見無秩序な要素の中から、彼らにとっての中心はここだといわんばかりに歌と旋律が立ち上がってくるのは感動的だ。“アイ・アム・ケミストリー”にはスージー・ローチェ(ロバート・フリップのプロデュースでデビューした三姉妹コーラス・グループ)がフィーチャーされているが、子どもの声かと錯覚するそれは、アルバム全体から奇妙な歌の力を引き出しているように感じられる。こうしてみると、イエーセイヤーが歌や旋律の引力に魅せられてきたバンドであったことにあらためて気づかされる。
 それではこのタイトルも奇怪なポップ・アルバムについて、ベースのアイラ・ウルフ・トゥートンに訊ねてみよう。

■Yeasayer / イエーセイヤー
NYブルックリンのインディ・ロック・バンド。クリス・キーティング(Chris Keating Vo/Kb)、アナンド・ワイルダー(Anand Wilder G/Vo/Kb)、アイラ・ウルフ・トゥートン(Ira Wolf Tuton B/Vo)、2007年に『オール・アワー・シンバルズ(All Hour Cymbals)』でアルバム・デビュー。ベックのツアー・サポート等を行い、2010年には〈ミュート〉移籍第一弾のセカンド・アルバム『オッド・ブラッド』をリリースし、同年フジ・ロック・フェスティヴァルにて来日。2013年にサード・アルバム『フレグラント・ワールド』をリリース。同年、初の単独来日公演を行う。

シェイプノート唱法、シェイカー・スピリチュアル、ミサ・ルバというコンゴの合唱団、それにバルカンの合唱音楽など数例を取っても、すべての伝統的ヴォーカル音楽が僕らを惹きつけたんだ。

エキゾチズムはあなたがたが初期から持っている特徴だと思います。これはイエーセイヤーのひとつのテーマととらえてもよいのでしょうか?

アイラ・ウルフ・トゥートン(以下アイラ):僕らはいつもたくさんの異なったかたちや過去やいまの様式を組み合わせるようにしているし、そうしたいと思ってるんだ。その中でお互いを活かしあって、しなやかでまがい物でなく、コンテンポラリーなサウンドになるように努めてるよ。

そうしたものは、専門的な民族音楽へのアプローチを通してではなく、あくまでポップ・ミュージックとして表現されていると感じます。純粋な民族音楽の表現にはあまり興味がありませんか? また、とくに興味を寄せている地域の音楽はありますか?

アイラ:アラン・ローマックス(Alan Lomax)の作品に関してはバンド結成前にメンバー全員がそれぞれいっぱい聴いたね。シェイプノート唱法、シェイカー・スピリチュアル、ミサ・ルバというコンゴの合唱団、それにバルカンの合唱音楽など数例を取っても、すべての伝統的ヴォーカル音楽が僕らを惹きつけたんだ。
 それから、僕らは映画音楽にも多大な影響を受けてきている。その(音楽的)解釈や録音物を通して、通常だったらそんなにたやすく出会うことのない伝統なんかに、一足飛びに触れることができるんだ。早坂文雄は好きで印象に残っている。彼はまだ幼い頃の僕に世界の扉をひとつ開けてくれたんだ。

地理的にもそうですが、時代的にも大胆な混淆を好まれているように見えす。“チャイルド・プロディジー”などはわかりやすい例かもしれませんが、とくに脈絡なく突然バロック音楽が参照されたりもしますね。このようにいろいろなものが混ざるのはなぜなのでしょう?

アイラ:思うにそれは音楽に対する一つのアプローチ手段だよ。僕にとっては、美しさ、それに音楽制作にチャレンジすることも無限の可能性の中に存在している。そのかけら(可能性)さえも完璧に掴むことはできないけど、むしろ自分のあらゆる理解力を養ったり拡げるため、また、時には別の伝統で自分の最高の声をより理解するために、すべてのことは可能だと知るほうがいいだろう。

僕の好きな音楽は、いま生きているこの世界を見るためのレンズとして機能するような音楽なんだ。僕らは懐古主義になろうとしたことは一度もないよ。

こうした音楽性には、実際に世界の現在の状況や未来についてのヴィジョンが重なっていたりしますか?

