ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. K A R Y Y N - The Quanta Series (review)
  2. 柴田聡子 - がんばれ!メロディー (review)
  3. 中原昌也 ──作家デビュー20周年を記念し最新小説とトリビュート作品集が2冊同時リリース (news)
  4. Vince Staples - FM! / Earl Sweatshirt - Some Rap Songs (review)
  5. ビール・ストリートの恋人たち - (review)
  6. ポスト・ミューザック考 第二回:俗流アンビエント (columns)
  7. Reeko Squeeze - Child’s Play 2 (review)
  8. Columns What’s the point of indie rock? インディー・ロックの核心とは何か (columns)
  9. Norhern Soul ──『ノーザン・ソウル』、この最高な映画を見たらスリムのデニムを履けなくなる (news)
  10. ポスト・ミューザック考 第一回 (columns)
  11. 闘魂 2019 - 出演:cero、フィッシュマンズ (review)
  12. interview with IO KoolBoyの美学 (interviews)
  13. 《《》》 - Relay (review)
  14. GRADIS NICE & DJ SCRATCH NICE - Twice As Nice (review)
  15. Sharon Van Etten - Remind Me Tomorrow (review)
  16. There are many many alternatives. 道なら腐るほどある 第2回 マグカップは割れ、風呂場のタイルは今日も四角い (columns)
  17. talk with Takkyu Ishino × Stephen Morris 特別対談:石野卓球×スティーヴン・モリス(ニュー・オーダー) (interviews)
  18. NHKラジオ第一の「すっぴん!」、4月3日の宮沢章夫さんの日に戸川純が生出演! (news)
  19. The Comet Is Coming ──UKジャズのキイパーソン、シャバカ・ハッチングスのザ・コメット・イズ・カミングが新作をリリース (news)
  20. 空間現代 ──空間現代が〈Editions Mego〉傘下のレーベルよりアルバムをリリース (news)

Home >  Reviews >  Album Reviews > Fidlar- Fidlar

Fidlar

Fidlar

Fidlar

Mom & Pop Music/ホステス

Amazon iTunes

菊地佑樹   Jan 28,2013 UP
このエントリーをはてなブックマークに追加

 去年、アメリカのサンタナにあるライヴハウスの、〈バーガー・レコーズ〉主催のイヴェント、「バーガーアマ」に行った僕は、オープニング・アクトを飾ったひとつのバンドにぶっ飛ばされた。
  小柄なメキシコ系のヴォーカルは、へったくそなギターをひたすらかき鳴らし、「起きたら! キメて! スケート!」なんて絶叫してる。他のメンバーもバカみたいなテンションでステージ上をのけぞり回り、シャウト! 曲が終わるとヴォーカルは中指を立てながら「お前ら全員ファックだ!」と言って、小さな笑みをこぼした。「さ、最高だ......!!!」   
 僕はやりきれない思いに塗れたアメリカの典型的なキッズたちが鳴らす、フラストレーションをヤケクソな勢いで爆発させたような、ジャンク・ガレージ・パンク・ポップにただただ興奮していた。当日のお目当てはトリを務めるウェイヴスだってのに(他にもタイ・セガール、キング・タフ、オフ!なども出演)、最初のバンドでピークを迎えてしまいそうな僕は、飲めないビールをすかさず一気飲みし、地元のやんちゃそうな連中に混じってひたすらモッシュ! 会場のキッズたちは120%のテンションでダイヴを繰り返し、こう叫び続けていた。「フィドラー(くそったれ! 人生は賭けだ)!!!!!!!!!!!!!!!」 

 どうしようもない4人の負け犬で結成された、LA出身のフィドラーは、ギター・ヴォーカルのザック、リード・ギターのエルヴィス、ベースのブランドン、ドラムのマックスの4ピース・バンド。ファースト・アルバム『フィドラー』では、ニルヴァーナとピクシーズ、そしてブラック・リップスに大きな影響を受けたという、キャッチーで弾みの良いガレージ・サウンドが、ウェイヴスやベスト・コーストにも通じるごきげんな西海岸特有のテンションで、最後の曲"コカイン"までひたすら鳴り響いている。
 ほとんどの歌詞の内容は"ドラッグ、スケート、アルコール"。マジでバカ全快で、アホ丸出しだが、そこが良い。

 彼らは現地のキッズにもに人気だった。演奏が終わると、キッズたちはぞろぞろと物販に移動し、Tシャツやレコードを夢中になって買っていた。そんな光景を見ていた僕は、自分が中学生の頃、ザ・ヴァインズのアルバムをスキップしながらCDショップに買いに行った時代を思い出し、胸が熱くなっていたが、そんな僕の横ではウェイヴスのネイサン・ウィリアムスがひたすらハッパを(合法的に)吸っていた。
 イヴェントが終わり、僕はフィドラーのヴォーカルのザックに恐る恐る先ほど買ったレコードにサインを求めると、彼は気さくにそれに応じてくれた。「俺、じつは昔、静岡にちょっと滞在してたんだ。コンニチハ! だろ? へへ。日本には本当に行きたいんだ。いまそんな話もしてるんだぜ? だからちょっと待っててよ」
 この言葉の通り、2月、ホステス・クラブ・ウィークエンダーでフィドラーは来日する。

菊地佑樹