Home > News > ZAZEN BOYS - ――ザゼンボーイズ、4年ぶりの素晴らしい帰還!
ザゼンボーイズの『すとーりーず』、4年ぶりの新作、これがすごい。リズミックで、フリーキーで、強力なファンクが展開されている。キャプテン・ビーフーハートの遺伝子全開といったところだが、それはいつものことか......。とにかく、欧米でマス・ロックと呼ばれているジャズとロックとのダンサブルな出会いを、ザゼンボーイズはポップに咀嚼する。
だいたい「繰り返される諸行は無常......」、お馴染みのこの言葉が、いまはまたあらたに響くでしょう。「諸行は無常......」、これは何かつらいことがあったときに現実を誤魔化し、逃避するために言葉ではない。これは何かつらいことがあったときに、そのつらさに情が呑まれて身動きが取れなくなってしまうことへの、日本人の防御反応、つまり、宗教心というよりも、自分の気持ちをラクにするための知恵だ。
おそらく、世界のほかの都市では、いろんな民族が多様な声を露わにするために、なにか大事が起きたときも自分の情は相対化されやすい環境にある。ロンドンで裕福な人たちが涙でくれているその傍らで黒い人たちが笑っていることは珍しくない。その分、連帯感など生まれようにないのだけれど。ところが、昔にくらべれば外国人の人口も増加したとはいえ、ほとんどが日本人で占められている日本という国では、あるひとつの方向性の情はマスメディアを通じて瞬く間に伝播し、ある種の力となって、多種多様な自我を覆い尽くす。みんなが泣いているかたわらで笑っているわけにはいかなくなる。わかっちゃいるけど、連帯感を欠いている人間には息苦しい。
そういう意味では、ザゼンボーイズは、土着的な日本でありながら異邦人的でもある。向井秀徳の「パンツ一丁になって踊れ」からは、おそらくは彼が理想とする社会──昨年だっけかな、iLLとのコラボ作"死ぬまでDANCE"で映像化されたような、多種多様な色の人たちが一緒に踊っている世界が見える。その強烈でケオティックな思いゆえか、彼らの音のうねり、言葉と音のファンクネスはいまも際だっている。ポテトサラダが食べたい人はもちろん、バトルスが好きな人も是非聴いてみて!
『すとーりーず』の発売は、9月5日。特典がいっぱいついたデジタル配信もある。詳しくは→(http://www.mukaishutoku.com/main.html)、視聴もできます。