アイラ:僕の好きな音楽は、いま生きているこの世界を見るためのレンズとして機能するような音楽なんだ。僕らは懐古主義になろうとしたことは一度もないよ。

前作『フラグメント・ワールド』などは、そのタイトルがまさにあなたがたの音楽を示唆するようにも思われます。ダークでモノトーンな印象ながら、とてもリズム・オリエンテッドなダンス・アルバムでしたよね。今回は、対照的に楽曲性の高いものになっていると思いますが、これは意識された差なのでしょうか?

アイラ:僕らは毎回アルバムでは異なったアプローチをしている。個々人が変わるのと同じように、友人関係もそう、愛や家族、影響を受けるものや環境もそう、挙げていくとそのリストはずっと続くよ。どの作品であれ意図的に過去にやってきたものと同じようなものをリピートして作るのは不誠実だと感じるんだ、だってその間僕らの周りはめまぐるしく変わってるんだから。

お答えいただけるみなさんそれぞれにお訊ねします。あなた方が考える意味でもっともエキゾチックだと思う作品(音楽でも映画でも小説でもなんでも)と、もっともドリーミーだと思う作品を教えてください。

アイラ:僕がもっともインスピレーションを受けたのは個人で、彼らは完全に自身のアート、創造そして愛に身を投じていて、それは普通では到底できないことのようだ。『ジャイアント・ステップス(Giant Steps)』から『至上の愛(A Love Supreme)』『クル・セ・ママ(Kulu Se Mama)』までのジョン・コルトレーン。ボウイ(David Bowie)はいまでも忘れられない。グスタフ・スティックリー(Gustav Stickley)、ドビュッシー(Debussy)、ジョージ・ナカシマ(George Nakashima)、ショパン(Chopin)、ミース・ファン・デル・ローエ(Mies Van Der Rohe)、ジョン・ミューア(John Muir)……と、挙げていくと止まらなくなるよ。
 僕が夢見るのは自分の住むキャストヒルにある湖のことだね、毎日それぞれ少しづつ違う表情を見せるし。自然界のほうがより自分にとっては夢のようなものになってきているよ。

『オール・アワー・シンバルズ』をミックスした場所はいまやジェイクルー(J Crew)というブランドのデパートになってるね。そう、ブルックリンは変わってしまった。

『オール・アワー・シンバルズ(All Hour Cymbals)』の頃から聴いています。当初は「ブルックリン」というキーワードとともにあなたがたの音楽を知りましたが、あなた方自身は当時「ブルックリン」で起きていたことをどのようにとらえていましたか?

アイラ:『オール・アワー・シンバルズ』をミックスした場所はいまやジェイクルー(J Crew)というブランドのデパートになってるね。そう、ブルックリンは変わってしまった。まだ巨大な都市だけど。カルチャーやアート・スポットはもっと遠くの郊外に移ったみたいだよ。でも悲しいのは僕らが当時知っててよく通ったいくつかのクラブやアパート、リハ用の場所や溜まり場がブランドやインスタントな建造物にとって代わったことだね。もっと頭にくるのは、金のある企業の取り繕ったようなサマで、すぐに乗り替わってブランド企業の取り巻きになったこと。しかし、僕らはこの年の過剰開発を止める第一世代にはならないだろう。理由として、世代に限らずニューヨークの過去を懐かしむ心が強いのは、都市の変化のスピードがいつの時代も急速だから。そこはコンスタントに建造物を建て、破壊する都市なんだ。

あの頃と比べて、時代が要請している音にどのような変化があったと思いますか?

アイラ:思うに音楽の消費のされ方が変わってしまったね。インターネット上のコンテンツ増加を通して、いまや誰でも自らの手でブランディングをできるようになったから。僕らは手っ取り早く、より自分と同質で安全なものに近づき、恐ろしいものにも近づいている。前者はすぐに消え去るようなつまらないカルチャーであり、後者は、仲間や会社、政府の監視を認識したり受け入れたりすることによって生じる個人の権利への不安だね。

今作のアートワークにデイヴィッド・アルトメイド(David Altmejd)さんを起用したのはどのような経緯ででしょう? また、人体やとくにその頭部の表現に特異な方法を持っているアルトメイドさんですが、彼の作品とイエーセイヤーとの音楽の関連をどのあたりに見られますか?

