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田名網敬一による、すさまじいコラージュ作品集が2冊同時発売中!

田名網敬一による、すさまじいコラージュ作品集が2冊同時発売中!

Dec 27,2016 UP

 宇川直宏も敬意をあらわにする田名網敬一氏といえば、篠原有司男氏や横尾忠則氏らと並んで、60年代のポップ・アートに強烈な一撃を与えた巨匠のひとりとして知られるが、しかし、80歳を迎えた現在もなお、そのクリエイティヴィティが膨張し続ける精力的なアーティストであり、氏の名声はかねてより、欧米においても通じている。
 去る11月、ele-king booksから氏の未発表コラージュ作品集『Dream Fragment(夢のかけら)』と『Fragrance of Kogiku(小菊の香り)』が刊行された。田名網敬一氏のエロティックでアナーキーな宇宙を知らない読者はこの機会にぜひ触れて欲しい。これは、先日紹介したPopy Oil x Killer-Bong『BLACK BOOK remix』の大いなる先達と言える。
 2冊に収められているコラージュ群は、2012年に世田谷にある自身の倉庫から発掘された。分厚い紙の束の中から出てきたのは300枚近いコラージュ作品であったという。一体なんのために作ったのかわからないが、古新聞の日付から1960年代後半から70年代初期のものらしい。当時の田名網氏は、エディトリアルを中心としたデザインワークで忙殺され、締め切りに追いまくられる日々を過ごしていた。そんなさなか、NYに移住していた盟友である篠原有司男氏の誘いで渡米。ポップアート、実験映像、アンダーグラウンド・コミックなどと出合い、あらたな創作意欲が沸点に達したときの記録。
 以降、半世紀ぶりに対面したコラージュ作品を、点検、修復、新たな素材を貼り込む作業を経て、本書は誕生したという。

 ページをめくると、戦前の映画雑誌や、1960年代のアメコミ、ポルノ雑誌が切り刻まれ、貼り合わされ、曼荼羅のように展開していく。とりわけ目を引くのは、「ディックトレイシー」などのアメコミ誌や、どぎついポルノ雑誌の切り抜きと、第二次世界大戦で戦死した叔父が戦前に集めていたという、映画雑誌や絵葉書、戦争雑誌の切り抜きが等価に扱われ、アメリカと日本の大衆文化のイメージがミックスされているところだ。田名網氏本人の言葉によると、「切り抜かれたどんなちっぽけな写真にも、歴史的背景や、その写真が内包する固有の意味が存在する。そして、まったく異なる歴史を背負った写真と対比することで、想像外の異世界が出現する。コラージュする醍醐味は、ひとつの画面で間断なく繰り返される無数の対立や戦いや調和なのだが、ときとして無残な荒廃のまま放置することで、より説得力のある画面が出現する場合もある」(『Dream Fragment(夢のかけら)』より)
 ちなみにこれらのコラージュ作品の多くは、MOMA、ウォーカー・アート・センター、シカゴ美術館など、著名な美術館へ収蔵されることが決まっている。


田名網敬一
『Dream Fragment(夢のかけら)』
P-VINE/ele-king books
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『Fragrance of Kogiku(小菊の香り)~KEIICHI TANAAMI POP COLLAGES』
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