ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. Columns ジャズとアンビエントの境界で ──ロンドンの新星ナラ・シネフロ、即完したデビュー作が再プレス&CD化 (columns)
  2. Oval - Ovidono (review)
  3. Random Access N.Y. vol.132:NYではレコードのある生活が普通になっている (columns)
  4. Floating Points × Pharoah Sanders ──これはすごい! フローティング・ポインツとファラオ・サンダースの共作がリリース (news)
  5. Ehiorobo - Joltjacket (review)
  6. Norhern Soul ──『ノーザン・ソウル』、この最高な映画を見たらスリムのデニムを履けなくなる (news)
  7. Jenny Hval ──〈4AD〉へ移籍した北欧のシンガー/プロデューサー、ジェニー・ヴァルの新作が発売決定 (news)
  8. King Krule - You Heat Me Up, You Cool Me Down (review)
  9. Félicia Atkinson & Jefre Cantu-Ledesma - Un hiver en plein été (review)
  10. 年明けのダンス・ミュージック5枚 - (review)
  11. There are many many alternatives. 道なら腐るほどある 第3回 映画『金子文子と朴烈』が描かなかったこと (columns)
  12. Kankyō Ongaku ──日本のアンビエントにフォーカスしたコンピレーションが発売 (news)
  13. dj honda × ill-bosstino - KINGS CROSS (review)
  14. Jeff Parker ──ジェフ・パーカーのニュー・アルバムがリリース (news)
  15. Cleo Sol - Mother (review)
  16. interview wuth Geoff Travis and Jeannette Lee 〈ラフ・トレード〉が語る、UKインディ・ロックの現在 (interviews)
  17. Parris - Soaked In Indigo Moonlight (review)
  18. SAULT - Untitled (Black Is) / SAULT - Untitled (Rise) (review)
  19. interview with Kinkajous UKジャズの魅力たっぷり (interviews)
  20. ARTHUR RUSSELL ──アーサー・ラッセル、再々評価のなかのリイシュー4枚 (news)

Home >  Reviews >  Album Reviews > Helixir- Undivided

Helixir

Helixir

Undivided

7even Recordings

Amazon iTunes

野田 努   Mar 03,2011 UP
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 ダブステップが、若い世代におけるテクノ・ダンス・ミュージックであることを示す1枚。これは、ザ・バグとは別人のケヴィン・マーティン(混同しないように!)によるデビュー・アルバムで、リリースは昨年の暮れだが、この3月に来日するので紹介する。

 レーベルの〈セヴン〉はパリのダブステップ・レーベルで、昨年リリースしたFによる『エナジー・ディストーション』がフランスで最初のダブステップ・アルバムとして話題になった。今年に入ってからは日本人プロデューサーのENAのシングルも切っている。ヘリクシアは、Fと並ぶ〈セヴン〉レーベルの看板プロデューサーで、すでに4枚のシングルをリリースしている。田中哲司くんがSound Patrolで紹介しているように、「聴けば聴くほど深みにハマッていく。細切れのスペーシーなシンセが揺れている。リズム自体はさほど存在感はない。キックが軽く鳴り響く程度。規則的にリヴァーブをかけたパーカッションがこだまする」、「スキューバやラマダンマン、Fなどのミニマル・ダブステップとは感覚が異なる」、「シャックルトンが彼の音楽性を賞賛しているように、シンプルなのだが奥深い」という言葉がそのまま当てはまるアルバムである。本当に「聴けば聴くほど深みにハマッていく」タイプの音楽だ。
 シャックルトンを薄味にした感じ......というとネガティヴに思う人がいるかもしれないけれど、そうじゃない。前向きに言うところの薄味の良さが、AFXとカジモトとリッチー・ホウティンに触発されたこのフレンチ・ダブステッパーの音楽にはある。アンビエント・テイストと言ってもいい。押しつけがましいベースやドラミングがないことを、その長所としている音楽である。そういう意味では僕は......たとえばスウェーデンのレーベル〈スヴェック〉のテクノを思い出した。そう、ヘリクシアにしてもFにしても、ある種そよ風のようなさわやかな感覚があるのだ。
 そしてヘリクシアに関しては、もともとジャズ・バンドのメンバーだっただけあって(彼はドラム、ギター、ベースを演奏する)、魅惑的なメロディとハーモニーを作ることができる。そして......シャックルトンめいたパーカッションも、ダブの応用もこってりすることなく、とてもスムースで、ときにメロウで、あるいはスモーキーで、とにかく聴いていて心地よいのだ。うまくいけば3月23日にDOMMUNEに出演してくれそうなので、ぜひ注目していただきたい。

 話は変わるけど、今年はUKファンキーがよーやく日本にも本格的に上陸しそうで、それも楽しみである。また、〈ナイト・スラッグス〉のような若くて勢いのあるレーベルが素晴らしいダンス・トラックを発表してくれそうだし、ワクワクするね、メタル君!

野田 努