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ブレイディみかこ倉本 諒   Nov 11,2014 UP
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SCOTTO))) なる筋書き
Side:Sunn O)))倉本諒

 今年の春頃に「SCOTTO)))」とロゴのみのヴァイラル効果を狙ったウェブ・ページが〈4AD〉から表れ、音楽メディアを騒がせた。サンによる毎度スキャンダラスなコラボレーションは今回も大きな波紋を呼ぶのだろうか?
 その時どきの時代性を射抜く先駆的なコラボレーションを企ててきたサンは、もちろんドローン・メタル/パワー・アンビエントのバンドであるわけだが、僕はそれ以上に彼らをある種のカルチャー・ムーヴメントの立役者として捉えてきた。

 ヘヴィ、またはラウドと呼ばれるような音作りにおいて、その筋から絶大な信頼がおかれているアンプ──サン(sunn)だ──によって壁を築き、そのいまはなきメーカー・ロゴをそのままバンド名に冠し、カルトな垂れ流しドローン・ロック・バンド、アースへのトリビュートを謳うパロディ・バンドであったサン。彼らをはじめてコンテンポラリーな存在に仕立てたのは、2003年に発表したアルバム『White 1』でのジュリアン・コープとのコラボレーションだ。
 バーニング・ウィッチ(Burning Witch)、ソーズ・ハンマー(Thorr's Hammer)等で、ひったすらに重い、遅いメタルやハードコアを追求してきたスティーヴン・オマリーとグレッグ・アンダーソンがたどりついた、「スピードは死に、それでも地を這うメタル・リフとフィードバッグが延々とアンプから垂れ流される」という境地をカンテラの明かりで照らすようなジュリアンの朗読が冴える“マイ・ウォール”はいまも秀逸な響きを放っている。

 今回のスコット・ウォーカーとのコラボレーション『サウスト』を聴きながら、これまでのサンのコラボレーションに思いをめぐらせ、10年以上も前のジュリアンとの曲を振り返り見えてくるバンドの原点、それは舞台装置としてのサンだ。

 圧倒的な数のヴィンテージ真空管アンプとスピーカーの壁から放射される、まさに振動としての音波、やりすぎなスモーク、全身に纏うローブ、ギター・ミュージックの究極形にあるアンビエント化したロック・サウンド。舞台装置としてのサンのコンセプトは完成されている。それは文字通りショウとしての、エンターテイメント/見世物としてのロック史の、黒いパロディのようでもある。
 今回その舞台で披露された演目は、スコットとの、さながら『ファントム・オブ・パラダイス』のような悪夢のロック・オペラだ。フランスの舞台演出/美術家、『こうしておまえは消え去る』のジゼル・ヴィエンヌによるビデオ・クリップも発表され、ゴシックな舞台を彩っている。そもそもスティーヴンとピタによるKTLは当初ジゼルの演劇作品『キンダートーテンライダー(Kindertotenlieder)』の舞台音楽としてキャリアをスタートさせているわけだし、どうにも彼らはこういう方向性に強いようだ。
 10年以上前の“マイ・ウォール”でジュリアンがスティーヴンとグレッグの紹介を読み上げるセリフから、今回のスコットとのコラボレーションまでが、サンによる壮大なバンド活動計画の脚本のうち、とすら思われてしまうほど説得力を感じてしまう。

 過去のさまざまなアーティストたちとのコラボレーション同様、この作品が音楽のみならず、映画やファッション、現代美術など異なるフィールドを振動させてくれるのが楽しみである。

倉本諒

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