ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. JME - Grime MC (review)
  2. Four Tet ──フォー・テットがニュー・アルバムをリリース (news)
  3. Yaporigami ──山梨出身ベルリン在住の電子音楽家が〈Virgin Babylon〉より新作を発表 (news)
  4. Jagatara2020 ──復活目前のじゃがたら、ライヴ会場先行販売ほか店舗限定特典&パネル展の開催が決定 (news)
  5. interview with Jeff Paker 話題作『The New Breed』のメンバーとの来日ライヴ直前スペシャル (interviews)
  6. Carl Michael Von Hausswolff - Addressing The Fallen Angel (review)
  7. Vladislav Delay ──ヴラディスラフ・ディレイがニュー・アルバムをリリース (news)
  8. φonon ──佐藤薫主宰の〈フォノン〉が新たに2作品をリリース (news)
  9. Columns 「ハウスは、ディスコの復讐なんだよ」 ──フランキー・ナックルズの功績、そしてハウス・ミュージックは文化をいかに変えたか (columns)
  10. 漢 a.k.a. GAMI監修『MCバトル全書』 ――名バトルからあの事件の裏側まで、現行ジャパニーズ・ヒップホップシーンのリアルがわかる『MCバトル全書』が発売中 (news)
  11. Columns NYクラブ・ミュージックの新たな波動 後編:進化する現代のレイヴ・カルチャー (columns)
  12. Oli XL - Rogue Intruder, Soul Enhancer (review)
  13. Jeff Parker ──ジャズ・ギタリストのジェフ・パーカーが新作をリリース (news)
  14. パラサイト 半地下の家族 - (review)
  15. Sefi Zisling - Expanse (review)
  16. Columns TINY POPというあらたな可能性 (columns)
  17. Jagatara2020 ──80年代バブル期の日本に抗い、駆け抜けた伝説のバンド、じゃがたらが復活! (news)
  18. Columns tiny pop sound cloudガイド (columns)
  19. Stormzy - Heavy Is The Head (review)
  20. Nick Cave and The Bad Seeds - Ghosteen (review)

Home >  Reviews >  Album Reviews > Factory Floor- Lying/A Wooden Box

Factory Floor

Factory Floor

Lying/A Wooden Box

Blast First Petit

Amazon iTunes

野田 努   Dec 28,2010 UP
このエントリーをはてなブックマークに追加
E王

 2010年5月にリリースされた作品で、自分はこのアーティストを知らなかったけれど、2011年の1月にリリースされるシーフィールの15年振りの新しいアルバムのためにマーク・クリフォードに取材をしたところ、とにかく彼が若い世代のアーティストで積極的に好きなのはこのファクトリー・フロアしかいないと言っていたので、早速チェックした。そしてなるほど、たしかにインパクトのある素晴らしい音楽だった。シーフィールの新しいアルバムには、カンと、そしてドローンやノイズをやっていた頃のクラスターを感じることができるが、ファクトリー・フロアのこの10インチ+DVDのセットは、シーフィールのそうしたセンスにジョイ・ディヴィジョンとザ・フォールの容赦ない悪夢が加わった......と喩えることができるかもしれない。もっともシーフィールのノイズには陶酔的な響きがある。しかし、ファクトリー・フロアにあるのはニヒリスティックな響きである。

 DVD、4曲入りの10インチ、どちらからも強い気持ちを感じる。1時間にもおよびぶDVDはモノクロの抽象的な映像とノイズがシンクロしている。ビートもメロディもない。ノイズだけが生物のように唸りをあげている。"K"時代のクラスターに近いが、ガスやアブストラクトなミニマル・テクノを通過した質感がある。
 合計で40分近くある10インチのほうは、荒涼としたディストピア・ダンス・サウンドだ。暗がりのなかで冷酷なビートが反復する。インダストリアルなテクノ・サウンドのクリシェとも言える無機質な8分音符の繰り返しと沈んだ声は、時折ダークスターの『ノース』とも接近するが、デトロイトのドップラー・エフェクトのダーク・エレクトロやアンドリュー・ウェザオールのソロ作品ともディスコの裏側で手を結んでいるようだ。人間性を欠いたメトロノームのビートはもはや機械のように働くしかない人間を描いている。いくら神経がすり減ったとしても終わることのない労働......。逃げ出したくても逃げられない工場の床、その閉塞された感覚、リズムは金属の軋みによって生まれる。

 ファクトリー・フロアは以前はKAITOというロック・バンドで活動していたニッキ・コークの、ほとんどワンマン・プロジェクトである。2年前からこの名義でシングルを発表しているようだが、アンダーグラウンドな限定リリースが主で、まだ正式なアルバムはリリースされていない。そして、それが出たらセンセーションを起こすかもしれないと思わせるポテンシャルがある。ちなみに映像も音もデザインも、マスタリングもすべてニッキ・コークが手掛けている。

野田 努