ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. Bon Iver ──ボン・イヴェールの来日公演が決定 (news)
  2. interview with (Sandy) Alex G 塩と砂糖の誘惑 (interviews)
  3. Laraaji ──ララージがまさかの再来日、ブライアン・イーノとの名作を再現 (news)
  4. Leo Svirsky - River Without Banks (review)
  5. Columns JPEGMAFIA『Veteran』の衝撃とは何だったのか (columns)
  6. Random Access N.Y. vol. 119:玄人インディ・ロック界の王子たち Deerhunter and Dirty Projectors @webster hall (columns)
  7. Tohji ──いま若い世代から圧倒的な支持を集めるラッパーが、初のミックステープをリリース (news)
  8. Aphex Twin ──エイフェックス・ツイン最新公演のライヴ・ストリーミングが決定 (news)
  9. interview with For Tracy Hyde シティ・ポップ・リヴァイヴァルから「シティ」を奪還する (interviews)
  10. Lafawndah - Ancestor Boy (review)
  11. Squarepusher, Oneohtrix Point Never & Bibio ──〈Warp〉30周年イベントが開催決定! スクエアプッシャー、ワンオートリックス・ポイント・ネヴァー、ビビオが一挙来日 (news)
  12. Columns ダブステップ・シーンへ日本からの新風 ──City1について (columns)
  13. イギリスでは高校生に授業参観でレイヴの歴史を教えています (news)
  14. For Tracy Hyde - New Young City (review)
  15. Nkisi - 7 Directions (review)
  16. interview with Kindness 音楽である必要すらないんです (interviews)
  17. Flying Lotus ──衝撃を与えた映画『KUSO』がまさかの再上映決定 (news)
  18. BJ The Chicago Kid - 1123 (review)
  19. interview with Yosuke Yamashita 誰にでも開かれた過激 (interviews)
  20. Thom Yorke - Anima (review)

Home >  Reviews >  Album Reviews > Ron Morelli- A Gathering Together

Ron Morelli

DroneIndustrialNoise

Ron Morelli

A Gathering Together

Hospital Productions

Tower HMV Amazon

久保正樹   Nov 20,2015 UP
このエントリーをはてなブックマークに追加

 2010年代のNY地下ハウス・シーンにおける異能にして先端、そしていまやロウハウス(生ハウス!?)なんて界隈を牽引し、ある種のダンス・シーンの核心として世界中の注目を集め続けるレーベル〈L.I.E.S.〉。そんなレーベルのボスであるロン・モレリのサード・アルバムがリリースされた。

 リリースは前2作と同じく、プリュリエントやヴァチカン・シャドウ名義でお馴染みのドミニク・フェルノウが主宰する〈ホスピタル・プロダクションズ〉から。ということで、古き良きノイズ/インダストリアルを父に持つ、近しい親戚同士ともいえるロン・モレリと〈ホスピタル・プロダクションズ〉の「まぜるな! 危険!」印のついたイケナイ化学反応は本作でも並はずれ。トンデモナク深刻でアブナイ事態になっている。

 ファーストの『スピット』(2013)が、トレードマークのロウなマシンハウス・ビートを多様した、ポストパンク的で色気のある光沢ブラックだとすれば、つづくセカンド『ペリスコープ・ブルース』(2014)は、ビートを減退させて不吉な音響を増殖させるも、ところどころにアシッド臭とトレンドの香りを残した半光沢ブラック。そして本作『ア・ギャザリング・トゥギャザー』は、暴力的な切れ味といぶし銀な煙たさを主成分に、なめす前の皮のごとくむき出しの音の質感に身命を捧げるロン・モレリの騒音性癖がいよいよたけなわに突入。それが闇とともにどろり落ちてきて、すこぶるべっとり厚塗りされたツヤ消しブラックといったところか。

 壊れた重機が低いうめき声を発しているような地を這う屍ドローン“クロス・ウォーターズ”からはじまる9つの楽曲は、前2作品で耳にすることができたマシンビートの輪郭を削ぎ落とし、それと引きかえに内臓破りの鋭利な振動をたっぷり与えてくれる。こいつはいつになくノイジーだ! 分厚く重なるもっこりとしたロウファイ具体音が耳をまさぐる“ニュー・ダイアレクト”。ストレンジでリズミカルなハンドクラップがざわざわ耳をはやし立てるタイトル曲“ア・ギャザリング・トゥギャザー”。脈打つ軋みがギシギシと頭蓋骨まで到達したかと思えば、無為に鳴り響くクラクションが空虚極まりない“デザート・オーシャン”。デヴィッド・ジャックマン(オルガナム)ばりの穏やかでないマシンガン・ノイズがズバババババババ〜ンと炸裂する“ヴォイシズ・ライズ”。伝説のフリージャズ集団=ムジカ・エレットロニカ・ヴィヴァの乱痴気からサイケ色を払拭して、暗黒エレクトロニクス・ノイズ化したような“トゥ・セレブレイト・スルー・ザ・ストーム”など、重々しく生々しい鋼鉄エレクトロニクスが加熱と冷却を繰り返し、そこから生じるひずみと亀裂が世にも美しい断面をさらす。

 インダストリアル・ミュージックがずいぶんと手に取りやすくなり、明るくカジュアルに聴かれるようになったいま。そんな秩序の裂けめから産まれた—──なんとも掴みづらい陰鬱さを湛え、いわく言いがたい高揚を誘う—──不良の夜のためのインダストリアル・ミュージックに、両手両足のひらを交互にフルに使って拍手(とっちゃん叩き)を送りたい。

久保正樹

RELATED