アイラ:デイヴィッドが僕らといっしょにやりがってくれてたんだ。彼のようなヴィジョンを持ったアーティストが僕らの作品を解釈し、また違った視点から彼の作品として表現してくれるなんて、光栄だったよ。

“アイ・アム・ケミストリー(I AM CHEMISTRY)”のMVもじつにインパクトがありました。子どもたちのコーラスが挿入されているのは、テーマやコンセプト上での必要があったからでしょうか?

アイラ:あのヴィデオはマイク・アンダーソンの作品で、ニュー・メディア・リミテッド(New Media Ltd)が手がけたものなんだ。いつもながら、才能ある人たちと仕事をするのは僕らの世界観を広げてくれてすごく興奮するね。あのコーラスは実際ザ・ローチェス(The Roches)のスージー・ローチェの声を目立つようにフィーチャーしてるんだ。レコーディングの過程で女性のパートを意識して作った部分で、実際、女性の声が必要だと感じたんだ。スージーと彼女のバンド(彼女の二人の姉妹とともに)から僕らは多大な影響を受けてきたから、彼女といっしょにやるのはとても光栄だったよ。

ミュートが僕らにアドバイスしてくれたのはプロデューサーといっしょに仕事すること。

アルバムを重ねてこられる中で、よりポップに感じられるもの、より複雑な音楽性をもったもの、それぞれに特徴があったと思います。〈ミュート〉への移籍はアルバム制作の上でどのような影響があったでしょう?

アイラ:ミュートが僕らにアドバイスしてくれたのはプロデューサーといっしょに仕事すること。それはいままで僕等がやってこなかったことで、やろうとも思ってなかった。しかし数度の失敗を経て、僕らが出会ったのがジョーイ・ワロンカー(Joey Waronker)、彼は自然と僕らの作業プロセスに馴染んでくれて、思うに気分的にも盛り上げてくれた。彼は4番めのメンバーになってくれて、いままで見れていなかった音楽的なポイントのいくつかを埋めてくれたね。

“ハーフ・アスリープ(Half Asleep)”などのようにテクスチャーを優先したサイケ・ナンバーと“デッド・シー(Dead Sea)”などビートが優先される曲では制作の過程はまったく異なるものでしょうか?

アイラ:僕らがトライしているのは、曲それぞれに異なった、その曲に正直なアプローチなんだ。だいたいにおいて、もし2つの曲で同じアプローチやお題があるとしたら、そのうちの1つは削ることになるだろう。君が言った2曲の制作上の違いは、僕ら3人から生まれるまさに(それぞれの曲で)異なったパーツの組合せから作り上げられた、ひとつの結果だね。

今回のアルバム・タイトルでもある「エイメン・アンド・グッドバイ(Amen & Goodbye)」ですが、これは誰か(何か)に向かって投げかけられた言葉なのでしょうか? 表題曲がニューエイジ風の短いトラックだったことで、謎かけのようにも感じられます。あなたたちが何かに決別したということですか?

アイラ:だいたいにおいて、僕らが決別したのは時間と諍い事、そしてこのアルバムを作るためにかかった手順だね。そうたくさんのことと決別したよ。

僕がいま注目してるのは、いくつかのLA関連のもので、ケンドリック・ラマー関連やサンダーキャット周りのミュージシャンたちかな。

“ユーマ(Uma)”などは壊れた懐メロといった雰囲気を感じました。あなたがたの音楽には時折古風なポップ・ソングの片鱗も現れますが、これはとくにあなたがたのうちの誰の資質によるものなのでしょう?

アイラ:アナンドが“ユーマ”に、より70’sロックのアレンジのテイストを持ち込んだんだ。グループ的にもそっちのほうがおもしろそうだったし、もともとのララバイにするよりも、もっとコラージュした感じでジュークボックス的、それに子どもっぽい感じのアプローチのほうがね。僕ら的には初めてドラムスもパーカッションも使わなかった曲で、そういうふうに極端に振れることが重要だったんだ。

ライヴ・パフォーマンスにも定評のあるみなさんですが、今回のアルバム・コンセプトはどのようにライヴに反映されているでしょうか?

アイラ:ちょうどいまそれに取り掛かっているところさ。僕らにはライティングなどショウを組み立ててくれるアーティストの友人がいて、アルバムをライヴ用に組み替えているところなんだ。このプロセスは実際すごく楽しくて、早くその完成形を見せたくて仕方がないよ。

現在の音楽シーンのトレンドを意識することはありますか? どんなものをトレンドだと感じていますか?

