ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. Georgia Anne Muldrow - Overload (review)
  2. interview with Colleen 炎、わたしの愛、フリーケンシー (interviews)
  3. Columns アンダーグラウンド・レイヴの生き証人、Jeff23 (SP23 ex.Spiral Tribe) (columns)
  4. Felicia Atkinson/Jefre Cantu-Ledesma - Limpid As The Solitudes (review)
  5. Northan Soul ──ついに『ノーザン・ソウル』の一般上映が決定です! (news)
  6. Norhern Soul ──『ノーザン・ソウル』、この最高な映画を見たらスリムのデニムを履けなくなる (news)
  7. 山下敦弘監督『ハード・コア』 - (review)
  8. tamao ninomiya - 忘れた頃に手紙をよこさないで(tamao ninomiya works) (review)
  9. 日本のテクノ・アンダーグラウンドにおける重要DJのひとり、KEIHINが〈Prowler〉レーベルをスタート (news)
  10. Irmin Schmidt - 5つのピアノ作品集 (review)
  11. Panorama Barの初代レジデント“Cassy“ が年末の日本を襲撃 (news)
  12. Makaya McCraven - Universal Beings / Makaya McCraven - Where We Come From (Chicago × London Mixtape) (review)
  13. Blood Orange - Negro Swan (review)
  14. Yves Tumor ──イヴ・トゥモアが来日 (news)
  15. interview with GillesPeterson UKジャズ宣言 (interviews)
  16. Imaizumi Koichi ──今夏話題を集めた映画『伯林漂流』の再上映が決定&今泉浩一監督の全過去作品も (news)
  17. Colleen - The Weighing of The Heart (review)
  18. Brainfeeder X ──〈ブレインフィーダー〉10周年を記念した強力なコンピレーションが発売 (news)
  19. Marie Davidson - Working Class Woman (review)
  20. Random Access N.Y. vol.107:『デイドリーム・ネイション』30周年 (columns)

Home >  Reviews >  Album Reviews > Factory Floor- Lying/A Wooden Box

Factory Floor

Factory Floor

Lying/A Wooden Box

Blast First Petit

Amazon iTunes

野田 努   Dec 28,2010 UP
このエントリーをはてなブックマークに追加
E王

 2010年5月にリリースされた作品で、自分はこのアーティストを知らなかったけれど、2011年の1月にリリースされるシーフィールの15年振りの新しいアルバムのためにマーク・クリフォードに取材をしたところ、とにかく彼が若い世代のアーティストで積極的に好きなのはこのファクトリー・フロアしかいないと言っていたので、早速チェックした。そしてなるほど、たしかにインパクトのある素晴らしい音楽だった。シーフィールの新しいアルバムには、カンと、そしてドローンやノイズをやっていた頃のクラスターを感じることができるが、ファクトリー・フロアのこの10インチ+DVDのセットは、シーフィールのそうしたセンスにジョイ・ディヴィジョンとザ・フォールの容赦ない悪夢が加わった......と喩えることができるかもしれない。もっともシーフィールのノイズには陶酔的な響きがある。しかし、ファクトリー・フロアにあるのはニヒリスティックな響きである。

 DVD、4曲入りの10インチ、どちらからも強い気持ちを感じる。1時間にもおよびぶDVDはモノクロの抽象的な映像とノイズがシンクロしている。ビートもメロディもない。ノイズだけが生物のように唸りをあげている。"K"時代のクラスターに近いが、ガスやアブストラクトなミニマル・テクノを通過した質感がある。
 合計で40分近くある10インチのほうは、荒涼としたディストピア・ダンス・サウンドだ。暗がりのなかで冷酷なビートが反復する。インダストリアルなテクノ・サウンドのクリシェとも言える無機質な8分音符の繰り返しと沈んだ声は、時折ダークスターの『ノース』とも接近するが、デトロイトのドップラー・エフェクトのダーク・エレクトロやアンドリュー・ウェザオールのソロ作品ともディスコの裏側で手を結んでいるようだ。人間性を欠いたメトロノームのビートはもはや機械のように働くしかない人間を描いている。いくら神経がすり減ったとしても終わることのない労働......。逃げ出したくても逃げられない工場の床、その閉塞された感覚、リズムは金属の軋みによって生まれる。

 ファクトリー・フロアは以前はKAITOというロック・バンドで活動していたニッキ・コークの、ほとんどワンマン・プロジェクトである。2年前からこの名義でシングルを発表しているようだが、アンダーグラウンドな限定リリースが主で、まだ正式なアルバムはリリースされていない。そして、それが出たらセンセーションを起こすかもしれないと思わせるポテンシャルがある。ちなみに映像も音もデザインも、マスタリングもすべてニッキ・コークが手掛けている。

野田 努