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野田 努   Dec 28,2009 UP
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 パンダ・ベアにグリズリー・ベア、そして狐(フリート・フォクシーズ)を挟んで、これは"天国の熊"。何よりも僕はアートワークに感心した。真っ赤な背景と黒いドットで描かれた目と涙。とても暗示的で、僕は自分が使っているノートパソコンの画面が本当に泣き出すんじゃないかと空想したほどだ。インナースリーヴには3人のメンバーの顔がかき消されたヴィジュアルがある。こうした匿名性を、ゼロ年代以降のロック・バンドは使うようになった。大昔のミック・ジャガーように自らがポップ・アイコンになることを拒み、とくにブルックリン系は音を聴かせたいという欲望を優先させている。90年代のテクノやエレクトロニカのようだ。

 ベア・イン・ヘヴンの中心人物であるジョン・フィルポットは、実際に90年代後半からそのキャリアをはじめ、最初は〈Table Of The Elements〉からデビューしている。ここは......灰野敬二やファウスト、ジョン・ケージやトニー・コンラッドなどを出している、いわば前衛のレーベルだ。それからジョン・フィルポットはプレフューズ73と関わり、2004年にスコット・ヘレンのレーベル〈Eastern Developments〉からベア・イン・ヘヴンとしてデビューする。言うなれば、前衛の側からポップに挑戦したのがこのバンドだと言える。2007年には最初のアルバム『Red Bloom Of The Boom』を出してそこそこ評判となって、これは2009年の初頭にリリースされたセカンドになる。

 ギャング・ギャング・ダンスのようにエクレクティックな音で、曲によってはファウストのミニマル・ポップを今風にしたとも言える。エレクトロニカ、クラウトロック、サイケデリック、ポスト・パンク......それらがダンサブルに吐き出される。シングル・カットされた"Wholehearted Mess(こころ全部の混乱)"は威勢の良いポスト・パンクのダンス・サウンドで、"You Do You"のエレクトロ・ポップもなかなか。"Lovesick Teenagers(恋に悩む10代)"もキャッチーな曲で、こんな曲を聴いているとアメリカでも10代向けのラヴ・ソングというものが洗脳に近いかたちで供給されているんだなと思う。ブルックリン系に特有のアート臭さはあるものの、それさえ気にならなければ良いアルバムだ。まるで最近のブルックリン系の活気が乗り移ったかのような、前向きな躍動感がある。僕は女性ヴォーカルをフィーチャーした"Casual Goodbye(何気ない別れ)"のようなエレクトロニカ風のダウンテンポの曲が気に入っている。

野田 努