MOST READ

  1. Arca - Arca (review)
  2. interview with YungGucciMane宇宙を渡るヤンググッチメン──インタヴュー (interviews)
  3. Run The Jewelsラン・ザ・ジュエルズは何がすごいのか (interviews)
  4. interview with Purity Ringピュリティ・リング来日特別インタヴュー (interviews)
  5. Dasychira - Immolated (review)
  6. リヴァイヴァルじゃないのだ。 - ──行かないと何かを逃すかもしれない、DYGL(デイグロー)・ジャパン・ツアーは明日から! (news)
  7. R.I.P. Mika Vainioミカ・ヴァイニオ、追悼。 (news)
  8. Columns 永遠の「今」──ジャジューカを求めて (columns)
  9. interview with IO - KoolBoyの美学 (interviews)
  10. Mikako Brady × Tsutomu Noda──ブレイディみかこ×野田努「UKは壊れたようで壊れていない――愛と幻想の雑談」 (news)
  11. Shobaleader One - Elektrac (review)
  12. Smagghe & Cross - MA (review)
  13. interview with Clarkいまこそテクノに肉体を (interviews)
  14. yahyel - ──この一風変わった名前のバンドをきみはもう知っているか? ヤイエルが500枚限定の初CD作品をリリース (news)
  15. RAINBOW DISCO CLUB 2017──待っていろよ、レインボー・ディスコ・クラブ (news)
  16. 坂本龍一 - async (review)
  17. interview with Arca - ベネズエラ、性、ゼンとの出会い (interviews)
  18. Songhoy Blues──マリのブルース・バンド、ソンゴイ・ブルースが新作をリリース! (news)
  19. KANDYTOWN - ──キャンディタウンがついにメジャー・デビュー (news)
  20. Wolf Eyes - Undertow (review)

Home >  News >  RIP > R.I.P Jaki Liebezeit

RIP

R.I.P  Jaki Liebezeit

R.I.P Jaki Liebezeit

野田努 Jan 23,2017 UP

 1938年生まれのヤッキ・リーヴェツァイトの幼少期はいまだに詳述されていない。東ドイツのドレスデン近くの村で生まれ、物心ついたときには彼には父親がいなかった。彼は母親と一緒に敗戦後のドイツを転々とし(それは極めて辛い経験であったはずだという)、一説によれば、カッセルにある祖母のもとを訪ねた頃にロックンロールと出会っている。
 しばらくするとリーヴェツァイトは、ケルンでマンフレート・ショーフと出会い、ジャズを受け入れた。アート・ブレイキーとマックス・ローチが最初のヒーローだった。彼の記憶によれば20歳のとき、ミュンヘンのクラブで、実際にその場にいたアート・ブレイキーを前に演奏したこともある。やがて、リーヴェツァイトはスペインのバルセロナで7ヶ月に渡って演奏する機会を得た。1日に2公演というハードな仕事だったそうだが、彼はそこでフラメントを知り、また、ビートルズがブレイク前の時代において、インド、トルコ、イラン、あるいは、モロッコ音楽、つまりラジオから聴こえる北フリカの音楽を知った。
 そんな経験を経てケルンへと戻ったリーヴェツァイトを待っていたのは、フリー・ジャズだった。よくよく彼は、カン以前にはフリー・ジャズを演奏していたドラマーだと説明される。それは間違いではないが、重要なことは、リーヴェツァイトが当時のフリー・ジャズに「自由」を感じなかったことだ。もしそう感じていたら、カンのファースト・アルバムは違ったものになっていだろう。
 リーヴェツァイトは、「自由」であろうとするジャズが「自由」から遠ざかっていると感じ、むしろこうした音楽(フリー・ジャズやアヴァンギャルド)とは真逆の、リズミックに循環することの「自由」を選択した。シェーンベルクの12音階の理詰めの平等ではなく、アフリカ音楽に見られるような、単純さ、ミニマリズム、その解放感。この方向性が、ショトックハウゼンの門下生だったホルガー・シューカイと出会ったときに、まあつまり、歴史は動いたというわけだ。
 それまでの西欧音楽では下に見られていた、「1本調子に演奏すること」を敢えてやってみること。こうしてリーヴェツァイトが常識を覆さなかったら、いずれはほかの誰かがそれをやったかもしれないが、しかしクラフトワークやジェフ・ミルズの登場も遅くなったことはたしかだろう。(Phewさんのファースト・アルバムにも参加されている)
 大衆音楽に決定的な影響を与えたドラマーは、70を越えても精力的に世界を旅して、作品を作り、演奏を続けた。78歳、2017年1月22日永眠。ご冥福を祈ります。

野田努

RELATED

CAN- The Lost Tapes Mute/ ホステス

Reviews Amazon

NEWS