ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. Aphex Twin Live Stream - ──まるで1994年、初来日時のDJを思わせるようなセット (review)
  2. Gloo - XYZ (review)
  3. interview with Joe Armon-Jones 深化するUKジャズの躍動 (interviews)
  4. interview with Moonchild すべてが自然発生のオーガニック・ソウル (interviews)
  5. WXAXRXP Sessions ──〈Warp〉30周年を記念したシリーズ作品が発売、豪華面子が勢ぞろい (news)
  6. Nkisi ──新世代テクノの急先鋒、キシ来日直前インタヴュー (news)
  7. Headie One - Music x Road (review)
  8. Ash Walker - Aquamarine (review)
  9. Kelela & Asmara - Aquaphoria (review)
  10. !!! (Chk Chk Chk) - Wallop (review)
  11. Columns JPEGMAFIA『Veteran』の衝撃とは何だったのか (columns)
  12. interview with (Sandy) Alex G 塩と砂糖の誘惑 (interviews)
  13. Bon Iver ──ボン・イヴェールの来日公演が決定 (news)
  14. Leo Svirsky - River Without Banks (review)
  15. Tohji ──いま若い世代から圧倒的な支持を集めるラッパーが、初のミックステープをリリース (news)
  16. 泪橋を渡って山谷の泪橋ホールまで行けば、そこで2本のドキュメンタリーが上映されている (news)
  17. Laraaji ──ララージがまさかの再来日、ブライアン・イーノとの名作を再現 (news)
  18. Aphex Twin ──エイフェックス・ツイン最新公演のライヴ・ストリーミングが決定 (news)
  19. interview with For Tracy Hyde シティ・ポップ・リヴァイヴァルから「シティ」を奪還する (interviews)
  20. Lafawndah - Ancestor Boy (review)

Home >  Reviews >  Album Reviews > Savage Young Taterbug- Shadow of Marlboro man

Savage Young Taterbug

ExperimentalFolkPsychedelicRock

Savage Young Taterbug

Shadow of Marlboro man

Night People

Amazon

倉本諒   May 17,2016 UP
このエントリーをはてなブックマークに追加

 これまで別名義も含め、気の向くままにカセット音源を発表してきた──ウェット・ヘアーのショーン・リードによるアートワークとプリントが美しいレーベル、〈ナイト・ピープル〉から──サヴェージ・ヤング・テイターバグが満を持してヴァイナル作品を発表。この作品は現在のローファイ・アメリカーナの記念碑となるだろう。

 もう3年も前のものになるがテイターバグやトレーシー・トランスのツアー日記から彼らの生活を改めて垣間みてみよう。

 〈ゴーティー・テープス(Goaty Tapes)〉のザリー・アドラーは、彼らのように拠点または定住地を持たない表現者を“カジュアル・ジャンク”と呼び、少し前にその表現と生活を紹介したカセット・コンピレーションやジンを出版していた(http://goatytapes.com/#!/record/casual-junk/)。こちらは醜悪なLAアートブック・フェアにて偶然遭遇したザリーより購入した。20ドルは暴利だがトレーシー・トランスをはじめオルファン・フェアリーテイル(Orphan Fairytail)、ロシアン・ツァーラグ(Rusian Tsarlag)などの世界各地の流浪アーティストが共有/昇華させる創造力をまとめてあるので、このテイターバグの『シャドウ・オブ・マルボロマン(Shadow of Marlboro Man)』を聴いて仕事を放擲する考えが浮かんだ人は読んでみるといい。

 ホーボー、ビートニク、ヒッピー、ドリフターといったホームレスのサブカルチャーはアメリカ人の開拓精神を体現しているのである。時に車の荷台なり長距離キセルの貨物列車なりで揺られながら、大陸を横断していくヤング・ホームレスの儚く美しい開拓精神をテイターバグはもっとも体現していると言えるだろう。ゴミクズ・デッドヘッズ、発狂ベッドルーム・アシッド・フォーク、なんとでも呼ぶがいい。昨年エリジア・クランプトンが自身の性的マイノリティーや血統のテーマを“アメリカン・ドリフト”と題したように、少数派こそが持ち得る底抜けの自由がここにはある。

倉本諒