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Pocahaunted

Pocahaunted

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野田 努   May 20,2010 UP
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 「ドローンに祝福されたオルセン姉妹」......と冗談めかして彼女は自分たちを定義したことがある。ロスアンジェルスのイーグル・ロックを拠点に、アマンダ・ブラウンとベサニー・コセンティーノのふたりを中心としたポカホーンティッドは、2006年に〈ノット・ノット・ファン〉からカセットテープでデビューして以来、ドローンとフリー・フォークを基調とした実験的作品を実にたくさん発表し続けている。初期の頃はカセットテープやCDRがメインで、2年目からヴァイナルを出すようになった。

 2008年に〈ウッドシスト〉から出した12インチ「ペヨーテ・ロード」というタイトルが物語るように、彼女たちの音楽における実験と前衛は、おおよそフリークアウトを背景としていると思われる。早い話、ドラッギーな音楽で、彼女たちの残した大量のカセットテープとCDRはそのドキュメントであろう(だいたい1曲の演奏時間も長い)。いずれにしてもポカホーンティッドの実験性は、芸術家気取りの連中が得意な顔してやっているようなつまらないものではない......と思われる。

 2008年にヴァイナルとCDで出した『アイランド・ダイヤモンド』でダブ/レゲエの要素を取り入れた彼女たちだが、昨年の『パッセージ』ではふたたびドラッギーなドローンを試みている。が、そして、1年ぶりとなった新作(ロスアンジェルスのインディ・レーベル〈ノット・ノット・ファン〉からのリリース)では、フリー・フォークとドローンを通過したザ・スリッツとでも言えばいいのだろうか、まあ、そんな演奏になっている。ベサニー・コセンティーノが脱退し、アルバムには、しばし活動をともにしているロブドアー(Robedoor)のふたり(ひとりは〈ノット・ノット・ファン〉の主宰者)、そして西海岸のもうひとりのサイケデリックな妖婦、サン・アロウのキャメロン・スタローンズが参加している。

 そして......新作においては、何よりも「現実にしろ」というアルバム・タイトルが、過去の裸足でノイズを鳴らす彼女たちとの違いを暗示しているように思える。アートワークもPファンク的である。音楽にとって逃避主義は重要な要素だが、ポカホーンティッドは、しかし音楽がそれだけに回収されるのには抵抗があるらしい。

 とはいえ、僕には彼女たちの「現実にしろ」という言葉から広がるディテールを聴き取れる者ではない。できることと言えば......繰り返すようだが、ドローンとフリー・フォークを通過したザ・スリッツと喩えられそうなこの音を楽しむことぐらいだ(まあ、それだけでも充分か......)。アマンダ・ブラウンの声が力強く響く"タッチ・ユー"、ファンクとノイズのタイトル曲"メイク・イット・リアル"、彼女たち流のガレージ・サイケ"ユー・ドゥー・ヴードゥー"、そしてアルバムのクライマックスは、ぶっ飛んだスペース・ダブを延々と展開する最後の曲"セイヴ・ユアセルフ"......〈ノット・ノット・ファン〉を中心としたコミュニティにおける最新の成果はかつてのドローン状態とは打って変わってリズミカルに響いている。瞑想を止めて、ダンスに走っているようである。

野田 努