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Home >  News > ダラス銃撃事件とプロフェッサー・グリフ

ダラス銃撃事件とプロフェッサー・グリフ

ダラス銃撃事件とプロフェッサー・グリフ

Jul 12,2016 UP

 10日にダラスで警官5人を銃撃して死なせた犯人、マイカ・グザビエ・ジョンソンとパブリック・エナミーのプロフェッサー・グリフに交流があったとされる報道があり、グリフに対する非難の声が巻き起こっている。グリフ自身は即座に否定しているものの、グリフとジョンソンががっちりと腕を組み合う写真も広く出回り、無駄に騒ぎたくなる人たちの気持ちもわからないではない。リンクが切れていなければ、以下で写真と文章が確認できます→https://twitter.com/GRIFFTHENME/status/751503674795491328

 スマホなどで有名人と一緒に写真を撮ることは簡単になっている。どこかで偶然、グリフを認めた犯人が一緒に写真を撮って下さいと頼めば、グリフがそれに応じた可能性は高い。プロフェッサー・グリフとマイカ・ジョンソンがそのような経過によって一枚の写真に収まっていれば、グリフが覚えていないというのは当然である。現時点ではそれ以上のことはわからない。

 マイカ・ジョンソンのフェイスブックにはまた、プロフェッサー・グリフが提唱するアフロセントリズムを訴える文章がコピペして載せられていたらしい(あくまで警察発表)。ジョンソンがグリフの思想に傾倒していたことは確かのようで、しかし、ジョンソンが支持を表明していた黒人過激派組織は複数に及び、そのなかにはヘイト集団に指定されている組織もあったという。立てこもっていた現場で爆弾ロボットによって殺害されたジョンソンは自らの血で「RB」と読めるダイイング・メーッセージを残しており、今後はこの文字が犯人の動機を解く鍵とされている。

 プロフェッサー・グリフは、80年代後半、白人社会と黒人社会の分離、いわゆるセパレーティズムを主張していたパブリック・エナミーに在籍していた。そして、サード・ベースというヒップホップ・ユニットと揉め、ユダヤ人を攻撃するような言動をとったとして同グループからの脱退を余儀なくされている(現在は復帰)。グリフは、シオニズム(イスラエルへの回帰運動)を批判しただけでユダヤ人を人種として攻撃した意図はなかったと主張したものの、戦闘的なブラックパワー運動を展開するS1W(Security of the First World)のリーダーを務めていたこともあって、過激な思想の持ち主だというイメージが付いてしまったことは否めない。グリフは、そもそもダラスでデモが起きるきっかけとなったバトン・ルージュの事件についてもすぐに意見を表明するなど、現在でも発言回数は多く、2年前にカニエ・ウエストが「人種差別がヒドいから海外移住を考えている」とツイートした際も、「大富豪は紛いものの妻を連れてアフリカへ引っ越してしまえ」などと毒舌度合いはかなり高い。ほかにもプリンスやビヨンセなど、彼の発言はユーチューブに多数あがっているので興味のある方は探してみて下さい(英語です。長いです)。

 ちなみにダラスの銃撃事件を受けて#BlackLivesMatter(http://www.ele-king.net/review/album/004601/)も困惑の度合いを高めているものの、LAでは大人数による人間の鎖でピース・マークをつくるなど、抗議の方法に多少変化が見られるようになっていることは留意しておきたい(ミネソタでは100人が逮捕され警官27人が重軽傷と基本はかわらない)。また、パブリック・エナミーが多数の支持を集めた80年代後半は、黒人同士が銃で撃ち合って死ぬセルフ・ディストラクションが大きな問題点として挙げられていた。これに対して目下の問題は黒人対警官であって、僕個人は黒人同士が撃ち合って死んでいた頃よりは救いがある面もあるのではないかと思っている。それはほんとに小さな「良い面」としか言えないけれど(エレキング次号に関連記事あり)。

 警官の残虐行為についてジェイ・Zが7日にアップした「Spiritual」。


(三田格)