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SpaceGhostPurrp

SpaceGhostPurrp

Mysterious Phonk: The Chronicles Of SpaceGhostPurrp

4AD

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Mac Miller

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Blue Slide Park

Rostrum Records

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野田 努   Jul 12,2012 UP

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 「コクトー・ツインズとウータン・クランとの出会い」――こう形容されているのがヒプナゴジック・ラッパー、マイアミ出身の20歳、MC/プロデューサー、ムニー・ヨルダンのスペースゴーストパープ名義のデビュー・アルバム『ミステリアス・フォンク』である。彼は、ご存じのように、メイン・アトラキオンズクラムス・カジノ、エイサップ・ロッキー、オッド・フューチャー、リル・Bらクラウド・ラップの一群に括られているひとりだ。
 メイン・アトラキオンズのアルバムもそうだったが、いかにもガラの悪そうなこのレコードは、下北沢では、〈100%シルク〉やカインドネス(チルウェイヴに対するUKからの回答)やなんかと隣り合わせに並べられている。レーベルは〈4AD〉。昨年、シャバズ・パレセズのアルバムが〈サブ・ポップ〉から、タイラー・ザ・クリエイターのアルバムが〈XLレコーディングス〉からリリースされているが、それらに続くかのように、インディ・ロック・レーベルからのヒップホップ作品のリリースで、しかもその音は......呪われた咳止めシロップとスクリューと、チルウェイヴとウィッチハウスと、濃い霧のかかったスタジオと、そしてどうしようもない無気力さが注がれている。〈ストーンズ・スロー〉の隣よりもウォッシュト・アウトの近くのほうが合っているし、グルーパーモーション・シックネス・オブ・タイム・トラヴェルの幽玄的な世界とも親和性が高そうだ。もちろん言葉ではない。そのサウンドにおいてのみ。
 ただし、"フォンク(Phonk)"とはマイアミのスラングでファンクの意である。すなわちこれは悪名高きG・ファンクの子孫であり、アダルトショップの世界であり、申し訳ないがファックの世界である。ファック・トゥ・ザ・フューチャー。マスタリングはロンドンのアビーロード・スタジオ。

 この若く新しい美学は、ほかにも飛び火している。ピッツバーグ出身の19歳の白人ラッパー、マック・ミラーが先月リリースした『ブルー・スライド・パーク』にもクラムス・カジノがトラックを提供しているが、最近彼が発表したミックステープ『Macadelic』にいたってはザ・ビートルズの"ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンド"が引用されている。セックス・ピストルズとオッド・フューチャーを(そしておそらくは、ファレル・ウィリアムスとグッチ・メインを)尊敬する10代のMCの音楽にも、ストーナーでサイケデリックな感性が打ち出されている。
 その意味においては、彼の音楽は、ウィズ・カリファのスモーキーな領域とも繋がってくるわけだが、ミラーはヒプナゴジック・ラッパーたちほど眠たく、そして退廃的なわけではない。スクリューめいたドロッとした重さもない。曲によっては軽快に聴こえるほど、キャッチーで、闊達なところがある。それがゆえに彼には「ラップの黄金時代を思い出させるMC」という評価もあるほどだ。
 実際、彼のミックステープは10万回以上ダウンロードされ、『ブルー・スライド・パーク』にいたっては、びっくりだが......『ビルボード』のアルバム・チャートで1位になったのだ。成人向けのスペースゴーストパープと違って、こちらは子供でも踊れるだろう。それでも若さゆえの正しき不良性を秘めている。

 ちなみに、スペースゴーストパープあたりの幻覚性の高いトラックに数年前から目を付けていたのが東京のブッシュマインドで(彼によれば、ある種のホラー感覚に関してはメンフィスがとくに早かったという)、ちょうど彼の『グッド・デイズ・カミン』のアナログ盤もいまリリースされている

野田 努