ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. Arca - Kick I (review)
  2. 校了しました ──『別冊ele-king ブラック・パワーに捧ぐ』&『ゲーム音楽ディスクガイド2』 (news)
  3. Julianna Barwick - Healing Is A Miracle (review)
  4. Roedelius - Tape Archive Essence 1973-1978 (review)
  5. interview with Arca 痛み&&&電子&&音響 (interviews)
  6. Columns 元ちとせ 反転する海、シマ唄からアンビエントへ (columns)
  7. STONE ISLAND ──人気のイタリア・ブランド〈ストーンアイランド〉が音楽シーンに参入 (news)
  8. Run The Jewels ラン・ザ・ジュエルズは何がすごいのか (interviews)
  9. the perfect me ──福岡インディ・シーンからアヴァン・ポップの旗手 (news)
  10. The Beneficiaries - The Crystal City Is Alive (review)
  11. Jun Togawa──戸川純がまさかのユーチューバーになった! (news)
  12. Arca - &&&&& (review)
  13. interview with Trickfinger (John Frusciante) ジョン・フルシアンテ、テクノを語りまくる (interviews)
  14. Eartheater ──アースイーターの新作はアコースティック・サウンド (news)
  15. interview with AbuQadim Haqq 語り継がれるドレクシア物語 (interviews)
  16. Tenderlonious - The Piccolo - Tender Plays Tubby / Tenderlonious - Tender in Lahore (review)
  17. Sound Of Japan ──BBCレディオ3が日本の音楽の特番を放送しております (news)
  18. Aru-2 - Little Heaven (review)
  19. interview with Kamaal Williams ほらよ、これが「UKジャズ」だ (interviews)
  20. R.I.P. Malik B 追悼 マリク・B (news)

Home >  Reviews >  Album Reviews > Burning Star Core- Papercuts Theater

Burning Star Core

Burning Star Core

Papercuts Theater

Quarter Stick

Amazon iTunes

三田 格   Mar 25,2010 UP
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 昨年末、正式にリリースされた地味なドローン集『インサイド・ザ・シャドウ』(Rは05年)に続いて、早くもライヴ・アルバムがお目見え。07年にリリースされた驚異の『オペレイター・デッド...ポスト・アバーンドンド』と同じ布陣(つまりヘア・ポリス)に加えて、2人の固定メンバーと、曲によって6人のサポートが出入りしている。つまり、かなりな大所帯の演奏記録。ライヴ・テイクはこれまでRかカセット(それも10本組とか)でリリースされることがほとんどだったのに、97年から08年までの音源から素材を選んで珍しくヴァイナル化され、エディットなどでそれなりに手を加えている模様。レーベルはゆらゆら帝国をニューヨークで迎え撃った〈ノー・クオーター〉。

 KTL、ブラック・マジック・ディスコ(以下、BMD)、そして、バーニング・スター・コアー(以下、BSC)がこぞって07年にサイケデリック・ドローンの頂点を極めたことは『ゼロ年代の音楽』(河出書房新社)のあとがきでも触れた通り。いずれもモノトーンが基調だったドローンをそれぞれのやり方で大きく旋回させ、カラフルに、そして、ゴージャスに変容させ、なかでもBSCのそれは地から湧き出るマグマのごとく、不気味な低音部の蠢きが凄まじかった。

 KTLはアートだろう。実際に、舞台音楽のためにつくられたものだし、マイ・キャット・イズ・アン・エイリアンとジャッキー・オー・マザーファッカーが融合したBDMは前者の資質に引きずられるようにして宇宙空間へと誘うトリップ・ミュージックの極めつけのようなものだった。それに対して、BSCから感じ取れるものは、その大半が暴力衝動に近く、自分でも抑えきれない感情を混乱したまま吐き出しているだけといわれれば、その通りだとしかいいようがない。あらゆる感情が渦を巻き、それらが何も整理されず、混沌としたままであることにしか価値がない。ヒドいものだ。いい大人の聴くものではない。ひとついえることがあるとすれば、1977年は遥かに遠く、セックス・ピストルズではもはや足りないということか。『アセンジョン』辺りのジョン・コルトレーンを音圧を倍増させて聴いているなどというものでは、まったくない。どいつもこいつも死んじまえ。それだけ。そのような気持ちを満たしてくれる音楽は、しかし、意外と少ないものである。

 個人的なことを書いてもしょうがないとは思うけれど、KTLやBMD、そしてとりわけBSCと出会っていなかったら、自分はどうなっていただろうと思う。生きることにはこれといって意味がないとしても、音楽を聴くことでそれに意味を与えることはできる。ここまで世界にファック・ユーを突きつけるということは、まだ、それだけ世界に期待しているということだともいえる。そうでなければいま頃、僕はビートルズのボックス・セットでも買っているに違いない。ハイホー。

三田 格