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Home >  News > New Order - ──バーナード・サムナーの自伝『ニュー・オーダーとジョイ・ディヴィジョン、そしてぼく』刊行のお知らせ

New Order

New Order

──バーナード・サムナーの自伝『ニュー・オーダーとジョイ・ディヴィジョン、そしてぼく』刊行のお知らせ

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Sep 03,2015 UP

 イアン・カーティスの死後、1980年の後半からニュー・オーダーとして再出発した彼らは、まず自分たちのサウンドをどのように創出するかで悩んだ。そして、新たなる音を創出するうえでヒントにしたものがふたつあった。ひとつは、ニューヨークで知り合ったDJから送られてくる最新のクラブ・サウンド。そしてもうひとつがベルリンに移住したイギリス人、マーク・リーダーから送られてくる音。バーナード・サムナーは、自分たちが“ブルー・マンデー”を生むまでの過程において、NYクラブ・カルチャーと同時にマーク・リーダーおよびベルリンからの影響をしかと記している。このくだりを読めば、日本のファンは思わずニヤッとするだろう。ちなみに、──これは本書には書かれていないが──、みなさんご存じのようにリーダーの〈MFS〉とは、1996年に電気グルーヴの「虹」をリリースしたレーベルである。つまりそれは必然だったと、いまは言えるのではないか。
 こういう、ファンにとっては嬉しい話が満載である。
 とはいえ、彼の内省的なところもよく出ている。たとえば冒頭の、サムナーがあの伝説のセックス・ピストルズのマンチェスターでのライヴに行くまでのところの、彼のサルフォードという労働者階級のエリアで過ごした家族との思い出ないしはその環境は、なるほど後のジョイ・ディヴィジョンへとつながる。彼が少年時代に経験した「コミュニティの解体」こそ、あのバンドが表した孤独、苦悩、ディストピア、終わりなき「終わり」と関わっていることをサムナーは明かしているが、そこまでの展開はヘヴィーである。そもそも、サムナーが、風呂さえまともにないような労働階級の出身だったことをぼくは知らなかった。
 そして、感動的な描かれ方をしているセックス・ピストルズの初ライヴを経てからは、物語は、いくつかの死を乗り越えて、ときにはユーモラスに進んでいく。あれだけヒットしたのにもかかわらず、忘れられがちなエレクトロニック(ジョニー・マーとのプロジェクト)に関する記述が多いのも嬉しい。
 しかし、総じて思ったのは、サムナーの語りのうまさである。寡黙で、一時期はインタヴューはいっさい受けない時期があったほどの人物とは思えないほど、饒舌に語っている。まさにこれは作者による作品への、最大の註釈とも言える。30年前の種明かしをいまされたようだ。

 10年ぶりのニュー・オーダーのアルバム、新生ニュー・オーダーにとっては最初のアルバムとなる『ミュージック・コンプリート』が控えているなか、その創設メンバーであり、ヴォーカリスト/ギター/エレクトロニクス担当のバーナード・サムナーが本国では昨年の9月に発売された自伝、その翻訳『ニュー・オーダーとジョイ・ディヴィジョン、そしてぼく』を刊行します。ジョイ・ディヴィジョンとニュー・オーダーのファンは必読です。

バーナード・サムナー 著/萩原麻理 訳
『ニュー・オーダーとジョイ・ディヴィジョン、そしてぼく』

ele-king books
3300円+税

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 家族に起きた悲劇の心揺さぶる描写が、温かいユーモアをもって自己憐憫におちいることなく語られる……。ロックンロールによって救われ、形作られた人生が明かされるのと共に描かれるのは、成功とスターダムを猛スピードで駆け抜けた人物の姿であり、武器はストリートの知性と簡素なマンチェスターのウィットだけだった……。ジョイ・ディヴィジョンとニュー・オーダーのファン、必読。──アーヴィン・ウェルシュ, 『エスクァイア』誌より

ジョイ・ディヴィジョン創設メンバーのでありそのギタリスト、ニュー・オーダーのリード・シンガーであるバーナード・サムナー。
彼の寡黙さは何年にも渡って知られてきた……。彼は1970年代以降のマンチェスターの音楽シーンに不可欠な部分を担い、これまでにもっとも影響力を持ったバンドを生んだ決定的瞬間に立ち会っている。
いま、初めて明かされるジョイ・ディヴィジョン/ニュー・オーダーの物語、マンチェスター、パンク、NYクラブ体験、“ブルー・マンデー"制作秘話、アシッド・ハウスとイビサ、バンドの分裂……そしてイアン・カーティスへの思い……
バーナード・サムナーの自伝、ついに刊行!

もし今ストーリーを語らねば、もう語ることはないと思える地点に私も差し掛かった。この後に続くページの中には、自分でも語るのがつらいこと、これまで公に言ったことがないこともあるが、それは私という人間、私が関わってきたバンド、その創造に関わってきた音楽を十分に理解するのにはとても重要だ。バンドや音楽以外のことについ て沈黙してきたことで、神話が作られ、真実ではないことが事実とされてきた。だがこれを書くことで、いくつかの誤解を解き、できるだけ多くの神話を葬りたいと思っている。何より、真実のほうがストーリーとしてずっと、ずっと面白いのだから。
──バーナード・サムナー/本書「序文」より