ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. 山口美央子 - トキサカシマ (review)
  2. 彼女は頭が悪いから - 姫野カオルコ (review)
  3. BOOMBOX&TAPES ──カセットテープ愛好家に送る豪華なジンが創刊 (news)
  4. Mike - War in My Pen (review)
  5. The Book of Drexciya ──ドレクシアの神話を描いたグラフィック・ノヴェルが制作 (news)
  6. Eartheater - IRISIRI (review)
  7. Mira Calix ──ミラ・カリックスが新作EPをリリース (news)
  8. Allysha Joy - Acadie : Raw (review)
  9. ZULI - Terminal (review)
  10. 山口美央子 - 月姫 / 山口美央子 - NIRVANA / 山口美央子 - 夢飛行 (review)
  11. Anderson .Paak - Oxnard (review)
  12. interview with BES & ISSUGI 100% HIP HOP、その交差と反応 (interviews)
  13. Binkbeats ──エイフェックス“Windowlicker”のカヴァーで注目を集めた異才、ビンクビーツのCDがリリース (news)
  14. Mark Stewart ──マーク・スチュワートによるポストパンク時代の傑作が10曲もの未発表音源付きでリイシュー (news)
  15. Norhern Soul ──『ノーザン・ソウル』、この最高な映画を見たらスリムのデニムを履けなくなる (news)
  16. interview with Colleen 炎、わたしの愛、フリーケンシー (interviews)
  17. 編集後記 編集後記 (2018年12月28日) (columns)
  18. interview with Cornelius 新作『Ripple Waves』を語る (interviews)
  19. Columns 坂本龍一の『BTTB』をいま聴いて、思うこと (columns)
  20. Elecktroids ──ドレクシアがエレクトロイズ名義で残した唯一のアルバムがリイシュー (news)

Home >  Reviews >  Album Reviews > Extreme Precautions- I

Extreme Precautions

Black MetalTechno

Extreme Precautions

I

in paradisum

Amazon iTunes

倉本 諒   Jan 14,2015 UP
このエントリーをはてなブックマークに追加

 昨今のそれっぽい黒テクノをなぎ払う……なんじゃこりゃあ的レコード。先日、とある先輩から「YOUたちもこーゆーのやればいいじゃない」とコレをご教授いただいた。

 フレンチ暗黒テクノ・レーベル、〈イン・パラディズム(in paradisum)〉から看板アーティスト、モンドコップ(Mondkopf)の別名義、エクストリーム・プリコーションズ(Extreme Precautions)のファーストLPがお披露目。針を落とした瞬間、聴者に襲いかかる超シンフォニックな展開と鬼ショボ・打ち込みブラストビートに爆笑必至だ。
 〈ブラッケスト・エヴァー・ブラック〉の台頭以降、メタルからの影響を公言するテクノ・アーティストは急増、ブルズム(Burzum)Tシャツを着用したヒップなテクノDJが昨今のクラブのトレンド! ……という状況は生粋の中2病ヘドバンガーを自認する僕としちゃファックなんですよ。そもそもヨーロッパでは90年代レイヴ・カルチャーに傾倒していたメタル・ヘッズは多く、本家のメタルバンド名義に隠れてこっそりとトランスやゴアのDJとして多くのメタル・ヘッズが活動していたとかいないとか……とくにその傾向が強かったのがフランスとノルウェイであり……そんなものに改めてフォーカスを当てることなんて今後あり得ないだろうと思っていた矢先にこのレコードである。ロウ・ジャックといい、彼といい、いまフレンチ・イナタイ電子音楽がキテる。あれ、そもそも最近再逮捕/釈放されたヴァルグもフランスにヤサを構えている影響もあるのかも。

 カシオトーン的簡易アルペジエーター感全開のメタル旋律によるリード・シンセ、ショボ過ぎる質素なモジュレーション、打ち込みフル・ブラストビート、全編似たり寄ったりのショート・チューンで最後までぶっちぎる潔さ。ブルズムの『フィロソフェム(Filosofem)』以降確立された打ち込みワンマン・ブラックメタルという精神不衛生きわまりないジャンルを完全に形骸化、ブラックメタルへのテクノ的パロディとも捉えられる本作品はモンドコップが同レーベルより昨年リリースしたヘヴィ・ドローン色全開のアルバム『ハーデス(Hadès)』(こっちもかなりメタルなんだけれども。そもそも冥界の王、ハーデスって……)完成後にテクノEPを制作しようとしたところ、ブルータル・トゥルースやナパーム・デス、アサックやピッグ・デストロイヤーを聴き過ぎていたらこんなんを作ってしまったそうな。

 ブラックメタルにおける劣化音質の美意識を電子音楽側で完全に体現しているという点はとても現代的だ。だってこれ、雑じゃなきゃ絶対かっこよくならないし。これこそテクノ・メガネ男子ヘドバン・ミュージック。

RELATED

Run Dust- Self Rush in paradisum

Reviews