アイラ:僕がいま注目してるのは、いくつかのLA関連のもので、ケンドリック・ラマー関連やサンダーキャット周りのミュージシャンたちかな。いま現在起きているミュージシャンたちのフレッシュな動きを見るのはいいと思う。だけど僕がよく聴いてるのはオスカー・ピーターソンで、そんなにトレンドを追ってはいないよ。

結成から10年になります。これからの活動として意識的に話しあっている目標などはありますか?

アイラ:未来に生きるほど危険なことはないよ、いまだけを生きるようにしてるよ。

New Order - ele-king

 ニュー・オーダー、5月25日の、29年ぶりの単独公演即日完売につき、追加公演が決定しました!
 追加公演は週末金曜日(5月27日)、場所は新木場スタジオコーストです。フェス以外で彼らのライヴを見れるのは、滅多にありません。ファンの方はここを逃さないように!
 また、25日、27日の両公演では、石野卓球がDJをやることも決定しました。待望の12インチ盤もついにリリースされました。アートワークは鮮やかな紫です。

Tutti Frutti ‒ Takkyu Ishino Remix

New Order - ele-king

 待ち望まれていた来日、ついに決まりました。10年ぶりの新作『ミュージック・コンプリート』をさっげて、マンチェスターの大物がやって来ます! 当日は、会場限定商品の販売(『ミュージック・コンプリート:風呂敷ボックス・セット』など)もあり。
 4月上旬には「Turri Frutti-石野卓球 Remix」の12インチがリリースされる予定。

■ニュー・オーダー来日情報
東京
5月25日(水) 新木場スタジオコースト
OPEN 18:00/ START 19:00

TICKET 
1F スタンディング¥10,000(税込/別途1ドリンク)
2F 指定席¥14,000(税込/別途1ドリンク)
  バルコニースタンディング¥14,000(税込/別途1ドリンク)

※未就学児入場不可
一般プレイガイド発売日:3/26(土)  
<問>クリエイティブマン 03-3499-6669
企画制作・招聘:クリエイティブマン 協力:Traffic

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 最新作『ミュージック・コンプリート』が絶好調(日本では過去、最高のリアクションらしい)のニュー・オーダー。彼らの帰還を讃えるかのように、ニュー・オーダーに多大な影響を受けた世界中のアーティストたちが作品を寄せるサイト、「シンギュラリティ」(Singularity)にて、『トレインスポッティング』や『アシッド・ハウス』で知られる小説家、アーヴィン・ウェルシュが寄稿した。そのニュー・オーダーへの愛を綴っている文章、ぜひ、読んでみて。

http://trafficjpn.com/news/neworder-singularity/

アルカ(Arca)新作は11月! - ele-king

 アルカ。
 自主リリースのミックステープ『&&&&&』が話題となって、あれよという間にほぼ無名ながらカニエ・ウェストの『イールズ』に5曲参加、立て続けにFKAツイッグスのプロデューサーとしても『EP2』『LP1』とメモリアルな作品を残し、契約争奪戦の上で〈ミュート〉とのサインにいたり、傑作『ゼン』をリリース、今年はビョークのアルバム『ヴァルニキュラ』を共同プロデュースした、あのアルカだ。

 彼(女)の新作リリースが決定した。

 ポスト・インターネットを象徴し、アンダーグラウンドが時代とメジャーを動かすことを鮮やかに示してみせた彼(女)が、次のステージで表現するものは何か。自らのルーツや環境、社会的なコンフリクトと向かい合った上で踏み出される、その第2歩めに期待が高まる。

 「『ミュータント』は、デビュー・アルバム『ゼン』が内省的な作品だったのに対して、外に開かれ、そしてより大胆な作品となった」 プレス・リリースより

 制作上のパートナーとして、ヴィジュアル面を全面的に手掛ける鬼才ジェシー・カンダも、もちろん今回も切れっきれである。まずは新作ヴィジュアルと最新アー写、そして新作MVをお届けしよう。

