ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. Columns ジャズとアンビエントの境界で ──ロンドンの新星ナラ・シネフロ、即完したデビュー作が再プレス&CD化 (columns)
  2. Oval - Ovidono (review)
  3. Random Access N.Y. vol.132:NYではレコードのある生活が普通になっている (columns)
  4. Floating Points × Pharoah Sanders ──これはすごい! フローティング・ポインツとファラオ・サンダースの共作がリリース (news)
  5. Ehiorobo - Joltjacket (review)
  6. Norhern Soul ──『ノーザン・ソウル』、この最高な映画を見たらスリムのデニムを履けなくなる (news)
  7. Jenny Hval ──〈4AD〉へ移籍した北欧のシンガー/プロデューサー、ジェニー・ヴァルの新作が発売決定 (news)
  8. King Krule - You Heat Me Up, You Cool Me Down (review)
  9. Félicia Atkinson & Jefre Cantu-Ledesma - Un hiver en plein été (review)
  10. 年明けのダンス・ミュージック5枚 - (review)
  11. There are many many alternatives. 道なら腐るほどある 第3回 映画『金子文子と朴烈』が描かなかったこと (columns)
  12. Kankyō Ongaku ──日本のアンビエントにフォーカスしたコンピレーションが発売 (news)
  13. dj honda × ill-bosstino - KINGS CROSS (review)
  14. Jeff Parker ──ジェフ・パーカーのニュー・アルバムがリリース (news)
  15. Cleo Sol - Mother (review)
  16. interview wuth Geoff Travis and Jeannette Lee 〈ラフ・トレード〉が語る、UKインディ・ロックの現在 (interviews)
  17. Parris - Soaked In Indigo Moonlight (review)
  18. SAULT - Untitled (Black Is) / SAULT - Untitled (Rise) (review)
  19. interview with Kinkajous UKジャズの魅力たっぷり (interviews)
  20. ARTHUR RUSSELL ──アーサー・ラッセル、再々評価のなかのリイシュー4枚 (news)

Home >  Reviews >  Album Reviews > Lil Ugly Mane- Mista Thug Isolation

Lil Ugly Mane

Hip HopNoiseSlash

Lil Ugly Mane

Mista Thug Isolation

Hundebiss

倉本諒   Sep 03,2013 UP
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 僕のようなラップ・ミュージックのバッグ・グラウンドの乏しい人間がレヴューを書くべきでないのは重々承知の上であるが、本国での盛り上がりをよそに誰も書いてくれないので書きます。もう我慢できなかったんですよ!

 オッド・フューチャーをスケート・パンクとすれば、リル・アグリー・メーン(Lil Ugly Mane)はバンダナ・スラッシュであろうか。どちらも現在のUSを象徴するラップ・ミュージックだ。

 ショーン・ケンプ(Shawn Kemp)ことリル・アグリー・メーンはどうやら彗星のごとくシーンに現れたわけでもないようだ。現在もアクティヴなのかは定かでないが、ヘッド・モルト(Head Molt)という一聴するところのどうしようもないノイズ/パワエレ・バンドで活動していたトラヴィス・ミラー(本名)は、どうしようもないノイズ/パワエレを炸裂させる片手間、ショーン・ケンプとしてMCとビートを制作していたらしい。故郷のリッチモンドからフィリー、そしてウェスト・ボルチモアとマウントバーノンでこの『ミスタ・サグ・アイソレーション』を完成させ、再びリッチモンドで暮らす彼のドリフト生活遍歴。これらの土地から想起されるここ10年のUSインディー・シーンを照らし合わせば、なるほど彼の音楽遍歴がおのずと見えるではないか。ページ99(PG99)世代のヴァージニアの激情ハードコア・シーンで思春期を過ごした歪んだ美意識は、時を経て当時ドロ沼化していたであろうボルチモアの変態シーンで洗礼を受け、ある種のポップネスを開花させた。ピクチャープレーン(Pictureplane)やDJドッグディック(DJ Dogdick)、ソーン・レザー(Sewn Leather)らとの絡みも共鳴ゆえのものなわけだ。

 満を持してドラキュラ・ルイス(Dracula Lewis)率いる〈ハンデビス〉からの豪華極まるフィジカル・ヴァイナル盤がリリース。近年のUSアンダーグラウンド(でもイタリアのレーベルなんですけど......)発のトレンドを並べたレーベルから出ることは必然ともいえよう。

『ミスタ・サグ・アイソレーション』に捨て曲はない。ウィッチハウス、ヴェイパーウェーヴ、インダストリアルと昨今のキーワードがブラウン管に発光しながらもスクリュードされ、シンプルで野太いビートが際立った極上のトラック、偏執的サグ思考のリリック、これって何? ニューエイジ・ギャングスタラップ? あがるわー。

倉本諒