ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. interview with Masato Matsumura これからの前衛音楽のために (interviews)
  2. Ninjoi. - Masayume (review)
  3. Norhern Soul ──『ノーザン・ソウル』、この最高な映画を見たらスリムのデニムを履けなくなる (news)
  4. K Á R Y Y N ──〈ミュート〉期待の新人がアクトレスの人工知能とコラボ&ファースト・アルバムをリリース (news)
  5. Phony Ppl - mō'zā-ik. (review)
  6. 天国でまた会おう - (review)
  7. interview with Simon Halliday 元〈WARP〉スタッフ、現〈4AD〉社長に話を訊く (interviews)
  8. James Blake ──ジェイムス・ブレイク新作の日本盤CDがリリース (news)
  9. 打楽器逍遙 12 行進 (columns)
  10. The Specials - Encore (review)
  11. The Matthew Herbert Big Band ──ハーバートがビッグ・バンドで新作をリリース、発売日はイギリスがEUを離脱する3月29日 (news)
  12. interview with Mark Stewart 俺は永遠の楽観主義者だ (interviews)
  13. エスタブリッシュメント 彼らはこうして富と権力を独占する - オーウェン・ジョーンズ 著 依田卓巳 訳ブレイディみかこ 解説 (review)
  14. Shout To The Top 僕がアリアナ・グランデに惹かれる理由 (columns)
  15. Beirut - Gallipoli (review)
  16. interview with Phony Ppl NY発 新世代が奏でるソウルの真髄 (interviews)
  17. お詫びと訂正 (news)
  18. Kankyō Ongaku ──日本のアンビエントにフォーカスしたコンピレーションが発売 (news)
  19. A Man Called Adam ──90年代ジャジー・ハウスの芳香、ア・マン・コールド・アダムが帰ってきた (news)
  20. interview with KANDYTOWN 颯爽たる、東京ローカル・ヒップホップ集団 (interviews)

Home >  Reviews >  Album Reviews > Prurient- Frozen Niagara Falls

Prurient

ElectronicExperimentalNoise

Prurient

Frozen Niagara Falls

Profound Lore

HMV Amazon iTunes

倉本諒   Apr 23,2015 UP
このエントリーをはてなブックマークに追加

 ドミニク・フェルノウ(Dominic Fernow)がやり過ぎなのは誰の目にも明らかだ。レインフォレスト・スピリチュアル・エンスレイヴメント(Rainforest Spritual Enslavement)やヴァチカン・シャドウ(Vatican Shadow)としてあいも変わらず怒濤のリリースを続けるなか、プリュリエント(Prurient)とエクスプローリング・イザベル(Exploring Jezebel)の新作も発表。一体どうやって〈ホスピタル・プロダクション(Hospital Production)〉代表を務めながらこれだけの制作をこなすことができるのか、完全に理解を超えているとしか言いようがない。

いまでこそUSインディの先端を担う〈ホスピタル・プロダクション〉も元をたどればドミニクが若干16歳でスタートさせたDIYノイズ・レーベルであったわけで、ドミニク自身から止めどなく溢れんばかりに湧出する、かたちを成さない感情であるノイズをひたすらにアーカイヴ化することでその複雑な自身の表出にコンセプトを見出し、ラベリングすることが当初の目的であったと言える。

ノン及びボイドライスやデス・イン・ジューン、カレント93やコイルにSPK、ナース・ウィズ・ウォンド等のニューウェーヴ/インダストリアルからの多大な影響とブラック・メタルへの偏執的な傾倒をノイズ/エクスペリメンタルといった実験的な手法で自身の表現を模索してきたドミニクにとってプリュリエントはつねに彼の主たるプロジェクトであった。

シンセ・ダークウェーヴとパワー・エレクトロニクスの融合を試みてきたプリュリエントが、ドミニクのコールド・ケイヴへの参加を機に劇的な変化を迎えたのが2011年に発表されたバミューダ・ドレイン(Bermuda Drain)である。それまでになくメタル、もといロック的な起承転結が明快なダイナミズムとシーケンス/ビートにプリュリエントの手法を落とし込んだ意欲作であった。BEBからの前作、スルー・ザ・ウィンドウ(Through The Window)で90年代ハード・テクノを骨抜きにしたような作風を披露し、ヴァチカン・シャドウのサウンドと重複したことを危惧したのか、本作フローズン・ナイアガラ・フォールズ(Frozen Niagara Falls)ではドラマティックな展開を強調して再びプリュリエントの明確な差別化を意識したように聴こえる。ツインピークス風の不穏かつ幽玄なダークウェーヴからアコースティック・サウンドを基調とした激情、お馴染みの激昂とパワエレは以前より洗練された形でヴァリエーション豊かなトラックと共存している。活動歴約20年に及ぶ彼のプリュリエントな(卑猥な)試みの集大成として放つロック・アルバムだ。USインダストリアルの今後を占う90分近い圧倒的ヴォリュームの意欲作。


倉本諒