ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. interview with FINAL SPANK HAPPY メンヘラ退場、青春カムバック。 (interviews)
  2. FilFla - micro carnival (review)
  3. KODAMA AND THE DUB STATION BAND - かすかな きぼう (review)
  4. interview with Kode9 〈ハイパーダブ〉15周年記念 (interviews)
  5. 羊とオオカミの恋と殺人 - (review)
  6. BUSHMIND ──ニューエイジ/アンビエントのミックスCDをリリース (news)
  7. Mark De Clive-Lowe ──マーク・ド・クライヴ=ロウがライヴ盤をリリース (news)
  8. Columns 元ちとせ 反転する海、シマ唄からアンビエントへ (columns)
  9. interview with Kazufumi Kodama 不自由のなかの自由 (interviews)
  10. ブラック校則 - (review)
  11. Burial ──ベリアルの新曲が公開、〈Hyperdub〉の新コンピもリリース (news)
  12. Gang Starr - One Of The Best Yet (review)
  13. Jagatara2020 ──80年代バブル期の日本に抗い、駆け抜けた伝説のバンド、じゃがたらが復活! (news)
  14. Columns FKA Twigs スクリュードされた賛美歌 (columns)
  15. じゃがたら新世界2015〜Reborn of a ravel song - @西麻布「新世界」 (review)
  16. Fat White Family ──次世代のスリーフォード・モッズ!? ファット・ホワイト・ファミリーが〈Domino〉から新作をリリース (news)
  17. Moor Mother - Analog Fluids Of Sonic Black Holes (review)
  18. Burial ──ベリアルがコンピレーション盤をリリース (news)
  19. interview with Kikuchi Naruyoshi デート・コース・ペンタゴン・ロイヤル・ガーデンの復活 (interviews)
  20. OGRE YOU ASSHOLE - 新しい人 (review)

Home >  Reviews >  Album Reviews > Guido- Anidea

Guido

Guido

Anidea

Punch Drunk

Amazon iTunes

野田 努   May 31,2010 UP
このエントリーをはてなブックマークに追加
E王

 ジョーカーの好きな色が紫だそうで、だからブリストルの若き三人衆の〈パープル・トリニティ〉というチームの名前もジョーカーのアイデアだ。実際の話、写真で見るジョーカーは紫を着ているし、〈ハイパーダブ〉のシングルのロゴも紫になっている。まるでプリンス......である。が、彼らは80年代に依拠しているわけではない。ブリストルの若き三人衆が"紫"を強調するのは、ダブステップのダークさに対する若い世代からの批評の表れである。手短に言って、彼らはティンバランドやネプチューンズからの影響をダブステップに注入したのである。この音楽をよりセクシーにするために。彼ら――ジョーカー、ジェミー、そしてグイードは......。

 グイード(ガイ・ミドルトン)に関しては、昨年末のピンチの"ゲット・アップ"のリミックスで「おお!」と唸った人は少なくない。21歳のブリストリアンは、ヨランダの甘ったるいR&Bヴォーカルを活かしながら、そこに新しいメロディを加え、斬新なアレンジを与えた。だいいちヨランダは、"ゲット・アップ"のおよそ1年前にグイードがデビュー・シングルのB面の"ウェイ・ユー・メイク・ミー・フィール"で起用したヴォーカリストである。その曲調といい、"ゲット・アップ"は若きグイードのアイデアを先輩のピンチが借用としたとも言える。

 さて、本作『アニーディア』は〈パンチ・ドランク〉からの決定的な2枚のシングル(「オーケストラル・ラボ」と「ビューティフル・コンピリケーション」)を経てリリースされるグイードのアルバムだ。ブリストルの"紫"三人衆において最初のアルバムでもある。それは聴き終わったあと、思わず拍手をしたくなるような素晴らしいデビュー・アルバムだ。

 ダブステップ......と書いたが、三人衆のルーツは地元ブリストルのグライムのシーンにある。彼らは10代のなかばからフルーティ・ループスをダウンロードして音楽を作りはじめ、互いにテープの交換をしていた仲だったという話だ。そしてグイードに関しては、自分のミックステープを置いてもらうためにルーティッド・レコード店を訪れたことで、店で働くトム・フォード(〈パンチ・ドランク〉の主宰者。ペヴァーリストの名で知られる)と知り合い、そしてリリースへと話が進んだという。

 グイードのビートはグライムのシーンで磨かれたものだが、彼の鍵盤によるメロディに関しては彼の別の経歴から来ている。ジャズとクラシックのピアノを学んだ過去を持つ彼は、いまでもジャズを愛するというもうひとつの顔を持っているのだ。グイードはいまだに毎日ピアノの練習を欠かさないというが、『アニーディア』には、そうした彼の音楽的素養の豊かさが出ている。

 表題曲の"アニーディア"は"ナンバーズ"時代のクラフトワークがR&Bをやったようなトラックで、この1曲でリスナーはグイードの世界にぐいと連れていかれる。ドリーミーな展開も見事だ。"オーケストラル・ラボ"ではグライミーなトラックをベースにスペイシーなシンセによるメロディが浮遊する。路上で鍛えられた埃っぽい音が遠い宇宙に向かって飛んでいくようだ。"ユー・ドゥ・イット・ライト"はブリアルの名曲"アーチェンジェル"に続くポストR&Bと言えよう。変調された歌と烈しいダブステップが溶けるように展開する。サックスをサンプルした"マッド・サックス"もこの若きトラックメイカーへの期待をさらに膨らませる曲だ。Pファンク風のシンセのコード弾きとメランコリックなサックスの絡みとダビーなビートは、素晴らしい余韻を残す。すでにシーンでは有名なふたつのセクシーなヴォーカル曲、"ビューティフル・コンピリケーション"と"ウェイ・ユー・メイク・ミー・フィール"も収録されている。

 「もし自分がブリストルに生まれていなかったら、違う音になっていただろう」、グイードはあるインタヴューでこう話している。地元のグライム・シーンから登場した新世代のダブステップは、そしてマッシヴ・アタックやポーティスヘッドのようなメランコリーも忘れていない。

TrackList

  1. 1. Anidea
  2. 2. Orchestral Lab
  3. 3. Woke Up Early
  4. 4. Cat In The Window
  5. 5. Beautiful Complication feat. Aarya
  6. 6. Mad Sax
  7. 7. You Do It Right
  8. 8. Take Me Higher
  9. 9. Way U Make Me Feel feat. Yolanda
  10. 10. Tango
  11. 11. Shades of Blue
  12. 12. Tantalized

野田 努