ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. Lucrecia Dalt & Aaron Dilloway - Lucy & Aaron (review)
  2. Abstract Mindstate - Dreams Still Inspire (review)
  3. interview with Jeff Mills + Rafael Leafar 我らは駆け抜ける、ジャズとテクノの向こう側へ (interviews)
  4. Marisa Anderson / William Tyler - Lost Futures (review)
  5. There are many many alternatives. 道なら腐るほどある 第6回 笑う流浪者、あるいはルッキズムに抗うための破壊 (columns)
  6. Cleo Sol - Mother (review)
  7. Columns 「実用向け音楽」の逆襲 ──ライブラリー・ミュージックの魅力を紐解く (columns)
  8. 地点×空間現代 ——ゴーリキーやドストエフスキー、ブレヒトや太宰の作品を連続上映 (news)
  9. Lucrecia Dalt - No Era Sólida (review)
  10. Wolf Eyes - I Am A Problem: Mind In Pieces (review)
  11. Tirzah - Colourgrade (review)
  12. Lawrence English - Observation Of Breath (review)
  13. P-VINE & PRKS9 Presents The Nexxxt ──ヒップホップの次世代を担う才能にフォーカスしたコンピがリリース (news)
  14. interview with BADBADNOTGOOD (Leland Whitty) 彼らが世界から愛される理由 (interviews)
  15. Columns Electronica Classics ──いま聴き返したいエレクトロニカ・クラシックス10枚 (columns)
  16. Little Simz - Sometimes I Might Be Introvert (review)
  17. Politics 消費税廃止は本当に可能なのか? (1) (columns)
  18. Saint Etienne - I've Been Trying To Tell You (review)
  19. Soccer96 - Dopamine (review)
  20. There are many many alternatives. 道なら腐るほどある 第3回 映画『金子文子と朴烈』が描かなかったこと (columns)

Home >  Reviews >  Album Reviews > Run Dust- Self Rush

Run Dust

ElectronicExperimentalNoise

Run Dust

Self Rush

in paradisum

bandcamp

倉本諒   Mar 13,2015 UP
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 春の息吹が刻一刻とそのおとずれを著けくしている今日この頃、皆さまはいかがお過ごしでしょうか。花の粉にヤラれてズビズバのメガハイでしょうか。それとも新歓コンパの学生やフレッシュ社会人の爽やさに反吐が出る? なんか毎年春が近づくたびにこんなことを言ってる気がしますが、公共スペースに溢れる爽やかさをヘッドフォンで遮断し、苦々しい思いに没入したいあなたにはコレがオススメ!

これまでグノド(Gnod)のメンバーによるレーベルである〈テスラ・テープス(Tesla Tapes)〉や〈オパール・テープス(Opal Tapes)〉など、カルトな人気を博すカセット・レーベルからのリリースが記憶に新しい、ニューヨーク在住のルーク・カルゾネッティによるラン・ダスト(Run Dust)の初ヴァイナル・アルバムが個人的にいまお気に入りのレーベルであるフランスの〈イン・パラディズム(in paradisum)〉よりリリースされる。

同曲のMVはほぼポルノなので埋め込めませんので悪しからず。

エロいあなたは直接バンドキャンプで観てください。トリッピン!


ライヴ・エレクトロニクス(電子楽器による生演奏)によって構成されるラン・ダストのサウンドはもちろんテクノのレコードとしてフロアで十分に通用するものではあるが、そのトラックのヴァリエーションの豊かさ、拘りのなさ、パンク極まるヴォーカルから想起させられる彼のバッググラウンドは確実にテクノではない。そういった意味では以前取り上げた〈トレンスマット〉のレーベル感覚に近い、ゼロ年代後半からのUSエクスペリメンタル・サウンドの旨味を捨てずに現代の電子音楽的感覚に見事に繋げている例だといえよう。

ライヴ未見であるので確実なことは言えないが、おそらくゴミのような機材をとんでもないアイデアを用いて使用し(これこそが僕がいままで見てきたUSアンダーグラウンドのアーティストの底力であると思っているのだが)、ステージを縦横無尽に走りながら叫ぶ退廃的なアクトを勝手に想像している。ノイズ/パワエレ、EBM、ミュージック・コンクレート、エクスペリメンタルをグシャグシャにして邪悪なテクノ、または暗黒ミニマル風に見事にまとめあげている。マスタリングはじつはUSローファイ・シーンの影の立役者でもあったジェイムス・プロトキンで隙無しだ。

倉本諒