ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. Wen - EPHEM:ERA (review)
  2. John Grant - Love Is Magic (review)
  3. Eli Keszler - Stadium (review)
  4. Kankyō Ongaku ──日本のアンビエントにフォーカスしたコンピレーションが発売 (news)
  5. Kode9 & Burial - Fabriclive 100 (review)
  6. 栗原康 × 大谷能生 ──ともにele-king booksから新著を刊行したふたりによるトークショウが開催 (news)
  7. 冬にわかれて - なんにもいらない (review)
  8. interview with GillesPeterson UKジャズ宣言 (interviews)
  9. Columns はてなフランセ 第17回 フレンチ・ポップの王道からあえてズレる (columns)
  10. Norhern Soul ──『ノーザン・ソウル』、この最高な映画を見たらスリムのデニムを履けなくなる (news)
  11. God Said Give 'Em Drum Machines ──デトロイト・テクノの新たなドキュメンタリーがローンチ (news)
  12. interview with Cornelius 新作『Ripple Waves』を語る (interviews)
  13. interview with Kelly Moran プリペアド・ピアノの新星 (interviews)
  14. Elecktroids ──ドレクシアがエレクトロイズ名義で残した唯一のアルバムがリイシュー (news)
  15. Brainfeeder X ──〈ブレインフィーダー〉10周年を記念した強力なコンピレーションが発売 (news)
  16. Sun Araw - Guarda in Alto (review)
  17. Wiley - Evolve Or Be Extinct (review)
  18. interview with Primal 性、家族、労働 (interviews)
  19. James Ferraro - Four Pieces For Mirai (review)
  20. Laurel Halo - Raw Silk Uncut Wood / Chevel - In A Rush And Mercurial (review)

Home >  Reviews >  Album Reviews > Extreme Precautions- I

Extreme Precautions

Black MetalTechno

Extreme Precautions

I

in paradisum

Amazon iTunes

倉本 諒   Jan 14,2015 UP
このエントリーをはてなブックマークに追加

 昨今のそれっぽい黒テクノをなぎ払う……なんじゃこりゃあ的レコード。先日、とある先輩から「YOUたちもこーゆーのやればいいじゃない」とコレをご教授いただいた。

 フレンチ暗黒テクノ・レーベル、〈イン・パラディズム(in paradisum)〉から看板アーティスト、モンドコップ(Mondkopf)の別名義、エクストリーム・プリコーションズ(Extreme Precautions)のファーストLPがお披露目。針を落とした瞬間、聴者に襲いかかる超シンフォニックな展開と鬼ショボ・打ち込みブラストビートに爆笑必至だ。
 〈ブラッケスト・エヴァー・ブラック〉の台頭以降、メタルからの影響を公言するテクノ・アーティストは急増、ブルズム(Burzum)Tシャツを着用したヒップなテクノDJが昨今のクラブのトレンド! ……という状況は生粋の中2病ヘドバンガーを自認する僕としちゃファックなんですよ。そもそもヨーロッパでは90年代レイヴ・カルチャーに傾倒していたメタル・ヘッズは多く、本家のメタルバンド名義に隠れてこっそりとトランスやゴアのDJとして多くのメタル・ヘッズが活動していたとかいないとか……とくにその傾向が強かったのがフランスとノルウェイであり……そんなものに改めてフォーカスを当てることなんて今後あり得ないだろうと思っていた矢先にこのレコードである。ロウ・ジャックといい、彼といい、いまフレンチ・イナタイ電子音楽がキテる。あれ、そもそも最近再逮捕/釈放されたヴァルグもフランスにヤサを構えている影響もあるのかも。

 カシオトーン的簡易アルペジエーター感全開のメタル旋律によるリード・シンセ、ショボ過ぎる質素なモジュレーション、打ち込みフル・ブラストビート、全編似たり寄ったりのショート・チューンで最後までぶっちぎる潔さ。ブルズムの『フィロソフェム(Filosofem)』以降確立された打ち込みワンマン・ブラックメタルという精神不衛生きわまりないジャンルを完全に形骸化、ブラックメタルへのテクノ的パロディとも捉えられる本作品はモンドコップが同レーベルより昨年リリースしたヘヴィ・ドローン色全開のアルバム『ハーデス(Hadès)』(こっちもかなりメタルなんだけれども。そもそも冥界の王、ハーデスって……)完成後にテクノEPを制作しようとしたところ、ブルータル・トゥルースやナパーム・デス、アサックやピッグ・デストロイヤーを聴き過ぎていたらこんなんを作ってしまったそうな。

 ブラックメタルにおける劣化音質の美意識を電子音楽側で完全に体現しているという点はとても現代的だ。だってこれ、雑じゃなきゃ絶対かっこよくならないし。これこそテクノ・メガネ男子ヘドバン・ミュージック。

RELATED

Run Dust- Self Rush in paradisum

Reviews