Home > News > MATERIALSCHLACHT - ──ノイエ・ドイッチェ・ヴェレのレア盤が復刻
〈グリュン・イン〉をご存知だろうか? 70年代末にデュッセルドルフ近郊のゲーヴェスベルクにあった伝説のパブであり、近年になってその存在が注目されてだしたドイツ音楽シーンに欠かすことのできない拠点だ。ここではロベルト・ゲアル、ピロレーター、ガビ・デルガド、クリスロー・ハース、フランク・フェンスターマッハーといった80年代ドイツを牽引していく錚々たるミュージシャンが出入りし、新たな音を模索しながらセッションに明け暮れていた。1979年になるとこの場所でD.A.F.はファースト・アルバム『Produkt der Deutsch Amerikanischen Freundschaft』を、デア・プランはデビュー・シングル「Das Fleisch」という新しい音楽ムーヴメントの皮切りとなる記念碑的作品を録音している。そしてもうひとつ重要な作品が残されていることを忘れてはならない。マテリアルシュラハト唯一のリリースであるシングル「キンダーフロイントリッヒ」だ。
マテリアルシュラハトは、のちにフェールファーベンに参加するドラマー、ウーヴェ・バウアーを中心にヴォルフガング・シュペルマンス(D.A.F.、マウマウ)、女性ヴォーカリスト、モナ・リザによって結成された。彼らの公式リリースは前述のシングルしか存在しないが、ライヴ活動はきわめて活発に行っていたことが知られている。ラインナップも流動的で、ミヒャエル・ケムナー(D.A.F.、マウマウ)やピロレーター、フランク・フェンスターマッハー(デア・プラン)らが加入することもあったという。
今回のCD化は、彼ら唯一の公式リリースである1979年のシングル曲に、同年の未発表ライヴ音源、大幅なメンバーチェンジ後に1983年に録音されたデモ音源を追加し、世界初再発となった。まるでD.A.F.のファースト・アルバムの系譜にあるサウンドをさらに凶暴にしたかのような混沌は、彼らこそがグリュン・インの精神をもっとも色濃く体現化し継承した存在であったことを物語る。初期D.A.F.やデア・プランでさえも、この始原の混沌から派生し、独自に具現化していったのだろう。マテリアルシュラハトのサウンドは、1980年代に巻き起こるあらゆる可能性を内包していたグリュン・インの初期衝動を、生々しく白日の下に曝す。それは当時のドイツ音楽シーンの時代性の縮図そのものに他ならないのだ。
マテリアルシュラハト(CD+7"シングル)
MATERIALSCHLACHT / Kinderfreundlich
SSZ3025OD ¥3,800(+税)
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