Home > Reviews > Album Reviews > Villains- Never Abandon The Slut Train
かつてキャトル・プレス(Cattle Press)とゆー恐ろしいバンドがおりまして、トゥデイ・イズ・ザ・デイ(Today is the Day)やクライシス(Crisis)、ディスアソシエイト(Dissasociate)などの恐ろしい仲間たちとともに90年代のニューヨークの地下シーンを形成しておりました。キャトル・プレスやらヘムロック(Hemlock)、ダイング・ライト(Dying Light)にも参加していたLino Reca氏が率いるヴィレインズ(Villains)には、過去10年間聴いた邪悪なバンドの中でつねにもっとも興奮させられているのであります。
昨今のテクノ界隈のアーティストがブルズムやらクロマグスのTシャツを着用するトレンドとは対極に位置しながらも、どこかしらリンクしてしまうのは、このバンドが持つニューヨークらしい都会的でニヒルなセンスゆえであろうか。
バソリー(Bathory)を彷彿させる非ゴスなブラック・スラッシュとブラック・フラッグ的(Black Flag)なアメハが共存するヴィレインズの、結成から10年間追求しつづけたストリート・メタル・ノワールはここにひとつの完成を披露する。前作『ロード・トゥ・ルイン(Road to Ruin)』から顕著に表れはじめた西海岸パンク/ハードコアなブレイク・ダウンは本作品ではさらにフィーチャーされ、ニューヨーク特有の、冷たく、血なまぐさいスラッシュと不気味に共存している。いつのまにかLino Reca氏がギター/ヴォーカルとなったのもあってか、いままで以上にひねくれたリフが全編通してウネりまくる。抗うことができないヘドバン衝動に身を委ねれば日頃の鬱憤で酒に我を忘れ、ブルックリンの場末のバーでチャンネーを巡るトラブルに巻き込まれるであろう。ニヒリスティックな男のロマンがここにある。
立ち上げから現在まで徹底してヴィレインズをプッシュしてきた〈NWN! プロダクション〉による美しいパッケージは今回も素晴らしく、このバンドの歴史とともに振り返る〈NWN!〉の軌跡へのリスペクトを忘れてはなるまい。
というわけで2013年のUSパンク・ハードコアで若手ハイライトはホアクス(Hoax)──解散したっぽいのだが──、ベテランはヴィレインズでした。
2013年度イヤーズ・エンド・リストに入れ忘れたのでここに記しておきます。
倉本諒