ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. K A R Y Y N - The Quanta Series (review)
  2. 柴田聡子 - がんばれ!メロディー (review)
  3. 中原昌也 ──作家デビュー20周年を記念し最新小説とトリビュート作品集が2冊同時リリース (news)
  4. Vince Staples - FM! / Earl Sweatshirt - Some Rap Songs (review)
  5. ビール・ストリートの恋人たち - (review)
  6. ポスト・ミューザック考 第二回:俗流アンビエント (columns)
  7. Reeko Squeeze - Child’s Play 2 (review)
  8. Columns What’s the point of indie rock? インディー・ロックの核心とは何か (columns)
  9. Norhern Soul ──『ノーザン・ソウル』、この最高な映画を見たらスリムのデニムを履けなくなる (news)
  10. ポスト・ミューザック考 第一回 (columns)
  11. 闘魂 2019 - 出演:cero、フィッシュマンズ (review)
  12. interview with IO KoolBoyの美学 (interviews)
  13. 《《》》 - Relay (review)
  14. GRADIS NICE & DJ SCRATCH NICE - Twice As Nice (review)
  15. Sharon Van Etten - Remind Me Tomorrow (review)
  16. There are many many alternatives. 道なら腐るほどある 第2回 マグカップは割れ、風呂場のタイルは今日も四角い (columns)
  17. talk with Takkyu Ishino × Stephen Morris 特別対談:石野卓球×スティーヴン・モリス(ニュー・オーダー) (interviews)
  18. NHKラジオ第一の「すっぴん!」、4月3日の宮沢章夫さんの日に戸川純が生出演! (news)
  19. The Comet Is Coming ──UKジャズのキイパーソン、シャバカ・ハッチングスのザ・コメット・イズ・カミングが新作をリリース (news)
  20. 空間現代 ──空間現代が〈Editions Mego〉傘下のレーベルよりアルバムをリリース (news)

Home >  Reviews >  Album Reviews > Varoius Artists- 160OR80

Varoius Artists

FootworkJuke

Varoius Artists

160OR80

Thailandbookstore

Amazon iTunes

野田 努   Mar 25,2013 UP
このエントリーをはてなブックマークに追加

 これはダンス・ミュージックだ。が、初めてフットワーク/ジュークを聴いたとき──〈プラネット・ミュー〉からのコンピ──、「これがダンス・ミュージックと呼べるのか」という感想を僕は抱いた。生まれて初めてアシッド・ハウスを聴いたときもそう思った。「これがダンス・ミュージックと、ひいては音楽と呼べるのか」と。しかし、アシッド・ハウスは明らかにダンス・ミュージックのひとつのスタンダードとなった。ジェフ・ミルズのDJを初めて聴いたときもそうだった。「これがダンス・ミュージックと呼べるのか」と。しかし、これもまた、ハード・ミニマルというジャンルになった。フットワーク/ジュークもそうなるのだろうか。
 そうなる可能性は高い。すでにそうなっているのかもしれない。

 『160OR80』は、フットワーク/ジューク熱の高まりを証明する1枚(配信リリース)。日本のトラックメイカーの作品にラッパーが言葉を載せている。興味深い顔ぶれだ。
 ラッパーは、名古屋の若きCampanella 、ダウンノースの仙人掌、御大ECD、クラウド・ラップめいた新世代Cherry Brown、そしてシミラボからはMaria、人気沸騰中のPUNPEEらといったすでに人気やキャリアのあるラッパーをはじめ、mikE maTida、MVJIMOB、Squash Squad、あべともなり、trinitytiny1、Carios & DKXO......
 トラックメイカーは、DJ Fulltono、foodman、Uncle Texx、D.J.G.O.、Klone7023、Guchon、Skip Club Orchestra、HABANERO POSSE、CRZKNY、Satanicpornocultshop......ジュークを世界に紹介したUKでさえも、この手の、ラッパーとトラックメイカーのタッグによるコンピレーションはないようなので、いかに日本で短時間のあいだに、この音楽が拡大していったかがうかがい知れる。企画の勝利というか、名前のリストを眺めるているだけでも気を引く。
 そもそもこのディアスポラ・ミュージックは、アシッド・ハウスの変異体であり、エレクトロの最新型でもある。ハウスであり、ヒップホップ。ゆえにラッパーに好まれるのも自然なことだが、しかしなんと言ってもこれはダンス・ミュージックである。言葉よりもリズム、意味よりも官能、謙虚さよりも露骨さ、そしてチルではなくバトル......だ。
 そういう、シカゴのダンス・サークルの、ことナンセンス路線で言えば、MVJIMOB(Beat by Klone7023)、あべともなり(Beat by 食品まつりa.k.a foodman)、グライム風のAIR BOURYOKU CLUB(Beat by HABANERO POSSE)......あたりが面白いのだけれど、フットワーク+ヒップホップの独創的な展開として、要するに、なんの先入観もなく聴けば、ほとんが力強く、良い感じに仕上がっている。Campanella(Beat by Uncle Texx)の"sullivan show"ような速度を感じる曲はもちろん魅力的だが、Maria vs Jason (Beat by CRZKNY)、そしてPUNPEE(Beat by Satanicpornocultshop)の"Bad habit"に関しては、このリズムをポップに活かさない手はないんじゃないかと思えてくるほどの出来。正確に言えばこのアルバムは、フットワークとラップだけではなく、テクノ、アシッド・ハウス、レイヴ、ファンク、ソウルなど、多様な接点を持っている。DUBBPARADE、DJ SEKIS、DJAflowらのインストゥルメンタルもユニークだと思う。

 フットワーク/ジュークは、こうして、たんなる輸入品ではなくなった。世代的にも、シーンとしても、幅広く集まってきているところも良い。シリーズ化するのもアリだと思うし、もっと多くのナンセンスな音楽がこのなかから生まれてきて欲しい。そして、つまらない音楽を粉々にしてやろう。

http://160or80.tumblr.com/ 

野田 努