ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. interview with BBHF 歓びも、悲しみも痛みもぜんぶ (interviews)
  2. Neue Grafik Ensemble - Foulden Road (review)
  3. There are many many alternatives. 道なら腐るほどある 第7回 ゆるい合意で、がんがん拡大 ――身を委ねてはいけない諸々について (columns)
  4. マスターズ・アット・ワーク来日直前特別対談 時代を越える存在──DJ NORI と Dazzle Drums が語る MASTERS AT WORK (news)
  5. interview with Dego 何もかもがトゥー・マッチ (interviews)
  6. Madame Gandhi - Visions / Various Artists - Manara International Presents: The Ultimate Spice Mix (review)
  7. Politics 消費税廃止は本当に可能なのか? (2) (columns)
  8. FTARRI FESTIVAL 2019 ──国内外の実験/即興音楽の現在が集結する最後の祭典が開催 (news)
  9. Columns Stereolab ステレオラブはなぜ偉大だったのか (columns)
  10. Xinlisupreme ──シンリシュプリームが新曲をリリース (news)
  11. クライマックス - (review)
  12. The Art Ensemble of Chicago - We Are on the Edge: A 50th Anniversary Celebration (review)
  13. Daichi Yamamoto - Andless (review)
  14. Ø(Mika vainio) - Konstellaatio (review)
  15. Clipping. × Shabazz Palaces ──クリッピングがドレクシアにインスパイアされた12インチをリリース、シャバズ・パレセズをフィーチャー (news)
  16. interview with KANDYTOWN 俺らのライフが止まることはないし、そのつもりで街を歩く (interviews)
  17. Hector Plimmer ──南ロンドンのメロウなビートメイカー、ヘクター・プリマーが新作をリリース (news)
  18. Laraaji ──ララージがまさかの再来日、ブライアン・イーノとの名作を再現 (news)
  19. Floating Points ──フローティング・ポインツの再来日ツアーが決定 (news)
  20. Columns Kim Gordon キム・ゴードン、キャリア史上初のソロ・アルバムを聴く (columns)

Home >  Reviews >  Album Reviews > Powell- 11 - 14

Powell

MinimalPost-PunkTechno

Powell

11 - 14

Diagonal/インパートメント

Amazon iTunes

野田努   Dec 15,2014 UP
このエントリーをはてなブックマークに追加

 90年代のエレキングに寄稿していたイギリス人から「パウウェルを紹介しなきゃまずいだろ」と言われたので、聴いた。なるほど面白い。とくにリズムに個性がある。
 『11 - 14』は、アンダーグラウンドでの名声をたしかなものにした5枚のシングルの編集盤。2011年に自身の〈Diagonal〉からデビューした彼は、少ないリリースでリスナーの心掴み、自分のレーベルからはデス・コメット・クルー(ラメルジーが在籍したことで知られる)やラッセル・ハズウェル(メゴからの作品や秋田昌美との共作で知られる)といったアンダーグラウンドの大御所の作品まで出してファンの信頼をたしかなものにしている。〈ミュート〉傘下の〈Liberation Technologies〉(ローレル・ヘイローの新ユニットやマーク・フェルもソロを出している)からも作品を出し、〈The Death Of Rave〉からのシングルも話題になった。

 リズムが面白いといっても、パウウェルは、アフリカ直系のリズムではない。巷では、「インダストリル」という言葉で形容されているようだが、パウウェルのリズムは、ポリリズムを好むデリック・メイというよりは、スリーフォード・モッズのほうに似ている。ポストパンクめいているのだ。機能的なミニマル・テクノと違って、あるいは闇雲にドープなインダストリアルよりも明らかにパンキッシュで、たとえば6曲目の“Rider”などは現代版「デス・ディスコ」というか、PiLやフォールを、8曲目の“Grand Street”はザ・スリッツを、11曲目の“So We Went Electric”はワイヤーを、さらに骨組みだけに削ぎ落としたように思える。
 こう書いていると10年前のポストパンク・リヴァイヴァルを思い出す人もいるだろうけれど、パウウェルにはノスタルジーやディスコめいた感覚はないし、〈ブラッケスト・エヴァー・ブラック〉ほどヴィジュアル重視でもない。アクトレスの1曲目をポストパンクに変換したというか、そういう意味で2014年は、アクトレスにはじまりアクトレスに終わったとも言えるのか……パンクが好きな人なら14曲目の“Fizz”なんか身体を動かさずにはいられないだろう。

 グローバリゼーションに牙をむく地方のちんぴらオヤジの最新パンク(しかもメンバーのひとりは元々はIDM系という考えさせられる経歴……以下、紙エレキングvol.15参照)と、ちょっとインテリジェントなロンドンのテクノ・ミュージックと同じ扱いにするには無理があるのかもしれないけれど、しかし、リズム感というのは本人の自覚が無くても何かを物語っていることが多い。
 

野田努