ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. R.I.P. Gabi Delgado(ガビ・デルガド) (news)
  2. Columns Playlists During This Crisis この非常事態下における家聴きプレイリスト (columns)
  3. Politics コロナ恐慌を機に高まった「政府は金を出せ」の声 (columns)
  4. ダニエル・ミラーからのメッセージ ──CDやレコードをレコード店のオンラインで買いましょう!! (news)
  5. DJ Mitsu the Beats - ALL THIS LOVE (review)
  6. Columns 当世ハウス事情 ──2010年代も終わりを迎えた現在、ハウスのシーンはどうなっているのか? (columns)
  7. Columns Pandenic Diary (1) パンデミック・ダイアリー (1) (columns)
  8. interview with Little Dragon (Yukimi Nagano) 世界を魅了した歌声、北欧エレクトロニック・ポップのさらなるきらめき (interviews)
  9. R.I.P. McCoy Tyner 追悼 マッコイ・タイナー (news)
  10. Zebra Katz - Less is Moor (review)
  11. Hiroshi Yoshimura ──入手困難だった吉村弘の1986年作『Green』がリイシュー (news)
  12. R.I.P. Manu Dibango 追悼 マヌ・ディバンゴ (news)
  13. Caribou - Suddenly (review)
  14. Battles ──バトルスがオンライン・リミックス・コンテストを開催 (news)
  15. 『Zero - Bristol × Tokyo』 ──下北沢Disc Shop Zeroの故・飯島直樹さんを追悼するコンピレーションのリリースが決定 (news)
  16. interview with Kassa Overall 世界よ、後塵を拝せ。驚異のバックパック・プロデューサー登場 (interviews)
  17. Moses Boyd - Dark Matter (review)
  18. Random Access N.Y. VOl.123 NYシャットダウン (columns)
  19. KANDYTOWN ──キャンディタウンが2020年最初の新曲をリリース (news)
  20. Squid ──ブライトンのポストパンク・バンドが〈Warp〉と契約 (news)

Home >  Reviews >  Album Reviews > Powell- 11 - 14

Powell

MinimalPost-PunkTechno

Powell

11 - 14

Diagonal/インパートメント

Amazon iTunes

野田努   Dec 15,2014 UP
このエントリーをはてなブックマークに追加

 90年代のエレキングに寄稿していたイギリス人から「パウウェルを紹介しなきゃまずいだろ」と言われたので、聴いた。なるほど面白い。とくにリズムに個性がある。
 『11 - 14』は、アンダーグラウンドでの名声をたしかなものにした5枚のシングルの編集盤。2011年に自身の〈Diagonal〉からデビューした彼は、少ないリリースでリスナーの心掴み、自分のレーベルからはデス・コメット・クルー(ラメルジーが在籍したことで知られる)やラッセル・ハズウェル(メゴからの作品や秋田昌美との共作で知られる)といったアンダーグラウンドの大御所の作品まで出してファンの信頼をたしかなものにしている。〈ミュート〉傘下の〈Liberation Technologies〉(ローレル・ヘイローの新ユニットやマーク・フェルもソロを出している)からも作品を出し、〈The Death Of Rave〉からのシングルも話題になった。

 リズムが面白いといっても、パウウェルは、アフリカ直系のリズムではない。巷では、「インダストリル」という言葉で形容されているようだが、パウウェルのリズムは、ポリリズムを好むデリック・メイというよりは、スリーフォード・モッズのほうに似ている。ポストパンクめいているのだ。機能的なミニマル・テクノと違って、あるいは闇雲にドープなインダストリアルよりも明らかにパンキッシュで、たとえば6曲目の“Rider”などは現代版「デス・ディスコ」というか、PiLやフォールを、8曲目の“Grand Street”はザ・スリッツを、11曲目の“So We Went Electric”はワイヤーを、さらに骨組みだけに削ぎ落としたように思える。
 こう書いていると10年前のポストパンク・リヴァイヴァルを思い出す人もいるだろうけれど、パウウェルにはノスタルジーやディスコめいた感覚はないし、〈ブラッケスト・エヴァー・ブラック〉ほどヴィジュアル重視でもない。アクトレスの1曲目をポストパンクに変換したというか、そういう意味で2014年は、アクトレスにはじまりアクトレスに終わったとも言えるのか……パンクが好きな人なら14曲目の“Fizz”なんか身体を動かさずにはいられないだろう。

 グローバリゼーションに牙をむく地方のちんぴらオヤジの最新パンク(しかもメンバーのひとりは元々はIDM系という考えさせられる経歴……以下、紙エレキングvol.15参照)と、ちょっとインテリジェントなロンドンのテクノ・ミュージックと同じ扱いにするには無理があるのかもしれないけれど、しかし、リズム感というのは本人の自覚が無くても何かを物語っていることが多い。
 

野田努