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大久保潤   Jan 14,2014 UP
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 先日、マイナーホラー映画についてのトークや、アイドルや女性打ち込みシンガーソングライターのライヴ等々盛りだくさんな内容のイベントに行ったところ、開演前の場内ではビキビキの電子音と速いリズムの超かっこいい音楽がかかっており、「Jukeでもなさそうだし何だろこれ」と思ったのだが、会場の人に聞いたら実はそれがオプトラムのセカンド・アルバム『Recorded 2』なのだった。「客入れでかけると、なんかアガるんですよね」と言っていた。

 オプトラムは蛍光灯にコンタクトマイクを付けてアンプリファイする「オプトロン」の演奏者・伊東篤宏と、即興シーンで活動しているドラマーの進揚一郎のデュオである。目にも耳にもノイジーな蛍光灯とソリッドなリズムの組み合わせはインパクト満点であり、誰でもひと目で素朴に「かっこいい!」と思うんじゃなかろうか。
 一方で、見た目のインパクトが凄すぎるだけにCDで聞くとその魅力が伝わるのだろうか(「音だけ聞いて意味あるの?」っていう)という素朴な疑問があるかもしれない。だが、このアルバムは逆に音だけだからこそ、ライヴでは伝わりにくい(ことのある)、オプトラムの純粋にサウンド的な魅力を発見させてくれるものになっている。

 発想としてはシンプルで、「オプトロン+ドラム=オプトラム」というバンド名にも現れているように一種「出オチ」みたいなコンセプトのバンドではある。出オチといえば前にブラストロのレヴューでも使った言葉だけれど、そういえばブラストロを初めて観たときには「オプトラム以来の衝撃!」と思ったもんである。
 でも、普通なら出オチで終わるものを終わらせず、それを引っ張り続けて洗練させていくことで生まれる面白さ、みたいなものにある種の価値があるなあと最近は思ってまして、結成10年にして、前作から7年のブランクを経て制作された今作にはそういう面白さがある。

 そもそも伊東はかねてより自分はミュージシャンではないし、オプトロンは楽器ではない(「音具」と呼んでいた)と発言していたのだが、いまやしっかりミュージシャンだし楽器になっている。とくに近年の〈ブラック・スモーカー〉周辺との活動の成果でもあるのかリズム面での進化が前作との大きな違いで、ビート・アルバムみたいなものとしても聴けるんじゃないかと思う。ノイズ/インダストリアルの大御所たちがベース・ミュージックなどに出会ってクラブ・シーンに接近しているような例(ホワイトハウスのウィリアム・ベネットによるカットハンズとか。初音階段……はちょっと違うか)に通じるものもあるような。

 筆者が参加しているバンドの曲に「10年経っても何にもできないよ」という歌詞があって、以前から伊東はこのフレーズを大変気に入ってくれているのだけれど、出オチで終わらせずに10年続けた成果というのはけっこう馬鹿にならないものがある。2013年の12月30日に新大久保アースダムでの年末恒例のライヴで彼らの演奏を観ていろいろ感じるものがあったこともあり、発売からちょっと間が空いちゃったけど10年経ったわけでもないので落穂ひろい的に紹介させていただきました。

大久保潤