ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. Moses Boyd - Displaced Diaspora (review)
  2. Joe Strummer - 001 (review)
  3. Gottz ──強烈なインパクトを放つ KANDYTOWN のMCがソロ・デビュー作をリリース (news)
  4. Drexciya ──ドレクシアのドキュメンタリー映像が公開 (news)
  5. Puce Mary - The Drought (review)
  6. DMBQ ──13年ぶりのアルバム『KEEENLY』のアナログ盤が〈DRAG CITY〉よりリリース (news)
  7. 差別や貧困と闘うLA発チカーノ・バンド、エル・ハル・クロイ ──来日直前インタヴュー (news)
  8. R.I.P 小杉武久 (news)
  9. J Dilla - Ruff Draft (Dilla's Mix) (review)
  10. Columns Yves Tumor いま話題のアーティスト、イヴ・トゥモアとは何者か? (columns)
  11. interview with tofubeats 走る・走る・走る (interviews)
  12. Time Grove ──イスラエルのジャズ&クラブ・シーンを支える音楽家たちが集結、デビュー・アルバムをリリース (news)
  13. Yves Tumor - Safe In The Hands Of Love (review)
  14. shotahirama ──グリッチ・ノイズの雄 shotahirama がニュー・シングルをリリース (news)
  15. Columns はてなフランセ 第17回 フレンチ・ポップの王道からあえてズレる (columns)
  16. Gazelle Twin - Pastoral (review)
  17. special talk : ISSUGI × CRAM 特別対談:ISSUGI × CRAM (interviews)
  18. Columns 坂本龍一の『BTTB』をいま聴いて、思うこと (columns)
  19. Neneh Cherry × Four Tet ──ネナ・チェリーが新作をリリース、プロデュースはフォー・テット (news)
  20. interview with Yo La Tengo ヨ・ラ・テンゴ来日直前インタヴュー (interviews)

Home >  Reviews >  Album Reviews > Barn Owl- V

Barn Owl

DoomDronePsychedelicRock

Barn Owl

V

Thrill Jockey

Amazon

倉本諒   Apr 30,2013 UP
このエントリーをはてなブックマークに追加

 フェイスブックで友人のフランス発DIYテープ・レーベル・オーナーが、おそらく自身が主催したであろう今宵のショウの写真をアップしながら「センクス! バーン・オウル(Barn Owl)」などと嘯いているのを流し見しながら、あぁ、いまレコ発ツアーでヨーロッパにいるのねーなんて思いながらよく見るとアレ? ジョンもエヴァンもギターじゃなくてシンセ? マジ? いつの間にそんな節操ない感じ?

 4つ打ちが飛び出さないか怯えながらおそるおそる彼等のドロップされたばかりの最新作、『V』を聴いてみたところ打ち込みビートが飛び出さなかったのでかろうじて心臓発作は免れたものの、んん? いや? あれ......?

 自信を持って言える(これって僕にとって数少ないことだが)僕は、バーン・オウルの熱心なファンである。07年に〈ノット・ノット・ファン〉から発売された彼等の当時のDIY感が全開の美しいCDR、『ブリッジ・トゥ・ザ・クラウズ』を聴いて以来、アルバムごとに感動を届けられている。
 生ける伝説であるアースのドローン・デザート・ロックを基礎としながらも、その現代的な感覚を見事に昇華しているバーン・オウル。08年~10年代までのUSインディ・シーンにおいてマジック・ランタンが太陽であったとするならば、バーン・オウルは月。当時マジック・ランタンも兼任であったサン・アローことキャメロン・スタローンが「彼等のサウンドはマジで美しい。スローでヘヴィーで、何より美しいんだよ!」とニヤニヤ笑いを浮かべながら語っていたのがいまでも記憶に残っている。エヴァン・カミニティとジョン・ボラスが放つギターの倍音にいつまでも身を委ねていたい、そんな素晴らしきロック・バンドである。

 しかし僕がいま聴いているこの最新作『V』は前作『ロスト・イン・グレア』でひとつの完成系を迎えたギター・ラーガはモヤモヤの奥に隠れ(それでも確実にいるんだけれども)、モノクロームなダブがフィーチャーされている。結成当初から丁寧に紡ぎあげてきたバーン・オウルの世界観からは大きく外れないもののどちらかと言えばエヴァンとジョンがそれぞれおこなってきた膨大なソロの延長線上に近い。

 ......んん。何だか僕はこれではパンチが足らないようだ。むしろこれなら僕はより大胆な電子音に腰を抜かされた方が良かったのかもしれない。昨今のモジュラーシンセ・マーケットの飛躍的な拡大は殊にバンド・フォームが多様化するUSインディー・シーンにおいても絶大な影響を及ぼしていることは間違いない。紙やウェブでクドいほど僕がプッシュするピート・スワンソンも例に漏れない。
 だけれどもバンドとしての音楽性の変化を伴わないセットアップの大規模な変化は少々危険なのでは......? というのが正直な思い。特にバーン・オウルはギター・ミュージックの究極性を追求していたバンドなだけに何だか水で薄めてしまったような感覚が否めない。というのは僕が時代についていけてないだけであろうか。

 否、USインディー・バンド全体に感じるこの良くも悪くも軽薄な感じ、それに漏れずにいままでサイケ・インプロヴのみバンドで追求していたにも関わらず家で4つ打ちビートに身を燻らせている僕こそ最も薄っぺらいはずだ!

 あれ? ところでスリル・ジョッキーってこないだ〈オム(Om)〉のダブプレート盤も出したよね? US屈指のレーベルとして成長を遂げたスリル・ジョッキーの仕掛けでは?

 ......と勘ぐる僕は自分が捻くれ過ぎ?

倉本諒