■新着ミュージック・ヴィデオ「EN」

 我々の前に現れた突然変異(ミュータント)。デビュー作をはるかに圧倒する作品完成!
 昨年リリースされたデビュー・アルバム『ゼン』の尖鋭性、ビョーク、カニエ・ウェストやFKAツイッグスのプロデュース、奇妙で美しいヴィジュアル・アートとの融合作品…全世界に衝撃を与えたこれらの作品はアルカの才能のほんの序章だった。
 デビュー・アルバムから1年、アルカは、ミュータント(突然変異)というタイトルのセカンド・アルバムを早くも完成させた。まさに溢れ出るほどの才能が一気に解放されたような作品だ。

 デビュー作で末恐ろしい24歳と評され、時代の寵児となったアルカ、その今後の作品への可能性は、どきどきさせるようなものだった。そして本作はその通りの作品となった。
 デビュー作を下敷きとしながら、音楽的豊潤さ、表現力、全てにおいて圧倒している。そして彼はこれだけのことをやりながらも、まだ25歳ということも末恐ろしい。今作は全てにおいてレッド・ゾーンに突っ込んだようだ。

 発売は11月18日。

■アルカ / ミュータント
発売日:11月18日 日本先行発売 (海外:11/20)
品番:TRCP-190
JAN:4571260584884
定価:スペシャル・プライス2,100円(税抜)
ボーナス・トラック収録
解説: 佐々木渉(クリプトン)

■アルカ
アルカ(ARCA)ことアレハンドロ・ゲルシ(Alejandro Ghersi)はベネズエラ出身の24歳。現在はロンドン在住。2012年にNYのレーベルUNOよりリリースされた『Baron Libre』,『Stretch 1』と『Stretch 2』のEP三部作、2013年に自主リリースされたミックステープ『&&&&&』は、世界中で話題となる。2013年、カニエ・ウェストの『イールズ』に5曲参加(プロデュース:4曲/ プログラミング:1曲)。またアルカのヴィジュアル面は全てヴィジュアル・コラボレーターのジェシー・カンダによるもので、2013年、MoMA現代美術館でのアルカの『&&&&&』を映像化した作品上映は大きな話題を呼んだ。FKAツイッグスのプロデューサーとしても名高く、『EP2』(2013年)、デビュー・アルバム『LP1』(2014年)をプロデュース、またそのヴィジュアルをジェシー・カンダが担当した。2014年、契約争奪戦の上MUTEと契約し、10月デビュー・アルバム『ゼン』 (“Xen”)をリリース。ビョークのアルバム『Vulnicura』(2015年)は、ビョークと共同プロデュースを行い、その後ワールド・ツアーのメンバーとして参加した。2015年11月、2ndアルバム『ミュータント』リリース。

■ジェシー・カンダ
アルカのヴィジュアル・コラボレーター。アルカが14歳の時、とあるアーティストのオンライン・コミュニティーで知り合って以来の仲。「ジェシーと僕は知合ってからもう相当長いからね」とアルカが説明する。「何か疑問点があったとして、僕が音楽面でその疑問点をそのままにしてると、ジェシーがビジュアルでその答えを出してくるんだよね。ジェシーがそのままその疑問に映像で答えを出してなかった時は、それは音楽で答えを出すべきだ、という事だと思うんだ」。本作のアートワークもジェシー・カンダが担当。その加工されたヴィジュアルに関して「それは作品自身の内部で起こってる事を反映したもの」by ジェシー・カンダ。
http://www.jessekanda.com/

■ディスコグラフィー
1st AL『ゼン』(Xen) (2014年) TRCP-178 (TRCP-178X: HQCD仕様として2015年3月に再発)
2nd AL 『ミュータント』(Mutant) (2015年) TRCP-190

■デビュー・アルバム『ゼン』まとめ。
[Visual] http://bit.ly/1UUmQTd
[特集記事] http://bit.ly/1Dzi7iw

■リンク先
http://www.arca1000000.com
https://soundcloud.com/arca1000000
https://www.facebook.com/arca1000000
https://twitter.com/arca1000000
http://instagram.com/arca1000000
http://mute.com
http://trafficjpn.com

■公開中のミュージック・ヴィデオ「Soichiro」 *「Soichiro」とはジェシー・カンダのミドル・ネーム


New Order - ele-king

 しっかし……ジョイ・ディヴィジョンの『アンノウン・プレジャーズ』のTシャツって、ここ数年でもっとも売れているロックTシャツじゃないのかね。こんなにまでピーター・サヴィルの初期のデザインが普及するとは……80年代や90年代にはまず考えられなかったことです。ワタクシ野田は、1990年には『テクニーク』のTシャツを着ていました。背の首のあたりに小さくバンド名が入っているヤツですね。胸にプリントされたあのジャケのヴィジュアルの色が落ちるまで着ていたナー。あー、懐かしい。
 まあ、そんなことはどうでもいいんですけど、ニュー・オーダーの10年ぶりのニュー・アルバム『ミュージック・コンプリート』から、ファースト・シングル曲の“レストレス”がいよいよ試聴できます!

