ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. The 1975 - A Brief Inquiry Into Online Relationships (review)
  2. Columns TINY POPというあらたな可能性 (columns)
  3. Merzbow - Monoakuma (review)
  4. Paulius Kilbauskas - Elements (review)
  5. FEBB ──昨年逝去したラッパー FEBB の一周忌に、追悼イベント《STILL SEASON》が開催 (news)
  6. interview with Gang Gang Dance ギャング・ギャング・ダンス来日直前インタヴュー (interviews)
  7. STUMM433 ──デペッシュ・モードやニュー・オーダーまで、50組以上のアーティストが「4分33秒」をカヴァー (news)
  8. Phony Ppl ──ジ・インターネットと並び称されるNYのソウル・バンド、フォニー・ピープルの新作がリリース (news)
  9. On-U Sound ──コンピ・シリーズ《Pay It All Back》の最新作が3月にリリース (news)
  10. ともしび - / サンセット - 監督・脚本:ネメシュ・ラースロー
    出演:ユーリ・ヤカブ『サウルの息子』、ヴラド・イヴァノフ『エリザのために』 ほか
    2019/ハンガリー、フランス/カラー/ハンガリー語、ドイツ語/142分
    (review)
  11. Eartheater - IRISIRI (review)
  12. Big Joanie - Sistahs (review)
  13. 山口美央子 - トキサカシマ (review)
  14. Allysha Joy - Acadie : Raw (review)
  15. Norhern Soul ──『ノーザン・ソウル』、この最高な映画を見たらスリムのデニムを履けなくなる (news)
  16. 彼女は頭が悪いから - 姫野カオルコ (review)
  17. ZULI - Terminal (review)
  18. interview with Laraaji ニューエイジの伝説かく語りき (interviews)
  19. BOOMBOX&TAPES ──カセットテープ愛好家に送る豪華なジンが創刊 (news)
  20. Mike - War in My Pen (review)

Home >  Reviews >  Album Reviews > Soom T & Disrupt- Ode 2 A Carrot

Soom T & Disrupt

Soom T & Disrupt

Ode 2 A Carrot

Jahtari

Amazon iTunes

野田 努   Jan 06,2011 UP
このエントリーをはてなブックマークに追加
E王

 昨年、『ゼロ年代の音楽――ビッチフォーク編』という本を編集した。この1月に発売される予定の女と抵抗と音楽をテーマにした単行本で、自分で言うのもなんだが、けっこう面白い。ひとつの問題提起というか、とくに女性に読んでいただきたい本だ。もちろん100枚のディスク・レヴューもある。こういう企画では読者の自分にとっての大切な1枚が載ってないといっきに冷めるものだが、作っているほうでも「入れ忘れたー!」というのがあるとけっこう落ちる。カタログ本ではないし、まあしゃーないと思っても、「しまった、入れ忘れた」というのを思い出したり、「入ってないじゃないかー」と人から鋭い指摘を受けると作りたての本でさえ色あせて見えてしまうものだが、スーム・Tのこのアルバムは、個人的にはもう少し早く知っていれば絶対にどんなことをしてでも紹介したかった1枚である。

 まずはこのアートワークをじっくりと見て欲しい。そして曲名をいくつか紹介する。"Roll It""Saved By A Ganja Leaf""Roll That Shit""Never Get Caught""Puff That Weed""Ganja Ganja""Weed Hawks""They Call It Po""Weed Is Sweeter Than Most"......スコットランドはグラスゴーの女性MCとディスラプトによるganja-themedなこの音楽は、さわやかで、明るく、清々しく、これっぽっちの後ろめたさや惨めさはなく、微笑ましく、陽気で笑えるのである。噂では......あくまでも噂に過ぎないのだが......フィラデルフィアの某人気レーベルからの誘いを断っての、〈ジャータリ〉からのリリースである。

 女性アーティストにとって前代未聞の領域に踏み込んでいるであろう勇敢なるMC、スーム・Tは、すでに10年以上のキャリアを持っている。彼女が有名になったのは〈スケープ〉からリリースされていたベルリンのダブ・アンビエント・プロジェクト、バス(サン・エレクトリックのトム・シールによる)の2005年のアルバムにフィーチャーされてからだが、地元のグラスゴーでは1999年から活動をしている。2003年にくだんのバスにフックアップされているが、同じ年にはジ・オーブの『バイスクルス&トリサイクルス』のなかの"アフターマス"のMCに抜擢され、また当時人気だったT.ラウムシミールのアルバムにもミス・キティンとともに参加している。インド系の彼女はその声とリリック(政治的でスピリチュアルだという)で瞬く間にカルトとなって、ここ数年は地元のレゲエ・サウンドシステムの連中(Mungos Hifi, Gypsy Rock 8 Piece Conkerなど)ともコラボレーションを繰り返している。

 〈ジャータリ〉から1月後半にリリースされるスーム・T・アンド・ ディスラプトの『オード・2・ア・キャロット』は、ラップトップ・レゲエの分野における代表格であり、8ビット・レゲエの代名詞でもある同レーベルのスラップスティックな痛快さと、低音、そして躍動そのものといった彼女のラップ、やたら飛び出してくる"単語(クリシェ)"に刺激される。新年早々、なんとも豪胆なアルバムの登場である。

野田 努