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Album Reviews

Prurient

ElectronicExperimentalNoise

Prurient

Frozen Niagara Falls

Profound Lore

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倉本諒   Apr 23,2015 UP
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 ドミニク・フェルノウ(Dominic Fernow)がやり過ぎなのは誰の目にも明らかだ。レインフォレスト・スピリチュアル・エンスレイヴメント(Rainforest Spritual Enslavement)やヴァチカン・シャドウ(Vatican Shadow)としてあいも変わらず怒濤のリリースを続けるなか、プリュリエント(Prurient)とエクスプローリング・イザベル(Exploring Jezebel)の新作も発表。一体どうやって〈ホスピタル・プロダクション(Hospital Production)〉代表を務めながらこれだけの制作をこなすことができるのか、完全に理解を超えているとしか言いようがない。

いまでこそUSインディの先端を担う〈ホスピタル・プロダクション〉も元をたどればドミニクが若干16歳でスタートさせたDIYノイズ・レーベルであったわけで、ドミニク自身から止めどなく溢れんばかりに湧出する、かたちを成さない感情であるノイズをひたすらにアーカイヴ化することでその複雑な自身の表出にコンセプトを見出し、ラベリングすることが当初の目的であったと言える。

ノン及びボイドライスやデス・イン・ジューン、カレント93やコイルにSPK、ナース・ウィズ・ウォンド等のニューウェーヴ/インダストリアルからの多大な影響とブラック・メタルへの偏執的な傾倒をノイズ/エクスペリメンタルといった実験的な手法で自身の表現を模索してきたドミニクにとってプリュリエントはつねに彼の主たるプロジェクトであった。

シンセ・ダークウェーヴとパワー・エレクトロニクスの融合を試みてきたプリュリエントが、ドミニクのコールド・ケイヴへの参加を機に劇的な変化を迎えたのが2011年に発表されたバミューダ・ドレイン(Bermuda Drain)である。それまでになくメタル、もといロック的な起承転結が明快なダイナミズムとシーケンス/ビートにプリュリエントの手法を落とし込んだ意欲作であった。BEBからの前作、スルー・ザ・ウィンドウ(Through The Window)で90年代ハード・テクノを骨抜きにしたような作風を披露し、ヴァチカン・シャドウのサウンドと重複したことを危惧したのか、本作フローズン・ナイアガラ・フォールズ(Frozen Niagara Falls)ではドラマティックな展開を強調して再びプリュリエントの明確な差別化を意識したように聴こえる。ツインピークス風の不穏かつ幽玄なダークウェーヴからアコースティック・サウンドを基調とした激情、お馴染みの激昂とパワエレは以前より洗練された形でヴァリエーション豊かなトラックと共存している。活動歴約20年に及ぶ彼のプリュリエントな(卑猥な)試みの集大成として放つロック・アルバムだ。USインダストリアルの今後を占う90分近い圧倒的ヴォリュームの意欲作。


倉本諒