ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. B. Cool-Aid - Leather BLVD | ピンク・シーフ (review)
  2. interview with Kassa Overall ジャズ×ラップの万華鏡 | カッサ・オーヴァーオール、インタヴュー (interviews)
  3. Jean Grae - (Church of the Infinite You's Minister Jean Grae Presents) You F**king Got This Sh!t: Affirmations For The Modern Persons | ジーン・グレイ (review)
  4. Lucy Railton & YPY - @表参道 WALL&WALL (review)
  5. Wolf Eyes ——「現代USノイズの王様」、結成25周年のウルフ・アイズが〈Warp〉傘下の〈Disciples〉からアルバムをリリース (news)
  6. YoshimiOizumikiYoshiduO - To The Forest To Live A Truer Life | YoshimiO, 和泉希洋志 (review)
  7. Ben Vida, Yarn/Wire & Nina Dante - The Beat My Head Hit (review)
  8. Bob Marley & The Wailers ──ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズのTシャツが期間限定受注販売 (news)
  9. Columns グレッグ・テイト『フライボーイ2』日本版に寄せて、それからグレッグを師とした、東京在住のKinnara : Desi Laとの対話へ (columns)
  10. Cornelius ──2023年、私たちはあらためてコーネリアスと出会い直す。6年ぶりのニュー・アルバムとともに (news)
  11. Columns 坂本龍一の『BTTB』をいま聴いて、思うこと (columns)
  12. aus - Everis | アウス、ヤスヒコ・フクゾノ (review)
  13. WWWβ ──これは尖っている! 渋谷WWWの最深部に新たな「場」が誕生 (news)
  14. Kelela ──話題の新作を送り出したオルタナティヴR&Bシンガー、ケレラの来日公演が決定 (news)
  15. FEBB ──幻の3rdアルバムがリリース (news)
  16. Quelle Chris - Deathfame (review)
  17. interview with Overmono UKダンス・カルチャーの申し子たち | オーヴァーモノ、インタヴュー (interviews)
  18. R.I.P. Mark Stewart 追悼:マーク・スチュワート (news)
  19. Pink Siifu & Fly Anakin - FlySiifu's | ピンク・シーフ、フライ・アナキン (review)
  20. JPEGMAFIA x Danny Brown - SCARING THE HOES | Jペグマフィアとダニー・ブラウン (review)

Home >  Reviews >  Album Reviews > The Men- Tomorrow's Hits

The Men

The Men

Tomorrow's Hits

Sacred Bones

Tower HMV iTunes

久保憲司   Mar 24,2014 UP

 僕はザ・メンが大好きだ。クラウド・ナッシングスよりも好きです。クラウド・ナッシングスのディラン・バルディはライヴ終わりに話しかけてきたお客さんに年齢を訊かれて「22歳」と言ったら、「22歳に見えない」と言われてすごい落ち込んでいて可愛かったですが。
 ザ・メンのギターをジャングリングしている感じが好きなんです。僕は元パンクなので、ジャングリングするな、ストラミング(ストラマー)しろ、なんてふうに思っていたのですが、いまはジャングリングが大好きです。趣味がギターを弾くことになったからでしょうか。昔はダイナソーJRやティーンエイジ・ファンクラブのよさがいっこうにわからなかったんですが(この頃は、正確にビートを打ち込んでくれ! というふうに思っていたのでしょう)、いまはジャングリングしてよ、ニール・ヤングしてよ、という感じです。

 ザ・メンの音楽を聴いているとギターを楽しく弾いて、歌いたいなという気になってきます。これはけっこう不思議な感じなんですよね。ダイナソーJRを聴いていてもあんまりギターを弾きたい、歌いたいという感じにはならなかったのですが、ザ・メンはもっとシンプルだということでしょうか。でも、そのシンプルさがすごくいいと思うんだな。そんなザ・メンの新作『トゥモロウズ・ヒッツ』は、前作『ニュー・ムーン』(2013年)、さらにその前作『オープン・ユア・ハート』(2012年)のサイケデリックな混沌とした感じが抑えられ、テレヴィジョンな感じも出てきて、僕はますますいいんじゃないのと思ってしまいした(前作のタイトルは『ニュー・ムーン』ですけどね)。なんでも、約40曲もあるデモ音源から選りすぐったものを、時間をかけて仕上げたそうで、作曲能力もグンと上がったような気がします。ホーン・セクションなんかも加わっていますね。

 でも、ザ・メンを聴いていると、やっぱりいっしょに歌いたいな、ギターを弾きたいなと思えてきて、そういう魅力は健在です。ただ単にシンプルという部分に惹かれていたのではないのかもしれません。きっと、彼らの音楽に対するアテチュードにやられていたんですね。いまどき、こんなストレートで豪快なバンドをやるということがすごいことですよね。イギリスなんかを見ても、いまはなかなかこの手のバンドで目立つ存在がいないんじゃないかな。
 頑張れ、ザ・メン。僕は応援します。

久保憲司