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菊地佑樹   Jan 28,2013 UP
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 去年、アメリカのサンタナにあるライヴハウスの、〈バーガー・レコーズ〉主催のイヴェント、「バーガーアマ」に行った僕は、オープニング・アクトを飾ったひとつのバンドにぶっ飛ばされた。
  小柄なメキシコ系のヴォーカルは、へったくそなギターをひたすらかき鳴らし、「起きたら! キメて! スケート!」なんて絶叫してる。他のメンバーもバカみたいなテンションでステージ上をのけぞり回り、シャウト! 曲が終わるとヴォーカルは中指を立てながら「お前ら全員ファックだ!」と言って、小さな笑みをこぼした。「さ、最高だ......!!!」   
 僕はやりきれない思いに塗れたアメリカの典型的なキッズたちが鳴らす、フラストレーションをヤケクソな勢いで爆発させたような、ジャンク・ガレージ・パンク・ポップにただただ興奮していた。当日のお目当てはトリを務めるウェイヴスだってのに(他にもタイ・セガール、キング・タフ、オフ!なども出演)、最初のバンドでピークを迎えてしまいそうな僕は、飲めないビールをすかさず一気飲みし、地元のやんちゃそうな連中に混じってひたすらモッシュ! 会場のキッズたちは120%のテンションでダイヴを繰り返し、こう叫び続けていた。「フィドラー(くそったれ! 人生は賭けだ)!!!!!!!!!!!!!!!」 

 どうしようもない4人の負け犬で結成された、LA出身のフィドラーは、ギター・ヴォーカルのザック、リード・ギターのエルヴィス、ベースのブランドン、ドラムのマックスの4ピース・バンド。ファースト・アルバム『フィドラー』では、ニルヴァーナとピクシーズ、そしてブラック・リップスに大きな影響を受けたという、キャッチーで弾みの良いガレージ・サウンドが、ウェイヴスやベスト・コーストにも通じるごきげんな西海岸特有のテンションで、最後の曲"コカイン"までひたすら鳴り響いている。
 ほとんどの歌詞の内容は"ドラッグ、スケート、アルコール"。マジでバカ全快で、アホ丸出しだが、そこが良い。

 彼らは現地のキッズにもに人気だった。演奏が終わると、キッズたちはぞろぞろと物販に移動し、Tシャツやレコードを夢中になって買っていた。そんな光景を見ていた僕は、自分が中学生の頃、ザ・ヴァインズのアルバムをスキップしながらCDショップに買いに行った時代を思い出し、胸が熱くなっていたが、そんな僕の横ではウェイヴスのネイサン・ウィリアムスがひたすらハッパを(合法的に)吸っていた。
 イヴェントが終わり、僕はフィドラーのヴォーカルのザックに恐る恐る先ほど買ったレコードにサインを求めると、彼は気さくにそれに応じてくれた。「俺、じつは昔、静岡にちょっと滞在してたんだ。コンニチハ! だろ? へへ。日本には本当に行きたいんだ。いまそんな話もしてるんだぜ? だからちょっと待っててよ」
 この言葉の通り、2月、ホステス・クラブ・ウィークエンダーでフィドラーは来日する。

菊地佑樹