 なお7月29日(水)よりiTunesにてシングルの販売が開始されます。

 http://apple.co/1Lt0S9M

 ああ、それから、今回、Tシャツ付限定盤もリリースされるそうです。初心に戻って『アンノウン・プレジャーズ』のTシャツを本気で着ようかなと思っていたんですけど、この新作もかなりイイです。

《Tシャツ付限定盤 商品概要》
タイトル:ミュージック・コンプリート:Tシャツ付限定盤
発売日:9月23日
定価:6,000円(税抜)
*CDの収録内容は、通常盤と同様。

*Tシャツ:ニュー・オーダーの全てのデザインを手がけてきたピーター・サヴィルと、adidasなど世界的な活躍をしているデザイナー、倉石一樹とのコラボレーション。サイズは、S, M, L, XLの4サイズ。
*商品詳細はこちらにて。http://trafficjpn.com/news/neworder3/


[amazon] http://amzn.to/1HU97aZ
[Tower Records] http://bit.ly/1HRvi2V
[HMV] http://bit.ly/1gYNRs2
[disk union] http://bit.ly/1eLrBjO
[iTunes] http://apple.co/1Lt0S9M
[Traffic Store] http://bit.ly/1dPQNVD


New Order - ele-king

 

 シカゴ・ハウス、デトロイト・テクノ、石野卓球、この3つに多大な影響を与えたポストパンクのUKのバンドは? 答:ニュー・オーダー。毎週月曜日の朝になると頭のなかでかかっている曲は? 答え:ブルー・マンデー。女(男)と別れる度に聴く曲は? 答:リグレット。

 ピーター・フック抜きのニュー・オーダーのライヴの評判がやたら良かったし、オールドファンにはまさかの〈ミュート〉レーベル移籍の第一弾です。ここは期待しちゃいましょう。ニュー・オーダーの10年ぶりのオリジナル・アルバムが9月23日にリリースされることが決まりました。アルバムのタイトルは『ミュージック・コンプリート』です。
 メンバーは、バーナード・サムナー、ジリアン・ギルバート、スティーヴン・モリスの3人+新ベーシストのトム・チャップマン、フィル・カニンガム。全11曲のうちの2をトム・ローランズがプロデュース、うち1曲を共作しています。アートワークはもちろんピーター・サヴィル。
 2000年代に入ってからの2枚のアルバムが、どちらかと言えばロック色が強かったものの、最近のジェイミーXXのアルバムのように、ダンス・ミュージックがポップ・カルチャーとなっている現状において、マンチェスターの大物がどのような作品を出してくるのか、注目したいと思います。

 続報を待て!

(※なんと、ele-king booksからはバーナード・サムナーの自伝『Chapter and Verse - New Order, Joy Division and Me』の翻訳本を新作と同時期に刊行する予定です)

DJ Soybeans - ele-king

最近購入&最高のパーティーでかかった1曲&そろそろ発売される盟友のフルアルバム

Crew of secret trafficking organization.
Also He is offering fabulous DJs at “Isn’t it?” that is small weekday party .
https://soundcloud.com/isnt-it-1

4/10 大阪Club Stomp "White Body"
http://club-stomp.com/
DJ:
oboco
OQ
DJsoybeans
AIWABEATZ
BIOMAN
LIVE:
NEWMANUKE
TECHNOMAN

4/11 大阪Club Circus "FACTORY"
http://circus-osaka.com/
DJ:
ALUCA
Matsuo Akihide
AIDA
Live:
Whan!
Albino Sound
DJ Soybeans

4/14 幡ヶ谷Forest Limit "Isn't it?"
http://forestlimit.com/fl/
DJ:
NODA
Sem Kai
DJ Soybeans

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